なお間に合わぬ模様
幕間の物語 -青い天と白い聖夜-
12月25日
世間一般でいうクリスマスである。
仲の良い友達同士でパーティーをしたり、
恋人がいる者は恋人持たざる者に嫉妬の目を向けられながら愛する人との1日を楽しむ。
当然遊びたい盛りの女子学生たる麻雀部の面々+咲も例外ではない。
今日は麻雀部の部室を丸々装飾してクリスマスパーティーである。
さて、そんな彼女達がパーティーでやっていることというと、
一緒に用意した料理やお菓子を食べながら、楽しく麻雀をしている。
…よく考えたら部屋が豪華に装飾されている以外は普段とあまり変わっていないのではないだろうか。
さて、彼女たちは今も麻雀をやっているようだ。少し様子を見てみることにしよう。
おや?何やら様子がおかしいようだ。
卓には元気いっぱいの咲と衣の二人、
それと対象的に死んだような表情をしている一、その後ろには屍のように動かぬ純と智紀。
目からハイライトが消え、人生のすべてを諦めたような表情の透華。
なぜ、こんな自体になっているのか?
それは少し前に遡る。
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「…一つ気付いたことがあるんだけど」
クリスマスパーティーということで部室を飾り付けし、部員と咲の6人でかわりばんごに麻雀をしていた所、
純がぽつりとつぶやき出した。
「これ、いつもと変わりなくね?」
「…言われてみればそうですわね」
部室に集まってお菓子食べながら麻雀を打つ。冬休み中とは言えやっていることは普段と変わらないことに、
純以外の面々は、指摘されて初めて気づいた。
「じゃあさ、普段と違う麻雀をするっていうのはどう?」
そう提案したのは一であった。今思えばこの提案が後の惨劇を招いたのだろう。
「普段と違う麻雀か…」
首を傾げる衣。
それを見て咲がこう告げた。
「だったら青天井ルールとかどう?」
こうして、惨劇は始まった。
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青天井ルールと言うものに関して、軽く説明をしたいと思う。
通常、麻雀の点数計算には
「符数」×「2の(翻数+2)乗」×「和了り方による倍率補正」
という計算式が使われている。
しかし、これによって計算すると4翻以上を上がった際に1翻増えるごとに爆発的に点数が増加してしまうため、
満貫や跳満などのリミッターが掛けられている。
そのリミッターを外し、際限なく点数が上がるルールを青天井ルールと呼称する。
青天井ルールにも様々な内訳があったりなかったりするのだが、
今回はひとまず、「役満は13翻役」「役満の際の複合役は一部例外を除いて全て重複する」というルールで麻雀をやることになった。
「ロン!三暗刻対々和役1ドラ3!50符8翻は20万4800!」
「さすが青天井、点数が派手になるねー」
最初はまだ平和だった。
「ツモ!三暗刻三槓子対々和役2ドラ4!70符12翻は229万3800オール!」
「数え役満一歩手前じゃん!さすが咲だな!」
このあたりから何かがおかしくなって来た
「ツモ!四暗刻混老頭対々和役牌3ドラ8!50符28翻は536億8709万1200、1073億7418万2400!」
「やばすぎ」
さて、青天井は通常の麻雀と異なる点が幾つかあるが、
その一つとしてこの爆発的な点数上昇に伴って…
箱割れが存在しない というのがある。
故に、テンションの上がった魔王二人に、他の面々は抜け出すことの許されぬ地獄に付き合うこととなる。
「ロン!リーチ河底撈魚混一色混老頭小三元対々和三暗刻三槓子役1ドラ32!140符50翻は378京3023兆6869億9121万6600!」
「ツモ!字一色四槓子三暗刻嶺上開花役4ドラ72!140符105翻は908溝6519穣5024じょ3594垓8349京9283兆6857億6135万1700!」
魔王のクリスマスはまだ終わりそうにない。