第1話酒は呑んでも呑まれるな
~ゆの視点~
宮ちゃんから電話が入った、昨日しんのすけ君と8年振りに再会したそうでそれをきっかけに野原一家の皆さんや元やまぶき高校理事長の万丈さんと連絡がとれて今度の週末に久し振りに会おうという話になって私も誘ってくれるという。即答でOKした、今日は取引先のド変人を相手にしたせいで精神的に疲れている時だったのでその分喜びも大きかった。
翌日ルンルン気分で出勤すると山本と境野が珍獣でも発見したかのように私を見つめる、嬉しいからしょうがない。いつもならギタギタにしているが今日はご機嫌なので許してやろう、
「木村君、今週末だが休日出勤頼めるかね?」部長がとんでもない事言ってきた。だけど今日の私は気を悪くはしない。こんな時の秘策もちゃんと用意してある。
「部長、今週末は破嵐財閥代表の破嵐万丈様とのお約束がありますのでお受けしかねます」
「き、木村君?!キキキ、ミミミは破嵐氏とはどういった…」案の定パニクってるなぁ、面白いけど可哀想だからもう引導を渡してやるか。
「高校時代からの知り合いですが、それがなにか?」この一言で部長の顔が真っ青になった、万丈さんの名前を出せば日本では勿論世界中でも片手で足りるほどしか逆らえる相手はいない。それに嘘はついてないし、部長は青い顔のまま山本と境野に告げる。
「それじゃ休日出勤は山本君と境野君にお願いしよう。2人共いいかな?」
「「えーっ!」」えーじゃねえよ、世間知らずのバカコンビめが。
「頼む!わが社なぞ破嵐財閥に睨まれたら簡単に潰される、それに先方とのパイプは是非とも欲しいんだ」部長が半泣きで訴える、バカコンビは私に文句がありそうだが部長がそれを宥める。最後は2人も渋々妥協した、ザマァみろ。
「先輩、破嵐万丈氏とお知り合いだったんですね」加藤君が興奮した様子で話しかけてきた。
「まぁね」私は素っ気なく返す、別に彼まで脅す必要はない。
「そうだ、加藤君も一緒に行かない?みんな歓迎してくれるよ」
「えっ?オレなんかがそんなスゴい席に呼ばれていいんスか?」
「別にスゴくないよ、その日はおそらくパーティーになるし。加藤君も楽しめるはずだよ」
そして週末、破嵐財閥経営のレストランに全員集合した。加藤君は始めこそガチガチだったけどお酒が入ると大分緊張がほぐれてみたいだ。
「ゆのちゃん、1杯呑むかい?」ひろしさんがワインを薦めてくれた、普段は全く呑まない私だけど今日は加藤君以外は私が高校時代から仲のいい、気心知れた人ばかり。よし!たまにはグイッといきますか。
~万丈視点~
野原ひろし氏が2代目ギャリソンとして僕の下で働いて数年が経つ、最初こそ不安感もあったが今ではその名に恥じない見事な執事ぶりだ。僕も初代と同じように彼をギャリソンと呼ぶ事にしている、同時期に財団に経理士が必要になりみさえさんにも働いてもらう事になった。しんのすけ君達には悪いが共働きの夫婦なんて幾らでもいるからと逆に気を使われてしまった。ギャリソン(これ以降2代目は省略)にも今日の仕事は終わりだと言っておく、たまには家族サービスさせないとな。
それから各自お互いの近況を語り合う、ゆの君にも話しかけようとしたら珍しく酔っている、元々酒には弱いのに。どうやら調子にのって呑みすぎたみたいだ、一緒にきた後輩君が絡まれている。
「だ~からあ~金魚って赤いのに~金の魚って言うのは変でしょ?私あれ~納得できない~んだよね」
「先輩、呑みすぎですよ。その事はわかりましたから!」
「わはってない!かろ~君はそうやって私を誤魔化ほうとしへる!」何を論じているんだ、彼女は?仕方ない、ここは可哀想な後輩君に助け船を出してやるか。
「ゆの君、金魚は色からその名がついたんじゃない。一説には古代中国の貴族達がペットとして飼うのが流行した時期があった。そこに目を付けたのが今でいうブリーダーだよ、彼らは金魚達の品種改良を繰り返し、より見た目の美しいモノを貴族達に売り相当稼いだらしい、つまり金になる魚だから金魚といわれているよ」
「へ~そ~らんな~万丈さんさしゅが~モノひり~」ダメだこりゃ。
他の作品もドン亀執筆中です、暖かい目で見守って下さいまし