魔導騎士になりたくて 作:クー
残るは生徒会長、クリスティナのみとなった。だが俺にはエリカがいる、この勝負は勝たせてもらう。
「そろそろ決着をつけさせてもらう!」
俺はエリカに後方に下がるよう指示する、その直後にフィールドを包むように激しい風を起こす。この風は竜巻のように俺と生徒会長を包む。
「全力で行かせてもらう!」
翠燕によって風を纏うと、発生させた風に乗り生徒会長に対して風の刃を向ける。しかし、それらを全て魔装で捌ききられる。こうなることはわかっていた、だからこそ時間を稼いでいたんだよ。
「いくぞっ!これが俺の磨き上げた最強の剣術、
竜巻の範囲がクリスティナ付近まで狭め、魔装を二本の剣に変形させると、目視できない速度でクリスティナを斬りつける。
「くっ...、ならば私も本気を出そう!凍てつく華よ、我が身を守る刃となれ。凍てつく茨よ、我が身を守る鎧となれ。咲き誇るは気高き我が志の如く。散らすは汝の命、燃やすは我が命。固有魔術、
刹那、彼女の周りに氷の茨が出現し、魔装が弾かれる。そして、氷の花弁が竜巻内に舞い散ると、俺の肉体を切り刻む。俺は即座に風から身を離す。
「大丈夫!?」
「ああ、なんとかな。だが厄介なことになった、こんな秘策を残してやがったとは。」
「どうするの?」
「まず、あの氷の茨を攻略して奴を出さなければどうにもならない。そして、それよりも厄介なのはあの氷の花弁だ。あれは俺がなんとかする。だからエリカは魔術詠唱に集中してくれ。」
「わかったわ。それまでなんとか持ちこたえて。」
「わかってる、お前が今回の攻略の鍵だ。信頼してるぞ。」
「任せないさいって、私を誰だと思ってるの?」
「エリカ・マッグレイ。炎使いの天才だ。」
「その通り、じゃあいくわよ!」
その合図と共に、俺は前へと走り出す。氷の花弁が襲いかかるが、それらを全て捌ききる。だが、それらは鋼のように硬く、弾き返すのがせいぜいであった。
「まったく、厄介な魔術持ってんな。」
「これでもまだまだ未熟ですよ。」
「どうだか、学園最強の天才に相応しいものだと思うがな。」
「お褒めいただいて光栄です、ですがこれまでです。」
「はっ、どうだか。」
俺は魔装を鎌型に変形させ、花弁に向かって鎌を振りかざす。その衝撃が風の刃となって花弁に向かい、風に当たった花弁は遠くに飛ばされていく。その時、背後からの熱気が伝わることで魔術詠唱が終わる寸前であることがわかる。
「させないわ!」
刹那、エリカの背後から氷の花弁が襲いかかる。
「っ!飛ばされたとみせかけて背後に回ってきたということか。させるかよっ!」
俺は足に力を入れ、地面を蹴ってエリカの元まで向かう。その時、俺の体に鋭い痛みが走る。
「!?いつの間に!」
俺の体は氷の茨で締め付けられ、動けなくなっていた。
「あまりこのような戦いはしたくなかったのですが、致し方ありません。自らの技術全てを投じて貴方と戦います。」
「そうかよ...。でも残念だったな、俺の、班員をナメてもらっちゃ困る。」
エリカの元に迫っていた氷の花弁は全て融けていた、そして、俺の体に纏わりついていた茨も全て融けた。
「間に合ったわ、どきなさい!」
「了解、ご苦労さん。そんじゃ、終わらせるぞ!」
「ええ、やってやるわ...私の最高の魔術で終わらせてあげる!固有魔術
荒々しく、禍々しい炎は天まで届く勢いで燃え盛る。その炎がクリスティナを守る氷の茨を焼き尽くす。
「やるわね!ですがっ...これで終わりです。固有魔術、
俺達の足下に氷の茨と氷柱が出現し、足止めされる。
「まだよ!私の炎は絶対に負けないんだから。」
炎は更に勢いを増し、その氷を融かしていく。
「ならば、いざ尋常に!」
「「勝負ッ!」」
俺は翠燕で加速し、魔装を槍型に変形させる。このまま勢いをつけて一撃で屠る。援護は頼んだぞエリカ。
「はぁぁぁぁぁっ!まだよ、まだいけるわ!」
生成され続ける氷を打ち消すかのように炎が燃え盛る。おそらくこの炎でようやく融かすことができるほどの氷なのだろう。さすが学園最強と天才の卵だ。
「これで」
「決めるっ!」
一瞬の出来事だった、おそらく会場で見ている全員がそう思う事だろう。俺の刃はあと少し、たった少し、届かなかった。後ろを振り向いてエリカに託そうと考える。だが、力尽きていた。無理もない、あんな魔術を長時間使っていたんだ、負荷はとてつもないものであっただろう。
「悪ぃ、皆...俺、お前らを守れなかった...。」
「貴方達の戦いに敬意を評します。」
「んだよ...、嫌味か...?まあいいや、ひとつだけ、お願いしていいか?」
「何ですか?」
「俺はどうなっても構わない、だけど、あいつらだけは、あいつらだけは助けてやってくれ。それ、だけ...だ。」
「...わかりました。最善を尽くしましょう。」