キングダム別伝   7人目の新六大将軍   作:魯竹波

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一度くらい、やってみたいですよねこの対決。


第二十三話 李牧対昌平君

李牧も、商という存在が或いは挟撃という事態を生む可能性を全く考慮していなかった訳ではないらしいということは、商の城下に迫ってみて分かった。

 

秦の旗を掲げていながらも、そこの守備兵は趙兵に換えられていた。

 

鎧がまさに趙のそれだった。

 

流民関連の、余計な騒ぎを起こさないためだろう。

 

「た、直ちに城門…………」

 

商の城の指揮官と思われるその兵は、昌平君の矛の前にたちまち肉塊とかした。

 

僕たちは城の中になだれ込み、四半刻もかからないうちに商の城を奪回した。

 

そして。

 

「一撃必殺! 李牧の首をとるぞ!」

 

「「おおーっ!」」

 

城内に雪崩れ込んだ流民を慰撫するために河了貂さんに数百人程度の兵士がつけられ、残りの3000あまりが李牧本陣に向け、突撃した。

 

商の城に関しては、あとは、アレを待つだけである。

 

 

 

 

 

李牧軍は、流民を落ち着かせるために秦の旗を掲げていたのがかえって裏目に出てしまい、この3000に気づくのに遅れた。

 

李牧軍は予備兵の対応がままならぬまま、3000の兵により忽ち崩れていく。

 

 

 

 

李牧軍の本陣まで、あと少し………というところで、敵の陣形が変化した。

 

「あっ!」

 

信さんはこの陣形に見覚えがあるようで、叫んだ。

 

だが。

 

「フッ。 〝流動〟か。」

 

昌平君はそう呟くや直ちに軍を返し、陣形から全ての兵を出すや、

 

「この位置から流れに逆らわずに進め!」

 

一気に流れに軍を任せ、ある地点に着くや軍を返した。

 

 

そうして僕等は、瞬く間に李牧本陣に到着したのである。

 

 

 

 

「まさか、私以外に、地上から流動を見切る者がまだいるとは思いませんでした。

しかも、本能型ではない貴方がそれをやってのけるとは。

つくづく敬服致しますよ。 昌平君。」

 

李牧は剣を抜いた。

 

「飛信隊・信。」

 

と、ここで昌平君は信さんに話しかけた。

 

「なんだよ 昌平君?」

 

「龐煖はお前に任せたぞ。」

 

「ああ、任せとけ!」

 

北西方向から来るもの凄い殺気を感じ取ったのだろう。

 

そして、昌平君は矛を李牧めがけて振り下ろした。

 

李牧はそれを受け止め、一騎打ちが始まった。

 

李牧はただの軍略家かと思いきや、武力も強かった。

 

昌平君の速い矛筋に、重厚な剣筋で対応している。

 

一撃そのものは李牧の方が重いが、昌平君はその速さで李牧よりも若干、有利に一騎打ちを進めている。

 

 

 

 

一方の信さんと龐煖も一騎打ちに入った。

 

槍に貫かれて龐煖の馬が倒れている。

 

武器による間合いの差異をなくすために信さんが敢えて槍で馬から殺したのだろうか?

 

信さんは剣で龐煖は見たこともないようなバカでかい刃わたりの矛で戦っている。

 

龐煖は片手を負傷していたのか、片手に力がない。

 

それでも、信さんがなお不利かと思われたその時。

 

信さんは龐煖の矛を吹き飛ばした。

 

「るぁあああっ!」

 

そのまま信さんは跳躍し、龐煖に袈裟懸けに斬りつけた。

 

龐煖は血を吐きながらも矛を戻し、信さんの剣に矛を叩きつけ、信さんを吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、壮絶な一騎討ちの中で、趙軍の東の方向に異変が起きた。

 

 

8,9000、いや、10000程の趙軍が商の城に向かっているようなのだ。

 

「貴方たちの負けですよ。  昌平君。

貴方たちはこの李牧を挟撃する算段を立て、撤退を促すつもりだったのでしょう。

ですが、商の城は規模の割に脆い城。

戦嫌いの民も中に大量にいることでしょうし、10000で商を攻めれば、忽ち、中の民が暴れて商の城は再び我々の手に落ちる。

そして我々は武関の陥落の余勢を駆って貴方たちを殺し、一気に咸陽まで迫れば良いのですよ。」

 

 

あの一団が来ていれば、それでも堪え忍ぶことが出来る。

 

だが、来た気配は未だない。

 

李牧の言うとおりの状況が、僕たちを待ち受けているかに思われた。

 

 

誰もが諦めかけたその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は武関で異変が起きた。

 




李牧軍は兵糧を回収したら咸陽攻略に動くべきだった。
そういう意見もあるかも知れません。

ですが、咸陽では既に蕞の撃退情報が伝わっており、民の混乱が終息していたこと。

自国の暗愚な王しか知らない李牧は、嬴政という英王に深く驚いており、その力量ならば、咸陽の住民さえも死兵と化して咸陽防衛に当たらせることが可能であると過大評価し直したこと。

ならば、連戦で疲れ切ってしまっている趙の兵には咸陽攻略に必要な戦力は望めないこと。

以上の理由により、李牧は現状の戦力での咸陽攻略を諦め、武関を落として合従軍の別働隊と合流した上で咸陽の攻略に踏み切る方がより安全と考えたのです。

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