~万丈視点~
僕は今日も朝から仕事に追われている、だが以前より遥かに気持ちが充実していた。昔からの恋がようやく実を結ぼうとしているのだ、そりゃやる気だって
「大至急こちらへ向かった方がよろしいですよ、貴方の大切な人が取り返しのつかない事になる前にね」そう言って僕に1枚な地図を手渡す、僕の大切な人…ゆの君が?一体何があったんだ?
「貴方達の幸せを心より願っています」その言葉を最後にまたしても姿を消した。ヤツは何者なんだ?それより今の話が真実か確かめなければ。部下をその場で退けて僕は急いで地図が示す場所へ向かった。
~ゆのの回想~
自動車にもう1人別の男が入ってきた、羽交い締めにされた私を尻目に勝手に運転して人気のない場所へ停めた。更に3人目の男が現れて刃物を手に私のスーツを裂いていく。恐怖のあまり声もでない。
「『喪黒福造愛好会』は大成功だな」ハンドルを握る男が下卑た笑いを浮かべる。
「全くだ、女犯して金まで手に入るんだからな」羽交い締め男も同意する。
「しっかしこいつ、背丈はガキみたいな割にいい体してるぜ」ナイフ男は唾をだらしなく溢れさせる、唯一の救いは掌の中にあるモノだけ。
あれはしんのすけ君達と研究所跡地であのサルに再会してまた別れる時だった。
「そうだ、こいつをアンタにやるよ」渡されたのは筆で文字が書かれた小さな紙片だった、漢字で『斎天大聖』とある。
「サイ..テン、オオ..ヒジリ?」
「『セイテンタイセイ』と読め!何か困った事があったらそいつを破け、必ず役に立つからよ」半信半疑だが今はあいつの言葉に賭けるしかない!手の中で紙片を破くと突然何メートルもある巨大なヘビに変わって男達に巻き付きだした。
「うわぁ、へ、ヘビだぁ!」
「なんでこんなトコに?うわっこっちにきた!」
「気味が悪い!離れろ!」追い払おうと幾らもがいてもヘビは奴らの体に食い込むようにまとわりつき、その内首を締め出した。やがて息ができなくなり泡を吹いて失神する男達、そこに一台の乗用車と数台のパトカーが到着した。
「ゆの君!無事だったか?!」ボロボロになった私を彼はしっかりと抱きしめる。
「万丈さん!万丈さん!万丈さん!」私も抱き返し何度も愛する人の名前を呼ぶ、いつの間にか流していた涙が止まらない。
「もうこれ以上は待てない。ゆの君、今すぐ僕と結婚しよう」
「はい!」私は泣きながら返事をした。
~ルカ視点~
俺は今回越後屋のマスターが食品サンプルを作ると聞いて、その工場に忍び込んでいた、時刻は真夜中である。機械を透視して構造を理解する、その他の子細は明日でもいいか。工場を抜け出し前世の姿に化けて一杯
『魔の巣』とかいうバーに入ると、きな臭い会話が聞こえた、あれは白夜を轢き殺して俺が異世界流しにした奴のサイ…女じゃねーか?へぇ、他人の不幸を買おうって訳か。歪んだ神経してんな、イヤ俺にも責任あるかもしれん。逮捕自体はともかくこいつの男が人殺しだと世間にバラしたの俺だし。
「ターゲットは木村ゆの、○○会社のOLよ。残りは成功報酬でいいのよね」思わず呑みかけのウィスキーを吹き出す。何ちゅう因縁だ、これから犯罪被害に合おうってのが知り合いじゃ放っとけねーな。あいつには式神をやったけど捨てちまったかもしれないし、とりあえず金を受け取った男をつけてみるか。
~伍代理人視点~
サイバー対策課から俺のいる捜査課へ連絡が入った、彼らが以前より目をつけていたネットで客寄せをしている犯罪組織がようやく尻尾をだしたそうだ。令状をとって上司と高坂で家宅捜索に向かう事になった。
連中の本拠地に辿り着くともぬけの殻だった、悔しさに舌打ちしていたら上司のスマホが鳴る。
「は、はい。すぐに向かいます」上司は俺達に声を張り上げて告げる。
「奴らのウチ、3人居場所が判明した!お前ら、現場へ向かうぞ!」
「オイ、あの乗用車スピード違反じゃないか?」俺は運転している高坂の頭を叩く、
「バカか?お前は!今はこっちの事件に集中しろ!」大体それは交通課の仕事だ。
現場へついた俺達は何とも奇妙な光景を目にした、犯人と思われる奴らが3人共泡を吹いて倒れている。他には被害者らしき女性と、あの有名な破嵐万丈氏がいた。上司から聴取を受けている。
「ご協力感謝します、では我々はこれで」破嵐氏にお辞儀をする上司に倣い俺達も離れたところから頭を下げる、気がついた容疑者連中をパトカーに乗せて署に同行させた。
この3人の供述から『喪黒福造愛好会』の奴らは芋づる式に捕まった、更に連中の顧客も続々逮捕されていく。そういえばあの時の女性は破嵐氏のフィアンセらしい。事件の翌日、任意で聴取をさせてもらったが高坂はナゼか彼女が事件に関与していると疑っていたので拳骨を食らわせておいた。このバカ警察官でありながら被害者への行き過ぎた聴取などでトラウマを与え続けて署長から何度も叱られている。免職になるのも時間の問題だろうな。
~再びルカ視点~
『喪黒福造愛好会』とかいう連中が木村ゆのを狙ってる事は確かだ、俺はあいつの自動車にこっそり侵入するとダストボックスに俺がくれてやった紙片が捨ててあるのをみつけた。アンにゃろー、そりゃ見た目は紙切れでも最強の
翌日の朝、俺は体毛を一本抜いて自分のコピーを作り破嵐万丈氏の元へ移動させておく。案の定、木村は例の奴らに襲われるが上手く俺を掴んだのでヘビに化けて男共に巻き付いて首を絞める。破嵐氏と警察がやってきたのでこのどさくさに紛れて姿を消す、この時マスターとの約束をすっかり忘れていたが
「事情が事情ですし、僕の方はいいですよ。ゴノーさんが手伝ってくれましたし」オッサン、感謝する(^人^)。
次回。遂に最終回です。