IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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今回は前回から引き伸ばされた半オリキャラである(容姿はあるFA:Gの為)白い娘の正体と、日常的な差し話です。

では、どうぞ御ゆるりと。


・・・文字数が過去最大になっているのでお気をつけて


IS×FA12ss:三年五組-基木素子

 さて、風を吹き荒らすのは過去の春風か。一夏の第二の幼馴染、凰鈴音。

 かの大陸の大国-中国からやって来た。顔を出すだけでも自由奔放に振りまく彼女はどんな嵐となるのだろうか?

 そして、別方面でも何処となく湿気た風を十千屋はたてるのであった。

 

 

 先程まで話の中心は一夏と鈴であったが、彼女は十千屋側に向かって今度は話を振る。

 当然、その話題は今も食べ続けている白が印象的な三年生の事である。

 彼は食べ終わり、口を拭いてロボ頭の顎パーツを戻すと語り始めた。

 

「さて、この三年生の正体だったな。何となく分かり始めていると思うが、彼女がうちの企業代表

 である・・・素子(もとこ)、自分で自己紹介くらいしろって」

 

ゴクン…ふぅ、分かった父様。三年五組-基木素子(もとぎ もとこ)ナナジングループ・コトブキカンパニー企業代

 表。好きなものは白子」

 

「し、白子ってずいぶん通なと言うかシブイ物が好きなんですねぇ…」

 

 十千屋が三年生に自己紹介を促すと彼女-素子が淡々と当たり障りない自己紹介をしてゆく。

 好物を言うとある生徒が反応するが・・・これがカオスの始まりであった。

 

「そう、私は白子が好き。父様の欲棒から出る白子汁が」

 

「「「ん?ううん!?」」」

 

 この言葉に誰もが思考停止し、我が耳を疑った。

 聞き手たちが内容を理解しかける前に、彼女の冒涜は終わらない。

 

「 ? 分からなかった?じゃあ、私は父様の肉ぼ『スッパーーーン!!』ぉうっ!?」

 

「なに公共の場で暴露してんじゃ!この駄娘!!」

 

「イタイ、何するの父様?」

 

「再度言うぞ。な に を 公共の場で発言してんだ!!」

 

「 ? 何って?父様のご立派様のナニの白濁じ『スッパーーーン!!』r」

 

「ダダ漏らしてんじゃねぇ!」

 

 公共の場と言うか公共良俗に反するようなNGワードを連発しそうに成っている素子を十千屋は、何処からか出したハリセンで物理的に話を遮った。

 その間にも、肉ど『スパンッ!』生オ『スパンッ!』肉べ『スパンッ!』『スパンッ!』と何か言いかけるたびにハリセンが彼女を差し止める。

 そんな光景をあとにして、蚊帳の外にされた面子は代表して一夏が轟とチェーロに彼女の詳細を聞いた。

 

「な、なぁ…あんなに成ってるけどあの先輩って何時もこうなのか?」

 

「あー、んー…(もと)ねぇってパパの前では欲望って言うか色欲?がダダ漏れだから(汗」

 

「ええ、私たちは父さんのハレムの一員みたいな所があるけど素子姉さん程じゃないわ…いえ、

 一人同等なのが居たわ」

 

「「「はぁ?はぁあっ!?」」」

 

 マトモに聞けると思っていた二人からも爆弾発言が有り、また皆が止まる。

 ハレム、ハーレムはつまり一人の男性が愛欲の対象として多くの女性を侍らせたところをいい、日本・江戸時代でいう「大奥」のことであろう。

 この発言を詳しく聞こうにもその当主本人は、未だにNGワードを言おうとする素子を叩き止めるに忙しい。

 なので、いま発言中の彼女らに聞くしかない。

 

「ちょっちょっと!?ハレムって何!?ハーレムの事じゃないわよね!?!?」

 

「いえ、其れで合ってるわ」

 

「一夫多妻という訳か!?なんと不埒な!!」

 

「いや、ウチの国って条件厳しいけど満たせば多夫多妻オッケーだよ?」

 

「皆様方は誤解されてますけど、おじ様の国籍は日本じゃ御座いません事よ?」

 

「「「なっなにぃい!?」」」

 

