Muv-Luv Alternative欧州から極東に吹く風 作:みったん
1980 アナザーワールド
その数日後、パパは学校に行かずに、一緒に会社に行くように僕に言った。
ユーロスファタスの本社へ。家から歩いて15分くらいのところにある。
パパは職場欧州統合戦術機作成計画室とかかれた部屋に僕を案内しをした。
途中の道には関係者意外立入禁止、とか機密情報レベルⅢだとか警告を示す標識があった。
明らかに僕が入ることが場違いな場所だ。
ああ、、、僕ほんとに何をやらかしたんだろうか?
泣きそう。泣いていいですか神様。
足をガタガタに震わせて顔を真っ白にしながら入部屋に入る。
ドアを開けると父のスタッフが勢揃いしていた。
ほんと何の罰ゲームなの?
もしかして僕、、、このあと起こられたりする?
冷蔵庫の中のプティング食べたのも謝ります。
もうおねしょもしません><
父が口を開いた。
「これが私の息子にしてその企画書のアイディアを書いたケイジ・フェリクスだ。」
え?計画書 なんの話だろうか?
父の腹心、牛乳瓶の底に似た眼鏡をかけた人、アイザックさんがとても興奮した様子で話しかけてきた。
「ケイジぼっちゃん。質問があるんだけどいいかなぁ?」
僕は首がちぎれんばかりに振った。
正直に告白するとおしっこが漏れそうなぐらいに緊張していて怖かった。
「この二本の角は何だい?かっこいいね」
「ブレードアンテナです。データリンクの精度は重要です。それに二本あれば片方折れても大丈夫です。」
緊張とは裏腹に口が動く。木戸慶司さん有難う。きっと彼のパワーが僕に宿っているんだと思う。
「何で君の書いた戦術機は大腿部、足が長いんだい?」
「燃料タンクを大きく設定するためです。活動時間が長ければそれだけできることが広まります。」
ピースワールドのゲームの機体は腿を延長することによって旧世代の機体の稼働時間を増大させた。
ならば最初から増大した設定で戦術機を作れば無駄がないに違いない。
「腕についてるのは何?」
「カーボンブレードです。鳥の羽をみて思いつきました。」
ピースワールドでは空力特性を得るために固定武装をつけてる機体がいた。
特にソ連の機体が多かった気がする。
おまけにナイフを抜かずに攻撃できるからとっさの対応が強かった。
「羽?」
「鳥は推進剤が無くても飛べます。飛行機も羽を持っています。なのに戦術機だけ持ってないのは変だと思って。」
アイザックたちがにわかに騒ぎ出す。「フリーダムファイターにもファントムにもない発想だ」「うむ。チェボラシカから始まった発想だね。腕にナイフを取り出せるように仕込んで置くんだ。」「でもそれとはちがくないかい?戦術機に直接くっ」 喧々囂々とする。
父が議論するのは後にしろ。と注意をして質問が続行されることになった。
「跳躍ユニットに羽がついてるから必要がないと思うよ?」
「手は可能な限り自由になってたほうがいいし刃物も大きいほうが強いと思います。」
上手く説明が出来なくてもやもやする。
もっと僕に説明する力が欲しい。
「これでbetaを叩くのかい。面白い発想だけど、そんなことしてたら機体が痛んじゃうよ。」
「一々ナイフを閉まって出してって面倒くさいですもん。どうしても納得が行かないなら紙を四枚かして頂けませんか?」
アイザックが紙を渡してくれる。
一枚は普通に折る。
二枚目はピースワールドでイカ飛行機と呼ばれる折り方を。
三枚目は重心を前に置いた紙飛行機の羽を
四枚目はくしゃくしゃに丸めたものを
三枚目の飛行機を窓から投げる。
飛距離は重心、イカ、普通の飛行機の順番で飛ぶ。
最後に小さく丸めた紙を投げた。
紙は一番勢い良く飛んだ。
「暴論ですが戦術機も同じだと思います。父さんもやってみて下さい。」
羽が多い方がいい。重心が先にある方が飛ぶ。
ウィングをつけたほうが飛ぶ。
力を多く受け取れる物が遠くへ飛べる。
それをこの実験結果は示していた。
父に小さく丸めた紙を投げさせる。
僕の倍の飛距離を叩き出す。
「跳躍ユニットが強くなれば飛距離も速度も伸びます。しかしそれは僕が大人にならないと力がつかないのと一緒です。 しかし重心や空力特性はどうでしょうか。」
ざわめきが響き出す。なにか生意気なことを僕は言ってしまったのだろうか?
再び泣きそうになった僕にアイザックは笑顔で続きを促した。
ノートを捲り腕の武装について考えたページヘ。
カーボンブレードではなく腕の下部にチェーンガンが装着されている。
腕にはナイフや長刀を持っているイラストを見せた。
ピースワールドにある娯楽のロボット物から取ったアイディアだ。
「固定兵装という概念は間違いなく戦術機の自由度を上げると思います。フレームの強度などもありますから、どこまで実現できるかわかりませんが、、、場合によっては装備を付け替えることも出来れば対応出来る幅が広がると思います。」
「他に発想はないのかね?」
「一番は重火器、次に電算機については見直す必要があると思います。」
アサルトライフルを書く。弾は57mmと書く。
電池を書いて、人の頭を2つ書く。
「これを見てください。現在グラップラー級やデストロイヤー級の外殻が硬くて撃破するのに手間取っています。本当は近づかれないで倒すのが一番いいです。制度の高く威力の高いライフル、57mm弾で遠距離から大型種を駆逐して小型種はキャニスター弾で対処。 あと電算機を強化します。戦術機の複雑な動きを強化するにはコンピューターの強化が必須になると思います。」
戦術機の複雑な挙動を制御するにはフクザツな電算機が必要になる。
戦術機には火力が足りないという欠点もある。
すぐには解決出来ないかもしれないが、、、いずれはここがネックになると思う。
すくなくともピースワールドのゲーム、マブラヴではここが問題になっていた。
早めに問題は解決しなくてはいけない。
周りが静まり返っていた。
皆の目がギラギラしてる。
「あ、あの、、、僕、、、なんか悪いこと言いましたか?」
「坊ちゃん、あんた最高だよ。今からこれを実用化するぞ。各国の要求の違い? これが完成すれば性能で黙らせられるに決まってる!!」
アイザックたち技術者が騒ぎ始めた。
技術者のこういうときの原動力って怖いと同時に凄いと思う。
こうして欧州における戦術機の開発は新たな一歩を進む。。
「ところで社長。オタクのお子さんしっかリしていますね?betaの特長まで勉強済みでこんなアイディアまで出せるとか。本当に凄いです。」
「当然だ。俺の息子だからな。天才で当然だ。」
ニッコリと笑った父さんがいた。
この時になって初めて、僕は父にほめられるようなことをしたのだと気がついた。