あぼん。   作:弐式

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*注意書き*
このお話は某二次創作投稿サイトで投稿していたさいに書かせていただいたコラボ小説となっております。今回コラボ元の作者様から許可をいただいたので掲載させていただきました。

「IS 機人(きじん)の力を持つ者」という小説とコラボした内容となっていまして、こちらの小説から登場するのはやや趣向がアレなアルフィミィとなっております。なるべくコラボ元のアルフィミィを際限したつもりですが。まぁ、つもりですので…
コラボ元の小説をご存じない方は限りなく近く限りなく遠い世界から来た似て非なるアルフィミィがやってきたとみれば違和感ないんじゃないかなー。たぶん。
コラボ企画でしたので文章を真面目に書いたらめっちゃ長くなりました。

ちなみに時間軸はスパロボWで時間すっ飛ばす前。一部の頃です。


















スパロボW番外~コラボ編~

やう。ニシキお兄さんだよ。突然ですが、今俺の目の前に何やら水色の少女がいます。水色の髪の毛です。上半身裸です。どゆことなの?

しかもなんか顔を赤らめてんだけど。なんでだよ。いや、というかさ、なんでここにいんの?俺まだ一回もあったことねーんだけど。OGとIMPACTだろ参戦作品。後ムゲフロEX。

 

「ニシキ。昨日は結構激しかったですの(///▽///)」

…あぁ、夢だな。しかもとびきりに悪い夢だ。…寝よう。

 

しかしこの後、俺は起こしに来たミヒロの叫び声でコレが夢でないことを知ったのだった。

 

…朝起きたらアルフィミィが同じベッドで寝てるとかねーよww

 

 

 

 

 

□W編特別おまけ!あぼん。×IS 機人(きじん)の力を持つ者 クロスオーバー!□

~ヴェルターのある特別な一日のお話。~

 

 

 

 

 

俺は夢だと思った。ところがギッチョン。夢じゃ、ありませーん!!…なんでだよ!!普通夢だろJK!!

朝起きたらなんかアルフィミィさんが俺のベッドに上半身裸でいらっしゃいました。しかも顔を赤らめさせて。そしてその場面をミヒロに見られました。盛大な叫び声とともに平手打ち、その後女子全員からの白い目線が全力で痛いとです。なぜこうなった。

落ち着け、落ち着いて考えるんだ。俺は昨日何をしていた?夜遅くまで整備に汗を流してそのまま優しい眠りに落ちたはずだ。それを整備班も見てるし他のヴェルター隊員も知ってるじゃないか。大丈夫。みんなの誤解もすぐに解け…

 

「おい、ニシキ!お前昨日部屋に女連れ込んだってマジなのか!?」

「見損なったぞニシキ!俺は君を勇気ある者だと思っていたが、無理やり女性を襲うようなヤツだったとは!!」

…だーかーら!!俺には一つも身に覚えがないって言ってんじゃねーか!!!泣くぞ!!!

 

解けないんだよねー。ミヒロの叫び声でヴェルターに知れ渡ってしまったらしい朝の出来事。しかもなぜかノリノリで俺に襲われたというアルフィミィ。

一生懸命無実を訴えたものの、俺の話しは一切信じてもらえなかった。なんで俺こんなに信用無いの…とか思ったりしたが、よくよく考えれば俺記憶喪失って言ってる宙ぶらりんな状態だったなとか思い出す。怪しさ120%!信用とか無理か。

しかも、当のアルフィミィさんがアルフィミィさんなんだよなぁ…

 

「ひどいですの。無理やり手籠めにしたあげく、あ、遊びだったなんて…(涙ぽろぽろ)」

「…この状況のアルフィミィを見てお前が悪いと思わないやつがいると思うか?」

「ニシキお兄ちゃんサイテー!大丈夫だよアルフィミィ。私がニシキお兄ちゃんの魔の手から守ってあげるからね!」

 

ミヒロにまでボロクソに言われてる件。ですよねー。くっそう。この部隊はどいつもこいつも女の涙に弱いヤツばっかりだよ!俺も含めてな!!