 次々と投下されてゆく爆弾発言に一同は驚き疲れそうになるがそうも言ってられない。

 ハレム発言に最も強く反応した鈴と箒だったが、次の発言で言及の矛先が変わった。

 ここにいる一同はチェーロを除いたカンパニーグループは全員日本人だと思っていたからである。

 それが否定され、じゃあドコ!?というような感じになった。

 

「じゃあ~、とうちゃんさんは~どこの国なの~?」

 

「ゲムマって言う国よ。30年ほど前に正式に加盟した新興国だから余り知られてないわ。ちなみ

 にカンパニー全員がそこの国籍よ」

 

『ゲムマ』

 南太平洋ソロモン諸島に存在し、大小さまざまな島(火山列島)から構成される島嶼国である。

 元々は原住民たちが暮らす島国であったが、過去、多数の日本人移民者がその技術をもって入植し、発展した経緯を持つ。

 そして、そこに本社を置いてあるナナジングループはこの国の経済に多大な貢献をしており独自の地位を築いている。

 しかも、国と会社との関係は夢物語に様に良好だ。そんなグループの子会社がコトブキカンパニーである。

 

 国の説明を轟が簡単に行うと皆が感心した様子で彼女を見ていた。おい、チェーロお前まで感心すんな。

 さて、国籍の話が終われば一つ戻って十千屋の女関係になった。

 

「さて、所在国の話は宜しいですわね…おじ様のハレムの話をお話になって貰えませんこと?」

 

「ひぃ、セシリアさん…何をスゴんでるのぉ」

 

「別に威圧なんかしてませんわぁ?」

 

「いや、確実にしてるだろ・・・」

 

「なぁにぃか、おっしゃっいまぁしたかぁ?一夏さぁん?」

 

「ひぇ!?何もおっしゃってございません!!」

 

「ではぁ・・・チェーロさぁあん?」

 

「うぅう・・・」

 

 何か凄みを感じるセシリアに対しチェーロは涙目になりながら十千屋のハレム、つまり自分ら義姉妹の事を話し出す。

 チェーロ、轟らは十千屋の本当の娘ではない事は嘘ではない。

 だが、彼に引き取られた娘は皆が普通の理由で家族の一員となったわけではないのだ。

 特殊な事情や人に話せない事情など理由は様々だが、そんな彼女らにとって支えとなったのが十千屋である。

 そんな彼に惹かれて彼女たちは人生を共にすると決めたのだ。

 

「それに本妻はママ(リアハ)だし、ママ自身がハレム推奨派だし・・・」

 

「「「「なっなんだってーーー!!」」」」」

 

「事情が色々あるのよ、一番は母さん自身が娘たちの幸せを願っていること。好きな人と一緒に居

 たいのが当たり前で、それがたまたま父さんだったってこと・・・まぁ、ロクでもなく切実な

 理由だと…ね?」

 

「うん…ボクらはマダだけど、パパって夜凄いんだって///」

 

「三人同時相手にしてT.K.Oにした挙句、次の日には元気に厳しい訓練をこなしたっていうわ。他

 にも武勇伝はあるわよ///」

 

 色々と聞いてはいけないような事を聞いた周りの面々は再度、十千屋と素子の方を見る。

 ソコにはコブラツイストを極めて、もはや物理的に素子を締めている姿があった。

 そのような光景に皆が遠い目になり、そっとしておこうの精神となる。

 さて、実は一夏らは3年生の先輩達からも素子の事を聞いていた。

 普段はクール、親しくなると素直に何か言ってくるので素直クールだとの事、そして全員に共通した内容は模擬戦は絶対に受けないこと。

 なぜ受けてはならないのかを聞くと、「はんまーへる!はんまーへぶん!」「SEが無くなるまで私がgぁあぁあ!!?!?!」「右ですか?左ですか?両方ですか!?Oh!まい☆GOD!!」

 と、トラウマが発生して聞くに聞けなくなったので、あとは察しろの状態である。

 これらで一夏たちは分かった。カンパニー、十千屋関係はロクな人が居ないという事が。

 そして、昼休みが終わりに近づき食堂から生徒たちが居なくなるとそこには・・・何故か恍惚な表情で倒れ伏せている素子の姿があった。

 基木素子-カンパニー企業代表にして、学園のトラウマ製造機。その実態は身内、特に十千屋の前ではドスケベクールの残念美少女である。

 

