魔導騎士になりたくて 作:クー
ついにここまできた、明日は決勝戦だ。俺達はここまで登り詰めたんだ。
「シルル、明日は絶対勝とうな?」
「うん...大丈夫、ヴィルがいるから...。きっと、大丈夫。」
「そっか、なら大丈夫だな。」
そのとき、シルルは俺に顔を近づけ口づけを交わす。
そうか、俺にも守るべきものができたんだな。だからこそ明日の戦いは負けられない。一番になるんだ、それで皆を守ってみせる。だから俺はここまできた、ここまで険しい鍛錬も積んできた。
俺とシルルは学園前でわかれ、家に戻った。
「あら、おかえり。」
「おかえり!お兄様。さっきの試合はおめでとう。」
「ああ、ただいま。」
家に戻ると母さんと妹が待っていてくれた。
「ヴィルヘイム、明日は今までにない厳しい戦いになるかもしれないけど頑張って。」
「ああ、任せといて。俺が負けて退学なんてならないから。」
「...そのことについては万が一の時のために対策は練ってるわ、あの理事長の好きにはさせないわ。」
理事長が学園を私物にしようとしている噂は本当のようだ、だがそんなことは関係ない。俺は明日の試合に向けて集中するため瞑想し、ベッドに入る。
迎えた早朝、俺は素振りとランニングを行い待ち合わせ場所に向かった。
そこには早くも皆が待っていた。
「遅いわよ!バカ!」
「きたか、先輩。」
「おはようございます!」
「お、おはよう...!」
こいつらとならやれる、俺はそう信じてる。今は頼もしい切り札もある。そして待合室に入ろうとした時。
「ハァ...ハァ...間に合った...。」
「ああ、レイスか。」
「ああ、レイスか...じゃないわよ!アンタ、負けたら...負けたら承知しないからね。また私の前からいなくなるなんて...。」
「わーってるよ、といっても前の記憶は無い...いや、無くなったからわからない。でも、俺は負けない。」
「それでこそシルルの相棒!お熱いこって!」
「なんだよツバキ、お前もいたのか。」
「そりゃ応援だもん!ったく、私たち倒したんだから負けるんじゃないよ!」
「おうよ、任せときな。」
こうして待合室に入り、作戦会議をたてる。
「いいか、この戦いは負けられない。だけどいつもどおりでやれば勝てる。まずはお前らは会長、副会長以外の三人に集中しろ。」
「どうしてですか?」
「昨年のデータを母さんから貰ったんだが副会長はどうやら会長の護衛しかしない。いいや、奴のプライド故にそれ以外は許されないんだろう。どちらも近接型の魔装であるけれどな。」
「それじゃあ残り三人を倒せば...。」
「ああ、あとは袋の鼠だ。一気に叩く。」
「わかったわ!じゃあ私は風紀委員を叩くわ。」
「ああ、わかった、じゃあオルクスは書記を。」
「わ、わかりました!足止めくらいなら...やってみせます。」
「ああ、足止めだけでもかまわないしできそうなら倒してくれ。俺はさっさと一人を仕留めて援護に向かう。」
「ならば私はあの要塞をたたき落とす。」
「わかった、だが無理はしないでくれ。奴の火力は桁違いすぎる。」
「ま、大丈夫よ。風紀委員さっさと掃除したら私が焼き払ってやるから。」
「それは頼もしいな、それならばシルルティア先輩は皆の援護を。」
「うん...。」
「大丈夫だ、私の盾が守ってみせよう。」
「ありがとう...。」
時間か、俺は集中を極限に保ち。
「行くぞ、俺達ならいける...!」
そして試合の会場に入る。その瞬間、今までに聞いた事のない歓声があがる。
「さあ始まりました!ついに校内戦最終試合!なんと学園最強生徒会チームと...なんと!最低評価だった第199班の戦いだ!ここにきてついに下克上となるか!?」
「すごい盛り上がりね...。でも関係ないわ。」
「ああ、その意気だエリカ。期待してるぞ。」
「ええ、でも...私の魔装は燃費があまり良くないから下級魔術をメインに使うわ。それで決め球は最後まで残しておく。それと短期決戦で行きましょう?」
「ああ、わかった。」
「それでは互いに位置につくように。」
ついにこの時がきたか。
「やはり...ここまできましたか。」
「ああ、おあいにく様でな。」
「いつかは、貴方と正々堂々戦いたいと思っていました。」
「奇遇だな、俺もだ。」
「では...試合開始!」
先生の合図で試合が始まる。
「...燕翠...。」
俺は風を身にまとい突撃する。
「っ!来たか...今度こそ決着をつける!」
アルティアは俺の一撃を受け止め、そこから互いに攻撃をしては避け、その繰り返しが行なわれた。
「獲物発見!」
銃弾が飛んできたことで両者は一度退がる。そしてその照準が俺に向くが。
「させません!」
オルクスは銃を短剣で弾き、さらに接近し攻める。
「ッ!雷属性が私とやりあうか!」
「相性だけが全てじゃないんですよ!」
「全部焼き払ってみせましょう!...獄炎は地獄から上がり、地を焼き天を焦がし、万物を灰にし、残るは黒き炎と地獄なり。ああ我が理想はこの火炎地獄である。獄炎よ、万物を焼き、全を灰に変え給え!第七次魔術
「っ!間に合うか!大地は全ての礎となり、大地は全ての母である。ならば大地は我らを護り、汝らの盾となるであろう。岩壁は全てを遮...ッ!」
間に合わないか、そうフィリアが感じた時であった。
「第三次魔術、
シルルティアが高速詠唱によって時間を稼ぐ。目で感謝を伝えると詠唱を続ける
「岩壁は全てを遮り我らの盾となる、ならば我らは大地に祈りを捧げよう。さすれば我らは永遠に大地と共にある。第六次魔術
「大丈夫か?シルル先輩。そしてありがとう。」
「うん...いえいえ...。」
「ふん...この程度の炎!第四次魔術
エリカの魔装は炎を吸い込んでいき、禍々しく燃え盛る。
「何っ!下級魔術風情が...!」
「さあ、お返しよ!」
エリカはその剣を振るい、炎は相手へ向かって燃え盛る。
「調子づくなよ...クソガキ共が!...海より生まれし魔龍は全てを喰らい、全てを飲み込み、全てを破壊する。残るは漆黒の闇と暗き未来である。ならばこの身は魔龍と共に、この腕は魔龍として、全てを飲み込み、喰らいつこう。魔龍よ、我が手に宿り万物を破壊し尽くせ!あぁこれこそが我が望み!第七次魔術
禍々しく燃え盛る炎は、副会長の魔術によって瞬時に消されてしまった。にしてもあの威力、受けたらひとたまりもないだろうな。
「よそ見をしている場合か?余裕なのだな。」
「生憎、ギリギリだよ。まったく。」
「できるものなら貴様と正々堂々と一対一の決闘を行ないたかったがな。」
「確かにな、借りがあるからな。」
「そ、そうだぞ...!と、とにかく!ここで貴様を倒してみせる!」
戦いは再びふりだしへと戻った。