見事な泣き落としで俺の立場と言う名のLPをガンガン削るアルフィミィ。精神コマンドに”泣き落とし”っていうコマンドあっても不思議じゃないぞコレ。効果は男限定で3倍ダメージ+行動不可。なんというチート。

女の子怖い。女の子マジ怖いお。気づいたら居るという、どっからどう見てもだたの不審者なのに誰もそこに対して突っ込みを入れない。俺が突っ込んだら話しをそらすなと言われた件。いや、結構重要なことだと思うんだ。思うだけで言葉に出さない俺はヘタレですか、そうですか。

…そういえば、ほんとになんでアルフィミィがここにいるんだろうな?アインストってW編にはかかわりないはずなんだけど。

 

あの、さ。アルフィミィ?君、なんでここにいんの?

「…やっぱり。覚えてませんの…?」

…(あ、アレ?なんかよくわからんスイッチ押しちゃった件)

「私、突然いなくなったニシキを追ってここまで来ましたの。でも、ニシキは私のことを忘れてましたわ、そして…きゃっ。そんな恥ずかしいこと言えませんの…///」

「身を案じて追ってきてくれた人にこういうことするのって、よくないと思うよ」

いやいやいや!ほんと俺知らないんだって!会ったことないんだって!記憶無いけど俺の本心がそう言ってるから間違いない!!俺の知り合いだっていう証拠もないだろ!?

「そうか、ニシキの知り合いだっていうんなら、記憶の無いニシキが今までどこで何してたかも言えるはずだよな」

 

お、良いとこに気付いたアキト!そうですとも!本当に俺の知り合いなら俺が今まで何してたか言えるはず。適当に言おうにも俺がまさか平行世界から来たとかなんてわかるはずもないっていうね!

これで俺の誤解も解ける…と、思った俺は女子をなめてました。

 

「…言えないですの。それはニシキが言うべきことで、私が言うべきことではないですの♪」

 

いや、ないですの。じゃないですの。…そうきたか。そうきたんですね。そうですね。

もう、アレだね。女の子に口で勝とうとか思っちゃいけないね、無理だよ。脳みその出来が違うんだって。

放心状態の俺の肩をぽん。と叩く感触がしたのでそっちを向いてみた。Dボゥイさんだった。

 

「彼女のことが心配で追い返したい気持ちもわかるが、自身を心配してくれる人を無碍にすべきではない。…お前にはまだ、そんな相手がいるんだからな」

 

あぁ、そうか。完全にアウェーなんだな俺は。

Dボゥイさんに返答しようと口を開けたら、すっげー乾いた笑い声が出た。

 

 

 

 

 

朝、アルフィミィがやってきてから数時間。ミヒロはすっかり俺を汚物認定したようで、扱いが酷い。すっげぇ悲しい。哀しみのあまり使い物にならなかったんで久々の休みをもらった。…理由が理由だけに素直に喜べない件。

まぁ、アルフィミィを監視する時間を貰えたのは良いことなんだけどさ。アルフィミィと言えばアインスト、アインストと言えばヴァールシャイン・リヒカイト。

ムゲフロ世界のヴァールシャインがアインストの本体と繋がってたとはあんまり考えづらいが、もしそうならアインストから恨まれても不思議じゃないからな。復讐のためにアルフィミィを送り込んで来たんだろうか、その手始めが朝のアレとかな。…復讐が社会不適合レベルとか、ある意味すごい辛いんで結構真面目にやめてほしい。

まぁそうじゃなくても注意したほうがいいだろうし、しばらくアルフィミィの様子を隠れて監視でも…そう、当初、俺はそういう理由でアルフィミィの監視をしてたわけだ。でも、だ。

…いつからこんなことになったんだろうな?

 

「ふふふ。ミヒロ、お仕事も良いけどお部屋に戻って楽しいことしましょうですの♪」

「楽しいことって何?」

「ちょっと痛いかもですけど、とっても楽しいことですの。さ、一緒に…」

ちょおっと待ったぁああ!!!ミヒロ、ストップ、ストッププリーズ!!そのアルフィミィさん明らかになんか企んでるから!!それもなんかR指定の勢いで!!!

