ただし、一夏のラキスケやラブコメは無い…
では、どうぞ御ゆるりと。
日々は変わりゆくもの、それはタダの変化なのか、それとも進歩なのか…
そんな事は誰にも分からない。
けど、一生懸命前を見て走る若者達は昨日よりも歩みを進めていることだろう。
さて、今日は第2グラウンドでの実習授業なのだが男子3名?は始まる少し前にようやく来られた。
男は女子生徒達と違い、着替えるために一々アリーナの更衣室を使わなければならないため遅くなってしまうのである。
今回は間に合ったが少しでもノンビリしてしまうと遅れてしまう、そんな位置わりであった。
「で、アンタまたやっかみを買ったんだって?」
「仕方ありませんわ。一夏さんはオジ様ほど器用に生きられませんから」
「お前ら…俺をそんなに貶したいのか?」
「え~?事実じゃない、ひとなつ」
「そうね、ある意味で生きづらい性格かも知れないわ」
「そうだな。お前たちも静かにしなければ…どうなるか、分かるな?」
一夏の一幕を聞き、さっそく評している毎度のメンバーであったが声を掛けられ全員が一斉に口ずさむ。
声のした方には…我らが鬼教官である千冬が手に持った出席簿を軽く振るっていたのである。このままでは打たれる事が間違いなしなので各自素早く列に戻った。
「ふぅ。では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始するが、
今日は戦闘を実演して貰おう。そこにちょうど元気が有り余っている奴がいたな。
―――凰!オルコット!」
「おふぅ!?」
「わたくしまで巻き添えですか…チェーロさんと轟さんもでしたのに」
「専用機持ちは直ぐに始められるからな。
あと、その二人の専用機はどちらか手持ち無沙汰になるからな」
渋々といった感じで呼ばれた二人は前へ出るが、戦闘の実演というのに相手が居ない事に気づく。それには呼ばれた二人同士が戦えばいいのかと思ったその時、空気の裂く様な音が何処からか聞こえてきた。
誰もがその方向を見ると…何かかこちらに向かって突っ込んでくる。
キィィィン・・・・
「あぁあーっ!ど、どいてぇ!?」
「轟、チェーロ」
「はい」「はいなぁ!」
その正体はISを装着した山田先生であったが…このままでは誰かに突撃して大惨事になってしまうだろう。
そんな事を予測するよりも早く、十千屋が轟とチェーロに声を掛けると直ぐに行動を開始した。
バクンッ!「あいぁ!?」
「チェーロ」
「おぅ!」
ギュィイン!「山田先生ゲットだゼェ!」
轟が瞬時にFA:Gを身に纏い突っ込んで来る山田先生に対して正確無比な腕前で眉間にスラッグ弾を撃ち込んだ。
すると、当たった拍子に怯み速度が落ちた彼女を轟と入れ替わってチェーロが捕獲する。その捕獲方法は思いっきり胴体を掴みに行ったので、着地した時は山田先生は彼女の肩に担がれていた。
「…二人の対戦相手は山田先生だ」
「大丈夫なのですか?」
「ちょっと、やりづらい雰囲気よね」
激突の危機から助け出された山田先生はその立役者のコトブキカンパニー3人組に向かって頭を何度も下げて感謝と謝罪を繰り返している。
その光景にやる気を削がれる二人であったが、千冬の次の言葉で火を付けられた。
「大丈夫だ。それに二人纏めてかかってゆけ。なに、今のお前ら程度なら山田先生は負けん」
「「(むっ!)」」
「ならば、見せて貰いますわよ。IS学園教員の実力を!」
「いいじゃない。かかって来なさいよ!」
やる気を出した二人といつの間にか謝り終わっていた山田先生が揃うと実演が始まった。
見学者は千冬が出した解説用の質問にシャルルが答えそれを聞きながらであったが、対峙している二人は千冬が言った先ほどの言葉は嘘ではないと体感する。
自分達の攻撃は予測され外され、逆に防御と軌道を予測され攻撃を当てられている。だが、その事実があっても二人は冷静さを欠かさなかった。
「ちっ、拙いわね。まるで
「いえ、鈴さん。オジ様の方がもっと厄介ですわ。
わたくし達対オジ様の多数対一人の経験がなければ、直ぐにやられていたでしょうけど」
「どうする?今のあたしは真っ直ぐ突っ込むしか能がないわよ。
情けない事に未だ本気の甲龍を持て余してるからね」
「わたくしは自身とビットを別の軸で同時に回れるように成れましたが、
