魔導騎士になりたくて 作:クー
第1話 魔導騎士訓練学校
僕は憧れていた。大きな恐怖と戦い、人々のために魔術を駆使して魔物を倒す。そんな『魔導騎士』に。
お母さんとお父さんはどちらも研究者で魔導騎士関連の仕事に就いている。だから、色んな役に立つ話を持って来てくれるしもちろんお母さんとお父さんも賛成してくれている。
この平和な毎日が好きだった、何気ない朝、何気ない青空。こんな毎日がずっと続けばいいのに、そのために僕は戦うんだ。
そう思っていた、でもあの日、僕の目の前から全て奪われていった。魔物が攻めて来たんだ。
「お母さん!お父さん!どこ!」
「すまない...俺達はもう駄目かもしれん...」
「何で!何で諦めるんだよ!言ってたじゃん父さん、どんなことでも絶対諦めるなって...なのに、なのにどうして!」
目の前には家の下敷きになった父さんと瓦礫が頭に当たり血を流すお母さんの姿があった。
これは悪い夢だ、きっと。きっとそうに違いない。
幼い僕はこうやって現実から目を背けようとしたのだろう。でも、お母さんの体に触れたとき気づいた。
いつもの温もりはそこになく、冷えかかってるそんな現実が。いつもの温かい日常はもうそこには無かった。
そんな中お母さんは
「ヴィル...これを...」
「母さん?何...これ?」
「このメモと手紙の宛先の人のところに行きなさい...きっと、そこにお姉ちゃんもいるはずだから...」
「お母さんも諦めないでよ!お姉ちゃんはきっともう逃げてる、だから僕達も家族揃って」
「いいえ、この状態じゃ足手纏い。それに...私たちの体力じゃもう...」
「くっ...やばいぞ。竜型の魔物だ!はやく逃げろヴィル!」
「嫌だよ父さん。一緒に」
「バカが!過去に振り返るな!走れ!きっとその手紙の宛先にお前の未来がある!だから...過去を振り返らず走れ」
僕は涙を流しながら走った。無我夢中で、途中で石に躓いた。そんなときふと振り返ると家があった場所は炎で包まれていた。
もう、後戻りはできないんだ。そして僕は絶対に魔導騎士にならなければいけないんだと誓った。
「ッ!」
夢...か。よく見るんだ、幼いときのあの日の夢を。
結局、姉はいたが3年前にこの家に着いてすぐ僕を置いて北国に向かった。同じく魔導騎士になるために。
確かにこのアーカイン王国は魔導騎士の名門校がある、しかしそれも数年前までの話で今は段々抜かれてきているらしい。
そして引き取られ養子として育てられている今お世話になっているこの家はアインシュベルン家。育ての親であるドロシア=ディートリヒ=アインシュベルンさんはどうやらお母さんの友達らしくこのアーカイン王国でかつて最強と言われた魔導騎士だったという。
「あら、おはようヴィルヘイム君」
「おはようございます、ドロシアさん」
「そういえば昨日、本を読んでくれなかったってターニャ怒ってたわよ?」
「ご、ごめんなさい。つい魔導学の予習に夢中になってて...」
「学校終わったらちゃんと謝るのよ?」
「わかりました、それでドロシアさんってアーカイン国立魔導学園の学園長なんですよね?」
「ええ、そうよ。解らない事とか困ったことあったらいつでも言うのよ?」
「はい、ありがとうございます。」
アーカイン国立魔導学園、ここが僕が魔導騎士になるために通う学園だ。
一般的に魔力というのは十歳から発達しやすいと言われるが僕が最初に魔力ありと判断されたのは十二歳、遅めだった。そしてまだ一年と経たないけど僕は訓練をさせてもらえる。
よし、頑張るぞ。
そう思っていたのもつかの間だった。
「この学園は、優秀な魔導騎士を生み出し、人々の恐怖の種である魔物を殲滅し一日でも早く平和な世界を取り戻すということ。そしてそのためには好奇心、熱意を持って訓練に日々励むことを心がけるよう、私たちは期待しています。」
