西方の諸島における先住民の神秘的な生活とその文化について 作:悠里(Jurli)
家に連れて帰って、彼らの文字と、彼らの言語について聞いてみようと思っていたが、彼は疲れていたのか長く眠っていた。恐れるほど長い眠りだった。起きたかと思うと、壁に書けていた掛け軸の前でそれをまじまじと見ながら、座っていた。長年の苦心、ついに私の芸術の理解者が現れたか! しばらく鑑賞の時間を与えてあげよう。
―と思ったが、何かがおかしい。
彼は全く動かないのだ。芸術の鑑賞ならば、近づいて筆脈を楽しんだり、遠くから全体の雰囲気を楽しんだりするはずだ。どうも彼は私の芸術に惚れたとかそういうのではなかったようだ。残念、残念だが、まあ仕方あるまい。しかし、ならば何が楽しくてそこにずっと座っているのだろう。
そこで問う。
「
しまった。見るに全く通じていない。言語が異なることを完全に忘却していた。ここからどうやって彼と交われようというのか。悩んでいるのをよそに彼は考え事に耽っていた。
すると彼が動いた。おもむろに例の紙と棒で何かを書き始めた。しかし、その書きようは彼らの字を書くというよりは、我等の字を書くもしくは絵を描くようだった。まさか、この一瞬でこれを得心したというのか。興味深く眺めていると、彼はそれを察したのか、さも自信ありげにそれを見せてきた。
―それは見たことも無いものであった。彼らもこの種の文字を使うのか? そう思ったがため、私は尋ねる。
「
そして、彼はたいそう喜んだ。なにか彼は聞き間違えをしたのか? しきりに私に向かって何かを語りかけてくるが、得せず。しきりにその掛け軸を指で囲み、ようやく得る。
―そうか、彼は「これが何であるか」と聞きたかったのか。
そして上から、
「
と説明すると、彼は大層驚いていた。何に驚いていたのかは分からないが。とにかく驚いていた。
やはり異国の人のようで、流れるように言うがために、
やはり興味深い声の流れである。ぜひこれを習得し、柔軟に意思疎通が取れるようになりたいものだ。近頃の人は保守に凝りすぎ、何の進歩も生んでないようにさえ思える。ときに神使、これも皇心であろう。またこれは燐帝の心であろう。
「
なんてことを考えているうちに、外から誰かが呼ぶ声がした。その声の主と先に目があったのは、私ではなく、彼の方だった。