 

そう、なんでかこのアルフィミィさんはミヒロがお気に入りらしい。なんか、ダメな方向に。

ぜったいこのアルフィミィ、アインストの手先じゃねーよ!!自我目覚めまくりじゃねーか!!手先じゃないけど、手先じゃないけどいろいろと別な方向性で問題が大量だよ!!

ことあるごとにさ、二人っきりになってミヒロになんかしようとするんだよ。止めるのにもう全力を持って相手してるんだが。

見えない位置でなんかしようとしてる時は憑依能力使って監視カメラから居場所見つけたり、うまいこと他ヴェルターのメンバーをその場に行かせるように手を打ったりさ。もうここ最近の一番の頑張りじゃね?コレ。

 

アルフィミィさーん…何やってらっしゃるんすかねー。いろいろと困りものなんすけどねー…?

「あらら?なんのことだが存じませんの。私はただミヒロとお話しがしたいだけですの♪」

 

…ダメだこりゃ。お話しがしたいだけなら二人っきりじゃなくてもできるし、そもそも腰とかつかんで接近しなくてもできるし、あんな意味深な言葉言わんでもできるだろうに…

ヴェルターのメンバーやカズマに、アルフィミィがなんかミヒロをベッドin的な感じで狙ってると説明しても朝の出来事のせいで俺の信頼はほぼゼロっていうね。…妹が先に大人の階段上らされようとしてるんだけど!それでいいのか兄貴!!

そんなこんなで俺しかミヒロを守れるやつはいないのであった。使命感とかより前にアルフィミィさんどうにかしてぇー…

と、いう感じに一生懸命アルフィミィの魔の手からミヒロを守ってたんだが、その事件はヴェルターの大半が集まる昼食時に起きた。

 

「みんなで大富豪やりましょうですの♪」

 

発案はアルフィミィ。やることは大富豪。内容は大富豪と富豪以外のメンバーが罰ゲームを受けるというものだった。

参加者はたまたまその場にいたカズマ、凱、Dボゥイさん、姫を除くゴライオンチーム、アキト、そして俺だった。そして被害者ともいう。

みんな時間あるしと参加してくれて、俺は何やらかすんだと参加してだ。ゲームの結果はミヒロが大富豪でアルフィミィが富豪。俺含む他のメンバーが罰ゲームになった。

罰ゲームねぇ。なんだろうな?とか言ってる中でアルフィミィが出してきたものがこの事件の凶器ともいえる代物だった。

 

「…これは、飲み物か?」

「鼻に突く刺激臭。それに濁った色…」

「見たこともない色彩にどろりとした液体…」

「お、俺、いろんなレシピ見て来たけどこんなの見たことないよ…?」

 

目隠し状態で配られた代物。目を開けてみればこれはびっくり。アレだ。俺がα世界で回避できてよかったと心底思った異質の物体ではあーりませんか。

 

液体を見た瞬間固まった俺たち。しかしそれを口に入れようとするものが現れた。

勇者王と名高い凱である。そして、一口飲んだ瞬間青い顔をしてぶっ倒れた。

 

次に動いたのはDボゥイさんだ。サイボーグが屈したソレをなんでDボゥイさんはいけると思ったんだろうか。アレか、アルフィミィが妹と重なったとかか、ともかく、大きく飲んで、見事にぶっ倒れた。

 

その次に動いたのはカズマである。妹の飲んであげて目線に耐え切れなかったらしい。飲んだ。もちろん倒れた。

 

ゴライオンチームは全員でなんか相談してたが、真面目なヤツ多いからなぁ…決まりは決まりだと、意を決して全員が飲んで、全員が見事にぶっ倒れた。

 

最後まで渋っていたのは俺とアキトである。アキトは料理の知識からコレがダメなものだとわかったんだと思う。それでも飲んだ。そこは料理人としての意地か、新たな味への挑戦だったのかは不明だが、飲んで、飲み干してぶっ倒れた。

 

そして最後に残ったのは、俺ただ一人。

 

 

あの、さ。ちょっと聞きたいんだけど、この飲み物の名前ってなんてーの?

