この21話と繋がるように1つ前の話をほんの少しだけ(5文字)付け加えました。一応見てくださると嬉しいです。
「フランを〝殺してほしいの〟」
「……」
ぬらりひょんの悪寒は的中した。レミリアは自分にとって邪魔な存在であるフランの始末をぬらりひょんに頼んだ。
「答えはYES?NO?」
「答えを言う前に…そこまでやる必要があんのかを知りてえな」
自分の妹を殺してほしい、など普通に考えて〝異常〟である。
「あるに決まってるわ。今は大人しくしてるけど…あの子はいつか私の喉を切り裂きにくる。…まぁそうなったら〝やむを得ず〟私の手で始末するだけの話だけどね」
「喉を…」
「あの子が暴れたらいかんせん面倒なの。でも貴方なら…貴方のその能力ならフランに気づかれる前に首を落とすことができる…でしょ?」
確かにぬらりひょんの『明鏡止水』を使えば可能である。
「…ワシに闇討ちしろってか?」
「もちろん報酬は弾むわ。そうね…貴方の言うことを1つだけ叶えてあげる、っていうのはどう?叶えられる範囲でね」
正直付き合ってられなかった。レミリアはぬらりひょんが思っていたような者では無かったのだ。
「ワシの望む事はお前じゃ叶えられねえよ」
「1番の願いは、でしょ?誰しも願いは沢山あるものよ。私にだって」
ガチャ
扉の音がレミリアの声を遮った。誰かが入ってきたみたいだ。
「…お邪魔するわよ」
入ってきたのはパチュリーだった。
「…ノックもしないでいきなり何かしら?今私と彼は大事な話をしているんだけど」
「もうすぐパーティーの用意ができるそうだから咲夜に貴女達を呼んでくるように頼まれたのよ」
「そう…」
レミリアは一旦話をやめ、ひとまずパーティーに向かう事にした。
「ぬらりひょん、さっきの話考えておいてね」
「……」
レミリアの方を一瞬見て、何も語らずにぬらりひょんは部屋を後にした。
「ふぅ…じゃあ私も行こっかな」
レミリアもパチェとは何も話さずに部屋から出て行った。
「フランを殺す…?レミィ…貴女は何を考えてるの。わからない、私には何もわからないわ…」
実はパチュリーはこっそり扉の向こうで2人の話を聞いていたのだ。それでまさかこんな話を聞くとは夢にも思わなかった。
「さっきのは本当にレミィ…レミリア・スカーレットなの?」
パチュリーには何もわからなかった。いや、わかりたくなかっただけなのかもしれない。今まで親友として接してきたレミリアが身内…それも妹を殺そうと企んでいることなど。
「…とりあえず私は私にできることをするだけ」
色んな感情がパチュリーの頭の中には巡っていたが、それを全て押し殺し、パチュリーは今自分が何をやるべきかを考えて行動しようとしていた。
「わーっ!すごいご馳走ですね!」
パーティー会場に来た美鈴が目を輝かせながら言った。門番もパーティーの時にはお休みのようだ。
「美鈴、お嬢様達を知らない?2人とも来てないみたいだけど」
美鈴の元に歩み寄って来たのは咲夜だった。周りをキョロキョロと見渡している。
「お部屋じゃないですか?わたし呼んできますね」
「ああちょっと待って、さっきパチュリー様にそれを頼んだのだけど2人とも来てないみたいなのよ」
「私に何か用かしら?」
美鈴と咲夜が話していると後ろからレミリアが現れた。
「お嬢様。パーティーの準備ができたので何か皆の前で一言などほしかったのですが…」
「なるほどね。でもパチェもぬらりひょんも来てないからパーティーを始めるのは2人が来てからにしましょう」
「わかりました。ではとりあえずあちらのお席までご案内します」
咲夜はレミリアを案内しにいった。
「…あー、お腹減った」
美鈴は呑気に何から食べようかを考えていた。
ーパチュリーの図書館ー
「え…?いやまさかそんな事は…」
「信じられないかもしれないけど本当のことよ」
