魔導騎士になりたくて   作:クー

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第27話 涼しくも温かい場所

ん、俺はいつから寝ていたんだ...?

腕を少し動かすと柔らかい感触がある。なんだ?この柔らかい感触。目がまだあまり開いてない状態で指で柔らかい感触をあじわう。

 

「んっ...んあっ、んっ。」

 

なんだ、この妙にやらしい声。あれ?待てよ、この声って...

一気に脳が覚醒した、何やらまずい状況であることは察した。俺の今までくぐり抜けて来たどの修羅場よりヤバい。間違いなくヤバい。魔物に殺されかけるとかそういう次元じゃない、社会的に確実に殺されるやつだろ。

 

「ほわぁ!?ど、どうなってんだこりゃぁっ!」

 

「んっ...おはよ...ヴィルヘイムくん...。」

 

するとシルルは寝ぼけて俺にキスまでしてくる。

 

「待て待て待て待て、一体全体何がどうなってんだこれは!」

 

「あー...言ってないっけ。昨日あのまま寝ちゃったから部屋まで...ね?」

 

「いやいやいや、部屋までと言われてもなんでそこが俺の家の部屋じゃないのさ。」

 

「だって...重くて持てなかったんだもん。」

 

まあそりゃあ、仕方ないな。いや、仕方なくねえよ。

 

「とりあえずその下着と...あの、その...ストッキングだけってのはやめてくれ。こっちが恥ずかしすぎる。」

 

「あっ...ごめんなさい、昨日は服だけ脱いでそのまま寝ちゃった。だからシャワーも浴びてなくて。」

 

急に顔を赤くするな、俺のほうが顔赤くしたいよ。

 

「とりあえず、時間...っと。おわっ!?もう試合1時間前だ。急いでシャワーするぞ、といっても時間が。」

 

「じゃあ、一緒に浴びよ?」

 

ふぁっ?いやいや、まてまて

 

「時間ないよ、試合遅れちゃまずいでしょ?」

 

「わーった、わーったよ。そのかわりゆっくりなんてやってられないぞ。すぐに洗ってすぐにいくぞ。朝食もしっかり摂ってな。」

 

こうして何でこうなったのかわからん流れでシャワーを浴びる事に。

 

「なあ、シルル。どうして俺を気にかけるんだ?」

 

「んー...優しいから。かな?」

 

「優しいからって...俺は優しくともなんともないぞ?」

 

「そうかなぁ、優しいと思うよ?皆のことをよく見て考えてるし。」

 

「でも俺は、まだ全然...。」

 

「めっ」

 

そう言うとシルルは俺の額に指を当てる。

 

「駄目だよ、そういう思考は私が許さないから。」

 

シルルは少し微笑む。

 

「あーもうこうしてる場合じゃねえぞ、さっさと洗って朝食摂って試合会場行くぞ。」

 

「はーい。」

 

さっさと洗って朝食を摂る、無心だ、無心...。やらしいことは考えるな。

俺とシルルは部屋を出て試合会場に向かう。そこでシルルは何かを思い出したかのように部屋へ戻る。

 

「先に行ってて、少し忘れ物。」

 

「わーった、まあ時間はあるけど急ぐようにな。」

 

俺は先に試合会場となる第2コロシアムへ向かう。今回の相手は121班、前回の試合では相手チームが一人少なくてそこからの試合で勝利。何しろ抜けた相手の騎士は3年だそうだ。

 

「おっそろしいことがあったもんだな。」

 

「噂ではその欠場した相手の3年は監禁されてたって話よ。」

 

「そ、そんな恐ろしいこと...あっ、ヴィルヘイム先輩おはようございます。」

 

「あれ?シルル先輩はどうしたのだ?」

 

「ああ、少し忘れ物で遅れるって。でも遅いな、歩く速さを遅めにしてきたんだが。」

 

「199班、入場してくださーい!」

 

「えっもうそんな時間!?うっそ...どうすんのよ!」

 

「信じて待ってみよう、あの子は遅れるような子じゃない。それに審判に掛け合えば10分は待ってもらえる。」

 

「わかったわ、信じましょう。」

 

こうして俺達はコロシアムに入場する。そして始まろうとしたその時俺は審判に掛け合う。

 

「すみません、10分待ってもらえませんか?」

 

「わかったわ、でも...それが過ぎても来なければそのときは。」

 

「わかっています。その時は俺達だけでやります。」

 

ちっ、どうしたんだ?腹でも痛くしたのか?

 

「も、もしかして相手に監禁されてるんじゃ...。」

 

「いや、そんなまさか...。だってすぐ追いつくはずでしょ?」

 

そんな時、相手チームからは煽るような声が飛ぶ。

 

「あれ〜?お前らのチームの一人はどうしたんだー?」

 

「あー、あの影薄い子?逃げちゃったんじゃね?だはは」

 

「...すみません先生。探してきます。戻って来なければ俺無しでも始めてください。」

 

「ちょっと!アンタ何言ってんのよ。」

 

「大丈夫、戻ってくるから。」

 

俺はそう言い残して会場から出た。頼む、部屋にいてくれ...。そう思いながら翠燕で風を纏い移動する。

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