インフィニット・ストラトス要素がねぇ!!
※大事な事なので2回言いました。
週末の日曜日、神が定めた休養日である。何時もは騒がしいIS学園も本日はお休みで静かなものだ。
「時間もあるし、家に帰るか! あと、夕立の様子もみたい」
最近、ISの特訓のせいでロクに合成ができていなかったのでフラストレーションが溜まっていたのだろうか、手をわきわきと動かしながらニヤついた。
「とりあえず家に帰ろう……っと、その前に書き置きっと」
「実家に帰ります」と簡単な書き置きを残してから私服に着替え、寮を出るとルーラで家までひとっ飛び。
なお、貴重な男性操縦者と言うことで外出の際は申請を出さないといけないし護衛もつくはずなのだが、そんな事は知ったこっちゃなかった。ぶっちゃけその辺の護衛を揃えるよりコウタロー一人の方が強いので問題ない。
「とうちゃっく!」
「おかえりっぽい〜」
実家の前に降り立つと、待ち伏せしていたかのようなタイミングで夕立が出迎える。
「おう、ちゃんと飯食ってるか?」
「なか卯に食べに行ってるっぽい」
「結構ガッツリ食べてるのな。なんか変わった事とかは?」
「……そう言えば、最近なか卯でご飯食べてると写真撮らせてって言われるぽい」
「え、マジで?」
「何だか有名なコスプレイヤーだと思われてるっぽい! 勘違いも甚だしいっぽい!!」
ぷんすかと腕を振りながら機嫌を悪くする夕立。
「ほら、ブログにも写真があるっぽい」
「どれどれ?」
パソコンを操作し、夕立がとあるブログをコウタローに見せる。
『なか卯に夕立出現!』
『艦これ公式の営業とかじゃないの、これ』
『お店に聞いてみたけど違うっぽい!というか声まで本人っぽい?』
『夕立ちゃんと言えばドーナツじゃないんですか?』
『有名なコスプレイヤーじゃないか?』
『改二前の夕立ちゃんじゃねーか、完成度たけーなオイ』
(この世界にも艦これあったのか……)
己のうっかりミスに思わず顔を覆う、確認しておくべきだった。
とは言っても、お台場ガンダムを筆頭に、転生前の世界とリンクしている部分が多くいくらでも気付ける要因はあったのだ。というより、転生前の世界にIS要素を放り込んだと言えば正しい気がする。歴史も同じだし、現首相まで同一人物だった。
「そういや夕立よ、スレの中にドーナツ云々って書いてあったけどドーナツは食べないのか?」
「ドーナツは別腹っぽい。フレンチクルーラー食べたいっぽい……それに一人じゃ素敵なパーティも出来ないっぽい……」
夕立はしょぼんと項垂れた。外食したりゲームしたりとひとりぐらしを満喫しているようだが、何だかんだで寂しいらしい。
「うーん、一人じゃ流石に寂しいか?白露や村雨や時雨も作る?」
「そうしてほしいっぽい!」
「じゃあ材料手に入れてこないとな……でも、バラしてから何と合成すりゃいいんだろ?」
忠犬と言われることのある時雨は夕立と同じように犬を合成すればいいだろうし、白露は1番と何か関係のあるもの、例えば王貞治のレプリカユニフォームでも合成すればいいだろう。副産物で野球大好きでもなりそうだが、それは仕方ないし大したことではない。しかし、村雨は何と合成すればいいのだろうか。
(……グラビア雑誌とか?)