いつもはお母さんのような雰囲気のドロシアさんだけど、学園長という立場になるとしっかりしているものなんだな...それに凄くかっこいいし
そしてまず手始めにクラス内での模擬戦が行なわれた。
ある程度の知識は予習を義務づけられていたし、僕はそれなりに勉強をしていた、だからできると思っていた
「よう、お前学園長の子供なんだって?」
「養子ですけど一応は」
「そっか、じゃあ色々知ってそうだし相手頼むわ」
そう言うと彼は魔装《ドライバー》を展開した。相手のはライフル型でおそらく炎属性かな
そして僕も展開する、僕のは杖《ロッド》型で属性は風。弱点属性でもないから相手の攻撃を受けなければいけるはず。
「おっ、それじゃあ早速試合があるようだね。皆見ておくように。では、ルールは公式戦同様。力つきた方の負けというシンプルなもので行ってみよう」
こうして試合開始の合図があり僕は魔装を握りしめ走る。通常、魔力のある人間は多少の身体強化がされる。故に人々が太刀打ちできない魔物に対しても対等に戦えるという訳だ。
相手は僕に向けて正確に銃口を向け発射してくる。それに正確かつ弾速が速いのだ。正確で弾速が速いってことは魔力や魔力操作が上手いのだろう。
それをなんとか魔装で弾くが後ろに回り込まれていたようで撃たれる。このまま僕も負ける訳にはいかない、そう思い僕は魔力を込めて振る。
「僕だってやられるものかよ!第一次魔術、ストーム!」
魔力は確かに腕を通してきている、よし、これなら。
そう思っていたが魔術は途中で消えてしまった。
「おいおいどうしたどうした!学園長の顔に泥塗る気か?」
何でだ?どうして...知識はあるはずなんだ。僕にだってできるはず。なのに
こうして火弾の嵐に敵うはずもなく、敗れた
「キャー、バルド君かっこいい」
「あれが学園長の子供?学園長可哀想」
「バルド君どうやったらあんなに魔装上手く使えるの?」
「まあ、僕にとったらこんなのはナイフでステーキを切るくらい簡単さ。君達ならすぐできるよ、あいつとは違ってな!アッハハハハハッ」
「まあ、こんなこともあるさ。誰しも最初から上手く魔装を使える訳じゃあない。」
「なら...なんで。どうして最初から模擬戦なんてするんですか!」
「それはだね...」
「おいおい、負けた腹いせに先生に逆ギレかよ!だっせぇ...ぷははははははっ」
なんだよ、なんでここまで言われなきゃならないんだよ
「こら、やめたまえバルド君。たしかに君は優秀かもしれない、だがその振る舞いでは魔導騎士としては成長できないな。ヴィルヘイム君、君の質問に答えよう。なぜならね、この学校では模擬戦の成績に応じて中等部で班構成をするんだ。バランスを考慮してね」
誰が決めたんだよそんなこと、班なんて決めなくても
「学園長の考えだ、班を構成することで弱点を補ったり、新たな発見ができる。という考えだ」
そんなことしても、得があるのか...?そもそも、僕がいたって足手まといなだけだろう。
こうして一日目の授業が終わり、放課後訓練の時間となった。放課後訓練は班で訓練するとのことだがこの班は訓練だけじゃなく学校でのトーナメント戦でも一緒に戦うらしい、優秀者には大会に出る権利が貰えるという。でも僕がいるから無理だろうな。
そして渡されたメモ通りの場所に向かう
「第41班...か...怖い先輩達だったらどうしよう」
その時の僕はそう思ってた、でもこの出会いが僕の運命を変えるなんてまだ想像もつかなかった。
「よう、お前がこの班最後のメンバーか?俺は3年、ケイズ=マッグレイだ。そしてこの第41班の班長だ。よろしく頼むな」
その先輩はとても頼りになる、そう一瞬でわかるくらい偉大な感じがした。ここから始まるんだ、僕の魔導騎士への道が。
読み辛い部分もあったと思いますが最後まで読んでくださいましてありがとうございます。
更新ペースは気分なので遅いと思いますがこれからもよろしくお願いします