魔導騎士になりたくて   作:クー

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第16話 雷鳴の風紀委員

それからというもの、俺は特訓を考えて後輩の指導、同期であるシルルとの特訓に励んでいた。

チーム戦の校内公式戦は6月より開始され、7月に終わりそれから座学の試験という大変なスケジュールである。

そんな訳で今日も俺はいつも通りの朝練から始めていた、そんな時である。

 

「あれ...?ヴィルヘイム先輩ではないですか。」

 

「ん?ああ、どうしたんだフィリア。」

 

「いえ、今日は少しだけ早く起きたもので今から図書室で勉強をしようと思いまして、それで先輩は?」

 

「ああ、朝から欠かさず続けてる走り込みだ。」

 

「走り込み...ですか。先輩は学園外でも鍛錬なさってるのですね。」

 

「ああ、いつ奴らがくるかもわからない。だから気を緩めることはできない、俺がしっかりしないと駄目だからな。」

 

「そうですか、無理...なさらないでくださいね?」

 

「ああ、ありがとう。フィリアも座学頑張れよ?わからないところがあったら教えるからな、悩むのも大事だが時間を有効的に使うのも技術だ。」

 

会話を少しすると俺はまた走りだす、普通に立っているだけでも体力を使う事になる。何故ならジャージの下に合計で30kg程の錘をつけて走っているからだ。普段から鍛えていかなければ、普通を超えた鍛え方をしなければ他人に勝つ事はできない。自分に勝つ事ができるなければ他人に勝つなんて無理なことだ。

 

家に帰りシャワーを浴び、朝食を摂るといつものように妹のターニャと登校する。

 

「お兄ちゃんまた走り込み?大変だね。」

 

「いいや、もう慣れたさ。5年近くも続けてるんだからな、習慣にしてしまえば苦も楽になるってもんだ。」

 

「そうなのかなぁ...私もちょっとは身体面で鍛えようかなぁ...。」

 

「ああ、少しずつ無理せず鍛えたほうがいい。体力というのは活動するにあたって基礎的なものになってくる。長期戦になればなるほど体力は必要になるし魔力の消費に伴って体力も使う事になるからな、ターニャのように魔力が多い魔導騎士は体力をつけることをおすすめする。防御、回復を主に行なうならそれだけ魔力を使って長期戦をすることも想定しておくべきだ。」

 

「わかった、アドバイスありがと!お兄ちゃん。」

 

ターニャは嬉しそうに腕を組んで抱きついてくる、まったく...小等生じゃないんだから...。そんな中

 

「...おはよう...。」

 

「ああ、おはようシルル。今日も特訓頑張ろうな。」

 

「ぅ...うん...。」

 

なんだか顔を赤くして早歩きで去っていった。どうしたんだ?

 

「あれもしかしてお兄ちゃんの彼女!?」

 

「んな訳ねえだろ。」

 

頭を少しだけ小突く。

 

「痛いって...もう、お兄ちゃんの班員って知ってるから、わかってるからやめて。」

 

「ならそんな変なこと言うのやめような?」

 

「うん...あ、そうだ。家に帰ったら座学でわからないところ教えて?」

 

「ああ、わかった。それじゃあ夜な。」

 

「夜...かぁ...えへへ。」

 

「また変な事考えてないだろうな?」

 

「べ...別に...?」

 

そう言ってそっぽを向く、怪しいな...

 

座学が終わり、昼を摂った後のことだ。

 

「おい、お前最近少しばかり調子乗ってるんじゃねえか?」

 

「初日なんて足踏んできやがってよ。」

 

「何でしょうか、貴方達は他人に嫉妬するばかりで努力も知らない子どもなんですか。」

 

「っ...てめえ!」

 

「やめとけ!」

 

ツバキが止めに入るが

 

「いいや、止めなくていい。そんなに言いたいことあるなら面と向かってはっきり言え。何もしないくせして文句を言うお前らのようなグズは一番嫌いだ。」

 

「てめえ...!」

 

「いいぜ、前の恨み晴らしてやるよ。」

 

「おいおい、一対二ってのは流石にフェアじゃないんじゃないか?」

 

「てめえ座学は人並みのくせに実戦できるからってよ!」

 

「なんだよ、だからどうしたんだよ!我慢ならないから私も戦う、これで公平になる。」

 

「いいや、シジョウはその場で見てろ。これは俺に売られた喧嘩だ。上等だ、地獄のような日々を過ごして来た人間とヌルい環境で甘んじて来たガキとの格の違いを見せてやるよ。」

 

こうしてコロシアムに移動し魔装を展開する。

 

「いくぞ...ギルガメシュ...目の前の敵を屠る。」

 

「はっ、俺達は二人だ。」

 

「ああ、Cランクだが相手はFだ...いける!」

 

やれやれ、これだから勘違いした馬鹿は。ランクってのはその人間の全てを表してるものじゃない。他人から見た評価でしかない、隠されたものをもってる人間だっているんだよ。