パチュリーはさきほど自分が聞いた話を小悪魔だけに伝えておいた。
「お嬢様が妹様を…その…殺すようにぬらりひょんさんに頼んだ、と。でもぬらりひょんさんがそんな事をきくとは思えないのですが…」
ぬらりひょんが紅魔館にいた時間は短かったが、そんな事をする筈ないと思える程小悪魔はぬらりひょんを信頼していた。これがぬらりひょんの器の大きさだろう。
「私も思わないわ。でも…もしものことも考えなくちゃいけない。彼が怪しい行動をしようとしたらすぐ動けるようにしといて頂戴」
「は、はい。でも咲夜さん達には知らせなくていいんですか?」
「…いいのよ。変に動揺させてもアレだしね。さぁとりあえずパーティーに行くわよ」
「はい!」
「(…今まで私はぬらりひょんがフランを外に出そうとする事を警戒していた。そしてレミィもそれを嫌がると思い、ぬらりひょんを止めようとすると考えていた)」
「(だけど実際は違った。レミィは今まで自分の内に秘めていた〝本音〟をぬらりひょんに明かした。それがフランの始末。私…いえ、恐らくぬらりひょんもこれは予想外だった)」
「(そして問題はこれからぬらりひょんがどう行動するか…ね。私としてはフランを外に出されても困るし、かといって殺すなんて事も論外。…今のままでいいのよ。…今のままで)」
パチュリーとしてはフランを殺すなんてことはさせたくないし、凶暴なフランを外に出したいとも思わない。つまり現状維持が1番だと考えているのだ。
「とりあえず…ぬらりひょんの様子を見るしかないわ」
頭の中で考えをまとめた後、パーティー会場に向かった。
「遅い…遅すぎるッ!」
靴をカツカツさせながら咲夜はイライラしていた。
あれからパチュリーもこあもパーティー会場に着いた。そして後はぬらりひょんを待つだけだったのだが、いつまで経っても来ないのだ。
「なにやってるのよぬらりひょんは!料理が冷めちゃうわ!」
「ちょ、ちょっとチルノちゃん興奮しないで!むしろチルノちゃんの冷気でお料理冷めちゃうよ!」
会場にいる者全てが待ち疲れていた。
「………仕方ないわね」ガタッ
痺れを切らしたレミリアが椅子から立ち上がった。
「……先に始めようかしら」
「わかりました。…皆、静かにしなさい!お嬢様からお言葉をもらうわ!」
咲夜のおかげで会場は静まり返った。そしてコホンと言った後レミリアは話し始めた。
「えー、前から働いてた3人が今日までという事だから…ささやかなパーティーを行う事にしたわ。まぁ別にその3人だけのパーティーという訳じゃなくて、日頃働いてる他の従者達も今日は楽しんで頂戴」
「お嬢様、これを…」
酒の入ったグラスを咲夜はレミリアに手渡した。乾杯の音頭をしてもらうように。
「1人足りないけど…じゃあ、乾」
挨拶の途中でバタンッ!と扉が開く音がした。
「おいおい!〝1人〟じゃねーだろ?」
レミリアの声をあえてかき消すように誰かが言った。皆は声のする方を振り向く。そして驚きを隠せなかった。
「いっ…妹様…!?」
「………」
フランは足元を見つめながら前を見ようとはしない。
扉の前にはぬらりひょんとフランが立っていた。
「ぬらりひょん…貴方何のつもりかしら…?」
レミリアは睨むようにぬらりひょんを見た。そしてぬらりひょんも口元をニヤッとさせながら、レミリアを睨み返す。
「…遅れて悪かったな。ついでにさっきの話の続きだ。」
「答えはもちろん…〝のー〟じゃ!」
はい、第21話でした。
実はぬらりひょんが〝お主〟と言ったり〝お前〟と言ったり、使い分けているのですが、感情的なシーンだけは〝お前〟に最近からし始めました。でも原作での使い分けの違いがよくわからなかったので結構適当にしちゃってます。ちなみに原作では〝オレ〟とも言ってるシーンがあったのですがアレはリクオと間違えたんですかね?
ではここで終わります。お疲れ様でした。