どうしてこうなった。
俺、半月 良はモビルスーツのコックピットにいつの間にか座っていた。
何を言っているのかわからないと思うが、俺も何をいっているのかわからない。でも実際にそうなっているのだ。
俺はガンダムブレイカーを家でプレイしていた。因みに3ではなく2の方だ。動画の影響もあって久々にプレイしていたのだが、思いの外はまってしまいパーツ回収に勤しんでいた。
だが、そんなパーツ回収にも飽きるもので久しぶりに1からストーリーを周回しようと思い立つ。
そして最初のストーリーを受諾し、ミッションを開始しようとした所で頭に声が聞こえてきた。
【ーーー助けて】
と。
それを聞いた瞬間に自分の意識が落ちてしまった。
そして目覚めたらモビルスーツのコックピットに座っていたという訳だ。
雑な回想で申し訳ないがそういうことだ。
そんなことを考えていると唐突に爆破音が聞こえてくる。
一瞬焦ったが、そういえばここはコロニー・フロンティアⅣで、今攻撃を受けているんだっけか。
俺はとりあえず、操縦桿を握るが、いかんせんモビルスーツなんて物は俺の世界はなかったし、どうやって立ち上がらせればいいのかがわからなかった。
というか、起動すらしていないかもしれない。
とりあえず、目の前のタッチパネルの様な所を触れる。
すると、画面が光を放ち、システムが立ち上がる。
画面には英語でWhat's your name?と表示された。とりあえず俺はRyou Hanzukiと入力し、yesを押す。
その瞬間、機体に熱が走る様な音が聞こえると勝手に立ち上がり始める。
「わわわ!」
俺は慌てて操縦桿を握りしめる。
というかこの機体、ガンダムの操縦席の様な形をしていない事に今気づく。どちらかというと鉄血のオルフェンズの阿頼耶識の機体みたいな……
俺はそう考えているとこの機体がなんなのかを画面に表示された文字で知った
GUNDM BARBADOS
ガンダムバルバトスかよ!
待て待て待て!ガンダムブレイカー2に参戦なんてしていなかっただろ!?
それにここは元々はガンダムカラーの性能ほぼジムがいなかったか?よしんば機体が変わるなら俺がゲーム内で作った機体だろうに!因みに俺のガチは高難易度ミッションをクリアする為の厨機体だ!
だからか!だからバルバトスだったのか?!
俺が唐突にコックピットに乗っていたことよりも混乱していると戦闘音がが大きくなってくる。
と、とりあえずここから出ないとな
俺は機体を動かそうとしたが、機体の動かし方を知らないことに気づく。
どうすりゃいいんだ……
そんなことを思い、足を少し蹴ると、バルバトスも俺の動きに合わせる様に蹴った。
まさか、モビルスーツじゃなくてこのバルバトス、モビルファイターなんだろうか。
俺はとりあえず手を動かしてみるがその時は動かなかった。
うーん?どういうこった?
俺は考えるポーズを取ろうと思う。その瞬間バルバトスが腕を組む。
そこまでして俺は考えをまとめる。
こいつは俺の思った動きをする様になっているのか?
