基本のんびり日常系なのであまり激しい戦闘ではないですが
「仕事ってなんなんだ?」
「簡単に言えば不良退治」
「結局、それって
分からないのよね」
「それには超同意です」
「それに対する答えは簡単よ。その風紀委員が既に何度も撃退されているから」
「……強敵?」
「いや分からないわ。詳細をろくに知らされないのが私たちの仕事でしょ」
「しかし、こんな真昼間からよくやるよ」
「結局、昼でも夜でも面倒なものは面倒なのだけど……」
「超到着みたいですよ」
「なるほど、団体客だったか」
ぞろぞろと集まっている男たち……ざっと4,50はいる。
しかし、優秀な能力者が揃った風紀委員が数に押し負けるだろうか。
目の前の男たちもなんらかの能力を持っているのか、それとも……
いや……待て、それ以前に不自然じゃないか?
この集団は何故俺たち異分子が目の前に現れて、一言も発しない?
物を語らない、表情を変えない、これらは非常に有効な手段だ。
相手に次の一手を悟らせない、賢い方法。
それを意に介さず、不良たちは自分を大きく見せようと威嚇の言葉を吠える。
故に弱い、だがそれが普通の人間の行動だ。
それを知ってか知らずか、賢い選択をとる目の前の集団。
このことが意味するものは果たして……
「超さっさと片付けましょう!」
「待て!絹旗」
走り出した絹旗はそれでも止まらない。
いつも女子に対して過保護すぎるとは言われているが、確かに相手が現状ただ
の不良である以上、俺の制止を聞き入れるのはプライドが許さないか。
「超くたばりやがってください!」
だが、悪い予感ほどよく当たる。
絹旗のパンチは確かにヒットした。
コンクリートの壁も容易く破壊するほどの威力を秘めた強力な攻撃。
普通の男ならひとたまりもないし、今回も例外ではなかった。
そう、確実にダメージは与えていた。
にもかかわらず、殴られた相手は吹っ飛ばされながらも絹旗の伸ばした腕をつ
かみ引きずり込む。
「なっ!?」
前に倒れこむ形となった絹旗の無防備な後頭部に他の男が思いきり鉄パイプを
振り下ろす。
人体の急所への躊躇のない一撃。
結果は言うまでもない…………鉄パイプが飴細工のようにぐにゃりと曲がる。
銃弾をも防ぐ
ただ、その絶対防御がなければ確実に今の一撃で終わっていた。
あそこに突っ込んでいたのがフレンダだったなら、近接格闘術にも長けている
彼女がただの不良にやられていただろう。
もちろん絹旗は防御の術があるからこそ慎重にならずとも突っ込んでいけたと
いうのはあるが、不意をつかれたのは事実。
絹旗が傷つかなかったのは所詮結果でしかない。
「絹旗、一旦さがれ!」
流石は風紀委員を撃退しただけはある。
普通の不良とは一味違うようだ。
「……?」
何かが放り投げられるような音。
「おいおい……嘘だろ……」
俺たち待機していた4人のほうに投げ込まれるもの。
それは一介の不良が持っているはずのない代物。
「爆弾ね、消し飛ばしてやるわ!」
「結局、私もさっさと片づけたいってわけよ!」
自然と、固まって行動していた俺たちも散ってしまう。
これでは相手の思うツボな気もするが、敵さんの不良らしからぬ賢さと隠し持
っている武器が知れない以上、一か所に集まっているのも最善とはいえない。
「また爆弾か……芸のないっ!」
麦野が再度投擲された爆弾を能力で消し飛ばす。
どんなに繰り返そうが、爆発までに猶予のある爆弾ではダメージを与える前に
麦野に対処されてしまう。
「麦野、上ばっかに気を取られるな!」
「チッ……!?」
そんな単純なことに気づかないはずがない。
男たち二人が麦野の後方に回り込んでいた。
爆弾の処理のため、両手を天にかざしていた麦野ではどうしても一手遅れをと
ってしまう。
「ほんと、油断ならない相手だな……」
「霧谷!」
麦野に迫っていた二人は首元を掴まれ、前方からの無理やりの力で倒される。
一瞬前までは麦野の背には誰もおらず、がら空きだったが今確かにそこには霧
谷が立っていた。
「結局うざったいのよねっ!」
近接格闘と仕掛けや罠を得意とするフレンダも、仕掛けを施す時間を与えられ
ず、大勢に囲まれてはなす術がない。
「フレンダ、しゃがんでくれ!」
「え、うわっと!」
鉄パイプを投げて、群れる男たちをけん制する。
……あの手に持ってるのはスタンガンか?
「女の子に物騒なもの向けるんじゃない」
むしろ、女の子が使うものだ。
スタンガンを持つ手首を掴み、ぐいっと捻り向きを変えさせる。
結果、男は自身でスタンガンの威力を体感することとなった。
「ありがと、霧谷!」
「フレンダ、さがっといてくれ。今回は相性が悪い」
「う、うん」
数が多いうえに、厄介な動きをしてくるとなってはなかなか片づかない。
離れたところにいる絹旗も同じように囲まれていた。
それなら……
「絹旗、いつものいくぞ!」
「超了解です!」
戦闘中の会話って難しいですね。