魔導騎士になりたくて   作:クー

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キャラ紹介
ヴィーリア=レイ=ヴィットルハイン=エルディシア
ランク B+ 魔装 突剣型 風騎の突剣(ウィンディア=エルディシオン) 属性 風

カーネル=フォン=ザイン=エルディシア
ランク A+ 魔装 剣型 黒銀の魔剣(グラム=エルディシオン) 属性 闇

リーシャ=イワノーブナ=ザラアロフ
ランク ? 魔装 槍型 光さえ届かぬ絶槍(ゲイボルグ) 属性 闇



第24話 黒騎士カーネル

こうして俺は黒騎士との戦いに備えて情報を聞き出す。

 

「なあ、ヴィーリア。あんたは黒騎士とは面識があるのか?」

 

「はい、わたくしの腹違いの兄です。昔は優しい方でしたがいつからか、彼は常に強さを求めて戦い続けておりました...。」

 

「確かに、兄上は魔装を握ってから性格が変わってしまった。弱者を見る目は冷たく、ただただ騎士ではなく狂戦士へと変わってしまったのだ。」

 

「そうか、それで相手の戦い方の特徴は?」

 

「彼は常に相手の行動を読み、的確な行動をします。小細工はあまり通用しないかと、彼はすべて力でねじ伏せるようにしますから。」

 

「そいつは厄介といえば厄介だな、ランクはA+、おまけに闇。圧倒的に不利だな...アレ使っても勝てるかどうか。」

 

「アレ...?とは何でしょう。」

 

「もしかして先輩はまたあの時みたいにするおつもりですか!」

 

「あ〜...そうだな、えっと。あはは、無かった事にしてくれいまの。」

 

アレはむやみに使うべきではない、力を得るその代償に大きなものを失うことになる。未来を得るその代わりに、過去を捨てる...それが俺の禁術である制限解除。

 

「前から聞きたかったんだけどその制限解除って何なのよ、禁術って...。」

 

「それ以上はやめとけ、お前らが容易に踏み込んでいい領域の話じゃない!」

 

「何よアンタ」

 

ここでシルルはエリカを止めに入る。俺はシルルに眼を合わせてフォローありがとうの合図をする、彼女はそれに気づいてどういたしましてと返す。

 

「とにかく俺はアレを使う気はない、奴が腐った人間じゃなければな。」

 

こうして俺は皆と別れて家に戻る。

 

「聞いたわ、ヴィルヘイム。貴方決闘するんだって?」

 

「まあ、あの家のやり方が気に喰わなかったというのも」

 

「バカ!あなたは何でそこまで自らの命を」

 

「俺はもう失いたくないんだ、例えそれが俺のチームメイトを散々罵倒した人間でも。いや、あの子は多分何か事情があってそうせざるを得なかったと思ってる。だからこそ俺は助けたい、いや...多分あの壁を乗り越えなければ俺は生徒会長にも勝てるとは思えないんだ。」

 

「そう...わかったわ。でもひとつだけ約束して?あの事で自分を責めてるならそれをやめなさい。影の女帝に何を吹き込まれたかは知らないけれど、我慢を限界までしてしまえば取り返しがつかなくなる。だからその前に」

 

「わかった、ありがとう母さん。俺を生んでくれて。」

 

「...っ!(やっぱり、もう記憶が少しずつ」

 

「どうしたんだ?母さん。」

 

「え?いや...その、そういうこと言われたの突然でビックリしちゃって。あはは...」

 

何やら様子がおかしい、まあそういう時もあるだろう。

 

俺は部屋のベッドに寝転がり、翌日のイメージをする。街の闘技場からデータを借りて研究する。黒騎士は相手から動かない限り動く事は無い。そして、相手の動きを見切れば肉眼で追いつけぬ程のスピードで敵を斬り捌く...つまり、一振りでほとんどの相手はKOという訳だ。

最初の一手をどう乗り切るか、そして厄介なのが一振りでほとんど終わってしまうため相手の実力は未知数ということ、とはいえ竜型を倒すような相手だ。王国騎士団の小〜中隊長レベルであることは間違いないだろう。

さてと、こうしてないでさっさと寝るか。

 

当日、俺は街の闘技場へと向かった。

 

「あの、ヴィルヘイム先輩...」

 

ヴィーリアの姿があった。

 

「どうした?ヴィーリア。」

 

「その...もしかしたら最期かもしれないから。だから、だから私...。貴方のことを侮辱してすみませんでした!もう煮るなり焼くなり炒めるなり好きにしてもかまいません!ですから、ですからこの決闘を取り消して」

 

「いや、それはできない。」

 

「ど...どうして。私なんかのために命を投げる必要なんて」

 

「いいや、ヴィーリア。先輩は何を言っても聞かないだろうさ、どうしてかって?先輩は周りで誰かが傷つけられるのに耐えられないんだ。わかってあげてくれ。」

 

「そんな、私あんな酷いことを」

 

「いや、おそらくアンタは弱者を見下し強者へと這い上がるよう言われてたんじゃないか?違うか?」

 

「...はい...。でも、ターニャさんは違いました。どこまでも私を尊敬し、どこまでも親しくし...ですから彼女だけが私の」

 

「何言ってるんだ、あんたには立派なお姉さんがいるだろ。だから...俺は絶対負けない、君やフィリアのためにも...そして、自分自身のためにも!」

 

「あいつはああいうお人好しなんだ。さてと、席に向かおう。」

 