 

 相変わらずの放課後、すっかり個人教室と化してしまった生徒指導室で今日も補修である。

 そして、何故か今日は千冬もそこに居た。

 

「十千屋、なぜ私を呼んだ」

 

「いえ、今日の特別内容が白式と言うか零落白夜なので元祖にアドバイスをと」

 

「…仕方ない、出番が来たら呼べ」

 

「はい。さて一夏、自分でまとめてみた白式を言ってみろ」

 

「へ?あっはい!」

 

 千冬が居るため緊張しているか一夏は少しとちりながら白式の特徴を言ってみた。

 その中でも特筆するのはワンオフ・アリビティー『零落白夜』が使えることだ、逆の特筆つまり欠点はその為にエネルギーがカツカツな事、ブレード『雪片弐型』しか積まれていないことである。

 それらの事を聞いて千冬は先ず先ずは理解していることに安心する。

 そして、十千屋の教育が実を結んでいる事に感心するのであった。

 

「そうだ織斑、白式はいや雪片搭載機は傍から見たら欠陥機としか見られない」

 

「え…けっ欠陥機!?」

 

()()()()()()だ。私から…ではないな、今の世を見てもI()S()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()。ただ、ほかよりちょっと攻撃特化に成っているだけだ」

 

「いや、織斑先生IS自身の能力だけのアレでちょっと攻撃力が高いだけで済まされないのでは?

 対IS能力であるし、その為に拡張領域(パススロット)も埋まってますし」

 

「え、雪片のせいで埋まっているのか?」

 

「そうだ、本来拡張領域用に空いているはずの処理をすべて使って『雪片』を振るっている。

 だが、その威力は全IS中でもトップクラスだ」

 

 千冬が語る一撃必殺を物語る言葉は実感に満ちている。

 事実、雪片一本で世界を取った人物の言葉であるから当然だろう。

 そして、皆は千冬がIS操縦者としていかにブッ飛んでいるレベルかを認識させられた。

 

「それに、だいたい素人のお前が射撃戦闘ができるものか。篠ノ之は答えられないな。オルコッ

 ト、轟、射撃戦闘に何がだいたい必要か言ってみろ」

 

「「はい!」」

 

「まずはですわね、反動制御、弾道予測からの距離の取り方、一零(イチゼロ)停止、特殊無反動旋回(アブソリュート・ターン)・・

 あとは」

 

「それ以外にも弾丸の特性、大気の状態、相手武装による相互影響を含めた思考戦闘・・・他にも

 挙げますか?」

 

「いや、もう十分だろう。轟が締めた様にまだまだあるが・・・できるのか?お前に」

 

 一夏に射撃戦闘は無理だと言いい、その理由を千冬に促され次々と上げるセシリアと轟。

 その内容の一句一句を聞くたびに彼の頭に熱が溜まり、比喩表現的に頭から煙が立ち上ってきた。ちなみにチェーロは上記の事を全て感覚で完全に掌握しているキチガイである。

 それを生暖かい目で見ていたであろう十千屋は優しく彼の肩を叩くと、彼から「大変よく理解できました」の言葉が上がる。

 そうすると千冬が短く「分かればいい」と頷いた。そして、いつもより優しい顔つきで一夏に語りかける。

 

「1つの事を極める方が、お前に向いているさ。なにせ――私の弟だからな」

 

 彼女のその言葉で彼は強く感銘を受けて、闘志に火がつく。

 この様子を箒とセシリアはときめきながら見守るのであった。

 それを確認すると十千屋が今後の訓練内容を告げる。

 まずはISでの近接戦闘と急加速急停止といった基礎移動技能。雪片つまり『刀』というものの間合いと特性を箒との剣道訓練で再度把握してもらう。

 そして、『射撃』訓練も行なう。

 

「え、千冬ね『スパン!』…お、織斑先生が俺には射撃戦闘は無理だって」

 

「それも言い方が悪かったな。一夏、お前は格ゲーは好きな方か?」

 

