IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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今回は筆が乗って、6千文字を超えた所でちょうど良い区切りだったので投稿しました。

では、どうぞ御ゆるりと。


IS×FA20ss:俺の役割だ

 事件が終われば全て良し、という訳にはいかない。

 物事全てには後始末というモノが付いて回る。

 それらは全て人それぞれだが、彼らはどのようになるのだろうか?

 

 

 謎の機体襲撃事件から1日たった。そこから色々な後始末が待っている。アリーナは修復しなければならないし、事件を見ていた生徒には事情聴取や箝口令を出さなければいけない。

 何故、箝口令が必要かというと…そんなもの決まっている、国際的に重要な施設が襲われたなんてやすやすと広めるわけにはいかないからだ。

 学校生活というものは一学期は忙しいものだ。それなのにこんな異常事態が起きてしまい学園教師勢はてんやわんやの大騒ぎ、しかも箝口令の事を十千屋に話したら…「たぶん、今後こんな事件が増えるんじゃないですかね。俺や一夏と言う獲物(イレギュラー)がいますし」の言葉でやるせなくなっても仕方がない。

 そして、その影響は十千屋と一夏のグループにも及んできた。

 

「三日間の謹慎令ですか」

 

「あぁ、とは言ったものの祝日2日間を挟むから実質的に1日だけのだがな」

 

「何故なのですか…」

 

上層部(IS委員会)は御咎め無しと言っているんだがな。理事長先生や織斑先生…俺の独断だ」

 

「十千屋さん・・・」

 

 今この場-生徒指導室に居るのは箒と千冬、そして十千屋の三人だ。箒に謹慎令が出た理由はこの前の事件でしでかした中継室の乗っ取りである。

 本来なら避難しなければいけないのに中継室に行き身の危険を晒しただけではなく、その過程で巻き添えを二人出してしまった。もし、十千屋が身を呈して防がなければアリーナのシールドバリアを突破できる攻撃(ビーム)によって中継室ごと蒸発していただろう。

 その理由を聞き箒は理解は出来たが納得が出来なかった。彼女にとってはあの時は自分の出来る事をしたと思っている。しかし、それを彼は一刀両断する。

 

「箒…お前が一夏の為になにかしたい気持ちは分かる。

 だが、その為に一夏も他の人達も傷つけたいのか?」

 

「違う!私はっ、私は一夏の為に…!」

 

「結果的には敵は最大の隙を晒してくれたが…もし、俺が間に合わなかったら?

 もし、俺が防ぎきれなかったら?もし、敵が倒しきれなかったら?どうなるんだ?」

 

「そ、それは…」

 

「そうさせない為に防いだんだが…俺は命を張ったぞ?」

 

 十千屋は可能性の話をして、いかに無謀で無鉄砲で邪魔だったかを冷たく刺すような言葉で彼女に言う。実はあの時、防いだ彼は一夏と同じように絶対防御を切っていた。

 理由は絶対防御が発動してしまうと防ぎきれないと思ったからだ。ISには強制解除がある。その条件はシールドエネルギーの残量だ。アリーナのシールドを突破できる攻撃を防いだら絶対に絶対防御が発動してしまう。しかも複数回発動したら彼のSEはすぐに尽きてしまうであろう。

 そうしない為に彼は自分のISにハッキングをかけシールドの特性を()()から()()に変更し防ぎ切ったのである。その影響であの場では言わなかったが、防ぎきれなかった熱量で彼は全身軽度の火傷を負っていた。

 箒はそれらを聞いていくと血の気が引いていく、自分が何を仕出かしたのか今度こそ納得しかけるが…そこに彼はトドメを刺した。

 

「お前は…一夏の前で死んで、アイツに一生残る心の傷を付けたかったのか?」

 

「わ、私は…わた・・・し・・・は・・・・・」

 

 座っていた箒は両こぶしを握り締め、俯いて泣き出してしまう。彼女にとっては一夏はある種の絶対的な存在である。その彼に取り返しのつかない傷をつけるのは有ってはならない事だ。だが、それを仕出かした事実は彼女に大きな負担を強いる。

 この状況に千冬は流石に動かなければいけないと思ったが、その前に彼が動いた。何時ものロボメットを取り外し、彼女の側に行き素手の両手を頬に添えて顔を向かせる。顔を向かせられた彼女は恐怖するが、それとは対照的に彼の傷だらけの顔は慈愛に満ちていた。

 

「箒、俺は逆にこの謹慎はチャンスだと思っている」

 

