喫茶店のバイト内容が、人理修復だった件   作:考えるな。感じるんだ!

5 / 6
 思ったより、長くなってしまったので分けました。
 今回より、独自設定をモリモリ入れてます。あと、ネタバレも。
 それでもイイヨ!という方はどうぞ。


第三話「従業員、働きます」(中編)

 カルデアと名乗った機関からの依頼で、俺以外の従業員が出払ってガラリとした店内。

 響くのは、「 」さんが茶を点てているシャカシャカシャカシャカシャカリキスポーツ!な音のみ。

 こんなに静かなのは、いつ以来だろうか。皆で騒がしく店を回していた事にすっかり慣れてしまっていたようだ。

 

「一人では、寂しいといった感じかの?」

 

 いつの間にか、目の前のカウンター席に一人の老人が腰掛けていた。それと同時に、周りも時が止まったかのように音が一切消えて、お茶を点てていた「 」さんすらも動きが止まっていた。

 そして、この現象を起こす人物に心当たりは一人しかいない。

 

「何か、御用ですかオーナー?今度の納品日まで、まだあったと思いますが」

 

 そう。この喫茶【アーネンエルベ】のオーナーたる、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグだ。

 俺をバイトとしてスカウトしてくれただけでなく、この店が時をかけるようになってからも定期的に訪れて減った食材や備品などの納品をしている、本人曰くミステリアスな宝石翁だ。

 

「いや何。そろそろ、頃合いだと判断しいてな」

 

 そう言って、オーナーが机の上にトロフィーのような物体の上部に金色のリングが付いたモノを置いた。

 

「これは?〇ーブリング?」

「これは、カレイドリングじゃ。ワシとマーリン、そしてお主に力を貸しても良いと賛同してくれた者達の協力によって製作したアイテムじゃよ」

「で、これを俺に渡して何をしろと?」

 

 今までの経験上、このオーナーが頼み事をぶる場合は絶対に厄介事が舞い込んで来るに違いない。

 

「簡単な事じゃ。ちょっと、人理を救ってくれ」

「簡単じぇねよ!喫茶店の業務を余裕で超えてるわ!」

「まあ、そう言わずに。試しに触ってくれんかの?」

 

 無理矢理押し付けてくるため、仕方なく持ち手の部分を触る。

 

『藤丸ハクノ、承認。指紋、声紋合致。DNA判定、クリア。機能解放します』

「ファッ!?」

 

 持った瞬間に、リングから聞いたことある音声が響いて思わず手を放してしまい、床に落としてしまう。

 

『じゃじゃーん!どうだい、ハクノ?君は驚いて、落としただろうね。録音されたボクの声を聞いて驚くなんて、酷いじゃないか。まあ、スキャンした時とかのメイン音声は、男の方のボクが担当してるから』

 

 オーナーがマーリンと作ったって言ってたから、てっきり常連の方のマーリンかと思い込んでしまったが、そっちのマーリンもかよ!

 

「使い方は、某光の戦士のようにカードをそのリングに潜らせれば、そのカードに宿った力を使えるぞい」

「カード?」

「クラスカードじゃよ。お主、ここの客になった連中から受け取ったじゃろ?」

「ああ、持ってるぞ」

 

 毎度、この店が別の時代に移る際に贔屓にしてくれた客から、何故かその客の絵柄が入ったカードが手元にあるというホラー現象が起きていた。使い道があったみたいで捨てずに取って置いて良かったわ。

 

「そして、一番の肝はその宿った英霊達の宝具を使用する事が可能じゃ」

「えっ、マジで?」

「マジじゃ。但し、使用する為にはその理由を告げ、それを受けた”座”の英霊達が承認する、〈拘束解放議決(シール・ディシジョン)〉を踏む事が必要じゃがな。因みに、”座”の英霊達へのアクセスはあっちのマーリンがやってくれとるから、その場合のみ彼女の音声が入るから要チェックじゃよ!」

 

 何故、最後の方は孫の成長を見守るじいちゃんのような目をするのか。

 しかし、オーナーの説明を反芻すると腑に落ちない点がある。

 