「はぁ?何をいきなり・・・人よりはやる方だと思うけど」

 

「ひとなつ、自身が超近接紙キャラなのによく知らない中~遠距離キャラに挑む気?」

 

「あぁ!」

 

「分かったみたいだな。お前もソイツ(白式)も射撃の事を全く知らない。だから撃つ方も撃たれる方も弱

 いわけだ」

 

「じゃあ・・・」

 

「おう、撃ってみたいし追加装備欲しいよな?男の子だもんな」

 

 十千屋の言葉にISを知る千冬、セシリア、箒は反応する。

 白式に追加装備は無理だと、だがそこは十千屋・・・実にらしい答えが返ってくる。

 

「え、でも俺の白式は拡張領域が」

 

「大丈夫だ、そいつはコトブキ式に解決してやるさ。さてと、織斑先生」

 

「なんだ」

 

「白式を一晩貸してくれませんか?織斑先生の監視付きでもよろしいので」

 

「・・・分かった、その条件ならいいだろう。織斑」

 

「期待してるぜ、十千屋さん!」

 

 追加装備可能と聞いて瞳を子供のように輝かせる一夏。やはり何だかんだで男子というのは新しい武器とか好きなのである。

 それを苦笑している様な雰囲気で受ける十千屋であった。

 男の子とそれを面倒見る親父さんの雰囲気に、それぞれの好感度持ちはキュンとする。

 だが一名・・・その雰囲気について行けない者が居た、千冬である。

 

「これが…若さというヤツなのか」

 

 いや、千冬さん貴女も十分若いですからね?リアハと年齢同じですからね?

「子持ちと一緒にするな!」スミマセン・・・・

 

 

 あくる日、十千屋は一夏を連れて整備室に向かっていた。

 彼に連れられた一夏は怪訝な表情である。色々と思い出してみても整備室には用がないからだ。

 白式の整備でもないし訓練用にISを借りた覚えもない。

 少し黙って付いて来たが、彼は聞いてみることにした。

 

「なぁ、十千屋さん」

 

「なんだ?」

 

「整備室に向かってるって事は分かるんだけどさ、俺って必要なのか?」

 

「あぁ、そう言えば理由を言ってなかったな。すまん。連れてきたのはお前に会わせたい人がいる

 んだ」

 

「俺に?一体誰なんだ?」

 

「まぁ…会わす理由が廻り回ってお前に原因があって被害を被った人だからな、それを知って貰う

 為だな」

 

「…男性装着者の業ってヤツかよ」

 

 十千屋が一夏を連れてきた理由を話すと彼は頭がガクッと下がる。

 自分に非がないつもりでも男性装着者という事で様々な厄介事に見舞われるからだ。

 テンションの下げ具合に十千屋は一応、とりなおしておいたからそんなに酷い目にあわずに済むと告げる。

 それにほっとする彼であったが、一撃くらいは覚悟しておけと告げられるとまた頭が下がった。

 

「簪、例の奴を連れてきたぞ」

 

「…分かった」

 

「えっえ~と、君が十千屋さんが会わせたかった人かな。一応、俺は織斑一夏だ」

 

「更識…簪」

 

 整備室に着くと目的の人物-簪にすぐ会うことができた。

 だがローテンションで何処となく不機嫌そうな彼女に、一夏は苦笑しながら自己紹介をするが反応は芳しくない。

 しかし、理由を聞けば納得した。

 彼女に与えられる専用機開発が自分のせいでドタキャンのボイコット、しかも無期延期と言う事実上の契約違反の上での破棄であった。

 流石の内容に彼もまた初めて理由を聞いた十千屋の様に頭が痛くなる。

 

「え、ええと・・・なんて言うかゴメン」

 

「全面的に悪いのは研究所の方、半ば八つ当たりなのは分かってる。だけど、一撃…いい?」

 

「おう、俺も男だ。それでケジメが付けられるならドンと来いだ!」

 

「じゃあ、ちょっと待って」

 

 彼の謝罪にクスリと彼女は笑うと、ケジメの一撃を要求した。

 それに漢気で答えようとする一夏だったが、彼女が取り出したもので冷や汗が流れる。

 

「よいしょっ…と」

 

