「え?!」
「よし 負けないよっ」
いくら、相手が9才だからって、流石に未経験じゃ相手にならない。
「僕、やり方と規則をしらないのですが…………。」
「ああ。 小童ははじめてであったな。
じゃが安心せぃ。
説明してやるから。」
「ありがとうございます。」
「持ってきた~。 これ!」
「よし、とりあえず、坊主は駒を振り分けておけ。
小童が40、坊主が20だ。」
「分かった!」
その間、僕は廉頗将軍に軍略囲碁の説明を受けた。
一般の軍略囲碁は相手のその場を動きをまるきり見ることが出来、相手の動きから相手の狙いを読み、狙わんとしているものを覆したり、こちらの狙い通りに相手を誘導することもできる。
与えられる兵数=駒数は両者一定だ。
だが、今からやる廉頗式は、追加要素として、相手に動きは分からない「伏兵」と「兵数不固定」、そして「兵科」が存在する。
兵数不固定は今回は僕が40(廉頗式は1コマ1000なので、兵力40000に相当する)、楽諒が20となっているが、廉頗式においては、確率で与えられる兵数が決まる。
そして、歩兵、騎兵、弓兵、の兵科が存在し、2:1:1の割合で与えられている。
騎兵は攻撃力が凄く、弓兵は遠隔攻撃(攻撃力は弓部隊兵数の4割)が出来るが、
騎兵は伏兵設置可能数に制限が生じ(2000騎=2コマまで)、また横からの攻撃に弱い。
弓兵は近接攻撃に弱い。
(近接攻撃の相場:弓4コマ=騎馬1コマで相殺、歩兵2コマ=弓4コマで相殺)
などの特徴を有する。
また、廉頗式は、相手の順番の時は動きを見ることが出来ないなどという制限も存在する。
というところで、実際の盤面を使って戦うことになった。
盤面は合計で180くらい存在する。
閼与周辺を模した山岳の盤面や蛇甘平原に模した平原の盤面も存在するそうだ。
流石に各国の王都の周辺の模型はない。
廉頗将軍曰く、邯鄲や鄴一帯の趙王都圏のものを以前、作成したが、亡命の際に置いてきたそうだ。
そして、今回は、盆地5と呼ばれる盤面を使用するらしい。
この盤面は四方が山々で、中央に開けた盆地の更にその中央を南北に縦断する川が流れている
その山々には東側と西側に山道が通っており、その終点にあるのが双方の本陣という形になっていた。
「どうじゃ。 大体理解したか?」
「はい。」
「そうか。 ではやってみるがいい。」
「いくよー。」
楽諒が陣形を並べる。
楽諒が東側で、僕が西側である。
この軍略囲碁は戦術を競う場であり、戦術以前に戦略で決まってしまう初期配置は自由だ。
但し、いきなり敵陣前などという非常識な手は流石に禁止だが。
また、本陣も途中で動かす分には問題ない。
そして勝利条件は敵本陣の陥落、敵部隊の全滅、補給を絶って行動不能にすること、或いは敵よりも兵数の損傷を少なくすることだ。
今回は、川が中央に走っている。
恐らくは渡河中に襲うのがこの盤面での定番だろうから、敵は恐らく、岸の方に弓兵を伏兵させ、こちらが渡河する段階でこちらを襲う作戦を採ってくるはず。
山々から伏兵を渡河させて、敵の糧道を断とうとするのが良いだろう。
……………いや、それよりも
「将軍」
「ん? なんじゃ」
「実は…………………のような手を使いたいのですが。」
「フッ ソレは普通の歩兵で使っても構わんぞ」
「ありがとうございます。」
さて、こちらの作戦は整った。
さあ、はじめようか 楽諒くん!