一対の魔王   作:ウィナ

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次回になりました


10話 清澄

京太郎に連絡をした数日後、咲は何故か龍門渕高校ではなく清澄高校に来ていた。

 

なぜ清澄に来たのかというと、ひとえに京太郎への頼み事が関係している。

 

◆ ◆ ◆

 

「咲から連絡とは珍しいな。頼み事ってなんだ?」

 

「ちょっと去年と一昨年の麻雀のインターハイの牌譜と部員の情報を集めてほしいんだよねー」

 

「これまた珍しい頼みごとだな…咲って麻雀やってたんだな」

 

「京ちゃん知ってて言ってるでしょ?」

 

「ははは、悪い悪い」

 

京太郎とは長い付き合いである。

咲が麻雀好きであることも、中学で麻雀部を出禁になっていたことも知っている。

 

「で、頼まれてくれない?京ちゃんそういうの得意でしょ?」

 

「まぁ、別に構わないぞ。ちょうどうちの麻雀部のために資料集めてたし」

 

「え、京ちゃん麻雀やってたの?」

 

「最近始めたばかりだけどなー」

 

「言ってくれたら教えたのに」

 

「中学のときは興味なかったからな」

 

「そっかー」

 

「まあ、数日あれば資料まとめられると思うから、家に届けに行くわ」

 

「あ、ごめん京ちゃん。言い忘れてたんだけど引っ越ししたんだよね」

 

「え、マジで?じゃあどうすっか…」

 

「私が取りに行くよ。清澄高校だよね?」

 

「ああ、助かる。じゃあ資料まとまったら連絡するわ」

 

「お願いねー」

 

--------

 

というわけで京太郎の資料を受け取りに清澄高校へやってきたのだ。

しばらく校門前で待っていると京太郎がやってきた。

 

「おっす咲。わざわざ来てもらって悪いな」

「気にしなくていいよ。それより…」

資料を受け取りに来たのだが京太郎は手ぶらである。

 

「ああ、ちょっと訳あってな。悪いんだけど部室まで取りに来てもらえないか?」

「…まあ、頼んだのは私だから構わないけど、大丈夫なの?」

「大丈夫だろ。多分」

 

そう言って京太郎の案内によって旧校舎にあるという麻雀部部室へ向かった。

 

ちなみに後日、京太郎が龍門渕の制服を着た女子と旧校舎へ行ったという話が広まって京太郎が苦労することになるがそれは別な話。

 

 

 

清澄高校麻雀部。

透華の話によると去年は清澄高校は団体戦に出場していなかったらしい。

今年はどうなのかそれとなく京太郎に聞いてみたところ、女子団体はもしかしたら出るかもしれないと言っていた。

 

旧校舎の一室、麻雀部と書かれたプレートがあるその部屋へやってきた。

 

「お疲れ様でーす、この前言ってた中学の時のクラスメイト連れてきましたよー」

 

部屋に入ると旧校舎と言う割にはしっかりとした内装の部屋に雀卓一つ、本棚が幾つか置いてあり、何故か保健室にあるようなベッドも置いてある。

雀卓には何かを食べている小さい子とどこかで見覚えのある大きい胸の女生徒。

それとなぜか置いてある教員用の机に腰掛ける赤みがかった茶髪の女生徒。全員清澄の制服を着ているので部員で間違いないだろう。

 

京太郎の言葉に反応したように皆こちらを向いた。

そして茶髪の女生徒がこちらへやってきて、

 

「いらっしゃい。須賀君から話は聞いてるわ。ここで部長をしている竹井久よ」

「はじめまして。宮永咲です。 …ちなみにどんな話ですか?」

 

「中学のときに麻雀部を出禁になったって話ね」

「京ちゃああああああああああああああん!」

 

--------

 

左頬が赤くなった京太郎をベッドに安置し、話を続ける。

 

「さて、宮永さんは須賀君の纏めた過去のインターハイの資料を貰いに来たのよね」

「はい、その通りです」

「まあ、約束したのは須賀君とはいえ、元々は私達が使うためのものだった訳だし、他校の生徒にはいどうぞと簡単には渡せないのは分かるわよね?」

「…つまり?」

 