『白露型のお色気枠』とか『村雨ちゃんはエッチだ』とか書かれているのを、ネットのどこかでみたことがある……ような気がする。
作者もそう思う、見かけだけでいうなら駆逐艦というより軽巡クラスである。
だが、迂闊に合成すると変なものが出来そうな気がする。
(夕立と約束しちまったしなぁ、どうすればいいのやら)
「提督さん、お買い物っぽい?」
「んぁー、そうね。それじゃあ行くか」
「ぽい!」
年の近い異性と二人きりでお買い物。デートと言えるようなものではあったが、二人ともあんまり意識してないため、本当にただのお買い物である。
「そんじゃ、俺に掴まれ」
「えっ、なんで?」
「ルーラで飛んでくからよ」
コウタローの手をギュッと握る夕立。
本物ではないとはいえ、艦娘なだけあってその力は格段に強くコウタローの顔が少し歪んだ。
「ぬおっ、何つう力だ」
「女の子に向かってそんな事言うものじゃないっぽい! そんなこと言われても長門さんか武蔵さんぐらいしか喜ばないっぽい!」
何気に長門と武蔵の評価がヒドい夕立だった。
「わかったわかった。そんじゃしっかり掴まってろよ……ルゥーラァ!!」
ルーラを選択し、東京ドームまでルーラでひとっ飛び。青白い魔力の膜に覆われ、風を切り音をも超える速さで空を翔る。
「イヤッホォォォオオォオウ!!」
「ぽいいいいい!?」
コウタローは実に楽しそうな、夕立は驚きと怯えが混ざったような叫び声を上げる。時間にして1分もすると到着した。着地するととともに、夕立は地面にへたり込む。
「ぽひぃぃぃ……」
「どしたの」
「いきなりだから驚いたっぽい! あんなに早いとは思わなかったっぽい!!」
へたり込みながらも、ぷりぷりと肩を怒らせながら文句を言う夕立。
「ゴメンゴメン。さ、オフィシャルショップにでも行こうぜ」
「……むー」
納得できないというように唇を尖らせながらも、大人しく立ち上がってコウタローの後について行く夕立。
オフィシャルショップの中には、野球に関するグッズが数多く揃っている。特に、ジャイアンツのグッズに関してはピカイチだ。
コウタローとは王貞治のレプリカユニフォームを手に取り、会計を済ませ夕立が続く。
ちなみに、実際のジャイアンツオフィシャルショップは、王貞治のレプリカユニフォームは販売していないので悪しからず。
「どうせだからもうちょっと見たかったっぽい」
「そうか? 俺、一旦コンビニ行ってくるからその間見てる?」
「そうするっぽい」
コウタローはそのまま近場のコンビニで、グラビアが載っている漫画雑誌を購入。そのまま「分解」……ではなく、グラビアの部分だけ剥がして物理的に「漫画雑誌」と「グラビア記事」に分解し、夕立と合流した。
「お待たせー」
「そんなに待ってないっぽい」
「ン、それじゃあドーナツ買いに行く?」
「ドーナツ! ドーナツ食べたいっぽいっ!」
嬉しそうにぴょんぴょんとはねる夕立、尻尾があったらぶんぶんと振られていることだろう。
「近場のミスドにでも行こうぜ」
「ドーナツパーティっぽい〜♪」
(んまぁ嬉しそうなこって)
とりあえずミスドに移動し、結構な種類のドーナツを購入する。
「これはみんなが出来た時に、だから後で食べるっぽい!」
「おう、それじゃあちょっと犬取っ捕まえてくるからちょっと待ってな」
「ぽい!」
バニシュで姿を消し、その辺のペットショップに侵入。手頃な犬にブリンクをかけ増殖させてから2匹取得してからさっさと離脱。
実に手慣れた犯行だった。
さて、これで一応材料は揃った。後は帰るだけである。
「夕立、もう帰るぜ」
「はーい……帰りもルーラっぽい?」
「そうだけど」
「うー」
あの速度が嫌いなのか、思わず唸る夕立。出来ればもう体験したくはないが、電車で帰ろうにも道がわからないし、他にいい方法も無いので大人しく従うことにした。
「よーし、じゃ、ちゃんと捕まってろよ……ルーラァ!!」
「ぽぃぃぃ!!」
本日二度目の絶叫が青空に響き渡った。
「到着ゥ」
「……ちょっとクセになって来たっぽい?」
魔力切れ、という事もなく無事自宅前に二人は降り立ち家の中に入った。実は、チートの副産物として所謂MPの値はほぼ無限となっている。そのため、ガンガン使っても魔力切れの心配はない。
「さて、それじゃあ作ろうか!」
「わくわくしてきたっぽい〜」
押入れから白露、村雨、時雨のプラモを取り出す。
「上手くできると良いけどな〜」
イア 合成
イア 駆逐艦「白露」のプラモデル:1
イア 王貞治のレプリカユニフォーム:1
駆逐艦白露(艦これ)を作り出した!