俺は歩く様に自分で思うとバルバトスを歩き始める。まるでエヴァみたいというかそのままだ。
俺はなれない感覚にさらされながらもなんとかハッチの側まで歩いていく。するとハッチが自動ドアよろしく機体を感知して開く。
そこでは原作通り、ガンダムエクシアとウィングガンダムが敵のデナン・ゾンを相手に奮戦していた。
そして今言うことではないと思うが何故俺は上半身裸なんだろうか
《誰だ?まだ機体が残っていたのか?》
俺が2機のガンダムに気付いたのと同じくしてガンダム達も気付きウィングガンダムがこちらへ接近してくる。エクシアも周囲を警戒しながら後ろ向きで接近してくる。
すると少々のノイズが流れるとこちらに声と映像が届いてくる。
「あー……」
《貴方逃げ遅れ? 敵ではないわよね?》
ウィングガンダムからの通信になんと答えるべきかと悩んでいると今度はエクシアからも通信が入り女性の声が問いかけてきてさらに困る。さてなんと答えるべきか……
《というかあまり見ない機体だな――まてこの反応……エイハブ・リアクター?とするとそれはガンダム・フレームか》
俺がなんて答えるか迷っているとウィングガンダムから本来このガンブレ2の世界では聞くはずのない言葉が聞こえた。
「この世界にはエイハブ・リアクターがあるのか?」
《何言ってんだ、300年前にあった厄祭戦の名残だろうが。まぁ今では地球で多く使用されているエネルギー元だが……いまじゃ学校でもならうだろうが》
《カレヴィ……今の学校ではそんなの習わないわよ》
《……まじか?》
女性から今の常識を教えられカレヴィと呼ばれた人が信じられないと言ったような声を上げる。
ウィングとエクシアの漫才みたいな掛け合いを聞いている間に言い訳を思いついた。
「あー、俺はリョウ・ハンヅキっていうんだけど、シェルターに向かっているところに戦闘に巻き込まれてたまたまこの機体に乗り込んだ」
《…なる程な。操縦は?》
「…多少は出来る、と思う……こう言ってはなんだがMSを操縦するのは初めてでな……」
俺がでっち上げた過程を聞いてウィングガンダムのパイロットは更に質問をすると、今度は事実だけを答える。
というかこの世界に呼んでおいて何の知識も持たされていないんだけど。助けてと言われてもこっちが助けてほしいわ。
《戦力にはならないと思っておいたほうがいいか……つてくることはできるか》
「…その程度ならできると思う。」
《まぁ…こんな場所に一人置いておくのも夢見も悪い。ついてこれるなら後ろからついてこい》
「了解」
ウィングガンダムのパイロットとの通信の結果、この人たちについていくことにした。まぁ他に選択肢はないんだけど
《それじゃあ貴方の機体を味方の識別認証するわ。私はレーア。この機体はガンダムエクシアよ》
《俺の名はカレヴィ。そしてコイツがウィングガンダムだ。民間人である上操縦に不慣れな以上は敵が来たら身を隠せ》
ゲームで知っているわけだが、識別認証をするために登録する。
終えると同時にコックピットに警告音が鳴り響く。
「チッ、もう来やがったか!脱出するぞ!」
この中でリーダーとしての役割を担うカレヴィはすぐに声掛けをすると行動を始め俺もその後を追う。
《敵の部隊が来たわ!!》
「ッ!」
すると上空からは無数の銃撃が襲ってくる。素早くレーアが警戒を促すと俺は冷や汗を掻く。モニターが警告を出し、デナン・ゾンが七機飛来してくる。
エクシアとウィングがその七機を相手に立ち回る。
飛来してくるデナン・ゾン。武装はショットランサー、それにはヘビーマシンガンが内蔵されている。その上、腕にはデュアルビームガンが装備されているし、ビームサーベルだって常備されている。設定上ならこのガンダムバルバトスにはビーム系は通用しないが、この世界は俺の知っているガンブレ2の世界ではないと思う。わからないことだらけだ。なのでできるだげ攻撃を食らわないように心がけよう。
《っ!!ごめん!1機行ってしまったわ!》
「ゲッ…!」
レーアから切迫した通信が入る。前を見れば7機のうち、6機ははそれぞれ3機ずつレーアとカレヴィが相手取っているのだが、その内の一機が通り抜けて俺に銃撃を放ちながら迫ってきた。
「うっ…!?ぐっ…!!」
俺はとっさには動けず、両腕をクロスしながら防御する。
そして肉薄してきたデナン・ゾンがショットランサーをついてくる。が、背中のブースターを吹かすことですんでのところで回避する。
だが、勢いをコントロールすることができず後方のビルへと突っ込んでしまう。
「痛っ…!」
衝撃が身体を襲い反動で俺は頭を打ち付ける。
ぶつけた場所から血が流れてくる。
「ハンヅキ!!チィッ!!!」
《ダメ、援護できない!!》
カレヴィ達も俺の状況を見て咄嗟に援護しようとするが、3機のMSは援護に行けせまいとその邪魔をする。
ビルに突っ込み、前後の衝撃が漸く収まったと思って目を開けるとすでにデナン・ゾンは体勢を整え、腕に持つショットランサーのマシンガンを俺に向けている。
──死ぬ
そう認識するのに時間はかからなかった。少なくとも今置かれている状況は現実。だが、こんな時なのに俺は落ち着いていた。
なんでこんな世界に来たのか、だれに呼ばれたのか、知りたいことは山ほどあるが、俺は俺を呼んだ奴に言いたい。
―――せめて操作や戦闘の知識をください。
【諦めないで―――】
そんな風に思っていると頭の中に声が聞こえてくる。
この声は――
【あなたの動きたいように動いて―――そうすれば―――応えてくれる―――】
やっぱり、この声は俺がこの世界に来る前に聞いた声!
