~幻想郷~
「さて…参ったな。」
そう呟いて歩くのは千手玄間、40超えているおっさんである。
「…(馬鹿にされた気がするが、ま、いいか。)」
とそんなことを考えつつも玄間はしっかりと歩き、得意の感知で人がいそうなところに向かっていた。
実を言うと、玄間は悪路王討伐からカッコ良く立ち去ったのは良かったものの、自分の世界に戻ろうとして時空間忍術を使おうとしたところ、邪魔が入りこの世界に来てしまったわけだ。
その上、黒い服を着た金髪の幼女が自分を食べようとしたので幻術をかけて追っ払った。今日の玄間はついてなさすぎる。
「ついたか。」
到着したところは幻想郷唯一の人里であり、ハクタクが人里の守護者という意外性の里である。
「まあ、何にせよ…現金はないし、これでも売って金にでもするか。」
そう言って玄間が取り出したのは金剛石…つまりダイヤモンドである。
玄間は錬遁という特殊な忍術を使える忍びである。話しが長くなるので要約すると錬遁は錬金術と似たようなものである。
「質屋か宝石店はと…あった!」
玄間がそう言って見渡すとご都合主義補正で早速見つかった。
「いらっしゃいませ。当店に何のようですか?」
「これを売りたいんだが…」
そう言って玄間はありったけのダイヤモンドを出す。その中には180カラットのダイヤモンドもある。
「これは…!」
「どうだ?」
「1000万円ですね。」
「1000万円だと?安すぎないか?」
「あ…お客様。ひょっとして外来人の方ですか?」
「外来人?」
「その反応だと外来人で間違いなさそうですね。ここの1円の価値は100円に相当するんですよ。」
「そうか…」
「ですから1000万円は適正価格です。」
「まあ…確かにな。(作り物だし…金をせびるのはやめておくか。)じゃあそれで頼む。」
「では1000万円御受け取り下さい。」
店主はそう言って玄間に1000万円を渡した。
「それはそうと…この資金で何をするかだな。」
そう手元に金を持っていると…
「ちょっとおじさ~ん。いい金持ってんじゃん。」
チンピラ達が絡んできて、玄間に金をせびりにきた。
「あ?誰だてめえ…」
「僕達はおじさんには用は無いんだよ。そのお金に用があるんだよ。」
「というわけで痛い目会いたくなかったら、おじさんのお金渡してくれる~?」
チンピラ達はうざい程金を要求してきたので玄間は半ギレ。
「そうか…そんなに金が欲しいならくれてやる…ただしこれに耐えることが出来たらの話だがな!」
玄間はそう言ってチンピラに万華鏡写輪眼を使い、月読をかけた。
~精神世界~
チンピラ達が縄に縛られており、抜け出そうとしてもびくともしない。
「え?なんだよこれ…!」
一人のチンピラがそう言うと玄間が現れた。
「ここはお前を苦しめるだけに出来た空間だ…さあ、永遠とも言える苦しみを味わえ。」
「「「ぎゃあぁぁぁ!」」」
~現実~
「もういいか…」
玄間は月読を解除し、チンピラ達をGと名のつく虫以下の目で見た。
「現実じゃ、どんな処刑方法がいいか?クズども。」
玄間はチンピラの前で少しだけ殺気を出し、脅した。
「ひいぃっ!」
「助けてくれ~!!」
「化け物だ、あいつは!!」
チンピラ達は逃げるように去っていった…
「少し大人気なかったか?」
「あ、あの…!」
玄間が歩き始めると顔つきの割りに小柄な銀髪の女性が話しかけてきた。
「ん?」
「懲らしめてくれてありがとうございます!」
「もしかして、あのチンピラ達の被害者?」
「…あいつらはつい最近外からやって来たんです。本当に最初は真面目に仕事をしていたんですが、里の人と折り合いがつかずに金をせびるようになって…」
「あれに至ったと…」
「はい。」
「それはそうと礼はいらないぞ。俺は正当防衛のために懲らしめたんだ。」
「えっ…?でも…それでは私の気がすまん。」
「どうしても礼をと言うなら…宿を紹介してくれないか?」
「ああ!それくらいなら、私の家を貸すぞ!」
「いや…流石にそう言う訳には行かない。俺は結婚している身だ。もし泊まって、そのことがばれたら…」
シロイの場合、玄間に対する罰は子供の頃に戻し、子供扱いされる。いわゆる赤ちゃんプレイならぬショタプレイだ。
「いやすまない…」
ばれたら離婚となると解釈し、納得した。
「そう言う訳だから、宿まで案内してくれないか?」
「わかった、案内するよ。」
~数十分後~
「ここが宿だ。」
「それはそうと貴方の名前は?」
「上白沢慧音だ。そちらの名前は?」
「千手玄間、外来人だ。」
「じゃあ玄間。また明日。」
「上白沢殿もな。」
