ガンダムブレイカー2 鉄血招来   作:岸山

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就職活動つらい


閑話:フロンティアⅣ~フォン・ブラウン

知らない天井だ……

 俺が目を覚ますとエタノールのにおいが鼻につく、ここは医務室か。周りを白いカーテンに囲まれている。

 とりあえず、起き上がろう……あれ?身体を置き上げようとすると何かに固定されていて阻まれる。なんだこれ?

 カシャンカシャンと音を立てながら俺は起き上がろうとするが外れない。

 そんなことをしているとカーテンがシャッと開く。そこには銀の長髪をした女性がいた。首に聴診器をかけており、白衣を羽織っている。ちらりと顔を見ると整った顔立ち、そして無表情だがなぜかごみを見るような視線を感じる。

 

「あら、起きたのね。そのままくたばれば良かったのに」

 

 そしていきなりの罵倒、俺は彼女に何かしただろうか……?いや俺が倒れたことで迷惑はかけたんだが

 

「あの……これ、外してくれませんか?」

「自分で外しなさい。赤ん坊じゃないんだから」

「外れないから頼んでいるんですが……」

 

 そういうと女医ははぁ…とため息をついて椅子に腰を掛けた。

 

「腕を引き抜いて、自分で外しなさい」

 

 ああ、そうか。そうすればいいのか……あれ?抜けない?

 

「抜けないんですが」

「それはそうよ。私が固定したんだから」

「なにやってんだあんた。というか何がやりたいんだ」

 

 俺は訳が分からない女医になんでこんなことをしているのかを聞いた。そしたらすげぇいい笑顔で答えた。

 

「人の苦しむ姿を見るのが私の趣味よ」

 

 うわぁ……後ろにまさに愉悦という文字が見えるようだぁ……じゃねぇよ!外せよ!

 それから五分ぐらい俺の抵抗を見ると女医は俺の拘束を外してくれた。

 

「たっく……あんた、なんで医者やっているんだ」

 

 俺は起き上がるとさっきまでの敬語はなく、完全にため口で話していた。

 

「なぜって、医者になれば人の苦しむ姿が一番見れるでしょう?」

「ここに来る奴らは苦しみたくて来ているんじゃないんやで?」

 

 むしろその苦しみから解放されたくて来ているんだ。

 俺はこいつにはあまり近づかないようにしようと心に誓った。そうしていると医務室の扉が開き、そこからルルとレーア、そしてカレヴィが入ってきた。

 

「あっ、リョウさん起きてらしたんですね、良かったで……す」

「元気そうじゃねぇか」

「ルル?どうかしたの?」

 

 カレヴィは片腕を上げながら軽く挨拶をする。ルルは俺の姿を見ると視線を外しながら時折ちらちらと俺を見ている。レーアはそんなルルを不審に思ったように声をかける。

 

「えっと……」

「ああ、なるほどね……ハンヅキ、あなた服着なさい」

 

 言いよどむルルの態度で察したレーアは俺に服を着ろと言ってくる。そう言えば俺、上半身裸だったな……というかいつまで引っ張るのだろうか、このネタ。

 

「っつってもな、服持ってないしな」

「でしたら、軍用ですけどシャツお貸ししましょうか?」

「お願いします」

 

 どうやらようやく上半身裸の原人を卒業できるらしい。俺は頭を下げて俺よりも身長が低いルルに頼んだ。

 

「頭をあげてください。それじゃぁ持ってきますね、待っててください」

 

 そういうとルルは医務室から出て行った。

 カレヴィは俺に肩を組むとにやにやしたような表情を浮かべている。

 

「それにしてもハンヅキ、お前あの子とずいぶんと仲良さげじゃないか」

「そうね、あなたのことをリョウさんって言っていたし」

 

 ああ、そのことか

 

「別になんともないぞ。ハンヅキって呼びづらそうだから呼びやすいほうでいいって言っただけだ」

 

 リョウって呼んでいいといったような気がしたが、別にいいだろう。

 二人はふーんと言うと納得したんだかしてないんだかよくわからない顔をしている。

 

「じゃあ、私もリョウって呼んでいいのかしら?」

「別にかまわないよ。呼びやすいほうでどうぞ」

「そう?じゃぁ私もそう呼ばせてもらうわ」

「お、それじゃ俺もそうするわ」

 

 そんな風に話していると医務室の扉が開く。どうやらルルがシャツを持ってきてくれたらしい。

 俺はそれを受け取り、着ると医務室を女医以外で出て行った。とりあえず、あの愉悦部の部員であろう女医にお礼を言っておこう。

 

「一応、ありがとう」

「そうね、今度は生きるか死ぬかの直前になってからここにきなさい。思いっきり苦しむ姿を見下してあげるから」

 

 お礼を言ったらこの通りだよ!もう二度と来るか!