俺は棒立ちしながら相手を観察する、相手は属性が炎、槍型。雷、弓型。か...まずは厄介な雷属性からだ。

 

「第三次魔術...サンダリオ!」

 

第三次魔術...?おそらく魔力消費を抑えつつ弾幕で押し切る作戦か。

 

「第二次魔術...ストームウォール。」

 

風の壁をつくり矢を全て弾く、そして壁に向かい走る。

 

「あの壁が消えたら魔装を投げて串刺しにしてやる。」

 

「ああ、念のため左右にも矢を射っとくわ。」

 

「壁が消えたぞ...!死ねぇ!」

 

「おい...待て!あいつがいないぞ。どういうことだ、逃げたのか...はっははは、ざまあねぇ...っ!?」

 

その刹那、弓型の相手に俺は魔装を投げ突き刺す。

 

「っ!いつの魔に!」

 

風の壁は下から上へと流れを作るように俺はしているからその流れを利用し、上空へと上昇したのだ。

そこから俺はブロウを使い、片方の手の平から風を発生させ推進剤の役割にする。一瞬で地上に降り、槍を引き抜くと槍型の相手が反応するまでに薙ぎ払い背後から突き刺した。

 

「な...なんでだ、こんな奴...に。」

 

貴様らの慢心が招いた結果だ、いいや...それ以前に全てを怠っていた貴様らはその時点から負けているんだよ。

 

「なにごとだ!貴様ら、風紀委員室にこい。」

 

風紀委員...か。厄介なものだ。

 

拘束され連れてかれた先には風紀委員長が座って待っていた。

 

「お前は最近復学したと噂のヴィルヘイムか。」

 

「はい、そうですが今回の件については...。」

 

「黙れ、理由はともあれ学園の規則だ。休憩時間中、決闘を行なってはならないと。」

 

その瞬間、ドアを力強くあける音がしたので振り向くとそこにはシジョウがいた。

 

「はぁ...はぁ...っ。待ってください!彼は何も悪くありません!」

 

「お前はこいつと同じクラスのシジョウ=ツバキか。何の用だ。」

 

「だから、こいつは何も悪くないって!あの二人に喧嘩をふっかけられて無理矢理...。」

 

俺は無理矢理させられた訳じゃない、弁護してくれてるのか...?だが嘘ってバレればお前だって...。

 

「いいや、俺が自ら解らせてやったんだ。」

 

「な...お前、流石に二度の停学はまずいだろ!わかってんのかよ!」

 

「ああ、だが...他人を巻き込みたくない。もう周りの人間を失いたくない、だから...だから俺は自分のことは責任を持って自分で解決する。」

 

「ほぉう、正直者だなお前は。だが、正直だから罪が軽くなるとは限らない、しかし、正直な人間がそこらのワルと同じように罪を受けるのは私は嫌いでね。いいだろう、ならば私と戦い勝ったら無罪にし他二名に全て罪を着せる。だが...負けたらお前は二度の停学、つまり退学ということだ。」

 

「いいぜ、やってやるよ。俺はどんな奴にだって勝ってみせる。誰よりも強くなってみせる、じゃないとまた失う事になるから。」

 

「ふん...ますます気に入った。審判は今日の放課後4時半、コロシアムだ。楽しみにしている。」

 

「ああ、噂の学園6位の実力ってやつを知ってみたかったしな。」

 

こうして放課後、俺は班員を全員呼び出す。

 

「おい!風紀委員とやりあうってどういうことだ!」

 

「落ち着け、フィリア。俺は必ず勝つから黙ってみてろ。特別訓練だ、学園上位の魔導騎士との試合ってのを見学訓練だ。一瞬たりとも目を離すな、いいな?」

 

「...頑張って...貴方なら、かてる...から。」

 

「ああ、任せておけ。」

 

そう言ってシルルの頭に手を置く。また顔が赤くなる、やっぱり好きなのか...?

 

そして魔装を持って闘技場に入場する、噂を聞いて来たのか生徒の大勢が観戦しにきているようだ。

 

「ふん...よく来たな。それについては褒めてやる。」

 

「あんたとの試合が楽しみすぎて授業も集中できなかったよ、畜生が。」

 

「それは悪いことをしたな...なら、もし勝てたら褒美をやろう。」

 

そう言って彼女は微笑むと嫌らしい笑い方をする、よほど自信があるのだろう。

 

「そう言えば名乗っていなかったな、我が名はアルティア=レオンハート。レオンハート家の歴史上唯一の女魔導騎士にして風紀委員。貴様を正義の名において審判してくれる...ッ!魔装展開雷獅の迅牙(レオ=ボルテリア)

 

「ならあんたの正義って奴を確かめてやるさ...魔装展開、神殺し(ギルガメシュ)

 

歓声に包まれながら試合は開始した。

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