その割には大した書いてない…(3k到達せず)
今後も筆が乗らないとこんな感じになる可能性がありますが、首を長くしてお待ち頂ければと思います。
僕も頑張ります。
部屋を一足先に出た咲と衣の二人は、卓の準備をする傍らとある話し合いをしていた。
「お姉ちゃんの後輩で淡ちゃんって言うんだけど、お姉ちゃん曰く淡ちゃんを倒して欲しいらしいよ」
「そうなのか?確かにある程度できそうな感じではあるが、わざわざ咲と打つほどじゃないと思う」
「うん、私もそう思う。でも実力を隠している可能性も否定できない」
そう言うと咲はポケットから飴玉を取り出し、
「なので、1局目は様子見をするよ」と言った。
「様子見をして、私の出番があるようなら本気を出すけど…」
「けど?」
「そうでないなら淡ちゃんは『譲る』よ」
◆ ◆ ◆
二人が部屋を出ていった後、透華も
「私も少し用事があるので離れますわ。客人も増えたことですしお菓子も多めに用意させないといけませんわね」
と言って部屋を出ていった。
部屋には照と淡の二人きりとなった。
そのタイミングを見計らっていたのか淡が口を開き、
「ねえテルー、これは予定通りなの?」と聞いてきた。
「予定通り?」
「だって今年のインハイのMVPでしょあの子。サキと打たせるって言いながら天江衣と打たせるのが目的だったってことじゃないの?」
照はなるほど、と思った。
今まで全くと行っていいほどメディア露出は勿論公式の場に姿を現さなかった咲より、今年大暴れした衣のほうがメインに見えるのは仕方ないことだろう。
「私もこうなるとは思ってなかったよ」
「そうなの?」
「でもいい機会だと思う。思う存分打ったらいいよ」
「でもなー、本気を出す必要あるのかなー」
「そうやって油断して一度酷い目に合えばいい…」
「ん、照何か言った?」
「なんでもない」
---------
その後、卓の用意を終えた二人と共に透華も戻ってきて、いよいよ対局といった流れになった。
卓は衣の部屋にあるということで部屋に向かうのだがその前に照は咲を呼んだ。
「どうしたのお姉ちゃん?」
「えっとね、少し言いにくいんだけど、私は打つ気無いんだ」
「えっ、どうして?」
「というより打てないと言ったほうが正しいかもしれない。ほら、私は白糸台高校で龍門渕さんや天江さんは龍門渕高校だから…」
「あっ、そういえば他校との交流試合は出来ないんだっけ?」
「そういう事。だから楽しみにしてもらって悪いんだけど…」
「そういうことなら仕方ないよ。淡ちゃんは任せてもらっていいよ」
嘘である。
今はインハイ期間中ではないので交流試合は問題ない。
では何故わざわざこんな嘘をついたのか。
半分は淡を負かせるという目的のため。
自分が同卓してしまっては「照が強いから負けた」とでも言いかねない。
そのためには同卓しないのがベストと言える。
もう半分は保身のため。
単純に咲と打ちたくないのだ。
幼いころに散々痛めつけられたトラウマはそうそう癒えることはない。
そのトラウマを乗り越えるために編み出した『対咲最終兵器』もこんなところで使うべきではない。
故に嘘をついてでも咲との勝負を流した。
少し公式ルールを知っていれば気づくような嘘だが、咲はそういうのに疎いので問題ないだろう。
「それじゃあ私は後ろで見てるから」
そう言って衣の部屋に入って既に卓についている淡の後ろについた。
「あれ?テルー打たないの?」
「うん、私が打っちゃ意味が無いからね」
「そうなの?よく分かんないけどまあいいや」
こうして咲、衣、淡、透華による対局が始まった。
◆ ◆ ◆
「リーチ!」
東一局1巡目、その声と同時に淡は牌を横に倒し1000点棒を場に供給する。淡お得意のダブルリーチである。
本気を出すかどうか悩んでいたが、実力を計る意味でもここは力を見せつけることにした。
(MVPって言っても所詮は1年。テルや私には届かないでしょ)
数巡後、当然のようにツモ和了り。裏ドラも乗せてダブリードラ4の跳満。
(うん、調子はばっちり。三人まとめてさっさと飛ばして凹ませてやろうっと)
自分の調子を確かめるように牌を倒す。その姿には慢心が見え隠れしている。
故に他人のことなど気にもしてないし、ましてや薄ら笑いを上げる魔王達に気づくこともできなかった。
----------
南4局終了
咲 13000 △17
衣 11600 △18
淡 66400 +56
透華 9000 △21
1卓目が終わり、点数だけを見れば淡の圧勝。
しかし、誰も飛んでいないから少し不満げな淡。何故かしかめっ面してる照。
そして大敗したというのに落胆の表情など欠片も見せない透華。勝った本人より笑顔な咲と衣。
競技性の無い、いわゆる「遊び」であるとはいえ結果から見えない各自の表情がそこにあった。
(跳満3回しか和了れなかった…4~5回は和了って南場の途中で終らせるつもりだったのに)
不満げな表情を浮かべ、最後の和了りを見つめる淡。ダブリーのみのロン和了り。
八索の嵌張待ちのダブリーの2順後、咲が切ったロン牌に牌を倒し卓が終わった。
(とにかく、二人共テルが勿体ぶる程強いわけじゃない。何で私を連れてきたんだろう?)
疑問こそ残るが結果が全て。何にせよ勝った。一先ずはこの勝利に価値があったかは後で照に聞こう。
そう思った時、後ろで何かを考えるようにしかめっ面していた照が口を開いた。
◆ ◆ ◆
「…咲?」
それ以上は淡の前では言えない。
それを言えば一番激昂するのは淡だろう。
自分より格下(淡目線)の相手に手を抜かれたなどと言われようものなら淡がどのような暴言を言おうものか。
故に敢えて続きの台詞を伏せた。
だが咲は気づいてくれたようで。
「あはは、お姉ちゃん…
そう一言返した。
淡は持てる力の全て、とは言わないが見た限り6~8割は出していた。
格下相手にさっさと終わらせようとするときの淡の悪い癖だ。白糸台で何度も見てきている。
それでも強豪校として名を連ねる白糸台麻雀部ですら彼女に勝てるのは照だけだ。
「あ、そうだ衣ちゃん。これあげるよ」
そう言って咲はポケットから飴玉を取り出し、衣の方へ放り投げた。
衣はそれを受け取ると、
「貰ってもいいのか?」と聞き、
笑顔で首を縦に振る咲を見るとわーいと言って飴玉を口に含み…
「ではもう一局やるとしようか」
「
そう言うと目の前の赤リボンの少女は目を見開き、飴玉を噛み砕き、
子供の頃の
そのオーラを直に受けた淡は顔が引きつっているようにも見える。
目の前の少女が放つ他を圧倒する威圧感。
それを感じ照は、先程の言葉に隠された意味を感じ、寒気を感じた。
買いかぶり過ぎ?咲のことを?そんな意味ではない。
咲はこう言っているのだ。
『この程度の雑魚、私が手を下すまでもない』と。