「あ、あの~更識さん。それは一体?」

 

「苗字は好きじゃない、コレは『ケジメ専用一撃必倒O.W(オーバード・ウェポン)咎螺因怒武靈屠(グラインドブレイド)』」

 

 彼女はメカメカしいその理解不可能機械を背に背負うとスイッチを入れた。

 しっかりと固定するために左側からアームが伸び左肩をガッチリ掴む、背に有って一番大きい右側のパーツは右腕に回され彼女はそれを掴む。

 すると、束ねられていた6枚の板が広がり異様な音と空気を醸し出す。板にはチェーンソーのチェーンの代わりに小さなハリセンが沢山ついている。

 そして、チャージがあるのかに板が円状に並び、豪炎を撒き散らしながらドリルのように大回転を始める。

 

『意味不明なユニットが接続されました。システム(シリアス)に深刻な障害が発生しています。直ちに使用を

 停止してください』

 

「ちょっと!?変なアナウンスが流れてるんですけど!!しかも、それって多分多段ヒットで一撃

 じゃないよな!?!?」

 

「一撃は一撃…ちゃんと受けてよね?」

 

「十千屋さん!?」

 

「一夏・・・グットラック!」

 

「ちくしょうーーー!!」

 

 見た目からしてヤバそうな雰囲気であり一撃を繰り出す本人と周りに助けを求めてみたが無駄であった。

 彼はヤケとなって構える、気分は天下一武道会で大魔王の攻撃に耐える主人公の様だ。

 

「逝く」

 

「来ぉおおおいい!!俺は一撃で殺られるぞーー!!!」

 

 板のドリルの様な回転に加え、板自体もチェーンソーの様に回っており極小のハリセンが一夏のあらゆる部分を叩きつけてゆく。

 一個一個は大したことないが高速で何度も叩かれると結構痛く、勢いもあるのでどうする事もできない。

 

「うぉぉおおぉぉおおお!??」

 

「せいりゃ!」

 

「アッーーーぁぁああーーーーーーーー!!!」

 

 簪の最後の一押しで一夏は勢いに耐え切れず飛ぶ。

 その後、何故か自分の脳内で大爆発するシーンが浮かぶのであった。

 そして、彼は体を縮こませ倒れふした。とある界隈ではヤムチャると呼ばれるような倒れ姿である。

 

「かんちゃ~ん、今日も来たよ~。あれ?いっち~こんな所で寝てたら風邪引くよ~?」

 

 全てが終わった後に、元気よく整備室に本音が入ってきた。ヤムチャる一夏を見つけると突っつきながらそう言う。

 それを皮切りに次々と生徒たちが入ってきた。皆、簪の専用機『打鉄弐式』を組み立てるために集まってくれた有志たちである。

 協力を拒んでいた簪がこうして一人だけではなく、皆と組み立て始めた理由は少し前に遡る。

 

 クラス代表決定戦が終わって少したった後、十千屋は自分の機体を組み立てくれたお礼に簪の手伝いをかって出ていた。

 時間が合うときにはこうして整備室に向かい、主にプログラムチェックと細かい所の組み立てをやってる。

 たった二人きりで組み立てる音しかしない静かな時間が過ぎるが、不意に彼が口を開いた。

 

「なぁ、簪」

 

「・・・なに?」

 

「言いづらいならいいけどさ、こうして一人で組み立てる事に固執している理由ってなんなんだ」

 

「・・・・・・」

 

「すまん、忘れ「いい、貴方だったらいい」ん?」

 

 簪が一人で組み立てている理由を彼は尋ねたが、口を閉じている様子を見て聞き流す様に言おうとしたら遮られた。

 そして、彼女からこうして固執している理由が語られる。

 最大の理由は姉への反骨心だ。実家ではなんでも出来る姉といつも見比べられ嫌気がさしていた。

 だが、好きであった姉に少しでも追いつこうとする日々の中、転機が訪れた。

 彼女の家は古くから続く家系であり、当主制が続いている。その、当主に姉が選ばれた日に彼女は姉から「無能でありなさい」と言われ突き放された。

 この言葉を受けて胸中によぎったのは虚無感と怒りである。支えであった姉への気持ちが反転し思慕は怒りへと変わった。

 そして、反骨心と成り姉が一人でISを組み立てたと聞いたから自分自身もたった一人で組み立ててやる、と思ったのだ。

 こうして、現在に至る。

 