「ちゃ、チャンス・・・?」

 

「あぁ、お前の経緯はだいたい知っている。一夏にどれほどの想いを抱いているのか大体分かる。

 だからこそ、一度自分の思いに向かい合ってみないか?」

 

「自分の…一夏への想い」

 

「そうだ。命短し恋せよ乙女…大いに結構。でも、自分も相手も周りも傷付けるのは駄目だ。

 悩め迷えたっぷりと、そしたらきっと前よりも素敵に成れるさ」

 

「十千屋…さん」

 

「大丈夫さ、何も一人で悩むなとは言ってない。袋小路になったら呼べ。

 俺も俺が信頼する奴も一緒になって悩んでやる」

 

「とぢや・・・ざん」

 

「泣け、叫べ、おもいっきり。助けるのも間違った事をして怒るのも()の役割だ」

 

「うぁ、あぁ…ああぁああ!!」

 

 堪えきれなくなった感情は泣く事によって顕になり、箒は年甲斐もなく泣き叫ぶ。それに対して十千屋は彼女を胸へと抱き入れ、頭を撫で背を摩って強く優しく接した。

 その光景に流石の千冬も息が漏れ肩を落とす。

 

「まったく、お前は…」

 

「すみません、良いところ全部取っちゃいましたか?」

 

「いや、今一番近いのはお前だ。私なんかよりもずっとな」

 

「ありがとうございます。織斑先生」

 

 その後、泣ききった箒は赤く目を腫らしたがどこかスッキリとした表情であった。千冬から謹慎は明日からと予定を聞き帰ってゆく。

 そして、彼女が見えなくなったら二人が話し出す。

 

「十千屋…謹慎はそれだけじゃないのだろう」

 

「えぇ、箒にはカウンセリングが必要だと思います。じっくりたっぷりと」

 

「あぁ、アイツが暴走するのは織斑への恋心だろうが…少し行き過ぎを感じるな」

 

「はい、自分は幸せだった過去への執着のようにも思えます」

 

「ほう…」

 

 十千屋は箒の一夏への恋心の暴走は何か有るはずだと勘が言っていた。自身の歪みや特殊な身の上が多い義娘たちからの経験である。

 彼女の過去を調べてゆくうちに、彼女が一夏に対しての思いが恋だけではないと予測するようになった。

 幼い初めての恋をして、幸せな日々を感じていた矢先の要人保護と言う名の一家離散。無論、それは一夏との別れも含まれる。一人だけとなった彼女を支えたのはきっと一夏への恋心とそれに付随する幸せな過去だったであろう。

 十千屋が調べた内容では政府は要人保護のアフターケアを行っていないように感じた。それ故に自分の想い人で有り、良い思い出の象徴である一夏に執着するのだろう。

 そんな彼女に必要なのは今と過去の区別をつけさせ、その象徴である一夏をどう思っているのか、どうしたいのか、どうして欲しいのか、と心の整理を付けることだと思う。

 謹慎はそんな彼女にはちょうど良い機会であった。一人で考えられるし、いつものメンバーが居ない状態だからこそ吐き出せる何かがあるかもしれない。

 IS委員会は箒になにかした時の篠ノ之束の報復を恐れて何も触れないようにしたいだろうが、んな事知ったこっちゃねぇ。彼は自分の子供でないが、子供を心配し行動するのは親の特権であり、幸せを願うのは当たり前のことだ。

 それ故にこの謹慎令を聞きつけた時、実行するように理事長と千冬に頼み込んだのである。

 

「まぁ、私としても知人の妹が道を踏み外すのは見たくはない。その予防としては分かるが…

 余り無茶な要望はしないでくれ」

 

「そうは言ってもこれから大変ですよ。自分と一夏と言う厄ネタが有りますし、

 IS学園と言う特殊環境下に置いては一般生徒へのフォローも必要になってくると思いますしね」

 

「貴様…十千屋夫人をカウンセラーとして組み込んだのは、こうした理由からか」

 

「必要でしょう?学園の過去の記録や現状を見ると心のケアは余り…みたいですし」

 

「ちっ、貴様は嫌になるほど有能だな。いっその事、今からでも教員として組み込むか」

 

「お断りします。自分が面倒見られるのはバカ(一夏)とその周りで精一杯です」

 

 大人たちの思惑を後にして、箒は謹慎と言う名のカウンセリングを受けることとなる。その主治医を務めたのはリアハであったが…カウンセリング後、ハイライトが無い目で十千屋にお願いしてきた。

 

