ヒント 魔物ランクB相当の人型種族。
簡単ですね!
No.1 少女は現状を確認する。
突然ですが、
私、人間やめました。
・・・いや、やめたくてやめた訳じゃないけどね。
◇ ◇ ◇
車に轢かれて死んだ後、周りの騒ぎ声を聞きながら私の意識は浮上した。
うっすらと目を開けると光が入ってきてやたら眩しい。
騒ぎ声――どうやら周りではなく私自身が発していたようだ――の奥からうっすらと聞こえる他人の言葉で、少しずつ現状を確認していく。
・・・ふむふむ、つまり私はちょうど今生まれたばかりであると。
なるほど、どうやら私は無事転生出来たようだ。
来世ちゃんとあるのかなーなんて心配してたのだが、これなら一安心である。神様には感謝しなければ。
少しずつ光に慣れてきた目を動かし周りを見渡す。
只今赤ん坊である私を抱いているおばさん、側で横になっているのは母親だろうか。
他にも女性っぽい方々が数名。
・・・いや、女性、だよね。女性だよね?
あれ、女性ってこんなに大柄なものだっけ?やたら体格いいし・・・うん、皆でかくね?
よく見たら母親っぽい人が寝てる台・・・ベッドなのかな?もなんか大きいし。そしてそのベッドを使ってる母親もでかいな。
そして皆なんか野性味溢れる顔してらっしゃる。
・・・もしかしてこいつら、女性のふりした男だったり・・・しないよな、だって胸あるのわかるし。
そしてもう1つ違和感。正直身体が大きいとかどうとかより、こっちのほうがヤバい気がする。
――皆様、その額の角はなんぞや。
一本だったり二本だったりという違いはあるものの、皆一様に角が生えてる。
髪飾りとかというものではなく、どうやら本物・・・つまり本当に生えてるっぽい。
勿論、我が母親も同様に。
・・・もしかして私にも角があったりすんのかな?
でも角が生えてる人間って可笑しくね?いやでもここにいる人達皆角あるし・・・。
まさか、まさかとは思うけど・・・いや、違うよな、きっと違う。
「この子はきっと、強くて立派な
・・・違わなかったようだ。残念。
【驚愕】朝比奈 雫、転生したら鬼になってた!!
いやはや、どうしたものかね。
◇ ◇ ◇
私がこの世界に生まれてから約10年が経過した。
時間たつのはやくねって?そんなもん気にするだけムダさ。
どうやらこの世界は私が以前読んだことのある『転生したらスライムだった件』という作品の世界のようだ。
つまり私は転生トリップなるものを経験したことになる。
本当に人生なにがあるかわからないものである。
なぜこの世界が転スラワールドだとわかったのか、その理由は幾つかあるのだが、その1つは“世界の声”の存在だ。
剣の稽古と称して爺さんの修行地獄に明け暮れていた際、突如こんな声が聞こえたのだ。
《確認しました。エクストラスキル『危機察知』を獲得・・・成功しました。》
いきなり頭に響いてきたこの声を初めて聞いたときは、驚いて思わず変な声をあげてしまったものだ。
何かあったかと聞いてきた爺さんに説明したところ、それは“世界の声”であろう、と笑いながら教えてくれた。
ほう、“世界の声”ねぇ、“世界の声”・・・せ、“世界の声”ぇ!?
それってあれじゃん、転スラじゃん!!
てな感じで、今までなるべく見ないようにしてた現実を突きつけられたのだった。
いやぁ、その前にもなーんか見たことある奴いるなー、とある作品の登場キャラとソックリだー、なんて思うことは多々あったけど、似てるだけだって言い聞かせてたんだよね。無駄だったけど。
さてさて、てな訳で転スラワールドに転生した私の現在のステータスをちょっと整理してみようと思う。
ステータス
名前:なし
種族:
加護:なし
称号:なし
魔方:気闘法
技能:ユニークスキル『
ユニークスキル『
エクストラスキル『危機察知』
エクストラスキル『魔力感知』
耐性:熱変動耐性
痛覚無効
物理攻撃耐性
精神攻撃耐性
物理精神攻撃耐性
とりあえず、これであっているはずだ。
名前はない。きっとその内あの偉大なるスライム様につけてもらうことになるんじゃないかなーなんて思ってたり。
そのためには後に来るであろうオーク共の襲撃から生き延びなきゃいけないんだけどね。
偶然なのか必然なのか、今世でもあおみどり色の髪をしている私だが、前世みたいないじめはない。
いやだって、周りを見渡してみてよ。
赤だったり朱色だったり青だったり紫だったり。
人間だったら信じられないような髪色の人達、いや鬼達が普通に生活してるんですもん。
あおみどり?全然フツー。
この世界、前の世界より私に優しい・・・!!
