随分と久しぶりの投稿の気がします。
「ぬらりひょん…」
睨むようにレミリアはぬらりひょんを見た。
「ようレミリア。せっかくのパーティーじゃろ?みんなで楽しもうぜ」
ぬらりひょんはフランの手をぎゅっと握ったままレミリアに近寄っていく。
「勝手にフランを地下から出してなんのつもり?まさか本当にパーティーを楽しませるだけに連れてきたわけでもないでしょ」
レミリアは問う。しかし大体の魂胆は見抜いていた。
「ワシはフランの願いを叶えてやりたいだけじゃ。ほら、フラン言ってみな」
下を見ていたフランが顔を上げた。
「お姉様…私…外に出たいわ!」
ざわ…ざわ…
会場がざわつく。
「い、妹様…」
咲夜は状況を掴めていないが、ただならぬ雰囲気だけは感じ取っていた。
「ダメよ!!!」
声のする方にぬらりひょんは振り向いた。
「パチュリー…」
「貴方が何を考えてるかはわからないけど…そう易々とフランを外に出すことは許さないわ。大体地下から出すことすらあり得ないというのに」
「じゃがフランがこうして出てきてもなにも起きてねぇだろ?フランはもう力のコントロールができるようになってる。だから外に出しても誰も傷つけたりしねえはずじゃ」
確かに…と妖精メイドも声を漏らす。こうしてフランが皆の前にやってきてもフランは大人しくしている。誰かを壊したい、傷つけたいなどの意思は全く感じられない。
「ぬらりひょん、貴方はまるでわかってないわね」
パチュリーも負けじと言う。
「フランにそんな意思がなくても何かのきっかけで能力が発動してしまうかもしれない。そうなれば傷つくのはフラン自身なのよ」
「確かにフランには辛いだろうけど…今が最善で安全なのよ」
「…お主らは死ぬまでフランを籠の鳥にする気かい?」
「はっきり言うけど私はそのつもりよ。 …レミィがどう思ってるかは知らないけどね」
ふぅ…とぬらりひょんは息を吐いた。
「悪りぃが…てめえらの言うことは聞けねえな。」
ゾクゾクッ!
その場にいた者全員が一瞬、たった一瞬ぬらりひょんに〝畏〟をなした。
「(これはあの時の…でも…」
咲夜は以前ぬらりひょんと戦った時に、同じような感覚を覚えていた。しかし今のは前と比べものにならない程暗く、深い感覚だった。
「妹を殺せだの一生閉じ込めるだの…ふざけんじゃねえよ」
ぬらりひょんが静かに怒る。いままで見てきたぬらりひょんとは別人のようだ。
「フフ…やはり貴方は私の頼みを聞いてくれないのね」
ぬらりひょんはレミリアを真剣に睨んでいるが、レミリアは薄笑いを浮かべながらぬらりひょんを見ていた。
「妹様を…殺す?…まさか…お嬢様が…」
「(…やっぱりこの企みはレミリア自身しか知らなかったようじゃな)」
「お嬢様!なぜ妹様を…」
「煩いわ、黙りなさい咲夜」
「お嬢様!!!」
「…聞こえないのかしら」
「黙 れ」
「ッ!!!………申し訳ございません」
レミリアは先ほどのぬらりひょんに負けず劣らずの威圧感を放った。
「レミリア、パチュリー、ワシはフランをお前らの思ってるようにはさせん。外へ出して自由にさせてやりたい」
「外に出て自然や人と触れ合い、今よりもっと広い世界を見せてやりたいんじゃ」
「だから貴方の言うこともわかるわ!けれどそうすればフランが!」
パチュリーが少しカッとなった表情で言った。
「させねぇよ」
「!!」
「ワシがちゃんとフランの面倒を見てやる。誰も傷つけさせたりはしねぇ」
「…1つ間違えれば貴方が消されるわよ」
「一度は死んだ身じゃ、それくらい構わんさ」
「ぬらりひょん…」
パチュリー、いやその場にいた全員がぬらりひょんの器の大きさを再認識した。
「ねぇ、ぬらりひょん。1つ聞かせてもらえるかしら」
レミリアがぬらりひょんに聞く。先ほどまでとは雰囲気が違っていることにぬらりひょんだけが気づいていた。
「なんじゃ」
「貴方は命を賭してなおフランを外に連れ出せるの?」
