~大神世界~
「おいおい!幽門扉がありやがる!誰だ開けたのは!!不吉な予感がするぜ…!」
白い子犬に乗った、種族妖精にあたる、コロポックルの青年イッシャクがそう言う…
「ヴー…!ワンワン!」
いきなり。子犬のチビテラスが唸り声を上げ吠えた。
「どうしたチビ!」
イッシャクが幽門扉を見た時には幽門扉の扉から光が差し込んできた。
「幽門扉が…開きやがる!」
そしてその光から出て来たのは…
「やれやれ今度はどんな世界だ?」
ゼロ魔世界からやって来た千手玄間だった。
「なんだ?お前?」
イッシャクがそう言って玄間を指差す。
「俺か?俺は…千手玄間。」
「玄間?なんか呼びにくいな…」
「ゲンさんと呼んでもいいぞ。」
「じゃあ…ゲンさん。あんたなんで幽門扉を使ったんだ?」
「幽門扉?」
「そこの後ろにある扉のことだよ!」
「これか…まあ、俺は変なゲートをくぐったらここに来た訳だな。」
「変なゲート?」
「これよりもでかい門だ。しかし、あの時は禍々しさがあったから入ったんだが…今はその禍々しさが感じられない…?」
「いやゲンさんの言っていることは半分間違いじゃないぜ。禍々しさの正体は妖力。向こうまで禍々しさを感じたのにそれが感じられなくなったのは、大方、妖力がデカすぎて感じなくなったんだ…!」
イッシャクの言う通り、何者かが妖力をもっていてその妖力の持ち主に近づくと、妖力があまりにもデカすぎて、その存在に気づかない。つまり、灯台下暗しだ。
「…だとしたら俺はそいつを倒さなきゃならん。俺はとあることで異世界を旅する羽目になった。だが大体悪の王とかを倒せば何故か移動できるとわかったからな。」
玄間の言うとおり、玄間は大魔王バーン、エルフ+ブリミルを倒した後に移動ができた。彼ら(最後はどうかはおいといて)は悪と呼ばれた者達だ。つまり、玄間は悪を倒せば何かしらの影響はあると考えた。
「だけどよ、ゲンさん。それはオイラ達がやる仕事だ。ゲンさんが首突っ込むことじゃない。」
玄間は印を組み、そして…火遁系最強の技の準備した。
「しょうがない…火遁・豪火滅却!」
そう言って玄間はかなりド派手にあたりを燃やし尽くした。
「だぁぁぁー!!燃える燃える燃える、焦げる焦げる焦げる!焼ける焼ける焼ける!チビ、恵雨だ!」
「ワン!」
チビテラスが返事をすると、どこからともなく雨が降り、玄間がやった火事を消したのだ。
「てめえ、何の真似だ!」
イッシャクは玄間のやった行動に怒る。無理もない。村を火事にしかけたのだ。
「そう言うな。これで俺の実力がわかっただろう?」
「村を火事にしかけた奴を連れて行けるか!!チビ、行くぞ!」
「ワンワン!」
「なんだって!?お前本気か!?」
「ワン!」
「ったくわかったよ!ゲンさん、ついて来い!チビに感謝しな!」
「すまないな…それでは行こう。」
「どうやらミーのコピーの運命がチェンジしたみたいだね。」
金髪のロン毛の男がそう言って立ち去っていった。
~十六夜の祠~
「ん?誰かあの上に乗っているぞ?誰だ?」
八岐大蛇の上に乗っているのは黒髪の少年と金髪の少年クロウだ。
「ワンワン!」
チビテラスがジャンプして黒髪の少年のところに近づく。
「まて!チビ!様子が変だ…!」
ところがイッシャクはそれを止め、黒髪の少年に違和感を感じる。
「よく来たな…日の御子、いやクマ公。」
「その声は…!悪路王!」
「そうだ。我はこの光の器と合わせて最強の存在になったのだ。おまけに有能な部下も手に入ったしな…」
「どういうことだ!まさかクロウ!お前が…!」
「その通りさ、ミーは悪路王様に忠誠を誓ったんだ。」
「ふむ…その男は見覚えがないがまあいい。貴様も特別な舞台を用意してやる。」
悪路王はそういい、玄間達を移動させた。
~闇の空間~
「これからは闇が光を支配する時代だ。故に、日の御子よ…見せてやろう。闇と光を手に入れた者の力を!」
