どうやら腐女子がテイルズオブヴェスペリアの世界にまよいこんでしまったようです。 作:rimuku
しばらくわたしは部屋の壁に向かって土下座していた。
隣の部屋からはユーリのほかにエステルやリタ、カロルの声が聞こえてきた。
フレンの声は聞こえなかったのでたぶんイベント後だ。
と、いうことは...もうすぐカルボクラムに行くところかな。
わたしは記憶をたぐり寄せ、ここらで起こるはずのイベントを思い出していった。
ここら辺はユーリとフレンが一緒に話すイベントなので、なかなか鮮明におぼえている。
生フレユリが見られなかった...もう少し早ければ...
我一生の不覚!!
ガチャリと音がしたので、ユーリ一行はもう発つようだ。
わたしもストーカーするため立ち上がる。
しかし、わたしは何をすれば正解なのだろうか。この状態こそまさしく、一寸先は闇というものだ。
わたしがこの世界に呼ばれたのには、きっと理由があるはず。
ふと、エルシフルの声が甦ってきた。
「お主は選ばれたのだ。テルカ・リュミレースの断罪者に。」
もしわたしがなにもしなくてもゲームの通りに時が進むなら大団円だが、そんな簡単にいくものなのか少し疑問だ。
まあゲーム通りならわたしがユーリたちに干渉するのは間違いだろうなあ。観賞はするけど。かんしょうだけに。
わたしは考えつつも<セーブ>を使った。
やはり紫に輝く魔法術式が組上がったあと、光が編み上がってできた本のようなものがわたしの前に浮かびあがる。
わたしの髪や服が重力に逆らいゆらゆらと揺らめき、幾つもの光の筋が部屋を満たしていった。
セーブできたのかな?
わたしはしばらくきょろきょろと辺りを見渡した。
不確かではあるが、確かにセーブできたようななんとも言い難い安心感がある。
わたしは部屋の外に出て、宿のチェックアウトを済ませた。
宿の受付の店員さんは商人の格好の女の人で、昨日のフレンドリーなおっちゃんではなかった。
時間帯で変わるのは...当たり前か。ついゲームと同じように捉えてしまう。
物陰からわたしはユーリ一行の後ろ姿をのぞきこんだ。
あああ~皆さん美しいよ~~無理~~~
萌え~~~~
遠くからでも分かるあの一行の存在感にわたしは無意識に土下座しそうになる。
あぶねえ...
テルカ・リュミレースには土下座という文化がないから、他人から見たらわたしは変なポーズをとる気持ち悪い人になってしまうだろう。
いやわたしの世界でも街中でそんなことしてる人がいたら相当気持ち悪いけどね?
ユーリ一行がカプワ・トリムから出ていくのをみて、わたしもあとをつけた。
街の外に出たが魔物は全く襲ってこず、わたしはいい感じにユーリ一行を尾行できた。
ここら辺の魔物はものの見事に狩りまくったために、魔物がわたしを恐れて逃げて行く。
なんかちょっと強くなった気分だ。んふふ。
わたしはちょっとかっこよくマフラーをめくりあげながら歩いてみた。
...ンゴッ!!
大きくめくりあがったマフラーが木の枝に引っ掛かり、わたしの首を締める。
わたしはびびってなぜか腕を上げたが、その腕は虚しく空を切り木の幹にぶつかった。
我ながらマヌケなポージングだ。
いくらレベルがあろうともマヌケなのは変わらないんすね...悲しい...
自分にため息をつきつつマフラーを枝からとり、ユーリたちのいた方向にもう一度目をやった。
...っていねえ!!?
わたしがパニクっている間に先の方へ行ってしまったようだ。
むしろこれだけ木の軋む音がうるさかったのに、気付かれなかったのはラッキーだ。
わたしは大急ぎでカルボクラムへと走った。
わたしの足は元の世界にいたときの何十倍も速く動き、
息切れも全く起こらない。
なんだか体がとても軽いのだ。
そういえば、昨日魔物をあれだけ倒したのに全く筋肉痛にもなっていない。
自分の身体能力が格段にあがっているのをひしひしと感じる。
カルボクラムは確か、表向きは地震で滅んだと言われている町だ。
真相はアレクセイの実験で滅んだ町なんですけどね!
小説も読破済みのわたしに死角はない!
あのダンジョンで起こるイベントは確か...
魔狩りの剣に合うのとフェイタルストライク、グシオスとの戦闘くらいか。
あと鎧ジュティスちゃんの登場。
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