イア 合成
イア 駆逐艦「村雨」のプラモデル:1
イア 漫画雑誌のグラビア:1
駆逐艦村雨(艦これ)を作り出した!
イア 合成
イア 駆逐艦「時雨」のプラモデル:1
イア 犬:2
駆逐艦時雨(艦これ)を作り出した!
「よしっ!」
少し不安だっただけに思わずガッツポーズをとるコウタロー。あとは使用するだけである。
イア 使用
イア 駆逐艦白露(艦これ):1
「……」
「んん?」
使用して出てきたのは確かに白露だ。だが、細部が少し違う。具体的には右手に木製バットを持ち、ジャイアンツのマークが入った野球帽を被っているのだ。これは間違いなくユニフォームのせいだろう。
(まぁいいか)
イア 仲間にしてあげる
「白露型駆逐艦1番艦「白露」です! はい、1番艦ですっ!」
「なんでバット持ってるんだ?」
「提督が王監督のユニフォームを素材にしたからだよっ! お陰で野球大好きです!!」
「どわっ! 危ないからやめろっ!」
嬉しそうな顔でぶんぶんとバットを振る白露。振るわれたバットがコウタローの鼻先を掠った。
「そのうち草野球チームにでも入るよー!」
「白露も出来たっぽい!」
「あれっ、夕立……って事は、私が一番じゃない!?」
四つん這い、所謂orzのポーズをとって、ガーンという音が聞こえそうなほどに落ち込む白露。そんな白露の肩を夕立はぽんぽんと叩いた。
「さぁ〜どんどん使用しちゃおうねぇ〜」
自分で勝手に落ち込んでいる白露は放っておいて、コウタローは作業を進めた。
イア 使用
イア 駆逐艦村雨(艦これ):1
「……」
「うーん」
村雨は白露と違い、水着グラの村雨だった。おそらくグラビアを使用したせいだろう。
……寒くないのだろうか。
イア 仲間にしてあげる
「はいはーい!白露型駆逐艦「村雨」だよ。みんな、よろしくね!」
「待ってたっぽい!」
「2番……白露が、2番……」
嬉しそうに出迎える夕立、ハイライトの消えた目になり体育座りでブツブツと呟く白露。
「提督、白露に何かあったの?」
「聞いての通り白露は2番目に出来たからな、夕立が先だったのま」
「なるほどー、白露の1番好きは相当だもんねぇ」
「それはそうとして、寒くない?」
「……少しだけ」
季節はまだ4月、半袖ではまだ寒いぐらいだ。水着じゃあ、そりゃ寒いだろう。
「タオルケットあるけど?」
「……貸してもらっていいかしら?」
「アイヨー」
押入れからタオルケットを引っ張りだして村雨に差し出すと、何の躊躇いもなく羽織った。肩が軽く震えていたような気がする。
「さて、それじゃ時雨で最後だ」
イア 使用
イア 駆逐艦時雨(艦これ):1
「……」
「良かった、普通だ」
何の変哲もない、艦これ仕様の時雨である。
イア 仲間にしてあげる
「僕は白露型駆逐艦「時雨」。これからよろしく」
「ウィ、よろしく」
「時雨〜! やっと会えたっぽい〜!」
「2番……」
「ほら白露、時雨が来たんだからしっかりして」
「ええと、どういう状況なのかな?」
てんでバラバラな各々の反応を見て、時雨がコウタローに説明を求めた。
「かくかくしかじか」
「四角いムーブ、って事か……うん、分かったよ」
「とりあえずみんな揃ったし、ドーナツパーティしましょ!!」
両手にドーナツの箱を抱えながら、夕立が時雨にかけよる。
「そうだな……ホラ、白露。一番最初に選ばせてやるから」
「……1番! 提督、ありがとう!!」
「現金なやっちゃね」
こうして、時間ギリギリまで夕立たちと休日を楽しんだコウタローだった。
なお、無断外出ということで千冬の雷が落ちたのはどうでもいい話である。