今までのレミリアとは雰囲気が全く変わっていた。
「ああ、約束したからな」
「約束?」
「外の世界に連れてってやると約束したんじゃ」
「約束…たったそれだけのことで…」
レミリアは目を閉じ何かを考えている。
「決めたわ」
「ぬらりひょん、〝合格〟よ」
レミリアが言ったことに対し、周りがザワザワし始める。
「合格…?何を言っとるんじゃ?」
「貴方ならフランを外に出してもいいって事よ」
その場にいる者はたった1人を除いて誰もレミリアの言うことを理解できていない。
「レ、レミィ?貴女フランを消そうとしてたんじゃ…」
「違うのッ!!!」
フランが急に大声を出した。
「お姉様は…私のために…」
時は少しだけ遡り、前日の話である。
ぬらりひょんと話をした後、フランは何かの異変を感じた。
「…だれッ!?」
「久しぶりねフラン…随分と成長したみたいで嬉しいわ」
「お、お姉様!?」
フランの部屋に現れたのはレミリアだった。
「お姉様がなんでここに…」
「フラン、外に出たいの?」
「!!?」
レミリアは2人に気づかれないように話を聞いていたのだ。
「…………出たいわ。外に出て…色んな人に会いたい。色んなものをみたい。色んなものに触れたい」
フランは初めて本音をレミリアにぶつけた。
「そう…でも今の貴女を外に出すわけにはいかないわね」
「知ってるわ」
フランはそっぽを向いた。
「話は最後まで聞きなさいフラン。確かに貴女を出すわけにはいかないけど…」
「それは貴女〝1人で〟と言う事よ」
「…どういうこと?」
「貴女には心当たりがあるんじゃないかしら?貴女を外へ連れ出してくれそうな者のことを」
これを聞き、考えるまでの事もなく1人の名と顔が浮かんだ。
「ぬらりひょん…」
「ええそうよ。彼なら貴女を外へ連れ出してくれるわ」
「じゃあ…!」
「おっと、ただし条件があるわ」
「条件…?」
「そうよ。それは…」
「なるほどな…それが『フランを始末する依頼の拒否』って事か」
「その通りよ。もし貴方が金か何かに目が眩んで、フランを殺そうとするものなら私が貴方を始末していたわ」
信頼しきれていない者をフランと外に出すわけにはいかないからだ。
「お、お嬢様…少しお戯れが過ぎます…」
ヘナヘナと咲夜や他のメイド達も膝から崩れた。
「フンッ、まぁ全てはこの私の演技力があってできた事ね!」
レミリアがドヤ顔しながら胸を張る。
「無い胸を張るなよ…」
はぁ…と今日1番のため息をぬらりひょんが漏らした。
「な、無い胸ですって!」
「レミィ……貴女って人は…!」
「ごめんなさいねパチェ。貴女には話しておこうと思ったんだけど、貴女が盗み聞きしてるのに気づいたからあえてほっとこうと思ったのよ。」
「むきゅー!!!」
パチュリーは納得いかずにかなり怒っている。
「ワシら全員この姉妹の掌で転がされていたって事か…まったく、食えねえ奴らだ」
「ごめんね…ぬらりひょん」
フランが申し訳なさそうな目でぬらりひょんを見る。
「いいさ。じゃが今日は疲れたから明日から…な」
「え?」
「外に出るんじゃろ?」
これを聞き、フランは念のためにレミリアの方をチラッとみた。レミリアは笑顔で首を縦に振ってくれた。
「…うんッ!」
「じゃあパーティーを再開しましょう」
「はい!…皆!静かにしてグラスを持って頂戴!」
「フラン」
「なぁに?お姉様」
「私の代わりにやってくれる?」
「…うん!」
壇上にフランが上がった。
「コホン、えーじゃあ…」
「かんぱーい!!!」
「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」
その場にいたもの全てが弾けるような笑顔をしてそう言った。
はい、第22話でした。
チルノ・大妖精「忘れないで…」
すいません、決して忘れてたつもりはなかったのですが、話の展開的にあえて入れませんでした。…ごめんよ。
ではここで終わります。お疲れ様でした。