文字数が少ない -514点
いつもの龍門渕高校麻雀部の部室。
何時もより何処か緊張感のある部員たち。
雀卓をどけて置かれた椅子に座りテーブルの上で手を組む衣と、その隣に立つ咲。
後ろにはホワイトボード。
そこには龍門渕高校の今年の選抜メンバーと、オーダーが書かれている。
「…なんというか、予想外だな」
ぼそりとそう呟く純。
「…一応、解説してくれますわよね?」
「もちろんです。ただ、先に断っておきますが、このオーダーは私の独断ではありません」
「うむ、どちらかと言うと衣のワガママのほうが強いかもしれないな」
ホワイトボードには黒いペンで、簡素に、ただ5人の名前が並んでいた。
先鋒 龍門渕透華
次鋒 井上純
中堅 国広一
副将 天江衣
大将 宮永咲
◆ ◆ ◆
咲は何処と無く重い空気を感じつつも、口を開いた。
「それでは、解説したいと思います。
まず、私達6人の純粋な実力…能力を加味した上での並びとしては、私と衣ちゃんがトントン、ついで透華さん、そして一さんと純さん、最後に智紀さんになります。
個々人の能力等によって評価したので、能力を持たない智紀さんは必然的にメンバーから外れてしまいました。ごめんなさい」
「いえ、私は気にしてませんから」
「続いてオーダー順ですが、先鋒にエースや速攻型の打ち手が来たときに、能力封鎖で失点を無くす或いは減らす事ができるので、透華さんを先鋒にしました」
「前半の東場ないし半荘は攻めてもいいかもですが、相手の能力次第では即封鎖も視野に入れるべきでしょう」
「次に次鋒と中堅。基本は防御重視ですが、可能であれば攻めていきましょう。二人の能力であれば応用が利くはずです」
「おうよ、任せておきな」
「いやー、まさか僕も透華たちみたいな能力者?になってるとは思わなかったなぁ」
「とはいえ一さんの能力はまだ発展途中なので、そこは特訓しましょうね?」
「最後に副将と大将なんですが…私としては能力との相性的に衣ちゃんが大将のままでいいと思ったんですけど…」
「そこから先は衣が説明しよう。まず、咲は全力の衣より強い。今までも打ってきた通りだな」
「相性が出てるだけだと思うけどね」
「次に時間だ。基本的に団体戦は朝から夜まで、1日で終わるんだが…どうも過去に大将戦だけ日を跨いで行った事があるらしい。
そういう可能性を考慮すると、衣の能力はひどく不安定だ。安定感のある咲のほうが大将にふさわしい」
「そして何より…全国団体決勝の大将戦で、咲と照がぶつかるところを見てみたい!」
「個人戦でも見れるかもしれない。でもそれとは別に、二人が互いの高校の麻雀部を背負って、死力を尽くす様が見たいのだ!」
「お姉ちゃんにも楽しみにしてるって言われちゃったしね。今年の春季大会でもお姉ちゃんが大将だったから、多分大将で出てくるはず。唯一の懸念事項は淡ちゃんなんだけど…」
「あの実力で大将に出張ってこないだろう。あの能力はどちらかというと先鋒向けだ」
「…ということです」
「主な戦法としては先鋒戦はエース級の能力者相手なら能力封鎖で失点を抑える。そうでないならデジタル打ちの精度の高い透華さんなら負けません。
次鋒、中堅は基本的に防御。無論、攻めるところは攻めていきましょう。
去年の衣ちゃんの活躍を見ている他校は、衣ちゃんの出番までに試合を終わらせたいはず。その焦りを刈り取っていけば、点を守ること自体は難しくないはずです。
点数が残った状態で副将までもつれ込めば、後は衣ちゃんと私で全部消し飛ばして終わりです」
◆ ◆ ◆
「…以上が大まかな龍門渕高校麻雀部の作戦と、オーダー内容になります。何か質問などがあればお願いします」
「咲が友達に譲ってもらったとかいう資料と、今までの練習を見て決めた結果なんだろう?俺は特に言うことねぇよ」
「そうですね、咲さんの分析力は麻雀部随一ですし」
「やっぱり頭いいよねー…春季テスト学年10位以内だったんだって?」
「で、出来ればその話は掘り返さない方向で…」
「それで、今後の特訓はどう致しますの?」
「はい、今後も引き続き地力の強化、純さんと一さんの能力の強化、可能ならば拡張がメインになります。それと並行して他校の研究も進めていければとは思ってます」
「…もう2週間無いんだね」
「衣たちならば何の問題もない!」
「今年こそ全国優勝、だな」
「私も陰ながら応援します」
「勝つのも大事だけど楽しまなきゃだね」
「まずは地区大会、油断せずに行きますわよ!」
「「「「おー!」」」」
えっと、解説という名の言い訳(作中で語れないオーダーの理由)を書こうと思ったんですけど、
時間が足りないのですいませんが年明けに活動報告のほうでさせていただきます。
あと、感想を返せてないのでちまちま返していければと思います。
来年も影に隠れてちまちま更新する予定なのでよろしくおねがいします。