悪路王がそういい、闇の力を出す。
「なんて野郎だ…!化け物だせ…」
イッシャクがそのデカさにひるむ。無理もない。普通であれば灯台下暗しになるほどの力の持ち主にあうことはないから慣れていないのだ。
「…!これが悪路王の力…」
玄間も悪路王の力に驚く。だが顔を余裕そうにも見えた。
「ゲンさん、ひるむんじゃねえよ!かなりの力を持っているのは確かだ!だけど勝てる!」
イッシャクが玄間を見て怯んだことに活を入れる。
「俺が待っていたのは…この力なのか…?」
玄間はイッシャクの言葉を無視して、ぽつりぽつりと語る。
「ゲンさん?」
「こんな程度のものだったのか!!」
そして、玄間は悪路王以上の力を出す。
「なっ…!」
「なんてモンスターだ…!」
今度は悪路王とクロウが驚くことになる。無理もない。玄間は少年時代に八岐大蛇を倒し、それ以上の化け物達と戦い勝った。それゆえに悪路王達が驚くほど力を持っているのは自然の摂理だ。
「ゲンさん…すげぇ、すげぇぞ…!」
「まだこれなら曽祖父様達の方が上だったな。がっかりさせてくれる…」
玄間は悪路王に厳しい評価を与え、落胆した。
「こうなれば…!やれ!」
悪路王はチビテラスと戦い負けた大妖怪達を集め、玄間に一斉攻撃をかける。
「ウザい。木遁の術!」
しかし、玄間は攻撃を木遁で防ぎ、そのまま大妖怪達を絞め…粉々にした。
「何というやつだ…!」
「悪路王様、ここはミーにお任せを!」
クロウが玄間の目の前に現れ、立ちふさがる。
「…面倒な奴だ。結界術・天災の輪。」
玄間がオリジナルの技である結界術をクロウに向けてやりその中に閉じ込めた。
「ノォー!」
展開がついていけないほど玄間の力は強く、悪路王達が哀れにも思ってしまうのは仕方ない。
「使えん奴だ…我が直々に倒す!」
悪路王がそう言うとチビテラスとは真逆の黒い仔犬の姿をした闇の塊が出てきて、悪路王を乗せた。
「覚悟!」
そして、悪路王と玄間の戦いが始まった。
~西安京~
「…!巫女長様。」
「ええ。行ってらっしゃい。カグラ。」
~龍宮~
「ナナミ。行くべき場所へ行きなさい。」
「オトヒメ様…わかりました!」
~マンプクの家~
「マンプク。私はもう歩けるから友達のところに行きなさい。」
「おっかさん…!でも…」
「ほら、とっとと行く!行かなきゃ私のご飯無しよ!」
「う…そこまで言われちゃ行くっす…それとおっかさん、ありがとうっす!」
~闇の空間~
「よっ!」
玄間は悪路王の攻撃を避けて挑発をする。
「おのれ…!ちょこまかと!」
流石にイラつき始め、悪路王は焦る。
「あらよっ!」
「くっ…!」
今度は玄間が悪路王に攻撃し、悪路王は回避にギリギリ間に合いホッとする。
「ほら、どうした?」
しかし、玄間の攻撃は終わらない。悪路王にギリギリで避けるスピードで連続で攻撃し、慌てさせる。
「おのれ…人が大人しくしていれば調子に乗りおって…!」
「で?何か見せてくれるのか?」
「ああ!見せてやる!…」
悪路王がそう言うと筆技を使う…
「竜巻!」
しかも、防御と攻撃の両方を備えた筆技だ。
「これで我には近づけまい!フハハハハ!」
「…風遁・大突破の術!」
しかし、玄間は印を結び、風遁で悪路王の出した竜巻をかき消した。
「な、なんだと!?そんなはずはない!!いかに劣化しているとはいえ、いかに相手が強い風の技を持っていたとはいえ!筆技で出した竜巻が消えるはずがない!!」
一方…それを見ていた観客は…
「玄さん無茶苦茶に強えな…」
イッシャクがそういい玄間を評価する。
「クゥ~ん…」
チビテラスがそれに反応し、自分の出番がないと少し悲しむ。
「わわわっ!」
いきなり、オレンジ色の団子…ではなく少年マンプクが降ってきた。因みにチビテラスをマンマルと呼んでいる。
「な、なんだ!?」
イッシャクがそうこう言っている間にもマンプクが地面に近づき…そして…
ドス~ん!!