「一局付き合って頂戴」

 

咲は表情にこそ出さないが、内心ほくそ笑んでいた。

 

◆ ◆ ◆

 

「いいんですか?他校との交流試合ってやっちゃダメなんじゃ…」

 

「今はインハイ期間中じゃないから大丈夫よ」

 

須賀君が連れてきた龍門渕の女生徒。宮永咲。

彼が言うには中学時代に麻雀部を出禁になったらしい。

目の前の彼女は粗暴な性格には見えない。出禁になるようなこととは一体何だったのかという興味。

そして去年の長野代表であった龍門渕の新入部員とはどれほどのものなのか。

 

竹井久は高校3年生だ。

高校生活最後の年に初めてのインハイ出場、不安がないわけではない。

とはいえ出るからには長野代表、ひいては全国優勝を狙いたいのは贅沢ではないだろう。

目の前の女生徒が龍門渕の主力だとは思わないが、それでも今の自分達の実力が昨年の代表校にどれぐらい通じるか知りたい。

故にこのような取引を持ちかけたのだ。

 

「構いませんが…まさかほしければ私達に勝ってみろーとかそういう話ですか?」

「いやいや、普通に一局してくれれば大丈夫よ」

「そういうことであれば…」

 

こうして咲と清澄高校麻雀部の小さな交流戦が始まった。

 

 

--------

 

 

結果だけ見ると普通であった。

特異な打ち方をするわけでも、珍しい役を和了るわけでもなかった。

 

だが途中で目を覚ました須賀君が途中から対局を眺めていたのだが、何やら言いたげな表情であった。

対局後、咲は渡す用に纏めておいたファイルを受け取り、その後は特に何かするわけでもなく帰っていった。

 

その後須賀君に話を聞いたところ気になることを言っていた。

 

「なんか…隠し事をしているときみたいな表情してたんですよね」

 

◆ ◆ ◆

 

突然対局をすることになって少し焦ったが、もしかするとインハイで相手になるかもしれない相手、

しかも過去のデータの無い清澄高校の実力を量れるとなれば受けない理由はなかった。

かといって全力を出して相手に情報を渡すような真似はしないし、相手もそうだろう。というか部長に関しては明らかに実力を隠蔽していた。

多分こちらが力を見せていないのもバレているだろう。

 

それより気になったのは胸の大きな方の女生徒である。

途中で思い出したが確か全中覇者原村和のはずだ。

だが今日戦ってみた感想としては中途半端であった。

デジタル打ちなのは間違いないがそれにしては小さな穴が多い気がする。

それとは別に何かを秘めているような感じ(・・・・・・・・・・・・・・)も受けた。

 

タコスを食べていた女の子のほうは分かりやすかった。

東場に強いが南場に弱い、速攻型の打ち手だ。

 

--------

 

貰った資料を元に他校を推測する。

 

資料を眺めて思ったが、タコスの彼女のような速攻系の打ち手は先鋒として出てくることが多いらしい。

先鋒で得たアドバンテージを次鋒と中堅で守り、副将と大将の負担を減らすといった構成が多いようだ。

 

次鋒と中堅は防御力を重視するか、先鋒で得た相手のアドバンテージを崩すような打ち手が多く見受けられた。

つまり堅実な立ち回りをするか、あえて定石を外す立ち回りで相手のテンポを崩すような打ち手が多い。

 

そういった立ち回りで優位を得る、或いは他校との差を縮めた後、

最終的には副将と大将によって試合を畳む。そんな印象を受けた。

 

純粋な能力で言えば【大将>先鋒>副将>中堅>次鋒】の並びが鉄板のようだ。

とはいえエースが先鋒のパターンもそれなりにあるみたいだが…

 

(…さて、大雑把に考えたらオーダーはこんな感じだけど…あとは衣ちゃんと相談してからかな)

 

今の所の実力ではこんな感じ。

でも特訓の成果によっては変わるかもしれない。

特異な打ち手というのは何の拍子で目覚めるのか分からないから。

 

 

県予選まで、もう1月を切った。

 

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