山田先生には通じそうにもありませんわね」
「…このままヤられるのはシャクね。一矢報いるかも知れない案があるけど、乗る?」
「ええ、同乗させていただきますわ。
丁度わたくしは鍛えて貰ったオジ様に申し訳なく思っていた所なので」
相談し終わった二人は一旦別々の方向に分かれて、再度山田先生に同時に急接近した。この反応に彼女は即座に両手の武器を変更、ライフルから弾幕を作りやすいサブマシンガンに変えそれぞれの標準を向ける。
普段なら避けそうな二人は弾を喰らいながらも接近を試みる。鈴は双天牙月をセシリアはビットをそれぞれ盾として使い最短距離で縮めてゆく。
彼女らの戦法に疑問を持ちながらも山田先生は威力の高い武器へ替えようとした時、近づいてきている彼女らから何かを投げつけられた。その正体はハンドグレネード(柄付き)、十千屋から買い受けたW.U38 ボムセットの内容物であった。ちなみに鈴の現地調達である。
セシリアは両手に1つづつ、鈴は投擲術を習った事があるのか両手の指に挟み込んで複数投げつけてきた。意外な武器に山田先生は驚いたが体は反射的にそれらを排除しようと動き出し、呼び出したライフルの標準を彼女らからグレネードに変更し撃ち落とした。
すると、当たり前だが周りは爆炎で視認不可能になった。僅かだが戦いに間が空き、その隙をぬって鈴が連結させた双天牙月を振りかぶり突っ込んでくる。
当たればそこそこ大きなダメージに成りそうな攻撃を山田先生は、彼女の下を潜ることで避けた。
「にゃぁな!?あたしの下を潜ったぁあ!?」
「(あ、鈴さんの後ろにビットが着いてきてますね。別の方向に避けたら撃たれていたんでしょうか?)」
そう、鈴の提案とは隙を作ったあとジェットストリームアタックを仕掛けることであった。鈴の攻撃が避けらたなら陰に隠れていたビットと離れた所に居るセシリアが追撃する予定であった。
…が、山田先生が下に避けた事でその目論見が外れる。無意識に上や横に避けると思っていた事と、下に避けられた事で別の場所から見ていたセシリアにとって鈴の陰に入られてしまい視認不可能の攻撃不可になってしまった。
「まぁ、勝負は勝負って事ですね」
「ぎにゃぁぁああ!?」
「きゃぁああああ!?」
下に避けた山田先生は彼女らが身構える前にリボルバーランチャーで標的-彼女らもビットも撃ち落としにかかる。しかも、ランチャーが空に成ったらそのまま放り捨て別の武器を
その別の武器とはハンドガトリングガン×2とそれに給弾するベルトリンク×2だ。文字通り、弾を浴びるように喰らい彼女たちは
「ふむ…まぁ二人は頑張ったみたいだが、これでIS学園教員の実力が理解できただろう。
以後は敬意を持って接するように。ちなみに山田先生は元代表候補生だ」
「む、昔の事ですよ。それに候補生止まりでしたし…そんなにヨイショされると恥ずかしいです……」
「はぁ、そのあがり症がなければもっと上に行けたんだがな」
その後、専用機持ちをリーダーとして実習班を分け授業が再開された。
ちなみに山田先生が使っていた武器はコトブキカンパニーからの試供であり、中々の好感触であったらしい。
さて、再開した授業は相変わらずの女子高生パワーのせいで千冬が班を組み直したり、班の数に比べて訓練機が少ないので十千屋が自分用のISを使わせたり、
一夏の班が間違えて立たせたまま訓練機を降りてしまったため、乗れなくなったのをチェーロが
その中で十千屋はラウラの班と合同で取り組んでいた。
「「attention!」」
「「「Σ(・ω・;|||!?」」」
「さて、これから君達には今の時間で出来る限りの事をしてもらう」
「山田先生が仰った最低限の内容は起動させ歩行する事だ」
「「では、各班先頭から行動開始!」」
「「「は、はいΣ(゚д゚lll)!!」」」
行き成り十千屋とラウラの雰囲気が変わり、the特訓の様な空気を吹き出す。その勢いに押され班員となった生徒たちは背筋を伸ばし敬礼しながら始めるのであった。
「どうした?ISの起動は慣れた者なら量産機でも10秒もかからない。
初回はそれでいいが、次からは慌てず焦らずしかし的確且つ素早くする様に努力するんだ」
「はい!」
「よし!そのまま歩行に移れ!10歩、歩いたら戻ってこい!!」
「はい!」
「訓練以外の何かでグズグズするな!織斑先生に叱られたいのか!