「それはクスハ汁って言いますの。私の知り合いが作ったレシピをもとに作ってみましたの。さぁ、召し上がれ♪」

 

そうですか、クスハ汁ですか。

α世界でフラグを回避したと思ったらまさかこんな場所で出会うとは。

飲むの?飲むんですよね。負けたんだもんな、そういうルールだもんな。これを飲んだら俺は死ぬ。しかし飲まなくてもヘタレな男というレッテルを貼られてしまう。それも困る。…男ってのはこう、プライドとかそういうのが気になる生き物なんだよ!

ここで飲まなきゃ男がすたる!!腰に手を当てて、ふろ上がりのコーヒー牛乳よろしく、ぐいっと飲んだ。

…飲んだ結果?そんなの、言うまでもないだろうって。

まぁ、きちんとクスハ汁は最後まで飲みきらせ頂きました、ということはここで宣言しとく。

 

 

 

 

 

目が覚めると、なんか周りに人だかりができていた。ヴェルターの隊員がそろいもそろって食堂でぶっ倒れてりゃそりゃ話題にもなるよねっていう。なんでもラダムが出たとかで戦闘準備をしろとか。うわぁ。大問題な件。

倒れてた中で一番早く気づいたらしい俺は他のメンバーに声をかけつつ、アルフィミィとミヒロがいないことに気付く。

んー…あー、いないねー二人とも。どこ行ったんだろうねー。へ?なんか二人ともミヒロの部屋に入って行ったのを見た?なんで?アルフィミィが俺のことについてミヒロと二人っきりで話したかったからだって?へー…

ってダメだろ!!どう考えても大問題じゃねーか!!!

 

周りで心配そうに見ていた人らの間を全力で駆け抜けていく。クスハ汁のおかげかすんげー速さで走れるんだけど。負の無限力で構成した肉体でも効果あるとかクスハ汁マジぱねぇ。

大急ぎで、まさしく風のようにミヒロの部屋まで向かって、扉を全力で開ける。と、そこにはベッドの上でミヒロにのしかかってるアルフィミィの姿。

当のミヒロは、というと。

 

「あ、ニシキお兄ちゃんまたアルフィミィにちょっかいだしに来たんでしょ!ダメだからね!!」

…全く理解してないミヒロに俺が全力で安心した!!マジよかった!!!いいよ!!ミヒロはそのままきれいなままのミヒロでいてね!!

 

いつも通りに、ミヒロは綺麗なままのミヒロでした。

 

 

 

 

 

 

クスハ汁を飲ませてヴェルターの戦闘要員を戦闘不能に追い込み、戦況に多大な影響を及ぼしたとアルフィミィは怒られた…と、言うことは無かった。まぁ、戦況に多大な影響を及ぼしたのは確かなんだけどさ。むしろクスハ汁の特性で獅子奮迅の活躍をしていた。具体的にはラダムが面白いほどに投げ飛ばされていた。クスハ汁ぱねぇ。

それを見たブレス艦長が戦闘食として取り入れようとしてたのは全力で拒否したけどな!ブレス艦長も一度味わった後、提案を取り消してた。なんでも、アレは断続的に摂取すると身体的に有効でも精神的には廃人なる味だとか。ですよねー。

んで、当のアルフィミィはというと。

 

「あーあ。バレちゃったですわ。残念ですの」

お前はもうちょい反省しろ!!ミヒロが大人の階段上ったらどうしてくれる!!

「その時は責任もって私がミヒロを大人のレディにしてみせますの♪」

せんでいい!!しなくていいよ、ほんとしなくていいから!!!

