夕立のゲーム日記
「今日はメタルマックス2っぽい。
……バザースカから何処に行けばいいっぽい?」
「ウルフとったらアズサに行けばいいぞ」
あの後、一夏とセシリアが戦ったが一夏は負けた。何か吹っ切れたような表情を見せたセシリアはそりゃあもう強く、とにかく自らの間合いを保ち一夏に近寄らせる事なくノーダメージの勝利を収めた。正確に言えば、最後の最後で逆転の兆しを見せた一夏だったがエネルギー切れで壮大に自爆してしまった。
「……」
現在耳まで真っ赤にしながら、手で顔を覆う一夏。女の子がよくやるポーズだが、イケメンなだけに無駄に決まっている。
「馬鹿」
「馬鹿者」
「ぶわぁぁぁ〜っか」
「み、みんな言い過ぎですよぉ……」
上から箒、千冬、コウタロー、真耶が発言している。
「……ひどくねぇ!? 俺、頑張ったんだけど!千冬姉のために頑張ったんだぞ!」
「頑張った頑張らなかったの話ではない。シールドエネルギーが無くなったら負けと、大まかにだが説明しただろう」
「いや……でも、まさかあんなにさぁ……」
「武器の性能ぐらい把握しないか……」
「コスト管理を怠たるからこうなる、ブーストゲージ管理はマジ重要」
「ブーストゲージってなんだよ!?」
GN灰皿が飛び交いリアルガンダムファイトが横行する、とっても素敵な動物園で使われる単語の事を示す。
「そういえば、高木」
「ウェッ?」
「あれほどまでに高性能な火炎放射器、何処で手に入れた? 学園にはなかったはずだが……」
「魔法ですけど、リリカル・マジカル・キルゼムオールです」
「マホウ? わかった、聞いたことのない企業だが調べてみよう」
しれっと言うので、本当の魔法だとは思わず、「マホウ」と言う名の会社が作った武装だと思った千冬。意外と早とちりである。
なお、この後インターネットで検索した結果、魔法株式会社というゲーム・パチスロ開発会社がヒットしたため、「ゲーム会社がIS業界に参入しているのか……いや、だがしかし……魔法とは一体……オカルトの魔法なわけはあるまいし……」と千冬はとても混乱してしまった。
「それはそうとして、高木。後はお前と織斑の試合だ。お前のピットゲートは向かい側だ、早く定位置につけ」
「アッハイ。わかりゃした」
「ピオラ、ピオラー!」と叫びながらコウタローは走った。何というか、カサカサという音が聞こえてきそうだった。コウタローの黒いシルエット体もあり、人によっては黒い悪魔を思い出した。現に箒は苦々しい顔をしている。
「……なぁ、千冬姉。コウタローって……」
「何もいうな。アイツは頭が可哀想な奴なんだ。だから、アイツが変な道に進まないように、私達教師が導かねばならないんだ……山田君、わかったな?」
「はいっ」
「千冬さん、何気にすごく酷い事言ってません?」
本音がポロリと出た千冬にツッこむ箒だった。
「織斑、お前も連戦で疲れているだろうが待っている時間はない。すぐに準備をしろ」
「わ、分かった……あいや、分かりました」
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バトルアリーナ。
雪片弐型を構えた一夏が吼える。
「さっきの二の舞はしねぇっ!最初から思いっきり行く!!」
「上等だよこの野郎!」
そう返したコウタローが手に持つのは、打鉄の標準装備である近接ブレードだ。
「いっくぜぇ!!」
「かかってこいやぁ!!」
試合開始のブザーが鳴るとともに、両名が突撃。衝突音が鳴り響いた。
(くっ!? なんて重い剣だ……!)
(バイキルトとヘイスト使って同等かよ!? )
ギチギチと音を立てながら鍔迫り合いに持ち込む。一見はコウタローが押しているように見えたが、実際は一夏に分があった。というのも、「身体能力向上魔法を使ってようやく同等」という点に動揺しているためである。
これはISの出力差が関係しており、魔法云々には関わりがなく少し考えれば分かることだったのだが、コウタローはそれに気付く余裕がなかった。
「ぐぐ……っ!」
「テメェこの野郎!!」
均衡状態を嫌い、側頭部を狙った右上段蹴りがコウタローから放たれた。
ガキン、とバランスを崩され一夏はモロに蹴りを受けてしまった。
(ダメージ20、セシリアのライフルよりは弱いけど……!)
蹴りを受け、一旦距離を置く一夏。
「純粋な剣術」で言えば、一日の長がある一夏に軍配が上がるだろう。だが、格闘戦自体は剣道でしか体験していない一夏は、コウタローの滅茶苦茶な戦い方に惑わされ、反応が遅れてしまいうまく防御しきれないのだ。実際、今の蹴りも人によっては対処しきれるものだろう。
「迂闊な間合いだな! ダブルサブマシンガン、セット!」
両手を突き出し、サブマシンガンを構えるコウタロー。
「なっ!? お前の武器は火炎放射器じゃなかったのかよ!!」
「だまラッシャー! 実弾兵器万歳だコラァ!!」
セシリア戦では炎攻撃のみだったので、中距離では火炎放射器(炎魔法が正しい)主体で攻撃をしてくると思っていた一夏だが、その予想は見事に裏切られた。
コウタローが叫び、両手のサブマシンガンが唸りを上げる。普通の人間なら、両手キチンとで構えない限りは発砲時の勢いに負け、ただ弾をばらまくだけに終わってしまうが、ISを介してならばその様な心配もない。手ブレ自体も解消され、正確な射撃が見込めるだろう。
(……一発一発は大したダメージじゃない! ならっ!)
ただ、コウタローは純粋に射撃が下手くそなので、命中率は低かった。故にダメージも少ない。
多少の無茶は承知の上だ、と覚悟を決めた一夏は突貫する。
「でやぁぁぁぁっ!!」
「来たかっ!」
凄まじい速度で迫る一夏を見て、サブマシンガンを格納し右手を振りかぶりながらコウタローも突撃する。
「はぁっ!!」
「おらぁっ!!」
一夏の雪片弐型はコウタローの胴を捉え、コウタローの右ストレートは一夏の顔面を貫く。トラック同士が正面衝突したかのような凄まじい音が響き、互いに綺麗な一撃を貰った一夏とコウタローはアリーナの壁に激突した。
「あれは……」
「クロス・カウンター!!」
「だ、誰ですか貴方は!?」
いつの間にか観戦席に潜り込んでいた、左目に眼帯をつけた用務員のおっちゃんが叫ぶ、そしてその声に驚く箒と真耶。
「織斑一夏、気絶。高木孝太郎、気絶。両者試合続行に不可能と見なし、試合中断。勝者、無し」
試合結果を告げるアナウンスが流れる。何とも味気ない結末だった。
「あの勢いで突っ込んだところにカウンターを受けたのだ。ISを纏っているとは言え、それを操る一夏君もコウタロー君も生身の人間……とても耐えられまい」
「は、はぁ……そうですか」
神妙な顔をして呟くおっちゃんに、何と声を返せば良いのかわからない箒だった。
前回と今回を見れば分かるように、作者は戦闘描写が下手くそです……故に、戦闘展開は基本巻きで行きます。
ちなみに、お分かりかと思いますが、現実世界とだいぶリンクしてます。