魔導騎士になりたくて   作:クー

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第13話 再翔する隼

次の日、トレーニングをしてから朝食をとる。そして、ターニャと共に学校に向かう。

その途中でもたわいのない話をするが、学校の生徒からは腫れ物を見るかのような視線を浴びる。それはそうだ、俺は...英雄殺しなんだから。

 

「気にする事無いよ、兄様は強いんだから。あんな奴ら...大っ嫌いだし。」

 

ターニャは暗い顔をしつつそう言う、色々あったんだろう...俺のせいで。

そう思いつつ俺はターニャの手を優しく握る。

 

「行こう、早めに席についておいて今日の座学の予習やらなにやらしておいたほうがいい。一日の最初に計画をたてておくことが一日を無駄にしないコツだよ。」

 

「うん!お兄様!」

 

そして俺はドロシアさんに言われた通り、職員室にて手続きを行い復学を完了させた。

 

「なら、ヴィルヘイム君だったかしら...?私についてきてくださいね〜、私は3年A組の担任ジル・スピリアー、これから1年間よろしく頼むわね?ふふっ。」

 

ジル先生はそういうと優しそうに微笑みかける、こういう常に微笑んでる人は基本怒らせてはいけないという決まりがある。

 

「なら、私が合図したら教室に入って自己紹介ね?緊張しないで平気よ?私がフォローしてあげるから。」

 

そう微笑むと先生は教室に入る。

 

「さあ、朝礼の時間ですよ〜?席につきなさい?今日は知っての通りこのクラスに新しく入って来る子がいるわ、皆さん仲良くするようにね。じゃ、入ってきて。」

 

そう言われて俺は入る。

 

「うわ...英雄殺しかよ。」

 

「わざわざ何しに戻ってきたんだよ。」

 

「今度は誰が殺されるんだ。」

 

「あの竜型死んでなかったんだってな、無駄死にじゃねえか。」

 

いろいろと酷い言われようだ。まあ...想像はついていたが。

だが、そんな嫌そうな眼差しで見る人間の他に、じっとこちらに見つめる女子一人、本を読み続ける女子一人、眠そうに欠伸しながら机に頬をくっつけて寝ようとしてる女子一人。

はぁ...本当に大丈夫なのか?

 

「ヴィルヘイム=エドワルド=ラッカイネンです、よろしく。」

 

名前を言っても聞こえないような大声で罵声が飛び交う、そんな中、チョークを持っていた先生の手が震える、まずいぞ絶対。

そう思った瞬間、高速でチョークが飛んで行くのが見える。俺でも目視は難しい。

 

「るっせえぞクソガキ共が!てめえら避難して赤ん坊みたいに何もすることできなかったグズ共が何も言う権利なんかねえんだよ!地獄見た事もねえ甘ちゃん風情が図に乗ってんじゃねえぞ、次うるさくしたらぶっ殺すからな?統率者、上官の命令は絶対だからな?」

 

普段ニコニコしていて目が開いてるのだろうかって感じの女性は目を少し開け睨むように生徒を見渡す。やっぱり怒らせたらやばい人じゃないか。

 

「さ、ヴィルヘイム君は開いているあちらの席にどうぞ。」

 

再び笑顔を取り戻しながら指さした席は、本を読む子の隣だ、その本を読む子の後ろは寝ていた子だ。

 

「おい、あいつこっちに来るぞ。」

 

「っしゃ、挨拶代わりに。」

 

はぁ...。こいつら精神的には成長止まってるのな。俺はあえて足を踏む

 

「ってぇなてめえ!」

 

「何でしょうか、そんなところに足を出してる方が悪いのでは?」

 

「てめえな!」

 

「はぁ...」

 

胸ぐらを掴まれそうだったので護身術で相手をねじ伏せる。

 

「ってぇ...離せ!」

 

「ならそのしらけた面を二度と視界に入れないでくれ。気分が悪い。」

 

俺はそう言うと解放し睨む。相手はとっくに怯える。こういう奴に限って力が無いとわかると急に態度を変える、くだらないな。

 

「おっ、アンタやるじゃん!」

 

「あんたは?」

 

「おっ、私?私はツバキ=シジョウ。よろしく、んで、この前で本越しにアンタを見てるのがシルルティア=スノウレット、人見知りだけど悪い子じゃない...まあ小動物みたいに可愛いからよくしてやってくれ。よろしく。」

 

「ああ、よろしくな。」

 

俺はそう言ってシルルティアにも挨拶する。

 

「...よろしく...。」

 

本越しにじーっとする態度は変えないらしい。まあ、少し怖いか。

 

そして座学の時間はこの5年で全範囲終わらしておいたので復習程度でしか聞かなかった、当てられても即座に答えれるからね。

実戦の時間、まずは体力測定と称して様々な種目を行なう。訓練用コースは即座に終わってしまい退屈になった、数十メートル差で追いついてたのがツバキとあと一人の女子だった。男は根性無しの集まりか?