「そうだったのか。でも、ISの(くだり)がおかしくないか?」

 

「・・・え?」

 

 十千屋は簪の過去と理由を聞いて憐敏を感じさせるが何処かが引っ掛かる。

 彼女の過去話は可笑しくはないが、I()S()()()()()()()()()()()()()の部分が妙に感じるのだ。

 

「どういうこと?」

 

「いや、本当にそのお姉さんはたった一人でISを『全て』組み立てたのかなってな」

 

「私はそう聞いた」

 

「でも、そのISは専用機なんだろ?専用機といえば国の顔になるISだ。それを国家代表たった一人

 に組立を任せるか?」

 

「あ・・・」

 

 そう、十千屋が気づいたのはその点である。

 IS専用機は国家の威信を賭けて制作するものだ。いくら優秀な国家代表でも1から10まで全てを任せるはずがない。

 その一人の意味が、特殊兵装の原案なり機体コンセプトなり等なら話は通る。が、設計発注組立を全て一人で賄うというのは無理がありすぎる。

 そして、十千屋はある可能を考えた。

 

「なぁ、簪その話って何処で聞いたんだ?こっちの仕事柄、更識の家の裏は聞いたことがあるんだ

 が」

 

「…実家、という事はつまり」

 

「もしかするとな、いっぱい食わされた可能性があるな」

 

「でも、私は・・・」

 

 十千屋の考えた可能性、それはその一人で組み立てたと言う話自体が簪の姉の狂言ではないかというものだ。

 対暗部用暗部「更識家」これが彼の知っている更識の裏である。

 彼女自身は気づいていないだろうが、彼は優しい可能性も気づいた。彼女が嫌う姉はワザと簪を突き放したというもの。

 危険な家から彼女を遠ざける為に一芝居をうったのであろう。だが、それが彼女にコンプレックスを植え付けたのは失敗なのであろうが。

 そして、そのコンプレックスが彼女を踏みとどまらせる。

 

「頼ることが弱さじゃないさ、それに寄り掛かったままじゃ駄目だけどな」

 

「弱さじゃない・・・」

 

「人は完璧じゃない、簪のお姉さんだってドコか抜けている部分だってあるさ」

 

「・・・(コクリ)」

 

「それでも納得できないなら、簪しか出来ない事で超えてやろうぜ」

 

「私しか・・・出来ない?」

 

 十千屋は自分の作業場から離れ、簪のそばまで来る。

 そして、右の手袋を外し彼女の頭を優しく撫でる。

 

「そう、学生()の手でこの専用機を作り上げるんだ」

 

「でも、私一人じゃ…無理、できっこない」

 

「大丈夫だ、俺が付いてるし。そして何よりも・・・簪には掛け替えのない友達がいるだろ?」

 

「えっ」

 

 十千屋がそう語りかけるが、彼女は無理だと答えた。

 でも、彼はそれを否定し整備室の出入り口を指す。するとそこは見つかって咄嗟に逃げる本音の姿があった。

 ポカンとその様子を見る彼女に笑いかけるように彼は話す。

 

「なっ、人の縁ってモノはバカにできないだろ?それに」

 

「それに?」

 

「話を聞いてる限りじゃお姉さん友達少なそうだからな!ここんトコロは絶対真似できないだ

 ろ!!」

 

プッ…ククク…

 

「ふっ、誰もが驚くようなISに仕上げてやろうぜ?俺たちとこれから増える皆でさ」

 

「うん、私たちとみんなで」

 

 その後、簪は本音を誘ってそれに釣られて気にしていたクラスメイト達も集まってきてくれた。

 協力者がどんどん集まり、実際にあるIS研究所に負けないくらいの熱気で打鉄弐式の製作に乗り出したのである。

 そして、現在は・・・

 