そんな効果音が辺りに響きわたる。
「いたた…カグラさんは相変わらずむちゃする…!」
マンプクがセリフを言っている間にマンプクの上に人魚のナナミが降ってきた。
「あっ!白ナマコちゃん!」
「ワン!」
チビテラスとナナミは知り合いであり一緒に旅をした仲でもある。しかし、チビテラスはナナミに白ナマコと呼ばれておりろくな呼び名ではないのは確か。
「ダサクマっ!」
その声を出したのは空を飛んでいる少女カグラだった。カグラは子役と巫女を掛け持ちしており複雑な経歴の持ち主だ。カグラはチビテラスのことをダサい隈取りをしているからダサクマと呼んでいる。やはりネーミングセンスがないのは当たり前。
「それよりも何しに来たんだ?お前たち?」
「当然!悪路王をぶちのめしに来たのよ!」
「そうっす!マンマルを助けに来たんッす!」
「あれを見ている限り、その必要はないみたいだけど…」
ナナミがそう言って、悪路王の方を見てみると悪路王が動けないほど疲れきっており、逆に玄間はピンピンしており余裕だ。
「さて…お遊びはここまでだ。そろそろ決着をつけよう。」
「な、なにっ!」
その後は圧倒的だった。一撃で悪路王を吹き飛ばし、クニヌシの身体からはじき出した。二撃で悪路王の身体はボロボロになり、三撃目でとうとう…
「死ね。」
玄間はそう言って、悪路王を倒した。
「さてと…そこの金髪?」
「!?…何かようかい?」
「お前の口ぶりからするとそこの仔犬と仲間だったみたいなことを言っていたがどういう関係なのかな?」
「ミーは独り。それだけさ。」
「ばかっ!」
カグラがクロウを殴り飛ばす。
「あんた、馬鹿じゃないの!?一番ダサクマにいたのは私でもその子でもないのに独りですって?ふざけんじゃないわよ!」
カグラがクロウに対して独りじゃないと説教をする。
「そうだぞ!クロウ。チビが言うにはチビを乗せた相棒全員とも会っているらしいじゃねえか?」
「…そうだとも。」
「ならオイラ達よりも独りじゃないッす!それに…人間誰しもが悩むことなんてあるッす。どんな悩みか知らないけど少なくともオイラは悩んだッす。だけどマンマルのおかげで目が覚めたッす。人間なんてのは誰かに頼れば悩みを解決出来るからオイラ達を頼って欲しいッす!」
「そうよ!私達を信じて欲しいわ!」
マンプクやナナミもカグラの言葉に便乗し、クロウを説得する。
「…サンキュー。」
「ほら、泣くんじゃないわよ。」
カグラがそう言ってクロウをあやす…
「ミスター…どうやらユーがいなければミーは死んでいた。サンキュー。」
「礼には及ばないさ。」
「私からも礼は言わせて貰うわ。ありがとう!」
「ありがとうございます!」
「ありがとうッす!」
「じゃあな…どうやら時間のようだ。あとはお前たちで道を切り開け。さらばだ少年少女達。」
そう言って玄間はまた他の世界へと向かった。