~翌日~
「ふう…いい朝だ。」
玄間はこの平和ボケした世界で久々に一度に2時間以上眠れた。
暗部やそれ以上の忍びは暗殺されないために近づいてくる気配を感じ取ってしまい、その度に起きるため一度に眠る時間が少ない。玄間の場合多くても30分以下だ。
「さて…とりあえず、情報収集と行こうか。」
玄間は宿から去り、歩いて情報収集に向かった。
「ん?なんだこりゃ…」
玄間が道端で拾ったのは『文々。新聞』と言う新聞で烏天狗の射命丸文が書いている新聞だ。
玄間が見た感想は…
「(ひでえ内容だ。一見普通の記事に見えるが変なところを拡大解釈して、普通のところを縮小している…捨てられるわけだ。筆者には会わないか弱みを握って置かないとな…)」
玄間は一発で『文々。新聞』の欠点を見破り、文の評価を下げた。
「ちょっと…そこのダンディなハンサムさん…私といいことしない?」
いきなりスキマと呼ばれるところから胡散臭さ全開で玄間を呼び出したのは、スキマ妖怪、妖怪の賢者などの二つ名を持つ、八雲紫。
自称永遠の17歳だ。
自他称から紫はかなりの美人であり強者でもある。そのため自分の魅力や強さで引きつけるカリスマもある。故に一般人に声を掛けたらどうなるかと言うとカリスマに引きつられてしまうのが普通だ。
「…」
それを玄間はガン無視…というか性欲はシロイしか出ないようになっており、ドMでもないのになんでわざわざ胡散臭さ全開の女性に従う理由があるのか?もちろん一般人はNoだ。玄間も例外ではなかった。
「あの…もしもし?」
流石の紫もガン無視されるとは思って無かったのか動揺し、玄間にどう声を掛けるべきか迷い、そのセリフが出てしまった。
「…」
当然の如く玄間はガン無視。
「えーと…お兄さん?」
今まで紫は妖怪の賢者だのなんだのと言われたがこの態度には相当なショックである。
「…」
しかし、玄間は相変わらずの無視。ここまで無視すると胡散臭いと言われている紫が哀れである。
「無視しないで~、ゆかりん泣いちゃうよ?」
紫は泣き落としに入ったのか玄間の袖を掴み、情けない格好で引っ張る羽目になった。
「…」
「ちょっと、止まりなさいって!」
「なんなんだ…お前は。」
やっと玄間は止まり、紫の方を向いた。
「う~ん…」
「話しが長い。帰る。」
紫が、唸った瞬間に玄間は歩いて行った。
「あなたの元の世界に帰る方法聞きたくないの?」
紫がシリアスな声で玄間を呼び止める…
「その必要はない。俺はもうとっくにその道を知っている。」
が、しかし玄間には無駄だった。玄間はとっくに帰る方法を見つけ、その準備も終わっている。そのため紫に道を教えて貰わなくても良い訳だ。
「…え?」
「つまり、俺はお前を当てにする必要もないということだ。」
「そう…なら死んでくれる?」
そう言って紫は玄間に弾幕を打つ。しかしただの弾幕ではない。その直線的だが、初速が速く頭を確実に狙う暗殺用の弾幕だ。もちろん普通の人間は愚か中級クラスの妖怪くらいは避けれずに当たり死ぬはずだ。
「おい…なんの真似だ。」
しかし玄間は首を少し動かしよけた。玄間は忍び…つまり暗殺業も兼ねている仕事だ。その中でもトップレベルの強さを持つ玄間が見抜けないはずが無い。
「貴方はこの幻想郷にとって害でしかない。だから死んで貰うのよ。」
「くだらねえ…だが俺の邪魔をするなら女子供であっても容赦はしねえぞ…?」
そう言って玄間はかなりの殺気を出す。
「ぐっ…!!何をしたの!?」
紫が玄間の殺気にやられたせいで胸を抑え、膝をつく。
玄間の殺気の量は半端ではなく、少しの殺気だけでも多くの人間を殺せるほどだ。それがほぼ全開なら…?言うまでもない。大妖怪ですらも膝をつく程度のまでなら出来る。もちろん紫も例外ではない。
「俺はただ殺気を出しただけ…それでビビる程度じゃ、俺の相手ではない。去れ。」
「ふふふ…誰がビビっているですって?」
「そうか。そんなに死にたいのか?平和ボケとは恐ろしいものだ…死の恐怖を理解出来ないものだからな。」
「私を舐めるな。化け物が。」
「舐めるな、だと?舐めているのはそっちだろうに…」
「なっ…!これは!?」
「封印術・妖魔オリ地獄。」
「しまっ…!」
紫はオリに閉じ込められ、出れなくなった。
「それは特定の術者がこの世界にいなくなれば解ける。忍法・亜空移動!」
玄間はネーミングセンスが無い術でまた異世界から移動した。
「本当に解けたわね…おまけに害までなかったし…なんだったのかわからなくなるわ…」
紫はそうぼやいて自分の家をつなぐスキマを作り、移動した。