では、どうぞ御ゆるりと。
己を知る、それはあらゆるモノごとに通じる秘訣。
己の力を知る、己の技を知る、己の心を知る。
そして、
一体、幾つ知ればいいのだろうか?
午前中の実習の時間が終わり、今は昼時つまり昼休みだ。生徒達はそれぞれの昼食を済ませるために散らばっていった。
その中で、十千屋のコトブキカンパニーグループ+ラウラは一夏達と別れ食堂の方に足を運んだ。
相変わらず十千屋の頭を奇異の目で見るため、彼らが座る席の周りには空白ができるが些細なことであろう。
「さて、改めて久しぶりだな。ラウラ」
「ああ、久しぶりだ。第二の男性装着者がおやっさんだとは驚いたが…同時に納得した」
「うん?なんでだ」
「いや、おやっさんの
ISも機械でプログラムだ、もしや…とな」
「そうね、父さんの事を知っているならばそう思っても仕方ないわ」
「だが、それ以上に…」
「それ以上に?どうしたのラーラ?」
「ラーラって何だ?ごほんっ、いや……あの人ならそうなってもおかしくないと、
部隊の皆全員が直感的に察してしまったのだ」
「「「あぁ~~~~…」」」
「おい、何故そこで納得する?なぁ、なんで周りまでソコを肯定してるんだ!?」
ラウラの語ったその一声の反応が十千屋のツッコミの答えを指し示している。見た目も技量も並でなく、あからさまな《逸》般人…彼がどう否定しようともその印象は覆る事はなかった。
彼が自分の評価に諦めている時に、
『オジ様、バターサンドと甘くて濃いカフェオレを教えてくださり、ありがとうございました』
「
その文を読み、十千屋はこの様な事を漏らした。勿論、周りにはまるで分からずいつの間にか居た本音がこの事を聞いてくる。
「ね~、とうちゃんさん?セッシーって何をやっちゃったの~?」
「あぁ、こっちに来てから知ったんだけどな。セシリアは冒涜なまでに辛党なんだ…」
「おやっさん、イギリス代表の嗜好が辛いものだというのはそこまで問題なのか?」
「問題なんです…辛いと言われる中華料理の四川料理よりも遥かに辛く、
もうタダの刺激物を含んでいるようなモノなの」
「おっかさん…それは本当なのか?」
「ええ、私もユウさんも彼女の手料理をご馳走された事があるのですが…」
「あぁ…ヤバかった。それしか言いようがない。」
十千屋の言葉を食堂で合流したリアハが続けた。その内容に周りの人達は急に水を飲み干す者たちが続出する。なにせ、実体験をした二人の雰囲気が何かの終わりを告げるような悲惨なものだったからだ。
そして、彼は…刺
「一夏が知っている面子を集めて何処かで昼飯を取ったみたいだから…
犠牲になったのは、うん・・・・一夏だろうなぁ」
彼の予想に食堂にいる全員が同意し、黙祷を捧げた。一夏…ムチャしやがって・・・・
ちなみに、
「(・ω・`*)ネーネー、づっち~?なんでLineの文章でこうなったの~?」
「刺激物の大体は脂溶性-つまり、
つまり、口の中に残った辛さを取るためには脂分を含んだものを食べればいいわけ」
「「(ノ゚ο゚)ノ オオォォォ-」」
「バター自体が脂だし、濃いカフェオレなら牛乳の乳脂肪が入っているわ。
しかも、牛乳系なら辛味成分を包み込んで取ってくれるからオススメね」
轟のトリビアを聞くと本音とチェーロが感嘆の声をだし褒める。と、同時に今回の騒動の全容が明らかになる。
偶然的に事前にセシリアの料理の腕を知った十千屋が、もしもの時の対抗阻止として轟が語った豆知識を教えた。
だが、今回も他人に食べさせる料理の味加減は失敗し地獄の辛さになってしまった。けど、念の為に持ってきた食べ物が不本意ながら役に立ち、それを教えてくれた十千屋にお礼の文が届いた。
こんな感じであったのである。
今日は土曜日、この日は午前授業だけであり午後からは自由時間でありアリーナ全てが解放される。そのため、ISを使用できる者はこぞって実習を勤しんでいた。
我らがコトブキカンパニーグループと一夏グループも特訓中だ。そして、今しがた一夏とシャルルの軽い手合わせが終わったところである。
「ねぇ、一夏…一言、言っていい?」
「スマン、分かってるんだ…言わないでくれ」
「うん、でも言うよ?一夏ってノーコン?」
「俺でも分かってるんだよォォお!?」
そう、一夏はシャルルのアウトレンジの攻撃により一方的にヤられた後であった。一応、彼もメガスラッシュエッジのエネルギーライフルを持っているのだが…全くと言っていいほどシャルルには命中しなかったのである。
改めて突きつけられる事実に意気消沈する彼にシャルルは原因を考えながら言う。
「ええとね、一夏がこうなのは単純に射撃武器の特性を把握してないからだよ」
