ー第4章ー
次のゲームへの扉が開いた。
しかし、誰も次のゲーム会場へと踏み出そうとしなかった。
皆、何かを考え込むように黙ってしまっている。
皆の頭によぎっているのはきっと宮野が言っていた『裏切り者』の存在。
皆、怯えているんだ....『裏切り者』に次に殺されるのは自分ではないか、と。
そんな皆を励ますかのように花園さんが口を開く。
「み、皆!私達は一蓮托生よ!『裏切り者』なんて...」
「分かんないだろ。」
花園さんの言葉を野崎くんが遮る。
「宮野の言った通り俺らは初対面。なんも知らない他人。確かに、『裏切り者』がいてもおかしくねぇだろ。」
「そ、そんなこと....!!」
「あんただって、そんな事いっといて実は『裏切り者』かもしれねぇだろ。」
「わ、私は違う!」
違うと言い張る花園さんに追い討ちをかけるように野崎くんが口を開く。
「そういや、あんた...やたらとあの岩倉って女に話しかけてたよな?」
「あ、あれは、怯えてた岩倉さんを落ち着かせようと思って....」
「どーかな。『裏切り者』の可能性もあるだろ。」
「違う!私はほんとに、『裏切り者』なんかじゃ....」
花園さんの勢いは完全に無くなっていた。
「こんなとこで揉めてたって、時間の無駄だ。早く次のゲームに進んだ方がいい。」
唐突に神城くんが口を開いた。
「そんなことしたら『裏切り者』に殺されるかもしれねぇだろ!」
「俺達は30日間にここを出なければ死ぬんだ。こんなとこでモタモタしてる時間は無い。」
「はっ、なら大人しく『裏切り者』に殺されろってか?俺はそんなのごめんだね!」
野崎くんが蔑むように笑った。
「ゲームをクリアしなければ死ぬんだ。ここでずっと留まってたらそれこそ『裏切り者』の思うつぼだと思うけど。」
蔑すんだ笑顔のまま野崎くんが告げる。
「だったら、『裏切り者』に大人しく殺されるのを待てって言うのかよ?」
「だれもそんな事は言ってない。一つ提案がある。」
「....なんだよ?」
「お互いに距離をおくんだよ。」
「....どういうことだよ?」
「『裏切り者』は俺達と同じ、このゲームの参加者だ。さっきのゲームであの部屋に俺達5人と少女逹しか居なかった。少女逹はただ立っていただけで、特に怪しい動きはなかった。なら、他に怪しいのはあの部屋に居た俺達5人の誰かになる。そして岩倉さんはメモを奪われたと言っていた。なら少なからず『裏切り者』はゲームの最中に岩倉さんと接触したってことになる。俺達は連れ去られたとき、私物は全部没収されていた。つまり、同じゲームの参加者である『裏切り者』もなにも持っていない。つまりなんらかの接触をしない限り殺すことは出来ないんだ。だから、お互いに距離をおけばいい。そこで不審な動きをしたやつが『裏切り者』になる。」
「チッ!....分かったよ!」
野崎くんは軽く舌打ちしながらも納得したようだ。
「お互い、最低1mは距離をおくようにしよう。」
神城くんがそう言うと皆が頷いた。
皆で次のゲーム会場へと足を踏み入れた。
そこは、前の部屋よりも狭いーーといっても十分に広いがーー部屋だった。
先程のように人の姿はなく、箱が5つ置いてあるだけだった。
勿論、皆は先程のゲームでメモの条件にあった少女を連れていた。
頭上のモニターに宮野が映る。
「いやー、やっと来てくれましたか。逃げたのではとヒヤヒヤしていましたよ。」
くっくっと喉を鳴らしながら喋っている。
よくいう、どうせ私達の先程のやり取りも全部見ていたくせに。
「では次のゲームのルールを説明します。」
皆の視線が宮野に集まる。
「このゲームもルールは至って簡単。先程のゲームで連れてきた少女を殺し、解体してその箱に詰めてください。」
「..........え?...ころす?...かい...たい?」
佐々木くんが間抜けな声をあげる。
「そうです。殺して、解体して、その箱に詰めるんです。....あぁ、ちなみに、内蔵とかがはみ出してて、綺麗に詰められてなかったら、やり直しですからね。それと、殺して解体するための道具は箱の中に入っているものを使ってください。....何か質問は?」
花園さんが抗議の声をあげる。
「殺して、解体....?そんなこと出切るわけないじゃない!人を殺すだなんて....!!」
「出来なくても構いませんよ。そのままそこで30日間が過ぎるのを待っていてください。このゲームには制限時間はありませんので。」
「人を....殺し....ましてや、解体しろだなんて....。」
花園さんは信じられないというように呟いている。
「では、ゲーム、スタート...ですね。」
宮野がそう囁いて、モニターはぷつりと切れた。