魔導騎士になりたくて 作:クー
そして同期のキャラクター達の現在は...?
それではお楽しみください
第12話 帰還する隼
あれから約、五年の月日が経った。
俺は、ただひたすらに各地を旅しては魔術、武術と様々なものをこの目で見ては吸収し、自らの闘い方を習得していった。
そう、奴を...いいや、奴らを殲滅するために。
そして停学期間を終えた俺はこの地に再び戻って来た。アーカイン王国、そして国立魔導騎士訓練校に。
復学前日、俺は家に戻った。ドアをノックするとあの頃から変わらない声が。
「はーい。」
「俺だよ、ドロシアさん。」
「あら...?その魔装はもしかして、ヴィルヘイム?そっか、そういえば帰って来るって言ってたかしら。」
「おいおい、2週間前には手紙送ってたろ。それより、ターニャのほうは?」
「ええ、座学や実戦、どれにおいてもバランスよくこなしてるわ。術においては攻撃型より防御回復型かしらね。」
「そうか、ありがとう。それじゃあ早速夕食はいけるか?」
「ええ、今丁度作る所よ。」
「なら、俺も手伝うよ。」
「そんな、帰って来て疲れてるだろうし悪いわよ。」
「なぁに、今日は訓練を少し緩めにしてるから平気だ。それより毎日の訓練に比べりゃ夕食を作るくらいは楽なものだ。」
「そう...?じゃあ、お願いしようかしら。」
そう言って、俺は料理の手伝いをする。この5年の間に俺は度々山中で野宿することもあり、狩りから調理まで全て自分でこなしてきた。気づけば身の回りのことは全て自分でできるようになっていた。
「ところで、どこまで成長したのかしら?少し見てみたいわね。」
「まあ...身長に関しては結構...あとは身体強化無しでならバーベルの持ち上げは150kg、訓練用走り込みコースなら7分かからないくらいかな。あとは魔術ならとっくに第七次魔術をいくつか使えるね。」
訓練用走り込みコースとは、文字通り訓練のときに走り込み...まあランニングといったほうがいいか。訓練時のランニングに使うもので陸上選手が走るものよりも大きい。通常3kmほどである。
「あら、もうそこまでいったのね...、なんだか私が見てない間にたくましくなったわね...。傍で見ていたかったかしらねぇ。」
「そんなドロシアさんは、あの頃から何も変わってないどころか少し色っぽくなりました?」
「そ...そんな急に口説くなんて年頃とはいえそんな義母に...」
「いや、やめてくれそれ以上は。」
「そう...?てっきり溜まっちゃってたのかと。」
「あのなぁ...褒めたつもりだったんだが...?」
確かにドロシアさんは黒を基調とした服装でミステリアスながら落ち着いていて少し色っぽい部分がある。
そんなたわいのない話をしていると夕食が出来上がり、ターニャが帰ってくる。
「ただいまー!...って、兄様帰って来てたの?」
「ああ、おかえり。ターニャ。」
「それにしてもどうしたの、その長い髪。戦闘の時邪魔じゃない?」
「いや...節約やらなにやら、ナイフで切るのもどうかと思って。」
「もう...だらしないなぁ。僕が切ってあげようか?」
「今日は疲れてるだろうし、いいって。」
「そう言わずに、明日から復学するんだし友達できないよ?」
「友達...か...。別にできなくていい、俺は一人でも平気だ。」
「えぇ...、でも...。」
「さ、ご飯にしましょ?冷めちゃうわ。」
ドロシアさんが割って入る、まあ感謝しておくか。
これ以上友達なんてできたって...意味なんてない。俺は一人でも闘える、一人でもやれる。誰かが悲しむくらいなら、また悲しい思いをするくらいなら。
結局、半ば無理矢理だったが髪を切ってもらった。というか切られた。
少々長さは残してるがどうも落ち着かない、というか慣れてしまっていたのかもしれない。後ろが肩まで短くなっていた。
「まあ...これでいいか。」
「えへへ、これでもまだ長いけどね。」