「ねぇ、ユウさん?お願いがありますの?」

 

「お、おう…?」

 

「うふふふふ、踊って貰いますね。女権団体さん?」

 

 どうやら、アフターケアせずに逆に尋問や軟禁状態にしていた要人保護の政府関係者はリアハの逆鱗に触れたようだ。その後、その関係者はどうなったかは誰も知らない。知りたくもない。

 

 

 

 こちらは一夏と鈴、今二人は人通りが無い校舎を歩いている。とある放課後に鈴が一夏を強引に連れ出しここへ連れてきたのだ。

 

「なぁ、鈴。何処まで行くんだ?」

 

「そうね。もうここら辺でいいわね。じゃ、お話しましょうか」

 

「 ? 何をだ?」

 

「あ、相変わらず鈍いわね!この前の試合よ!勝負よ!決着!!」

 

「あぁ!それか!」

 

 どうやら鈴は事件が起こった時の互いにケリを付ける為の試合について話したかったようだ。ここまで連れてきた理由は二人だけの内容だからだろう。それに他人に聴かせるような話でもないのだし。

 

「でもなーあの試合、無効だってな」

 

「まあ、そりゃそうでしょうね…」

 

 一夏はどうしようかなぁと上の空になり、鈴はそこらへんの壁に寄りかかる。

 

「なぁ、どうする」

 

「どうするって、何をよ」

 

「いや、勝負の決着はどうするかってこと。次の再試合は決まってないんだろ?」

 

「あぁ、そのことなら別にいいわよ。事の発端のアレは試合前に互いに謝ったし、

 この勝負ってどちらかと言うとケジメ付けだしね」

 

「そうだな」

 

「どうしても気持ち悪いってんなら、個人的に受けて立つわよ?」

 

「いや、止めとくよ。そんな気分じゃねぇや」

 

「あら、奇遇ね。あたしもよ」

 

 乱入され事件が起こり互いに不完全燃焼であったが、でもケジメは付いた。これが二人の結論であった。互いの胸中が同じだと分かると同時に苦笑が漏れる。ここにはもう、意地を張って喧嘩していた二人の姿はなかった。

 

「なぁ、鈴…ちょっといいか?」

 

「あによ」

 

「師匠に絞られた時に思い出せたんだけどさ。あの約束って…

 『毎日味噌汁を~』ってニュアンスだったのか?」

 

「うぇ!あ、あの…ええとぉ・・・」

 

「何どもってるんだ?」

 

「違う、違う!アンタの考えすぎよ!」

 

「そうか?そう言うんだったらそうなんだよな。俺の考えすぎか。

 なら師匠が想像した『忘れないで』系の感じか」

 

「そうそう!やっぱり気のあった友達と別れるのって嫌だったのよ!!」

 

 あぁ、哀れ乙女・・・・この朴念神が正しい意味でようやく理解したと思ったのに、気恥しさからつい誤魔化してしまった。こんな千載一遇のチャンスを棒に振った彼女は脳裏で自分を罵倒し続けていた。

 覆水盆に戻らず、このまま話は進んでしまうのである。

 

「やっぱり師匠って頼りになるな。俺の考えじゃ合ってなかったもんなぁ。

 ん?じゃあ、なんであんなに不機嫌になったんだ?」

 

「あ、アンタはもうちょっとデリカシーを持ちなさいよ。久し振りに会った親友なのに

 凄く嬉しそうにしないし、あたしの知らない連中に囲まれて随分と楽しそうだったじゃない」

 

「あ、う…わ、悪ぃ」

 

「はぁ、本当に朴念神ね。まあ、これからも頼むわよ一夏(親友)

 

「あぁ、頼むぜ(親友)

 

 その後、二人は離れていた間変わったことを話しをする。鈴の両親の離婚や今度昔の仲間で遊びに行こうかなど、他愛もない話で一喜一憂していた。

 そこそこいい時間になった時に別れたが、鈴はすぐ傍の曲がり角で頭を抱えた。理由は無論、先ほどのことだ。

 

「(あぁああぁあ!?あたしのばぁかぁああ!!!そこは素直に頷きなさいよ!!