「いや、一応何度も言われて分かっているつもりなんだが……」
「う~ん、知識としてだけって感じかな?避け方は何となく分かるけど、
間合いの詰め方が甘いかな。さっきだってそうでしょ」
「すまん、それはこっちのミスだ。
荒療治で急遽仕立て上げたから逃げ方だけ身に付いたようだ。
射撃は元々苦手って聞いて先入観もあったみたいだな…」
シャルルが原因を推定すると心当たりがあったようなのか十千屋がフォローに入る。彼が一夏に教え込んでいたのは相手が射撃武器を使ってきた時の避け方が主だった。
白式は完全格闘オンリー、一応戦術の幅を広げるためにメガスラッシュエッジを外側から付けたがライフルの方は基本的な撃ち方を教えただけである。
それだけなので戦闘中にじっくり構えている時間などなく結局グミ撃ちが主流になってしまっていた。他にはショートアックスの上手な投げ方くらいだ。
「なるほど、じゃあより深く射撃武器の特性を理解しないと。
そうじゃないと格闘オンリーの一夏が対戦じゃ勝てないものね。
特に一夏の
「うーん、直線的で分かり易い…テレフォンパンチ状態か。それじゃ読まれるわけだよなぁ」
「あ、でも瞬間加速中はあまり無理に軌道を変えないほうがいいよ。
空気抵抗とか圧力の関係で機体に負荷が掛かると、最悪の場合骨折したりするからね」
「うぇ、それは嫌だなぁ…あれ?それだと師匠とチェーロはどうなんだ??」
「……アレは例外の一つだと思うよ」
瞬間加速中に無理に軌道を変えると怪我をすると言う話を聞いて一夏は疑問を浮かべた。十千屋とチェーロは瞬間加速中でもかなり軌道を変えてくる、それに疑問を抱いたのである。
説明すると、瞬間加速のエネルギー量を絞り距離を短くして多段的に軌道を変えているのだが、チェーロは自身の特異な才能で気流の流れを読みそれに乗っかるためスムーズに曲がれる。
十千屋の場合は
一夏はシャルルの説明に相づちを打って真剣に聞いている。今まで彼に教えてきたのは十千屋であったが、彼には少し合わなかったらしい。それでもまだマシだったのだが。
完全に感覚派(説明文までも)な箒、鈴、チェーロ、完全に理詰めなセシリアと轟…このメンツの中では十千屋が一番マシであったとうだけだ。
他にも、女性陣ではISスーツ自体が刺激的だったいう思春期らしい理由もあるのだけど。
シャルルを先生とした教えが進み、今度は実際に撃ってみようという話に移っていた。彼は自分の銃を渡し、構え方を教えて一夏の体を触って矯正する。
銃-五五口径アサルトライフル《ヴェント》を渡したのは、まずはちゃんと銃らしい形をしたモノに触らせて構えから教えようと思ったからだ。
十千屋から受け取ったメガスラッシュエッジのエネルギーライフルは変形合体が基本にあるので一般的なライフルな形をしていないためである。
「うん、そう…もうちょっとコッチに寄せて、これでいいかな。それじゃ聞いて、
コレは火薬銃だから瞬間的に大きな反動がくるけど、
ISが自動で相殺するから心配しなくていいよ。センサー・リンクは出来てる?」
「ゴメン、白式には付いてないんだソレ…(ーー;)」
「格闘専用の機体でも普通は入っているんだけど…本当に100%格闘オンリーなんだね。
しょうがないから目測でやるしかないか。もしかして、それもノーコンの原因の一つかな?」
ISは高速戦闘なので当然射撃も高速状態で行う事になる。その為、ハイパーセンサーとの連携で補正をかけるのだ。武器とハイパーセンサーを同期させ、ターゲットサイトを含む銃撃に必要な情報をIS操縦者に送ることになる。
それが白式には搭載されていないのである。だが、そこは十千屋ちゃんと今回は用意していた。
「一夏コレを付けろ。結構遅くなって悪かったがセンサー・リンクの後付け補助器具だ。
これを付ければ最低でもターゲットサイトくらいは映るはずだ。」
「お、サンキュー師匠!へぇ、スカウターみたいでカッコイイな」
「ゴーグルタイプも考えたんだが…男の子だったらコレだろ?」
十千屋が渡したのは片耳側に機械と掛ける所が有り、そこから透明なウインドウが伸びているモノである。一夏がそれを付けると耳に何か引っかかった感じと吸い付く感じがした。
頭を振っても外れず、視界にはターゲットサイトとライフルの残弾数が見えるようになった。それを確認すると改めて撃ち方に戻る。
「どう?レーザー系の銃とは違うでしょ」
「お、おぉ…自分で撃つと結構音がデカく聞こえるんだな。
それに反動が刀と違う手応えだからそれも相まってバクバクする。
あと、やっぱり《早い》って感じる」
「うん、そうなんだよ。一夏の瞬間加速ももちろん早いよ?