「そこ!接続部位緩いよ!!」「こっちのチェックは!?」

「え~と、詰めるミサイル、ミサイル、ミサイル、ミサ・・・コレはグレネド」

「簪さん、この部分はどう?」「ん、大丈夫」

「10×15のネジ!5×10の六角!20×10のナット!」「はい!はい!はい!」

「いっち~、そっち持って~!」「織斑君!そっちの大きい部品持ってきて!」「ついでにお菓子も持ってきて!!」「了解!って最後のはなんだ!?」

 

 大盛況である。集まった皆が簪と打鉄弐式の為に力を合わせて作り上げてゆく。

 そんな中でまた新しいメンバーが現れた。

 

「三年-基木素子&私の整備チーム、推して参る」

 

「一年生!いい根性してるじゃない!!」「専用機の組み立て…そんな面白い事を独占してんじゃないわよ!」「この先輩にお任せあれ!」

 

「来た!三年生整備課が来た!!」「これで作業が捗る!」「でもって十千屋さんの愛人もついでに来た!?」「おい…(~_~メ)」

 

 十千屋がここで何しているかを聞きつけたのか、素子が自分のISの整備を担当してくている同級生をつれて参戦してきたのである。

 参加した三年生は流石というか、今まで気付かなかった間違いを指摘、ともに作業しながら指導し一年生たちの技術向上もしてくれた。

 更に賑やかになった整備室で十千屋はたった今来た素子に話しかける。

 

「素子、どうしてこんな所に来たんだ?」

 

「父様が色々やってるって聞いたから。それに進路がほぼ決まった三年生は意外と暇」

 

「そうだけどな「それに」それに?」

 

「父様、あの娘が新しい義娘(愛人)候補?」

 

「違うから!彼女の御家族は健在だから!!ちゃんと仲直りする予定もあるから!!!」

 

「大丈夫、ちゃんと分かってる」

 

「全く、冗談が「私が愛人候補の娘をクチュクチュのトロトロにして、一緒に父様にしゃぶり尽く

 されれば良いんだよね」じゃない!?」

 

「うん、美味しくいた『グリィ…』ダァっ」

 

だ か ら !違うって言ってんだろうが!!ルビをそのまま落として、欲望を垂れ流しに

 すんじゃねぇ!!!」

 

 グリグリグリ…「イタイ、イタイィ…流石に父様のチカラでウメボシは止めてぇ」

 

 今日は十千屋と素子が笑いを取りながら時間が過ぎてゆく。

 実際にいつ出来るか分からなかった打鉄弐式は、クラス対抗戦には間に合わないが次の行事には着実に間に合いそうだ。

 皆が楽しそうにだが、真剣に取り組んでゆく。協力している十千屋と一夏は時間が合えば積極的に手伝う事となった。

 本当は出来るまで付き合いたいが、彼らも色々と忙しいのだ。

 だが、製作後の実働データ集めは一夏達の訓練に参加することで集めることを約束したのである。

 

 そんな、整備室を覗く・・・一つの影有り、

 

「(´;ω /| あぁ…簪ちゃんがあんなに笑って楽しそうに……うぅ、私も混ざりた

 いぃぃ・・・・・(泣」

 

 ここに一人IS駄姉が居る。彼女の名はIS学園2年生で生徒会長-更識 楯無(さらしき たてなし)

 妹-簪をワザと突き放したが未練タラタラでストーカー行為(簪ちゃんを影から見守り隊)をする駄姉である。




さて、カンパニー企業代表の素子はどうだったでしょうか?
見た目はクールなのに中身残念をテーマとして書いています。いや、中身下ネタの方が適切か?(汗

十千屋らの出身国は一応オリジナルです。
だけど国名を英語読みに直したら、モデルとなっている国はある系統の人ならば知ってる国です。
無論、現実にある国じゃありませんけどね。

今回は編集のためのタグを含めて1万文字を突破しました。
前半中盤で7千文字くらいで、後半をいれて9千文字位になればちょっと多めだけどいいだろうと思ったら・・・軽く超えちゃったよ(汗
読んで下さっている皆様は何文字ぐらいの話のほうが読みやすいんでしょうか?
3~5千文字位でちょこちょこ話を上げていったほうがいいのだろうか?
そこは要調整ですかね。

そして、次回からはついにセカンド幼馴染編が加速しますね。
一夏の土下座案件とともに(邪笑)

では、今回は此処まででございます。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。
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