お前か!お前のせいか!
【ごめんなさい―――だけど―――】
せめて呼ぶなら知識ぐらいよこせ!
【---】
そこから声が聞こえなくなる。なんと不親切な声だ。だけどそうか、動きたいようにか……
ならさ!
「オオオオ──ッ!!」
俺はマシンガンを構えるデナン・ゾンにがむしゃらにバルバトスを突っ込ませる。
デナン・ゾンもこちらの動きは予測できなかったのだろう。懐にもぐりこみながら相手ごと向かいのビルに突っ込ませる。
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
そのままデナン・ゾンは動かなくなる。恐らく振動に耐えられず気絶したのだろう。俺に明確に感じた死が遠ざかっていく感覚が体に駆け巡る。
俺はバルバトスを立たせるとそばに転がっていたデナン・ゾンのショットランサーを拾い上げる。
《ちぃっ!》
デナン・ゾン三機を相手に立ち回っているカレヴィ達を援護するようにショットランサーのマシンガンを放つ。
だが、銃撃なんてしたことのない俺ではAIMが合う訳もなく、向かい合う機体同士の間を通り抜ける。
《おっと!》
その隙に足の止まったデナン・ゾン一体をカレヴィのウィングガンダムがサーベルで両断する。
よし、援護にはなったようだな。
次はレーアの方に
俺がそちらを向くとデナン・ゾン一体が俺の方に向かってきていた。
レーアを二機で抑えて、先にやりやすそうな俺の方へ来たってことか!
デナン・ゾンはショットランサーをこちらに突き出し、マシンガンを放ちながら向かってくる。
「ぐっ!」
装甲がマシンガンをはじくが振動は殺せていない。振動が俺を揺さぶる。
俺が何もできずに突っ立っているとデナン・ゾンのショットランサーの突きが肉薄している。
突き刺さる瞬間、俺の持っているショットランサーを横に振るい、それをはじく。
危ない、危ない。撃たれていても平気だからと言ってじっとしている訳にもいかないんだよな。
「ふぅ……ふぅ……」
俺は心臓の鼓動を全身で感じながらショットランサーを構える。
デナン・ゾンも同じように構えると、マシンガンを放ってくる。
今度はブーストを使い、後ろに下がりながらビルの陰に隠れる。なんでだろう、こんな状況なのにいつも以上に周りが見えるように思う。どこに何があるかが分かるのだ、見えていないはずのビルだって、あるってわかったし。
デナン・ゾンが射撃を止めて、隠れた俺の目の前にでる。
が、俺はすでに俺の持つショットランサーを構えている。
そして
「ふうう!」
相手が突き立ててくるよりも速く、デナン・ゾンのコックピットを狙って突き立てる。
槍は装甲を貫通し、風穴を開ける。貫かれたデナン・ゾンはスパークを起こしながら、起動を停止した。
殺した……
そんなことを思いながら肩の力を抜く。
実感が持てないが確かに殺した。だけど、俺の手のひらを見ると震えていた。これは恐怖からか殺してしまった罪悪感からか、それとも死が遠ざかっていくことへの安心感からか、よくわからない。