 

 

 

 

「あいつは一体何だったんだ……」

 

 俺たちは医務室から出た後、アークエンジェルのブリッジに向かっている。

 俺がさっきの女医の態度に疑問が尽きず、つぶやいた。それを聞いたルルは乾いた笑いを上げながら説明してくれる。

 

「カレンさんは少し変わっていますから……」

 

 女医の本名はカレン・オルレアン。年齢24歳、身長は164㎝。長いウェーブのかかった銀髪と金の瞳がまず目を引く女性。

 言葉を交わさなければとても美人であるが、実態は極度のサディスト。その上、さっきの俺との会話を見ていればわかるがかなりの毒舌家。

 趣味は人の苦しむ顔を見ること。

 腕は確かだが、医者になったのは一番人が苦しむ姿を見れるため。

 性格からしてかなりの難があるが、軍内部では一部の兵士達からずいぶんな人気を誇っているらしい。どうやら、地球軍の兵士はMッ毛をもつ者が多いみたいだな。ファンからは「天使の姿をした女王」とひそかに呼ばれているとか。まあ俺が知ることができている時点でひそかでもなんでもないが。

 以上が女医―――カレンの解説だ。

 なんというか……コメントに困るな……

 

「軍の男性兵士たちのアイドルか何かか、あいつは」

「あながち間違ってないかもな」

 

 つうかなんでカレンがここにいるのかが分からない。普通に前線で軍医でもやっていればいいのに

 そんなことを思っているとブリッジに到着した。

 

「マドックさん、変わりありませんか?」

「現状、敵軍の反応は捉えておりません」

 

 ルルはそういいながら、艦長席に座る。すると通信士から地球軍から指令が届いたという。

 

「つないでください」

《こちら地球外円軌道大隊、メッド大佐だ》

 

 するとブリッジの画面に色黒のおっさんが映る。

 

「こちら、アークエンジェル艦長代行、ルル・ルティエンス中佐です」

《さっそくだが、旗艦への指令を言い渡す》

 

 概要を説明すると、まず月の中立都市フォン・ブラウンに行き、避難民を下す。その後、月基地で補給と人員配属を行ったのち地球に降下、地球での犯行作戦に参加するというものだった。

 それを聞いたカレヴィは異を唱える。

 

「待ってください大佐。我々はコロニー軍に目を付けられています。そんな中、中立都市に艦を入れたら敵が襲ってくるでしょう、民間人を巻き込むわけにはいきません」

《だが、無関係である民間人を月基地に入れるわけにもいかん》

「ですが……」

《カレヴィ少尉、これは命令だ》

「……っ」

 

 このおっさんは月基地の機密を見られるぐらいなら中立都市に戦闘を持ち込む可能性があるけどそこでおろしてしまえと。邪推するならフォン・ブラウンの民衆の敵意を襲ってきたコロニー軍に向けさせようとしているのではないだろうか。

 

「了解しました。これより我が艦はフォン・ブラウンに向かいます」

《うむ、よろしく頼む。あと、そこにいるMSを操った民間人だが……》

 

 ルルが命令に従うと敬礼すると、今度はどうやら今度は俺たちについてらしい。だがあっさりするほど簡単に終わった。というのも――――――

 

《君たちの処置は月基地で追って伝える。以上だ》

 

 それだけいうと敬礼をして通信を切った。どうやら俺とレーアの扱いは月基地で決まるらしい

 カレヴィははぁ……と息を吐くとブリッジから出て行った。

 まあ確かに気持ちはわかるけどな。

 

「これより、この艦はフォン・ブラウンに向かいます」

「了解しました。発進、機関最大」

 

 ルルが号令を出すとマドックが追従するように号令をだす。

 さてさてどうなることやら……

 

 

 

 俺は敵が来るまで休んでいいと言うことだったので、兵士が使う部屋に案内される。避難民もいる中で個室が与えられるようだ。

 しっかし、俺はここにいてもやることないんだよなぁ……

 すると部屋に通信音が鳴り響く。俺は部屋にあった電話を取ると整備長であるクラークからだった。

 

『おうハンヅキ、クラークだ。少しいいか?』

「なんだすか?」

『いや、お前の機体の整備でな……』

 

 クラークが言うにはなんでもバルバトスが俺が眠りについて医務室に運ばれると自動的に機体の電源が落ちたらしい。それだけならよかったが、機体の整備をするために機体を立ち上げようとしたが、内部外部含めていろんな方法を試したがうんともすんともいわない。ということでその機体を操縦していた俺に声が掛かったということだ。

 

「わかりました。今から行きます」

『わりぃな』

 

 俺は了承すると電話を切り、部屋をでた。

 

 

 さて、どうやって行こうか?とりあえずエレベーターのところまで行こう。

 

 

 

 

「おうハンヅキ!やっと来たか」

 

 この機体ドックに来るまでに30分かかったんですけど。

 俺はクラークに謝りつつ、バルバトスのコックピットに乗る。そして画面をタッチする。そうすると普通に起動音がなり、熱が入った。普通に動くじゃん。

 

「普通に動きましたよ」

「あん?どういうことだ。まぁいいかこれで整備できる」

 

 俺は外にでるとクラークがコックピットに入り、タブレット端末にコックピットをつないだ。俺は暇なので整備がどのように行われているのか見学している。

 

「おうハンヅキ、電源がお前以外に入れられなかった理由が分かったぞ」

「なんですか?」

「どうやら、この機体には特殊なシステムが走っているらしくてな、お前の生体情報を感じなければシステムはおろかこのバルバトスのツイン・リアクターの起動すらできない」

「なんでそんなものが……」

「さぁな、コロニー軍の奴らが作ったシステムなんだろうよ、大方初期の状態でたまたまお前の生体データが登録されたんだろうよ」

 

 それだけ言うとクラークは整備に戻っていった。どうやら俺は部屋に帰っていいらしい。そうだな……部屋にパソコンあったし起動でもしてみるか

 そんなことをしつつ、休んでいるといつの間にかフォン・ブラウンについていた。

 そして避難民を下していると案の定というか予定通りというか、コロニー軍が襲撃してきた




Fate/EXTELLAなくした。ほんとつらい

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