 

俺と一緒にいるのでした。アルフィミィを野放しにしとくと危なすぎるんで捕まえておこうと思ってさ。アレだ。俺の友人だったアルフィミィに二人っきりで話しがあるんだって言っといた。

ミヒロには全力で却下されたけども、その代りにアルフィミィに武器としてクスハ汁を持たせることで決着がついた。気絶率100%。それでも材料は普通の食材という不思議汁。

その状態で俺とアルフィミィは今、俺の部屋に来ている。もちろん外にはミヒロが待機。何かあったらすぐに殴りに来るんだって。ミヒロがたくましくて俺すっげー嬉しいよ、むしろ泣きそうだよ。

 

はあ、お前のおかげで俺のヴェルターでの立場が最悪なんだけど、どうしてくれるんだ…

「私は私のやりたいようにしただけですの。…それに、せっかく肉体をもてたんだし、ちょっとくらいハメを外してもいいじゃないですの」

…肉体?持てた?

「私は本来魂だけの肉体を持たない存在ですの…ニシキ、あなたと一緒で」

 

へー、俺と一緒、へー俺と、俺とねー…あ、やっべ、まえからわからんアルフィミィの存在がさらにわからなくなってきた。もうあれだ、このアルフィミィは存在自体がイレギュラーな存在なんだと思おう、うん。そのほうが俺の脳みそに優しい。

困惑気味の俺を放置でアルフィミィさんは説明を続ける。

 

「私、本当は別の世界にいたはずでしたの。でも突然、気づいたらこの世界にいましたの。どうしてか肉体もあって、突然別の世界に来たのには驚きましたわ。けど、せっかくだから肉体のあるのを楽しもうと思ったんですの」

…楽しむって…ミヒロを狙ったりとか?

「ニシキをからかうのも一つの楽しみですの♪」

ひでぇ。

 

聞くところによるとこのアルフィミィはスパロボ世界じゃ無い、まったく別の場所から来たらしい。ISとかがある世界だとか、聞いたことあるけども、内容までは俺は知らんね。

そこでとある兄弟と一緒にいたりとか、気の合う友人がいたりとかで肉体が無い状態でも楽しくくらしてたそうだ。でも、突然気づけばこの世界に来てしまったと。

元の世界についての話しをするアルフィミィはとても楽しそうで、少しさびしそうにも見える。

 

「もとの世界のみんなはきっと心配してますの。だから、帰りたいんですの」

…肉体が無くても?

「肉体が無くても、私は素敵な人々が周りにいますの。だから、私は幸せですの♪」

そうだな、…身体とかなくても、幸せってのはその辺にあるもんだよな。

 

アルフィミィの言葉で、思わずリョウトやリオ達のことを思い出した。一番最初は俺だって肉体なんかなくて、グルンガスト弐式に憑依した状態でスタートだったしな。

でもそんな状態でも俺は不幸なんかじゃなかった。…どちらかと言えば幸せで、それは今でもずっと続いてる。

 

…俺も、実は別の世界からここに来ちまってさ。帰り道探してるんだ。アルフィミィが帰りたいってんなら、アルフィミィが元の世界に帰れるように協力するぜ?

「ニシキが、ですの?…私を止めようと右往左往していたニシキが、ですの?」

何故二回言ったし。…そうだよ、悪いか。

「いいえ、悪くはないんですの。ふふふっ♪」

 

なんか笑顔で笑われました。なんでだ。ま、いいか、機嫌が悪くなるよりかはぜんぜんいいや。

その後、絶対に何もしないから一日だけミヒロと一緒に寝させてほしい、というアルフィミィのお願いを、俺は了承した。

一人で寝るのもさみしいだろうし、実際、アルフィミィが寝る場所はミヒロの部屋になるだろうしな。俺、今ミヒロから一切の信頼されて無いからな!俺の言うことなんて聞いてくれねーよ!誰かさんのせいで!