閑話休題。
転生者や異世界人というのは、世渡りをする際に特殊な力を得るらしいのだが、私にもその特殊な力、つまりユニークスキルや耐性があった。
『
二つもユニークスキルを持ってるんだから、結構私強いんじゃね?とか思ってたこともあったけど、実際はそうでもない。
だって剣の稽古してくれる爺さんに一度も勝てたことないもの。
爺さんは「お主には剣の才能がある」ってよく褒めてくれるけど、あんまり嬉しくない。
ま、どうせ剣を極めるのなら、復活でいうカス鮫とか野球バカみたいな?超かっこいい剣帝になれたらいいなーみたいな?
いけないまた話が逸れた。
私がユニークスキルを持っているにも関わらず爺さんに勝てない理由、それは使い慣れてないってのもあるんだろうけど、そもそもスキルが一対一の戦闘にあまり向いていないのだ。
『
思考加速、思考読破、虚偽禁止
『
貸出、借用、組立
これが私のもつユニークスキルの正体である。
簡単に言ってしまえば、『正直者』は視界にいる相手の思考を読んだり嘘をつけなくさせたりするスキルで、『貸借』は触れた相手から一時的に能力や魔素を借りたり貸したり出来るというものだ。
そこそこ強力なスキルだと思う。『正直者』とか正に私が前世で死にそうになってるときに来世ではこんな力が欲しいなーって思ってたののまんまだし。
でも何故か爺さんには通用しないんだよ。
そもそもスキルのレベルが低いのかなんなのか、まだ表層心理しか読めないんだけど、その表層心理すら爺さん読ませてくれない。これは単純に私自身と爺さんのレベルの違いなのかなんなのか。
それから『貸借』は、自身に味方がいるときは大いに役立つスキルなのだが、自分一人で戦うときにはちょいと使い勝手が悪い。
これもスキルのレベルの低さが原因なのか、相手が許可してくれていない場合にこのスキルを使おうとすると、結構簡単に
一度このスキルを使って擬似零地点突破・改を試してみたことがあるけど、爺さんには通用しなかった。悔しき。
どうやら爺さんに勝つには、剣の腕だけでなくスキルそのものも鍛えなければならないらしい。
でもいつかは剣の腕だけで爺さんに勝てるようになりたいな。私の最初の目標だ。
私が生まれもっていた能力の他、気闘法や危機察知、魔力感知等は剣の稽古中に得たものだ。
「お主ならその内熱源感知も獲得できるやもしれんのぅ」
というのが爺さんの意見。爺さんは本当に私には才能があると考えてくれているようだ。有り難い話である。
そして残りの精神攻撃耐性と物理精神攻撃耐性。
こいつらは『正直者』の副産物みたいな感じで、スキルの練習中に結構簡単に獲得できた。
精神攻撃耐性はいつか精神攻撃無効に格上げできたらと日々奮闘中だったりする。
いや、どうしたら進化させられるのかわかんないからどうしようもないんだけどさ。
話は変わるが、これらの情報を踏まえて。
なかなか面白い世界に転生したものだ、というのが私の考えである。
今はまだ弱いけど、修行での経験がスキル獲得とかいう形で分かりやすいのも気に入っている。
オーガに転生したからには、いつかあのスライム様に出会って仕えることになるんだろう。
そうしたら、きっと楽しい生活が待っているはずだ。
それこそ、私が前世でずっと欲しかったモノがね。
そんな幸せな日が来るまで、私はのんびりオーガライフを楽しみたいと思うのだった。
「姉さん、早く行こう。若がまた怒りだす」
「おい遅いぞ!今日こそは俺が勝つからな!!」
・・・訂正しよう。
私のオーガライフに“のんびり”という言葉ほど無縁なものはないようだ。
最後の声は一体誰と誰の声でしょうか!
ヒントは・・・無くてもわかりますよね?
『正直者』
思考加速・・・通常の1000倍に知覚速度を上昇させる。
思考読破・・・視界にいる対象の思考を読む。
虚偽禁止・・・対象の発言を真実のみに制限する。
『貸借』
貸出・・・触れている対象にスキルや魔素、魔法等を貸し与える(時間制限有り)。
借用・・・触れている対象からスキルや魔素、魔法等を借り受ける(時間制限有り)。
組立・・・一時的に得た能力を最適化する。また、最適化した能力と元から持っている能力を合わせて新たな能力を造り出す。