こうして姉妹は闘技場観覧席へと向かう、俺は闘技場の控え室に入り戦いに向け集中する。気を抜いたら間違いなく一瞬で終わる、一撃が命取りになる...あの修羅場を思い出せ、あの過酷な戦場を思い出せ...あの憎い女帝リーシャを思い出せ...!俺がやるべきことは一つ、目の前の敵をぶっ殺す。

 

「さあ、始まりました。まさかのエクストラマッチ!校内戦の行なわれぬ今日にビッグイベントです!実況は引き続きわたくしキャス=ランスターとエド=ヴォーロックでおおくりいたします。」

 

審判にはやはりジル先生がついている。両者が向かい合って配置につく。

 

「ふんっ...逃げずにきたことだけは褒めてやる。勝った暁には貴様の首を斬り捨ててくれよう。」

 

「残念だがその必要は無くなるぞ黒騎士。俺は負けない。」

 

「その台詞は聞き飽きた...雑魚の台詞だ。」

 

「位置について...GO a save!」

 

俺は真っすぐに相手に向かい、一振りの瞬間を狙う。

 

「やはり真っすぐくるか...バカが!」

 

俺はその一振りの刹那に一次魔術ブロウを使い地面から宙へ舞う。

 

「それも読んでいるわこの雑魚がっ!」

 

相手は俺の行動を読み尽くし上に向かい一振りしてくる。もちろん俺はそれを読んでいた、相手は自分の行動を観察してくると知っているからだ。

 

「さてと...お披露目しますか。固有魔術(エクセプションアーツ)翠燕」

 

俺は発生させて風に乗り相手の斬撃を回避し後ろに回り込む。厄介な相手だが相手の攻撃をかわしてしまえば...

 

「無駄だ...この雑魚が!」

 

俺は相手の裏をかいたつもりだったが、全て読まれていて攻撃を間一髪で防ぐ。

 

「おいおいどういうトリックだアンタ、観察眼ってレベルじゃないぞ。」

 

「さあな...貴様が弱いだけだ。」

 

それからも攻防は続くがどれも相手に行動を読まれている、こうなったら...

 

「第四次魔術...砂塵昇風(デザートファルコム)!」

 

俺は地面に拳を突き出し風を発生させる。その風は砂を巻き込み、もはや砂嵐といっても過言ではない風を巻き起こす。

 

「目眩ましか...野蛮な。」

 

俺はその間に第七次魔術を詠唱して決着をつけようとする。もうこれしかない、持久戦に持ち込まれればジリ貧だ。

 

「汝、翼を持つ者よ蒼空に羽ばたきし者よ我が鎖を解き放ち蒼空へと羽ばたかせ給え。蒼空は自由なり、蒼空は真の自由なり。あぁ我は地より蒼空へと飛び立たん。翠風よ、我を蒼空へと羽ばたかせよ!第七次魔術...」

 

「そう来ると思っておったわ!光あらぬ場所に影は無し...影あらぬ場所に光無し。すなわち光なくして影はなく、影なくして光は無し。世は光と影から成り他はいらぬ。影よ、全てを飲み込め。光よ、全てを焼き付くし給え!無へと還りし場所こそ終焉なり!第八次魔術、混沌なる光影(トータルオブカオス)

 

何だと、俺よりも早く詠唱を終わらせて...それも第八次魔術。それを一瞬にして、そんな馬鹿な、俺が何処に居るかさえ解らないはず。砂嵐の中でどうやってわかったというんだ、観察眼でどうにかなるようなものではない。何故だ、何が起きている...まずい、第八次魔術を受ければ間違いなく負ける。こんなところで...

 

そう思っていた刹那、敵の聖属性と闇属性の魔術は俺を飲み込んだ。終わった...全てが。

 

「おっと!?なんと...なんと!第八次魔術を一瞬で詠唱しヴィルヘイム選手を飲み込んだぁ!それにしても彼は砂嵐の中にいたはずだが...?」

 

「おそらくカーネル選手は自らの経験と直感で相手の場所を割り出したのでしょう、そして彼の詠唱の速さは僕達の想像を遥かに超える。通常、第六次魔術以上の高等な魔術は護衛無しでの詠唱は敵の攻撃の隙をつくることになるため危険性は高いです。しかし、その中でも高難易度である第八次魔術を高速で詠唱するとは...流石のヴィルヘイム選手も想像していなかったでしょう。」

 

「さあ、危機一髪か!?」

 

駄目だ...俺には勝てなかった。自分は才能もなく、何も持っていなかった。だから努力だけで這い上がってきた、血反吐を吐き、誰よりも血と汗を流してここまでたどり着いた。でも天才には敵うはずなんてなかった、わかりきっていた...でも、諦めきれなかった。どこかに希望があると信じていたから、なのに...俺は。

 

「駄目...!負けないでヴィルヘイム先輩!」

 

「そんな...わたくしのせいですわ...。」

 

「気を確かに保てヴィーリア!先輩は、先輩はこんなところで負けるような人じゃない!」

 

「そ、そうですよ...きっと何か秘策を持ってるはず。」

 

「そんな!絶望的じゃありませんかこの状況!それに高速詠唱なんて...常人にはできるはずありません。こんなことになるなんて想像できるはずないでしょう!?」

 

その瞬間、ヴィーリアの頬から乾いた音が鳴る。

 

「諦めないでください!あなたが諦めたら...お兄様は、お兄様の思いはどうなるの?お兄様は絶対負けない、あの人は...誰よりも強いって私は信じてるから!」

 

ごめん、ターニャ...ヴィーリア...それに皆、俺にはもう無理かもしれない。

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