 

部屋の外に出るとミヒロが待っていた。その他にも数名。アレか、俺がアルフィミィを襲ったらミヒロの合図でヴェルターの戦闘員が全力で殴りにかかってくるんですね。わかりたくない。

大丈夫だった?というミヒロの言葉にアルフィミィは何もなかったと答える。そもそも、最初からなにも――

 

「なにもなかったんですの。朝の出来事も、ほんとは嘘でしたの。ああやって騒ぎを起こせば何かの拍子でニシキの記憶が戻ると思って…騙してしまってごめんなさいですの」

そうそう、なんにも…って。アルフィミィ…?

「これはちょっと迷惑をかけたお詫びですの。それから、私相手に奮闘したニシキにプレゼントですの♪ニシキ、すみませんが目をつむってくださいの♪」

いや、ちょっとってレベルじゃねーけどな。…って、目を?まぁ、いいけどさ。

 

まぁ、誤解も解いてくれたみたいだしこれ以上騒動は起きねーだろうと、俺はアルフィミィの言うとおりに目をつむった。

すると襟元をつかまれた感覚と、その後ぐっと斜め下の方向へと引っ張られる感覚がした。ある程度まで引っ張ると引っ張る力は消えて――

 

 

 

ちゅっ

 

 

 

「あ」

 

「うおっ」

 

「ひゅーっ…」

 

 

 

…大変、こっぱずかしい音が聞こえました。

 

 

 

あの、アルフィミィ、さん…?

「くす♪…ニシキ、それではおやすみなさいですの♪」

 

そう言って、アルフィミィさんは綺麗に笑って、ミヒロと一緒にミヒロの部屋へと歩いて行った。

俺?俺は固まってましたとも。まずあれだよ、意味わかんねーんだもんよ。今日一日中アルフィミィさんに振り回されたけど1ミリ足りとも理解できない件。

ぽそっと、その場にいた誰かが言った。

 

 

「ほっぺにキス、か」

 

 

俺の背後から独身パイロットやらの殺気があふれ出たとか、そんなことは気づきたくないもんである。

 

 

 

 

 

次の日。アルフィミィの姿はヴァルストークのどこにもいなかった。

それを一番に教えに来たのはミヒロ。朝起きたらいなかったらしく、俺のところにいるかと思ってきたらしい。

どこにもいないと不安そうにするミヒロに、俺はアルフィミィはいるべきところへ帰ったんだと説明した。ミヒロはそれを聞いて不思議そうにしてたけど、何か納得することがあったらしく、頷いて部屋へと戻って行った。

ヴェルターのみんなも、俺の説明で納得してくれたようで特に何も言わずに頷いてくれた。

実は俺の枕元にアルフィミィからの手紙が置いてあったんだが、それは誰にも言ってない。短すぎて手紙とは言えない文章だったし、これを見せるとまた独身パイロットやらの殺気に殺されそうだからなぁ…

手紙には微笑ましい書体でこう書いてあった。

 

『ニシキ、また会う時を楽しみにしてますの』

 

…また会うときね。その時にはもう一人くらいアルフィミィを止めるヤツを呼んでこねーとな。リョウトでも呼んでおこうかね。

痛む体に鞭打ってベッドから起き上がると、俺は手に持っていた小さな手紙を折りたたんで机の中に大事にしまった。

 

 

 

 

 

これは、お騒がせな水色の少女がヴェルターにやってきた。そんな騒がしい一日のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのね。ニシキお兄ちゃん。私お兄ちゃんに酷いこと言ってごめんね。あの、コレおわびに作ったの!おいしいかわからないけど、ね?」

 

目の前にあるのはクスハ汁。アルフィミィからレシピを教えてもらったんだって。ミヒロが作ったらクスハ汁ならぬミヒロジルですか、そうですか。

しかもしっかり女性限定の美肌&美白効果のクスハ汁も作れるんだから困る。男性陣皆が驚くほどの輝きを放つ女性陣っていうね。まぁ、団結力は不思議と上がりましたとも。

ヴァルストークの食堂で、青い顔でぶっ倒れてる整備士が一人いたとか、それはまた別のお話。

 




改めて見直したら8000文字超えててびっくりした。やろうと思えば書けるじゃないか俺。でも大変だから本編は1000文字くらいで収めたい俺。

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