「何故、これを俺に?というか、何で俺だ?」

 

 そう。人理修復、人類の歴史を護るという事は、かなりの難行である筈。そんな事を一般人の俺にやらせる理由が不可解だ。

 

「それは、お主が藤丸ハクノ(・・・・・)だからじゃよ」

「理由になってないぞ」

「ホッホッホッ。ともあれ、これはお主しか出来ん運命(Fate)じゃ」

 

 そう言ってオーナーが、パチンと指を鳴らすと空中に映像が映し出される。

 そこには、筋肉ダルマとでっかい竜にボコボコにされている武蔵の姿が!?

 

「これは、ライブ映像じゃよ。さて、お主の手にはあ奴らを救える力がある。どうするかの?」

 

 俺の答えは分かり切っているだろうに、意地の悪い笑みを浮かべて催促するオーナー。

 

「今度こそ、手を伸ばして届く力がコレだって言うのなら、俺は遠慮なく使わせて貰います。俺はもう、後悔したくありませんから」

 

―――期待しておるぞ。

 

 霞のようにオーナーの姿が薄れていくと共に、止まっていた時間が動き出したのか時計の刻む音などが耳に入って来る。

 

「あら、出掛けるの?」

 

 いつも穏やかな微笑むを絶やさない「 」さんが、珍しく真剣な眼差しでこちらを見つめる。

 

「ちょっと、へっぽこな従業員を迎えに。今日のお代は、サービスしときます」

「フフ。私が言うのも変かもしれないけど、いってらっしゃいな」

「ありがとう、「式」さん。いってきます」

 

 「 」さんに見送られ、店を出ると再びリングからアイツの声が聞こえる。

 

『さて、ボクの見込んだ君なら、決意しただろう。今回は、初回サービスだ。君の望む、戦いの地へご案内しよう。さあ、目を閉じて場所を思い浮かべてごらん!!』

 

 マーリンの声に従い、オーナーが見せた映像を思い浮かべる。

 そして、目を開けると今まさに、武蔵に筋肉ダルマの凶刃が迫っていた!

 セミ様とえっちゃんも傷を負い、辛そうに顔を歪めている。

 治癒と安全圏の確保。

 

「ナイチンゲールさん!メディア・リリィさん!」

『フローレンス・ナイチンゲール!メディア・リリィ!』

 

 咄嗟に駆け出しながら頭に浮かんだのは、治癒に長けたあの二人。

 

「癒しの力、お借りしまああぁぁぁああす‼」

『フュージョンアップ!!』

 

 リングを掲げると、今度はこっちのマーリン声が響いて身体に力が溢れてきたのを感じる。

 さらに、このリングの詳しい使い方が頭に流れ込んで来る!

 

「是は、大切な人を治療する戦いである!」

拘束解放決議(シール・ディシジョン)開始(スタート)。承認、ナイチンゲール。メディア・リリィ』

 

 今度はあちらのマーリン声が、彼女達が宝具の使用を許可してくれた事を教えてくれる。

 

我はすべて毒あるもの、害あるものを絶つ(ナイチンゲール・プレッジ)、修補すべき全ての疵(ペインブレイカー)!!」

 

 ナイチンゲールによく似た巨大な幻の上半身がとして出現し、稲妻のような歪な短剣を振り下ろす。

 

「ハクノ、なのか?」

「マスターさん?」

「まさか、店主か?」

 

 セミラミス達を庇うように前に出て立ち塞がると、ラスボスっぽくなったアルトリアでさえ茫然と俺を見た。

 人理の修復だとか、大層な事を言われたが正直まだ実感が湧かない。だけど、あの人との約束を、大切な人達を護る為に、俺は考えるのを止めた。

 

「おい、アルトリア。うちの従業員に手を出そうなんて、二万年早いぜ!!」

 

 さあ、ブラックホールが吹き荒れるぜ?




 本当は、光の戦士ネタをアイテムの中の人繋がりでやろうとしたんだ。
 でもね、つい先日実装されたプロトセイバーさんの宝具がかっこよかったから、ついヤっちゃった☆
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。