とある風来の多重恋愛(デュアルラブ)   作:黒亜

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久しぶりになってしまいました。
もはや前の話なんて覚えていないと思うので、
少し戻ってからお楽しみください


また貴方ですか

アイテムの女の子はみんな可愛い。

なので特別優劣をつけたりはしていないのだが、現状では麦野も基地で言って

いたように絹旗と一番仲がいいとも言える。

それはアイテム加入時、俺が組織内でのパートナーとして絹旗を指名したこと

に始まり、過ごす時間もメンバーの中では一番長かったから。

 

そんな、俺と絹旗がアイテムの中でパートナーを組む理由。

それは俺が扱う武器と絹旗との能力の相性だった。

 

懐から銃を抜く。

そして絹旗のほうへ向け、迷いなく引き金を引いた。

絹旗はそんなもの気にせず行動し、目の前の標的を倒す。

銃弾は絹旗の肩に当たって跳ね返り、死角の男を貫く。

 

 

「これが、結局二人のコンビネーションなのよね」

 

「本来なら味方がいたら発砲なんて危なくて出来たもんじゃないけど……。そ

れを克服するだけじゃなく跳弾まで計算して攻撃の手に回しちゃうんだから、

これ以上ない相性ね」

 

 

勿論動く物体を利用した跳弾など、地形や遮蔽物を利用するものより遥かに難易度が高い

が、一切それを感じさせない立ち振る舞い。

霧谷の戦闘センスはそれだけ尋常ではなかった。

 

 

「ちまちまやってもキリがないな」

 

 

確実に数は減らしているが、それだけ人数も多いということ。

そこでちょうど携帯のコール音が鳴る。

 

 

「ナイスタイミングだ、滝壺」

 

 

気づけば散開したときから姿がなかった滝壺。

 

 

「この近くの建物は脆くて崩れやすそうだからな」

 

 

滝壺に探ってもらっていたのは、建物のウィークポイント。

そこに一撃与えてやれば、崩壊を起こす地点に滝壺はスタンバイしていた。

 

 

「一網打尽ってことで」

 

 

銃声が一発響く。

たった一撃で積み木のように崩壊する建物。

男たちは瞬く間に瓦礫に押しつぶされた。

 

 

「よっと」

 

 

崩れ去る建物から飛び降りた滝壺を空中でキャッチする。

 

 

「ありがとう、きりたに」

 

「いやいや。ご苦労様、滝壺」

 

 

滝壺は非常に軽い、ちゃんと食べているのか心配になる重さだ。

着地後、周りからビシバシ非難の視線を感じるが見ないことにする。

 

 

『なんかあっちの方から凄い音がしたわよ!』

 

 

不意にそんな声が聞こえてくる。

 

 

「どうやら超風紀委員のお出ましみたいですね」

 

「そりゃ建物一つ崩れてるから、当然よ。私たちは帰るから上手くやっといてね」

 

「結局いつものパターンですね」

 

「がんばって、きりたに」

 

 

去ってゆくアイテムの面々。

そう、これはフレンダの言う通りいつものパターンだった。

アイテムとは学園都市の裏組織。

基本公に出てはいけないし、ましてや風紀委員との接触は避けた方がいい。

そういうわけで全ての対外関係における役回りは霧谷に押し付けられる。

理由は新入りで一番裏のにおいがしないし、ノリが軽いからということらしい。

勿論、その裏には4人が評価している霧谷の人と馴染む能力というものがあるのだが、そ

れを直接本人に口にできるほど少女たちは素直ではなかった。

 

霧谷が一人取り残されたところに一人の風紀委員が到着する。

 

 

「そこの人、怪我はありませんのって……また、あなたですの」

 

「よっ、久しぶりだな。白井」

 

 

ツインテールが可愛らしい彼女の名は白井黒子。

こういう機会もあって、風紀委員である彼女とはすっかり顔見知りの仲である。

実践も行う風紀委員でありながら、お嬢様学校に通う女子中学生というのだから、この学

園都市は奥が深い。

彼女の上品な喋り方もお嬢様ゆえの特徴だったりする。

 

 

「出来ればその言葉通り“久しぶり”でいたかったですの。何故あなたはこう事件が起こ

る先々で待ち構えてるんですの?どこぞの少年探偵じゃないんですから」

 

「確かに俺は大人びた見た目に、いつまでも少年の心を持ち合わせていたいとは常々思っ

ているけどな」

 

「それじゃ真逆ですの……。で、どうしてまたあなたは物騒なことに首を突っ込んでいる

んですの?」

 

「えーと……白井と会いたかったってことで」

 

「で、本当の理由はなんですの?」

 

「あのー、白井さん。スルーは酷く傷つくんですが……」

 

「私(わたくし)、男性の軽い口説き文句にはいちいち取り合わないことにしてますの」

 

「いや、誤解はしないでくれよ。白井と会いたかったのは本当だぜ?」

 

「なっ……、そんなことはどうでもいいですの!とにかく、今回は建物一つ壊れているん

ですから、きっちりと理由を説明してもらいますの」

 

「いやぁ、建物自体が古くなってたんじゃないのかな?俺はただ逃げ回ってたら、不良が

そこにぶつかって崩れただけだって」

 

「はぁ……、ご自分でも苦しい言い訳だとは思いませんの?」

 

「ごめんなさい、詮索しないでください」

 

「もう何も言いませんわ。あなたが悪いことをしてるとも思っていませんし、大方巻き込

まれただけなのでしょう?」

 

「白井……そこまで俺のことを信頼して……」

 

「まぁとりあえず話を聞くために一緒に来てもらいますわ」

 

「…………」

 

 

結局、事情聴取を逃れることはできませんでしたとさ。




黒子は普通にしてれば可愛いと思いますの
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