ただしっ体調不良ならば遠慮せずに言え!!」
「「「は、はいぃいい!!」」」
他の何れの班よりも的確にスピーディーに進んでいるが、気の抜けない空気で班員の生徒達は着いてゆくのに必死であった。
だが、時折のアドバイスは大変ためになる為に頑張る事ができる。
「いいか、ISの動かし方のコツは自らの
ISがなんで人型だと思う、自らの動きをそのままIS合わせて伝えろ!」
「我がドイツ軍ではISの訓練が出来ない時はイメージトレーニングやシャドウで訓練する。
自らの間合いとISの間合いを一致させる事によって、
的確に素早くロスの無い動作ができるようになる。人とISのイメージを一致させ体を動かせ!」
そのままこの合同班は次々と班リーダーの指示をこなしていった。歩いたら後ろ向きで戻ってきたり、指示に合わせて歩調を変えたり、行き成りポージングを取らされたり、ピタゴラスイッチ体操をしたりなどだ。
傍から見るといい様にやらされているように見えるが、確実に回数をこなしてゆくと生徒たちに動きが良くなってゆく。
その様子を見て教師たちは、
「ふわぁ…十千屋君とボーデヴィッヒさんの班、凄いですねぇ」
「あぁ…やはり、
「本当ですね。でも、今更変えることなんて出来ませんよ」
「……だが、アイツが教師になれば私達に回ってくる仕事の量が減るかもしれんぞ?
何だかんだ面倒見が良くてよく気がつく奴だからな」
「………前向きに検討したいと思います、織斑先生」
「あぁ」
やはり、どんな教育施設でも教師は辛いのかこんなやり取りをしていた。
千冬達は知らない、十千屋はやはり年齢がいっているので事務員や技術顧問としての枠があったことを。千冬達は知らない、面倒で男は一纏めにするという意見が上層部で通り彼は生徒になった事を。
時間が進み、ある程度生徒達がこなせてきたのを確認すると十千屋とラウラはある事をさせる為に一旦集める。
そして、コレからやる事を二人は実演する。ISを身に纏い、互いの手が届く距離でファイティングポーズを取り気を高まる。
その様子に生徒達は固唾を飲んで見守るが、次の瞬間…二人が動いた。
「「最初は…グー!!」」
「「「「だあぁぁあああああ!!!」」」」
「じゃん!」
「けん!」
「「ポイ!」」
十:グー VS ラ:チョキ
「あっち
「「「殴ったぁああ!?」」」
「ふん!」
「「「避けたァ!!」」
「じゃん!」
「けん!」
「「ポイ!」」
十:グー VS ラ:パァー
「あっち
「「「今度は平手だぁああ!?」」」
「くっ!」
「「「今度はあっちが避けたァ!!」」
「じゃん!」
「けん!」
「「ポイ!」」
十:チョキ VS ラ:チョキ
「シッ!」「フッ!」
「「「両者ともにヤりにいったぁぁああ!?!」」」
「「「でも、両方とも避けた!!」」」
「「……ふぅ、以上の事をこれからお前たちにやってもらう」」
「「「スミマセン!理解しましたが、理解できません!!」」」
行き成りのエクストリームあっち向いてホイ…いや、『あっち向け(強引に)そぉい!!』と言えばいいのだろうか?それを行き成り実演し、一通りやり終わった二人が生徒たちに促すが誰も理解できなかった…当然である。
急にジャンケンを始めたと思ったら、内容は「たたいて・かぶって・ジャンケンポン」だった。しかも強引に相手を向けさせるために殴り飛ばすという、意味不明なルールであった。
彼が言うにはとっさの状況判断と反射の訓練も含んでいるという。さらに対戦でもあるのであるので心理戦や、そのとっさの動きをISで出来る様にする慣熟訓練でもある。
つまり、下手な奴は最低でも攻撃が避けられるか防がれるかして、何れかは一方的に殴られるという訳だ。
それでも納得がいかないので、十千屋は一番重要な所を話すために「絶対安全だから」と注意をしてから…生徒に銃を向けた。
「ひゃあ!?」
「…どうだ、怖いか?」
「は、はい!」
「グリップだけを完全に握ってトリガーに指を掛けず、安全装置も掛かっており、
この銃もラウラから単純に手渡されたもの、つまりISの仕様上では
絶対に使えないと分かっていてもか?」
「は、はぃい!怖いです!撃たれそうで怖いですぅう!!!」
「そうだ、怖いものだ。
だが、お前たちはいずれかコレを持って互いに攻撃しあう事をするのだろ?
