少女は神を信仰しません
俺… 今は私と言った方がいいだろう。
ここで少々、私『
私、星弓は単刀直入に言うと転生輪廻というものを体験しました。星弓になる前の俺は煌帝国で武官をしておりました。
ごく普通の、才能なんてない武官だった俺は白龍様が起こしたあの反乱でポックリ逝った。死因は白龍様に操られた同僚にグサリッと。これ以上はあまり思い出したくないので割合する。
俺はひたすら眠いっていた。なん時間経ったかわからないが、ある時パチッと目が覚めたら目の前には宇宙が広がっていた。
目の前の光景に呆然としていると、頭の中から声が響いた。
ーー 汝、我を信仰せよ。我は創造主なり
最初はなにを言ってるのか全く理解が出来なかった。そんな俺を察したのか、創造主のため息が聞こえた。
ーー 最近の人間は信仰心の欠片もない。昔はそちらから我らを呼びかけたにも関わらず… 喜べ、汝は選ばれたのだ。我らの信仰を広める人材に。
本当になにを言ってるのかわからない。理解不能だと思考を巡らせていると、今度は怒鳴り声が聞こえた。
ーー なぜ喜ばないッ! 汝は我らに選ばれたのだぞッ!! それなのに、なぜ我らを信仰しようと思わないッ!!
なら逆に質問させて頂きたい。恩もなにも貰ってないのに、何故『信仰しろ』と強制してくるのだろうか。信仰して欲しければそれに見合う『恩恵』を用意して欲しい。それなら、俺も貴方様の存在を信じ世界に貴方様の名を広げましょう。
ーー 欲深き人間めッ…! …しかし、汝の言うことも一理ある。汝の心に嘘はない。本当に、恩恵さえ貰えば我らの信仰を広げようと考えているとは… なんて欲に塗れた人間だ。
欲のない人などこの世にいないと思います。利益なしでその頼み事を聞いたら、タダ働きになるではありませんか。
ーー 自分の利益しか考えぬとはッ…! これから神に仕える使徒として非常に情けない。よかろう、汝には『恩恵』を与えよう。ただし…
ただし?
ーー 汝には数々の『試練』を与えるッ! この試練を全て成し、心清い我らが理想の『使徒』となるのだッ!!!
はぁ?! ちょっとま…
ーー さぁもう一度汝の世界へ蘇るのだッ!我らが信仰をその地に広めよ、我らが使徒よッ!!!
ふざけるなッ!!!と叫ぶ間も無く俺の意識は飛んだ。そして、目が覚めると見覚えある木の屋根が先ず目に入った。
「いい子ですね… 私の可愛い子」
あの自称神ふざけるなと言いたいところだったが、女性に抱えられていた俺は次の言葉に絶句しました。
「私の可愛い
…女?おんな、お、オンナ……女ッ!!!?
この時俺の脳裏に思い浮かんだのは『試練』と『信仰』。試練を与えるとは言われたが、まさかそれが『女』に転生する事だったとは…あはっ、あははっ。あははっ…!ふざけるなッ!!!
『俺』を『私』にした神にちょっと… いや、かなり文句を言いたい。しかもさっき『戦士』とか不穏な言葉が聞こえた。前世の死因が戦死なのだ、俺はもう戦うのはこりごりです。なのに…
…これは、『試練』に似あう『恩恵』を貰ってはないのではないだろうか。どっちかと言うと『試練』に耐える為の『恩恵』ではないだろうか。
…ふざけるな、俺は、私は…こんな恩恵が欲しかった訳ではないッ!!!
心の叫びと同時に、赤子の私は泣いた。そして、決意した。約束通り信仰はしましょう…だが、私は『信仰』を広げないッ!!!
見合った『恩恵』を貰えるまで私だけが信仰し、私だけの神様でいて貰おうとッ!!!
ーー これは、私が『人生の平穏』という名の『恩恵』を貰えるまでの物語。