でも弾丸はその面積が小さい分より早いんだ。だから、軌道予測さえあっていれば
命中させられるし、外れても牽制になる。それは一夏には分かるんじゃないかな?
特攻する時は集中してるけど、それでも心のどこかではブレーキが掛かっているはずだよ」
「だから、簡単に離されて攻撃し続けられるって…訳か」
「そういう事」
一夏が感心していると、控えていたメンバーの呆れ声が聞こえてくる。
「あぁ…やっと頭の方で理解したか。体には染み付き始めていたんだけどなぁ」
「全く、私が何度言ったと思っている」
「はぁ?それすら分かっていなかったって訳…あんたバカァ?」
「わたくしは分かりきった上で無茶をしていると思ってましが…」
「道理で良い的な訳ね。記録を見ると私の一夏への命中率はほぼ100%だし」
「えー?銃なんて銃口が見えていれば避けられるモンじゃないのかなぁ?」
「「「「それはアンタと十千屋さんだけだ」」」」
他のメンバーの呆れ声がグサグサと一夏に突き刺さる最中、シャルルによる銃講座は続いてゆく。撃ちながらアドバイスを行ったりシャルルに関する雑談を聞くなどをしながら行っていた。
今いるアリーナは一夏が居るので野次馬根性でこのアリーナに来ている他生徒の人数も多い、そのため他のメンバーは最低限の動きで攻撃を避ける訓練などをしている。
一夏が1マガジン使い切った頃、アリーナ内がざわつき始めた。その正体は黒いISを装着した銀髪の人物、ラウラとその専用機《シュヴァルツェア・レーゲン》である。
そのラウラから
「おい、軟弱者。私と戦え」
「イヤだ。理由がねぇし、だいいち今は特訓中だ」
「軟弱者には無くても私にはある。《ドイツ》《第2回大会》《決勝》と言えば分かるだろう?」
「……っ」
ラウラの言ったキーワードはドイツで行われたISの世界大会《第2回IS世界大会 モンド・グロッソ》での事だ。
世間では公にされていない事件が起きており、一夏はその事件の当事者で被害者だ。彼はその日その時に誘拐され、それを聞いた千冬が決勝戦を棄権、まさかのISを身に付けたまま一夏の救出に向かった。
その時に誘拐情報を掴み彼女を補助したのはドイツ軍であった。千冬はこの件が
「一応全て話させてもらう。私はこの出来事とその原因の一端となった軟弱者を嫌悪していた。
織斑教官の汚点としてだ」
「そうかよ…」
「しかも、軟弱者の話をしている時の織斑教官は当時の私にとって理解できないものだった」
「だが、今は違うんだろ?」
近くに寄り語りだしたラウラから冷たい怒りの様なモノを感じる。それは殺気に近いものであっため気の弱い生徒は怯え出し、戦えるレベルまできている生徒は無意識のうちに身構えていた。
そんな中、急に十千屋が話に割り込むとラウラの雰囲気が緩和され、彼女は苦笑しながら話し出す。
「あぁ、私の独りよがりで押し付けていた
それと同時に人…家族や仲間の暖かさを教えてもらった。今なら完全ではないが理解はできる」
「そ、そうなのか」
「だが、理解できても納得は出来ん!この軟弱者が織斑教官にとって唯一の者だとしても、
私にはそれほどの価値があるとは思えないのだ!!」
落ち着いたと思ったらまた怒りが吹き出した。今度は冷たくなく、燃え盛るような熱いものだ。そして、同時に爆発する。
「そして何よりも!話す時に見せた織斑教官を
「「「`;:゙;`;・`;:゙;`;・`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブゥーーーッ!!」」」
「ら、ラウラ…
それは幾ら何でも違くないか?」
「何っ?おやっさん、日本語で言うとこうではないのか!?」
「あぁ‥うん。それは《ラウラがうっかり見ちゃったディープキス後のリアハの顔》や
《夫婦の夜の生活を待ちわび恍惚している時のリアハ》とかを表す奴だ…‥」
彼女の爆弾発言に今までの重苦しい雰囲気は爆発四散し、かわりに何とも言えないカオスな雰囲気が沸き立つ。特に一夏に向いてる視線は顕著だ。「…やっぱり禁断の」とか「不潔です!」とか「やはりシスコンか」とか色々であった。
