【更新休止中】Fate/ぐだ×ぐだOrder 〜要するにぐだこがぐだおを呼ぶ話〜 作:藻介
設定に自己解釈が多分に含まれるので、あらかじめご了承ください。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。
それは、ルーマニアで行われたかの聖杯大戦において確かにあった、決して記録に残ることのない一幕。
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「ミスターホームズ。こんなところで何をしているのです?」
小高い丘陵の上で黒い小筒のような物を目に当てて、どこか遠くを見つめる背中に声をかけた。
「だから、何度もいうがね、聖女。オレはシャーロックではないのだから、そう呼ぶのはやめてほしい。こと、ここではややこしいが、オレのことはどうかルーラーと呼んでくれ」
うんざりとした口調でいう彼、真名シェリングフォード・ホームズ。このルーマニアの聖杯大戦に関わる、三人目のルーラーのサーヴァント。
ジーク君とのデー、こほん、囮作戦の折その存在を確認して以降、こうしたやり取りを私は何度か交わしていた。
「それなんですがね、話に聞けば、あなたは場合によってはウォッチャーのクラスでも召喚されることがあるそうではないですか。そうなると、気軽にルーラーと呼ぶのも、どうかと思いまして」
「それは本気でいっているのか?」
もちろん、冗談だ。誰からもそんなことは聞いていない。一度、彼の役割を聞いて、それならばと自分で考え、そのすぐ後に撤回した案の一つだ。
「貴方の役割は聖杯戦争、ひいては滅びゆく可能性を持つ世界の観測。あくまで
「ご明察」
最初に出会った時、彼自身から説明されたことだ。
三人目のルーラーがいる。そのイレギュラーを問い詰めた時、彼は自分のことをそう呼んだ。
——抑止の守護者。
人類という種を守ろうと働くアラヤ、星の寿命を延ばそうとするガイア。そのどちらかから原因となる因子を抹消するために送られてくる者。
しかし、私の聞くそれは、単なる掃除屋でしかない。カウンター・ガーディアンの名の通り、彼らが呼ばれるのはたいてい、事が終わってからのはずだ。
その疑問に彼はこう答えていた。
『言い方が悪かったらしい。確かにそちらの仕事を受け持つこともあるが、今回は本業、ガイアが遣わした観測者。ありていにいえばただのカメラマンだ』
なんとも気の抜けた例えである。けれど、彼の話を聞くうちにその言葉の持つ本当の意味を知ることになった。
彼の例えに乗るならば、彼はカメラマンではない。カメラそのものだったのだ。
被写体を選ぶことはできない。星の意志に振り回されて、見たくもない光景を脳に直接焼き付けられる。決して介入も干渉も許されず、そこに彼の意志はない。直接地獄を作り出す守護者に比べれば幾分見劣りしてしまう。けれど、元が人間であるならば、いずれ擦り切れてしまうことに違いはない。
もしかしたら、その最後まで本当に見たい景色を見れずに使いつぶされてしまうなんてことも。
「聖女、おい聖女。どうした」
「あ、すいません。少し考え事を」
「そうか。お互いたいへんなようだ。食べるといい。極東の携行食だ」
「ありがとうございます」
差し出されたライスボールをありがたく受け取る。塩がまぶされた白米の中から出てくる鮭、高菜、コーンのいろどりがなんとも美しい。
「これはあなたが?」
「いや、うちの者が作った。これくらいならオレでも作れるというのに、どうにも厨房を譲ってもらえない」
彼が固有の宝具でサーヴァントを呼びだせるのは知っていた。きっと、その内の誰かのことをいっているのだろう。
風が、丘の上を滑っていった。撫でられたように揺れる草原はあまりにも穏やかで、後に来る嵐のことなど考えていないふうに見える。
けれど、どんなに祈ろうとも決戦の時はやってくる。
「ルーラー。いえ、ミスター」
「…………」
「一つ、お聞きしてもよろしいですか?」
「……ああ」
「貴方はきっと、一つの願いをもって、その代償に今の役割に殉じているのだと思います」
彼は頷いた。
「その願いが何だったのかとは聞きません。ですが、その選択を、その責任を、誰かに委ねたいと、そう思ったことはありませんか?」
「ない」
即答だった。考えるまでもないことだと、その横顔が語っていた。
「この願いはオレの、
「そうですか」
「ああ。そもそも、なぜそんなことをオレに聞く。救国の聖女。それは誰でもない、貴女自身が一番よく知っていることだろうに」
「ええ、そうでしたね」
望んでいた答えに微笑みがこぼれる。
「私は私の責任で彼を救います。ありがとうございました。これでなんとか、最後まで迷わず進めそうです」
「……そうか」
「はい!」
意味が分からないと困惑する彼に、私は最後の礼を告げた。
空が、やけに近く見えた。
ルーラーのマテリアルが解放されました。
・星の観測者 A+
ガイアの観測者として送り出されたものに与えられるスキル。気配遮断と千里眼の複合スキルであり、事象の記録のために誰にも悟られることなく観測ができる。
星が与えた加護か、潰されたとある視ることを専門とした魔術一族の呪いか、あるいは一人の少女の望みを反映してか。様々な因果により彼は高ランクでこれを有する。ゆえに弊害として、その目は未来、過去、現在における様々な真実を彼に見せる。そこに彼の自由意思は存在しない。それでも彼がつぶれないのは、その全てに興味を持っていないからである。
また、特権として、過去に見たことのある記憶を引き継ぐことも可能。
・真名看破(偽) A-
生前、死後に出会ったことのあるサーヴァントの真名を思い出すことによって、自力で真名看破スキルを再現している。本来の真名看破とは異なり、相手が正体を隠蔽していても見破ることができる。しかし、彼の経験や記憶量、認識に大きく左右されるため、本来あり得ないサーヴァント(EX、選定事象の女武蔵etc…)に対しては効果が発揮されないなど、ところどころ不安定。