 《素直になれ》ってアイツの言った通りじゃないのよぉお!!)」

 

「そうだな、素直に言えば何馬身も抜けられたのにな」

 

「そう、そうなのよ…はっ!?」

 

「あえて言おう…この ヘ タ れ

 

「何でアンタがここに居るのよ!?」

 

「歩きで船に戻る途中、お前らが見えたんでな。発破つけたのは俺だし、後を付けてみたんだよ」

 

「まさかのハナっから聞かれてた!?」

 

 チャンスを不意にして身悶えている鈴に十千屋が話しかける。どうやら彼は最初から一夏との会話を聞いていたようだ。その評価は…ヘタれずにもっと頑張りましょう、である。

 その事実に彼女は顔を真っ赤にして抗議する。

 

「仕方ないじゃない!朴念仁特有の不意打ちのクリティカルよ!?どうしろってのよ!!」

 

「いや、頑張って受け止めろよ」

 

「あぁ!もう!アンタはどうだったのよ!!」

 

「どうって?」

 

プ ロ ポ ー ズ (告白)!!奥さんがいるんだからした事あるんでしょ!」

 

「…参考にならないぞ」

 

「あによ、それ」

 

 淡々と受ける十千屋に対して鈴は逆ギレし、彼がどんなプロポーズをしたのか問いただす。しかし、その反応は歯切れが悪く、顔はあらぬ方向に向いて唯一素肌が見える首は真っ赤であった。

 

「小学生くらいの頃、リアをいじめる奴らの目の前で…リアの唇を奪って『俺の女』宣言した」

 

 「本当にレベルが違いすぎて参考にならない!?」

 

 答えが斜め方向に成層圏を超えていったので、鈴は思わず声を張り上げてしまった。まさか、そんな幼い頃にあらゆる意味でレベルが高い告白していたなんて…と。

 謎の敗北感に打ち拉がれる鈴に、照れ隠しなのか首筋を掻く十千屋が声を掛ける。

 

「まぁ、頑張れ。恋する乙女。贔屓することは出来ないが、応援はしてるぞ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「あと…な」

 

「なんですか?」

 

「近いうちに甲龍を見せてくれないか?気になる事があってな」

 

「え、あ…はい。それくらいだったら」

 

「ありがと。まぁ、頑張れよ。またな」

 

 十千屋はそう言うと、去っていった。それと同時に一夏が入れ違いにやってくる。

 だが、鈴の目には何かが宿っていた。

 

「おーい、鈴!お、ラッキー。ココに居たんだな?お前の小銭入れ拾ったからさ。

 明日でもいいと思ったんだけど、やっぱり今日中の方がいいかなって。あれ?師匠がいたのか」

 

「一夏…」

 

「なんだ?」

 

「アリーナに行くわよ…」

 

「へ?」

 

 鈴はユラリと立ち上がると一夏の腕を強引に掴んでアリーナへと向かう。彼は状況が分からず右往左往するが、聞こうとしても彼女から立ち上る様に見える怒気やら闘気やらに腰が引けてしまう。

 

「お、おい…鈴。アリーナはもう閉まってるぞ?」

 

「なら、明日ね。明日、あたしとバトりなさい」

 

「え?あれ?ケジメ付けのやり直しか?」

 

「違うわよ、戦って戦って鍛えるのよ!アイツに勝つくらいに!!」

 

 彼女の発言を聞き、その闘志にまたしても腰が引けてしまう彼。ついでに掴まれている腕には力が入りすぎて痛い。そんな事も構わず握りこぶしを掲げ鈴はある発言をする。

 

「ふっふっふ…待っていなさい、十千屋雄貴!アンタを必ずブチ倒してあげるわ!!」

 

 その後、どんな相手にも戦いを挑み自らを高める彼女の姿があった。どんなに相手が強くても戦いを挑まずにはいられなくなった彼女の事を人はこう呼ぶ…戦闘狂(バトルジャンキー)と。

 

 

 




はい、《二人目の幼馴染編》は次の教師サイドの話をすればほぼ終わりです。

鈴ちゃんは……戦闘狂(バトルジャンキー)になってしまいました。
いや、ちゃんとフラグっぽいモノは書いておいたんですけど…バトジャンの鈴ちゃんはアリですかね?
もしダメだったらセカン党の皆様方…どうもすみません(汗

その後は…ニンジャの言っていた、たっちゃんの濡れ場(仮)でも書こうと思いますが・・・ちゃんと、表に載せられるモノを頑張って書こうと思いますが……裏に完全R18のを作ってら読んでみたいですか?
いや、妄想だと完全に3●状態なんで…(汗 性欲を持て余すby.スネーク

でも、これで《二人の転校生編》に入れる目処が見えました。
そこでも頑張らなければ。

設定集:更新しました
17.5/16:チェーロ・プニャーレのプロフィールと、ほか細かい所追加

では、今回は此処まででございます。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。
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