「ま、ありがとう。色々できるようになったんだな。」
「えっへへ、それより兄様、私ね聖属性なんだ!凄いでしょ〜?」
「そうなのか?でも防御型なんだろ?」
「まあ...そうだけどさ、他の人を守れるなら私は積極的に倒しに行かなくても平気だよ。」
「そっか...だが、誰かを確実に守れるなんてことはない。」
「えっ...?でも皆で頑張れば...」
「それは幻想にしか過ぎない、戦ってればいつか死ぬ、皆で協力してもそれはその場しのぎでしかない。」
「そんなのわかんないじゃん!兄様のバ...」
「大丈夫だ、俺の傍でいれば絶対守ってやる。絶対あいつら全部...潰してやるから。」
「兄様...」
俺はそう言ってターニャを抱きしめる。
「もし何かあっても俺が守る、だから俺に何かありそうなら...頼りにしてるぞ。」
「えへへ、わかった。その時のために僕、もっと頑張る。」
そういうとターニャは微笑む。シルバーブロンドの髪のように眩しい笑顔だ。俺はもっと...強くならないとな。皆を守る為に。
「ねえ、兄様。今日は一緒にお風呂入ろうか?」
「え...?」
自然な流れできたもので一瞬凍った。いやいやいやいや、待て待て待て。
よく考えろ、俺達はもう小等生やら中等生でもない流石にまずいだろ。
「駄目...?」
あのなぁ...
「わーったよ、今日だけだ。ただしタオルくらい捲けよ?」
「はーい!」
そういって俺は先に脱衣所に入り服を脱ぐ、そしてタオルを捲いて風呂に入ろうとしたその時。ドアが開く音がした。
「よーし!お風呂入るよー!」
「...は?」
一瞬思考停止した、そこには全裸ニーソの義妹がいるのだ。白い肌、シルバーブロンドの髪の少女の太ももに対照的な黒のニーソである。
「いや、ちょっと待て流石にこれは...?」
「え?あれれ...?兄様どこ見てるの?もしかして。」
そこでコツンと頭を軽く叩く。
「痛っ...もう、サービスのつもりだったのに。」
「頼んでないサービスは相手を困らすだけだぞ、ほら、さっさとしろ。」
「はぁい...。」
そしてターニャはようやく全て脱ぎ...しかしそれを俺は凝視してしまった。情けない。非情に情けない。いつから妹はここまで、色っぽくなったのだ?
風呂に浸かると、やはりあの頃と変わらない。そう思いながら目を瞑っていると急に飛び込まれる。
「あのなぁ...少しは静かにだな。」
「え〜?いいじゃない!久々に家族でいられるんだから。」
「ま...そうだな。」
「兄様、すごくかっこいい。」
はぁ...?いきなり何を言い出して
「背中の傷、色々あったんだね?よしよし。」
そう言われるとぴったりくっつかれ撫でられる。いやいや待て、情けないぞ俺。妹にあやされるなんて。
「まあ...色々あったな。魔物を年に数体倒すなんて普通だった。武術を教え込まれたり色々とな。それよりターニャは?」
「ん?私?えっとねー、魔導ランクがBだよ!」
「凄いな、魔導ランクBなんて。」
魔導ランク、それはFからSまであるとされる。Fは言ったら昔の俺レベル、Aは昔の...あれ、おかしい。思い出せない...。まあ、凄い奴だ。そしてSは千年に一人の割合で現れるといういわば化け物だ。そしてランクCは上位4割以上、ランクBは上位2割以上、ランクAは上位1割にも満たない狭き門だ。
「兄様は...?」
「俺?わからないや、でもまあ聞いて驚くなよ?第七次魔術までならいくつかできるぞ。」
「すごい!すごいすごいすごい!流石私の兄様!それならランクAなんて余裕じゃない。」
「まあ、それならいいんだけどな...はは...」
そんな最近のお互いの状況を報告しあい、背中を流してもらい寝床につく。
「ねえ兄様...」
「ん...?って、何で俺のベッドに。」
「寝れないから...」
「わーった、さっさと寝るぞ?」
「うん...」
こうして俺は普段の日常に戻った、いいや...戻ったのか?そんな疑問を抱きつつ目を閉じた。