爆弾を投げつけたラウラは、自らの誤爆に顔が真っ赤になりながら誤魔化す様に捲し立てる。
「と、とにかく!私は貴様を認めん!!」
彼女はそう言うとISを戦闘状態にし、左肩に装備している大型の実弾砲《大口径リボルバーカノン》を起動させる。
それに対してシャルルは瞬時にラウラと一夏の間に割り込んだ。その手にはシールドが握られており、これもまた瞬時に
「ふっ、やるじゃないかフランスの代表候補生。それに比べて・・・・」
「全く、タチが悪いよ。ブラフだったんだね、一夏がどう反応するのかの」
「そうだ。貴様は合格点だが、軟弱者そのザマはなんだ?」
「…くぅ!」
そう、ラウラはリボルバーカノンの標準をロックしただけあった。彼女が見たかったのは突如の攻撃に一夏がどう反応するのかである。
だが、それに反応できたのはシャルルで一夏ではなかった。彼は突如の出来事に呆然としていただけだ。その様子に彼女はますます落胆する。
「悔しいか?なら私と戦い抗ってみろ、勝ってみろ…と、言いたい所だがこんな密集状態で
戦闘は出来んし、なによりも弱すぎる軟弱者を叩きのめしても逆に気の毒なだけだ」
「テメェ…」
「一夏、挑発に乗っちゃダメだよ」
ラウラは既に勝ち誇った様な口調で一夏を挑発するが、シャルルが彼を抑える。突如の攻撃に反応できず、メンバーの中でも弱いのも事実、それゆえに彼は歯痒い思いをする。
彼女は言い切ると何か思い出したような顔をし、十千屋に視線を向けた。
「そうだ、今月末に丁度良いものがあったな。おやっさん、確か…」
「ん?そうだな。確かに『学年別個人トーナメント』があるが?」
「なら、軟弱者そこで私と戦うために勝ち上がって来い。
なに心配いらん私はそうそう負けんからな」
「上等だ、絶対に勝ち進んでお前を倒してやる」
「ほう、気概は上々だが私に当たる前に負けるなよ?そしたら軟弱者はその程度だった、
という事だ。あぁ、専用機と当たって負けたら…まぁ、後日再戦くらいは考えてやろう」
そう言うとラウラはこのアリーナから去っていった。まるで嵐のようであったが、姿が見えなくなると姿が見えなくなると他の生徒たちは一気に気が抜ける。
やはり、一般生徒達には現役軍人の怒気は恐ろしいものであったらしい。しかし、皆の気が萎み込むなか一人だけ闘志を燃やしているのがいる。
その人物とは一夏である。
「師匠…」
「ふっ、悔しいのか?」
「あぁ、悔しい。俺はアイツを見返してやりたい」
「自分が弱い事を認めるか?」
「確かに俺はアイツよりも…みんなの中でも弱いかも知れない。
けど、このままじゃいられない!」
「なら、やる事は分かってるな?」
「ああ!厚かましいけど、師匠!俺は強くなりたいっ、
頼みます…俺をもっと鍛えてください!!」
「良い啖呵だ。ならば、ラウラに勝つまで泣き言も弱気も後悔も全てその後だ。覚悟しろよ?」
「はい!」
「一夏、僕も協力するよ」「私だってそうだ!」「あたしもよ!」「では、わたくしも」
「ありがとう!みんな!!」
一夏は新たに決意する、強くなると。ここに来て初めて自らの意思で強くなる決意をした一夏。その結果は約1ヶ月後のトーナメントで披露することになる。
彼に生まれた反骨心はどれほどのものであるか楽しみである。
ちなみに、アリーナを去った後のラウラはと言うと・・・
「ぬっ、しまった…大抵の奴には勝つ自信があるのだが、おやっさんが相手だと
確実に勝てる自信がない(;・∀・)・・・言ってしまったが、どうしよう?」
自らの計画が自らが慕う人物のせいで台無しに成ってしまう可能性に気づいてしまった。
どうするかと首を捻り悩むが、結局はクジ運に天命に任すしかないと諦めたのであった。
はい、今回はラウラの宣戦布告ですね。
ここのラウラは人格面のイベントは終了しているので、大きな問題は起こしません。
でも、話の内容は大筋から外れたないので、あまり面白くないかも?
トーナメントやその手前らへんにちょっと入れていきますので、其処ら辺は頑張っていたいと思っています。
では、今回は此処まででございます。
そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。