トップは当然というか何と言うか俺となった、そして魔術の時間になると当然、煽られた。

 

「なあ、俺と少しやろうや?」

 

「まあ、いいけど。」

 

どうせ俺を潰す為にわざわざ来たのだろう、まあそうなるのは逆だけれど。

 

「あいつ...タチ悪ぃな。といってもあの身体能力だ、きっとあいつは勝てるさ。な?シルル。」

 

「...。」

 

コロシアムでフィールドを展開した後、指導の先生のもと合図がある。その合図と共に魔装を展開する。俺のは世間でいう3世代前の魔装だ。

 

「おいおいあいつ3世代前の魔装だってよ。」

 

「マジかよ!なめられてんぜ。」

 

「いやいや無理でしょ流石に、英雄殺し馬鹿じゃないの?きゃはは」

 

勝手に言ってろ。

 

「なあアンタもしかしてふざけてる?...だったら、ぶっ潰してやるよ!」

 

勝手に熱くなって冷静さを失う、そして自分の実力を過剰に自己評価する...。はぁ...どうしてこういう輩が多いのやら。

 

俺は魔装を投擲すると、その線上に走る。

 

「こいつ...バカか!魔装無し、ましてや3世代前の魔装ごとき弾き返してやるよ!」

 

当然奴は俺を負けさせる為に、勝つ自信が自然にわくよう相性のいい属性は雷。だが、相性なんてものはただ有利不利になるだけであってその他は全て実力でどうにかなる。有利な属性でも魔物に殺される人間なんていくらでもいる。

 

俺は相手が薙ぎ払い、魔術で俺を倒しにくることを見抜き魔術を使う準備をする。

 

「舐めやがって...!ぶっ潰してやるよ!第四次魔術...」

 

「第三次魔術、再加速《リ・アクセル》」

 

俺は更に速度を加速させ、相手の攻撃を回避し回り込み相手の体に直接打撃を与える。魔装では古すぎて魔力が通りにくい、だから直接体内を循環させ打撃時に当てる部分に集める。これによって魔力を纏った打撃が可能となる。

一瞬で勝負がついた。

 

「いやぁ、凄いね君。はっはっは、あのC+ランクを数秒で倒すなんて」

 

「いいや、あんなのまだヌルい方だ。」

 

そうツバキと会話してると一人会話に入り込んでくる。

 

「あんた、どうしてまだその魔装なの?」

 

俺はあんたのことを知らないのに何故俺のことをいかにも知っているような話し方を。

 

「なあ、あんた昔俺と一緒のクラスだったりしたか?知らないんだが。」

 

「え...アンタ、とぼけないでよ!アンタと同じだったレイス=アステルマンよ!」

 

「すまない、俺にはわからない。もし知ってる人だったとしても人違いだろう。」

 

「アンタ...そろそろいい加減にしなさいよ!この五年で何があったか知らないけど。」

 

「お、おい。やめないか?な?五年もの間があいてるんだ、少しは勘弁してやって。」

 

「ねえ、シジョウさん。アンタこいつの何を知ってるの?知らないくせに偉そうなこと言わないで頂戴?」

 

「あのなぁ、私はこいつの負担を減らそうと...。」

 

「そんなおせっかいいらないわよ!あのねぇ、私は...私たちは同じチームだったんだから!Fランク相当のアンタがAランク相当の相手を倒して優勝して...それで...。」

 

その瞬間、頭がものすごく痛くなる。何かが突き刺さるような痛みだ。

 

「っ...!悪い、保健室に行ってくる。」

 

「待ちなさいよ!」

 

「おい、今はやめてやれよ。アイツだって...」

 

「アンタに...アンタに私たちの何がわかるのよ。」

 

俺は途中でトイレに向かい、吐き出した。何でだ?どうしてこんな気分が悪くなるんだ?あんなこと、記憶にないはずなのに、痛い。どうしてなんだ?

そう考えるも余計に頭痛が酷くなりそうなので保健室へ向かい、休むことにした。

俺は一体どうしてしまったんだ。

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