「おっでかっけれっすか〜、レッレレのれ〜」
休み時間。
妙な歌を口ずさみながら、コウタローは竹箒で散らばった紙吹雪を集めていた。
(そういや、吹雪ねえ……そうだ。夕立、夕立。応答せよ)
(こちら夕立よ!ご用はなあに?)
(今ある素材で吹雪が造れるかもしれないんだが……吹雪に来て欲しいと思う?)
(吹雪ちゃん?うーん、お友達が増えるのは嬉しいけど、もう寝る場所がないっぽい!)
(あー、そっか……それじゃあ保留しとく。そういや白露と村雨は?)
(白露は草野球に行ってて村雨は室内プールでスイミングっぽい)
(そっか、リョーカイ)
(提督さん、それはそうとしてアーカイブスでゲーム買ってもいいっぽい?)
(いいけど、何買うのさ?)
(LIVEALIVEとルドラの秘宝とバハムートラグーンとトレジャーハンターGっぽい)
(往年のスクウェアのゲームじゃないか)
(90年代前半のスクウェアは輝いてたっぽい!)
(同感だよ……って、そういやメタルマックスはどうしたのさ?)
(クリアしたっぽい)
(はえーな……っと、そろそろ通信切るぞ)
(ぽいー)
コウタローは、夕立がどんどんゲーマーの道を歩んでいるように感じた。
そのうちアーケードゲーム辺りでハイスコアを叩き出すかもしれない。
「コウタローさん、清掃は終わりましたか?」
「ん、もう終わる」
コウタローはちりとりで紙吹雪を集め、ビニール袋に詰める。
イア 取得
「ビニール袋詰めの紙吹雪」を入手した。
「よっし、終わり!」
「……前から思っていたのですが、その……何と言いますの。液晶画面……コンソールのようなものは何ですの?」
「これ? 俺の特殊能力みたいなもんだ。まっ、気にしないでくんな!」
「特殊能力? ISが関係しているのですか?」
「……こまけぇこたぁいいんだよ!この話はやめよう!」
「えっ?」
「はいさい!やめやめ!!」
説明するのが面倒になったのか、強制的に話を打ち切るコウタロー。
納得できないのか、セシリアは唇を尖らせる。だが、どうやってもコウタローが説明してくれないのを察しこれ以上追求するのはやめた。
と、その時。
「いぃぃぃちかぁぁぁぁぁっ!!!」
「ひゃぁー!?」
凄まじい勢いで、コウタローの前の席にいた一夏に迫る一人の女子生徒。
女生徒の勢いで、たまたまドアの近くに立っていた相川さんが吹っ飛ばされた。
「り、鈴!?お前、鈴か!?」
「この馬鹿!見りゃ分かんでしょうが〜!!」
「や、やめろ、そんな揺らすな!」
鈴と呼ばれたツインテールの少女は、一夏の肩を掴み、ガックンガックンと激しく揺さぶる。
「ずっとスタンバッてたのよ!ずっとドアの後ろでスタンバッてたのよ!!転校生の話題が出たら乱入してやろうと思ってたのに、さっきは馬鹿騒ぎしてて入りにくかったし!この休み時間は話題に出さないし!ちらちらと様子を伺って見ても、アンタは気づかないで話してるし!!寂しいったらありゃしない!!」
「や、やめ……くるし……」
「2組の代表候補生の話題が出たら『その情報、古いよ』って言ってカッコよく登場しようと思ったのに!全部台無しじゃないの!馬鹿!この馬鹿〜!!」
「……誰だか知らないが、そこまでにしてもらえないか」
流石に見兼ねたのか、一夏と鈴の間に箒が割って入る。
「ゲホッ、ゲホッ……た、助かった」
「で、一夏?誰なんだこいつは?」
「あぁ……こいつは凰鈴音。箒が引っ越した後に近くに引っ越して来てさ。そん時に仲良くなったんだ」
「ほう?私は篠ノ之箒、一夏の『幼馴染』だ。よろしく」
「……凰鈴音よ、ヨロシク」
一夏に紹介された後、箒と鈴音は挨拶を交わす。
だが、明らかに幼馴染を強調した箒の自己紹介に機嫌を悪くする。
口に笑みこそ浮かべているが、明らかに火花が飛び交っていた。
「これが日本でいう修羅場ですのね!」
「れ、恋愛というやつか……わからん」
楽しそうな笑顔を見せるセシリアと、腕を組みながら呟くコウタロー。
実に気楽な部外者たちだった。
「あ、あの。もう授業が始まるからクラスに戻ってください」
いつの間にやら教室に入って来た山田先生が、鈴音に対してクラスに戻るよう促す。
どうやら次の授業が始まるようだ。
「っ……わかりました」
特に逆らうこともせず、鈴音は大人しく2組へと戻った。
さて、昼休み。
昼食を取るべく一夏率いるいつものメンバーは学食へ向かった。
「待ってたわよ、一夏」
「鈴か、悪いけどどいてくれないか?注文が出来ない」
「わかってるわよ。席、取っておくから早くしてよね」
ラーメンを持った鈴音が券売機の前からどき、空いている席へと向かった。
(何故だ……何故かパセリかセロリかミツバのどれかを選ばないといけない気がする……っ!)
一夏の脳裏で、ぐるぐるとパセリとセロリとミツバが回転する。
本当は日替わりランチを頼みたいのに、何故かこの三つを頼まないといけない気がした。
(ああ……体が勝手に……)
頭では日替わりランチなのに、体は勝手にパセリのボタンを押すと、券売機から「パセリ」と書かれた券が沢山出てくる。
頼んでしまったものは仕方がない、一夏は肩を落としながらも食堂のおばちゃんに券を渡した。
「……パセリください」
「はいよ!」
一夏に運ばれてくるのは皿いっぱいのパセリ。
「私はきつねうどん」
「私は洋食ランチですわ」
「俺カツ丼!」
「はいよ!」
「……」
一夏は泣きたくなった。
「お待たせ……」
「ええ……って、何よその山盛りのパセリは」
「なんか……パセリを頼まないといけない気がしたんだ」
「そ、そう。とにかく早く食べましょう……うーん、このラーメン美味しいわね」
「出汁が効いているな、中々のうどんだ」
「日本のご飯は素晴らしいですわね」
「カツ丼うめぇ」
「パセリおいしーい!!」
各々、頼んだ料理に舌鼓を打つなか、半ばヤケになりながら一夏が叫んだ。