門に入ってきたその部隊はくたびれていた。
率いているのは育ちのよさそうな青年と、盾を背負った青年、そして妙な服をきている美少女だった。
旗は『麃』の旗が見えた。
麃公将軍の敗残兵らしい。
そして、僕はもう一つの旗を見つけた。
『飛』の旗。
飛信隊だ。
あの万極を隊長自ら討った飛信隊・信の千人隊だ。
率いているのは17、8の若者だというから、あの盾を背負った青年こそ飛信隊・信なのだろう。
盾を背負った青年は、威厳のある綺麗な鎧の青年にもたれかかっていた。
衛兵と覚しき人が「おい、お前この方が……」と止めにかかっていたが、それを静止していた辺り、綺麗な鎧の青年と飛信隊・信は或いは知り合いなのかもしれない。
程なくして飛信隊・信と綺麗な鎧の青年は蕞城の中央の屋敷に向かっていった。
まさか、戦うつもりなのだろうか? 飛信隊・信そして綺麗な鎧の青年は…………?
いや、まさかね………。
それからしばらくして、蕞の住民は中央の広場に集められた。
「なんだ? 降伏しようとしたことを咎められるのか?」
「いや、いくらなんでもそれは酷というものだ。」
「この絶望的圧差を、あの軍隊とて知っているだろ。」
「だよな」
蕞の住民たちにそんな空気が漂う。
だが、それは違う。
あの綺麗な鎧の青年は戦う気だ。
戦うために協力しろ そんな説得をする気だ。
降伏しようとしている民衆に説得をしようとしてもそれは無理な話だ。
それを承知しているのだろうか?
無謀な行動 だからこそ僕は彼に興味が湧いた。
「静まれい!」
台に立ったお爺さんがそう叫ぶ。
「我が名は昌文君! 秦国の左丞相昌文君である!」
左、左丞相…………? ってことはあの鎧の青年はまさか………。
「そして、ここにおられるお方こそ!
我が国の大王
第31代秦王・嬴政様である!」
?!
「なっ」
秦王…………しかも、鎧を着けて?
まさか、秦王自ら戦いに身を投じるつもりで?
あの雰囲気からして偽物ではないだろうが………
「こら章覇 頭を下げろ」
近くの大人に促され、僕は平伏した。
秦王自ら戦うとなれば、皆も戦うしかない。
大王自ら…………。 考えられないことだ。
そして…………凄い王だ。
国王とあれども亡国の危機には保身を考えるのかと思っていたけれど…………少なくとも僕が秦王ならそうしているだろう。
しかもその王は17、8才くらいときている。
興味を抱かずにはいられない。
現に
「ワシらは…………ワシらはなんと愚かなことを……。」
「咸陽の喉元という役目を忘れて…………お許しください………。」
むせび泣くものも出てきている。
蕞全体が戦う流れに傾いていた。
僕はこの秦王の行動力・決断力の凄さにただただ驚くので精一杯だった。
降伏か抗戦か………抗戦に勝算はあるのか
そもそも僕は戦が嫌いなのにな…………
などと考える余裕は僕にはなかった。
「秦王・嬴政である」
綺麗な鎧の青年=秦王・嬴政が話し始めた。
「よく聞いてくれ 蕞の住民達よ
知っての通り、60万規模の合従軍が函谷関に迫り、抗戦中である。
兵士達の奮戦により、函谷関は何とか持ちこたえそうだ。
しかし、敵の別働隊30000が南道に入り、もはや咸陽の喉元であるこの蕞に迫っている。
そして、咸陽にはこれを迎え撃つ準備はない。」
咸陽は巨大な城だ。
防衛戦は想定されていないのもあるが、何よりも兵数が足りないのと、咸陽内も混乱しているのだろう。
抗戦するのであれば、混乱をしていない蕞
この蕞こそ最後の機会なのかもしれない。
「つまり、この蕞こそが、敵を止めることが出来る最後の城だ。」
住民達「「?!」」
「もう一度言う ここ、蕞で敵を止めなければ秦国は滅亡する。」
「し、しかし、ここには軍が僅かしかおりません!」
どこからかそんな声が上がる
「承知している だが、止めるしかないのだ
この蕞で」
秦王は更に言葉を次いだ。
「恐ろしいのはわかる。
敵は屈強で、こちらは女子供も多い。
戦えば多くの血が流れ、多くの者が命を落とすだろう。
だが
そなたらの父も、またその父も、同じように血を流し、命を散らして今の秦国を作り上げた。
今の生活はその上に成り立つ。
降伏すれば。敗れたならそれらは無に帰し、秦の歴史はここで途絶える。
秦人の多くは虐殺され、残った者も土地を奪われ、列国の奴隷に成り下がるであろう
そなたらの子も、孫もまたその孫も
それを止められるのはそなた達だけだ。」
すると背後で
「オ、オイラは戦うっ!」
立ち上がった者がいた
甘秋だ。
嬴政 最終能力値 設定
武力64
知力90
政治力98
魅力100
采配88