いや、一部ではもうISでの戦闘を自主訓練でやっている奴は居るか」
「で、でも…ISなら安全だから」
「ふんっ、『ISを纏っていれば安全』?馬鹿か貴様は。確かにISの防御は
だが、肉を穿ち骨を砕き命を奪うことが出来るブツを使用している事には変わりはないのだぞ」
「「「・・・・・・・」」」
「ふぅ、今は武器の道徳を話す時間ではないから置いとくとして…このドつき合いは簡単に言えば『度胸を付ける為』だ。攻撃し、攻撃されるのを躊躇わない為のな」
「我がドイツ軍では、おやっさんがこの訓練方法を考え出したあと荒事の少ない
一般上がりの新兵にさせるのが慣習に成りつつあるな」
「まぁ、ラウラが言った事は一先ず置いておこう。でも、空いた時間でも考えてみて欲しい
『ISとは何か、何を望まれているか』を。膨大な規則や法律、
コアの数以外にも限られた者しか使えない訳を」
十千屋とラウラの言葉に生徒達は押し黙ってしまった。このクラスは国際的なIS学園にも関わらず日本人の割合が大きい、つまり日常から荒事から遠いのである。
ISはスポーツで活躍しているのが一般的に知られている場面だ。自衛隊で使われていたとしても、それは一般人には遠い世界である。そう、ISの
完全に沈黙してしまった生徒達を十千屋は柏手で気を取り直し、訓練の続きを促す。それでも意気消沈している生徒がいたが、十千屋が叱咤激励しラウラがその間訓練の補佐をするという流れで残りの時間は進めていった。
「…織斑先生、十千屋君とボーデヴィッヒさんの所やり過ぎじゃありませんか?」
「確かにそうだが、ISの理想と現実はいずれブチ当たる問題だ」
「でも…」
「十千屋が上手くやっている、問題はない。
それにこの問題は私達教員がいずれ指しせねばならぬ事だ。
大人といえども生徒任せだけにしてられん」
「はい!私たちも頑張らなきゃいけませんね!!」
「あぁ…(しかし、十千屋…お前の傷だらけの躰と瞳は一体何を見てきたんだ?)」
自分の受け持った生徒を叱咤激励し歩ませる十千屋の姿は、とても優しいものであったがそれはともすれば贖罪や忠告の様にも見えた。
自らが歩み、踏み抜いてしまった何かを踏ませないようにその道を辿らない様に必死に教えている。
そう感じ取ってしまったのは自分の気のせいなのか、互いに知らずに刃を交えた時の罪悪感からなのか…その答えは誰にも分からなかった。
最初に言おう…何故かラストは真面目な話になってしまった、何故だ!?
とある二次作者さんの影響を受けているとはいえ、今回はエクストリームあっちむいてホイで笑いを取ろうとしたら・・・何故かシリアスになってしまった(´Д`;)
アレか?ノリで考えた訓練方法に違和感が無いように真面目っぽく理由付けしたせいなのか!?
ギャグの時は完全にギャクで行きたかったのにorz
さておき、十千屋とラウラの距離が元から近いので暫くはラウラサイドのお話になるかと思います。
あと、思いついた場面が1つか2つ位あるのでシャルルの正体がバレてトーナメントの話になるまでまた少し時間がかかりそうです。
では、今回は此処まででございます。
そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。