転生チートってこういうもんじゃないでしょ!?   作:koh

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短編前書き連載シリーズ
夕立のゲーム日記

『提督さん、提督さん』
『何だ、今晩のおかずについてか』
『セイレーンが倒せないっぽい』
『アンデッド状態の時にクロマがファイア、シロマがケアル、物理職がポーションぶち込めば楽勝だから!』
『わかったっぽいー』


こんなところに居られるか!俺は帰って寝るぞ!!

ホームルームが終わると、一夏は千冬から原稿用紙を渡された。コピーなどの不正を防ぐためか、原稿用紙の右上に千冬のサインと枚数が小さく記入されていた。

 

「時間が足りないだろうから、1枚の内容を4枚書き写すだけで構わん、期限は代表選考戦の前日までとする。いいな?」

「ハイ……」

 

文句はあったが、自分の浅はかな判断で誤破棄したため、非は全面的に自分にある。そのため、一夏は押し黙るしかなかった。

 

「先に言っとくけど俺は何にも手伝わねえからな! 何にもだ!」

「分かってるよ……くっ、かなり手間だな。こりゃ」

 

原稿用紙を手に唸る一夏に、それを横目に警告するコウタロー。そんな二人に近づく影が一つ。

 

「あっ、良かった……」

「んんん何奴っ!」

 

歌舞伎役者のようにクワッと目を見開きながら、グルリと振り返るコウタロー。とは言ってもシルエット体なのでよくわからないが。

 

「ひぃっ!? わ、私です! 山田真耶です!」

「あれ、山田先生。 どうしたんです?」

「あ、ええと。 寮の部屋割りが決定したのでお知らせしようかと思ったんです」

「あれ? でも、俺は一週間は自宅から通学って聞いたんですけど……コウタローは?」

「俺は荷物持ってきてらぁね、いざとなれば何処でも寝れるしよ」

「え、マジで?」

「マジで」

 

荷物を持ってきてるというより、私物はまとめて「取得」したというのが正しい。

どんな大荷物でも取得してしまえばウインドウの中に収まるし、原作では街一つ丸ごと取得していたのだ。

 

「……あっ、そういえば同居人がいるんだけど……自炊とか出来んのかな、アイツ」

「同居人? その言い方からするとルームシェアか何かか?」

「ルームシェアっていうかホームシェアだな」

「あっ、高木くんの同居人って夕立ちゃんって子でしたよね?」

「ですねい」

「夕立ちゃん、『一応出来るから問題ないっぽい』って言ってましたよ」

 

真耶の言葉に疑問を抱いたコウタローは、夕立に確認を取ることにした。

 

『夕立、夕立』

『ぽい?』

『自分で飯作れる?』

『大丈夫っぽい、お金も提督さんからもらったのがかなり余ってるっぽい』

『そっか』

 

確認終わり。テレパシーは実にお手軽だった。

 

「で、お二人の部屋についてですけど、本来なら一週間後だったんです。でも、無理矢理割り当てて組み込んだんです。外からの通学だと途中に攫われる可能性がありますから、苦肉の策といったところですね」

「そういうことだ、一夏の荷物は私が運んでおいた……が、私も時間があまりなかったから着替えと財布、携帯の充電器など必要最低限のものしか持ってきていない。他にも必要なものがあるなら、週末に帰って取りに行け」

 

つかつかと足音を立てながら千冬が近寄ってくる。

 

「あぁ、ありがとう。千冬姉」

「構わん」

「あれ、今の呼び方は注意しないんですか?」

「もう授業は終わっているからな」

 

どうやら授業外であれば問題ないようだ。織斑千冬、どうやらオンとオフは完全に分けるタイプらしい。

 

「えーと、とりあえずお二人に部屋の鍵を渡しておきます」

 

真耶からコウタローと一夏に部屋の鍵が手渡される。

番号が同じ所を見るに同部屋のようだ。

 

「夕食は六時から七時の間、食堂でとってください。入浴は部屋に備え付けのシャワールームでお願いします。大浴場もあるんですけど、時間の調整がまだ終わってなくて……」

「いや、それでもありがたいですよ。教えてくれてありがとうございます」

 

一夏のイケメンスマイル!

真耶には こうかは ばつぐんだ!

千冬には こうかが ないみたいだ……

 

「はぅっ。そ、それじゃあ私達は会議があるので……早く帰ってくださいね!」

「今日は疲れただろう、早く寝るんだぞ」

 

確かに疲れた。特に女子からの好奇の目に晒されるのが酷く精神的に来るものがある。千冬の言う通り、今日は早く寝る事にしようと決めたコウタローだった。一夏は反省文もあるのですぐには休めないだろうが、コウタローは知ったこっちゃなかった。

 

「一夏、少しいいか?」

 

教師陣がいなくなったのを見計らって、ちょうどいいタイミングで一人の女子生徒が一夏に声をかける。黒髪ポニーテールでしかも巨乳だ。

 

「あれっ、箒じゃないか。どうしたんだ?」

「そ、その……なんだ。少し聞きたいことがある」

「そうか? 悪い、コウタロー。先に部屋に行っててくれ。なんか長引きそうだしさ」

「アイヨー、先に行ってらぁ」

「……す、すまない」

 

謝罪の言葉を口にする箒に対し、コウタローは軽く手を振りながら背を向けその場を立ち去った。

 

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「へええ、その辺のホテルよりも豪華だな。こりゃ」

 

明らかに高級品だとわかるベッドと羽毛布団が、二つ置いてある。

 

「……」

 

イア 魔法物質化

 

イア レビテト

 

レビテトを飛行と魔法に分解した。

 

イア 取得

 

ベッドを取得した。

 

イア 合成

 

イア 飛行

 

イア ベッド

 

そらとぶベッドを作り出した。

 

「よし」

 

良くない。

 

「魔法物質化便利だな……大分応用がきく。それはそうとして、一夏のベッドもそらとぶベッドにしておこう」

 

同じ工程で一夏のベッドをそらとぶベッドに変えたコウタロー。

この日、真夜中の学園で一夏の叫び声が響き渡り、同時に不審な飛行物体が目撃されたと言う。

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