IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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少し、ネタ振りと話の長さで悩んでいました。
少しばかり時間がかかってしまいましたが、今回のをどうぞ。


では、どうぞ御ゆるりと。


IS×FA31ss:付き合ってやるって―――

 存在を確定するのは《名前》だと言う。

 ほら、よく動物番組で○○の種類という様に固有の名前が付いていないのがあるだろ?

 それと一緒さ。

 だから、名付ける事はとても大切なんだ。

 

 

 最近…変な噂が飛び交っている。それは『学年別トーナメントに優勝者は織斑一夏と交際できる。』というものだ。

 無論、そんな事が出来るわけない。良くて一日デート権が与えられる位であろう。

 一応、男子には秘密っぽいが…十千屋には轟やチェーロ、そして裏方の迅と藍によってその噂を聞きつけていた。

 その噂は一年生だけではなく上級生にまで広がっており『学年が違う優勝者はどうするのか』『授賞式での発表は可能か』など、一年生の情報通に聞きに来ているなどとどまる事を知らない。

 そんな中で憔悴している少女が一人・・・

 

(マズイ…これは非常にまずいぞ・・・・)

 

 その正体は箒である。彼女は血の気が引きながら噂の事を考えていた。元を質せば自分がはんば一夏に叩きつける様に言った約束のことであろう。

 声はソコソコ大きかったが、周りに誰も居らず一夏自身も約束事は言いふらさない性格と踏んでいたので、二人だけの秘密という事に酔いしれながら安心していた。

 だが、結果は無残にもこの有様である。誰が聞きつけたか知らないが、話の整合性を考えるうちに背びれ尾びれが付いていったのだろうと予測はできる。

 もう…こうなったらどうしようもない。花盛りの十代乙女、溢れる情動の暴走を誰がどうして責められるのだろうか。

 ちなみに・・・・もし、自分と一夏が付き合いだしてもあっという間に根掘り葉掘り掘り出されて、学園中に広まると予測できて更に憔悴したのは余談である。

 

(と、とにかく優勝出来れば何とかなるはずだ。うむ!それで問題ない。今回はあの時のような―――あの時とは違う、大丈夫なはずだ・・・)

 

 短慮な解決策が脳裏を掠めるが、それと同時に思い出したくない思い出も掠めてしまう。

 それは、剣道―()()()に反する自らの業であった。ただ己の才能と暴力を振るい、正道をひたすら歩む少年少女達を押しのけ公の場で優勝を飾ったという過去である。

 その頃の箒は荒れていたと言えるだろう。多感な時期に重要人物保護プログラムで自分と縁のある人達と強制的に別れさせ、政府は杜撰で横暴な態度で接していた。

 コレで荒れるなと言う方が無理であろう。そんな自分を自らの剣は鏡のように映し、彼女は唖然とし嫌悪したのである。

 いつも彼女が負う背中のお陰で本当の強さを知っていたはずなのに・・・いや、事実は知っていた()()()だったのだ。

 

(今度こそ、私は…強さを見誤らずに間違えずに勝つことが出来るだろうか―――)

 

 箒は己自身、噂での一夏扱い、他の実力者(専用機持ち)など様々な事で頭を悩ませ…陰鬱な気分で歩いていた。

 この様な精神状態なので、訓練に身が入る訳もなく今日は自由練習となってしまったのである。十千屋自身も別件で忙しく、各自の休憩をとらせた方が良いと判断した為だ。

 だが、一番の要因は彼女の様子が気になるというのも事実であった。

 

 と、いう訳で今日は箒はアテもなくフラフラと学園内を彷徨っていた。無論、彼女も訓練をしようとしたが精神状態を見抜かれ、今日は休んで調子を整えた方が良いと皆から言われ手持ち無沙汰となってしまったのだが。

 逆に何もしないが故にますます自身の内面へと取り憑かれていってしまう。徘徊老人一歩手前の状態で歩いていたら誰かにぶつかってしまった。

 

 ボスン・・・

 

「すっすまない!ぼぅ、っとしていて!…あ」

 

「おっと、いやこっちは大丈夫だ…ん?」

 

 ぶつかった相手は十千屋であった。

 彼がどうして此処に居るかは分からないが・・・箒の精神状態はある方向へ傾いてしまう。

 

「と、十千屋ざぁ・・・んん…」

 

 ぽす…ぎゅっ…

 

「お、おおっと!?どうしたんだ?箒…」

 

 以前、精神的に追い詰められた時に彼女は十千屋に縋り付いた事がある。今回も追い詰められていたため、衝動的に以前甘えることの出来た彼に抱きついたのであろう。

 箒は今年で16歳になるが、なんだかんだ言ってもまだ子供だ。中学生時代に頼りたかった大人()を彼に重ねているのかもしれない。

 

「(ぽんぽんぽん…)落ち着くまでこうしていろ。そしたら、何かあったか聞くからな」

 

「(コクコクコク…)」

 

 十千屋のスーツの前を握り締め、彼にもたれ掛かる様にして箒は静かに泣いており、彼は彼女の背を優しく叩いて成すがままにさせている。とても何処か穏やかで良い雰囲気であった。

 だが、その様子を目撃してしまった者が居る・・・・。

 

(えっ…あれ師匠と箒だよな?箒が泣いて、師匠に抱きついている? ジク・・・)

 

 その正体は一夏であった。元気のない箒がやはり気なったのか探して丁度この場面に遭遇したのだ。

 彼の目に飛び込んできたのは、頼り甲斐のある師匠がいつも自分の傍に居ることの多い幼馴染を抱きしめてる?という謎の光景である。

 この光景は彼にとって不可思議なものであり、理解不能なモノである。しかも、他にも理解できない胸の内の痛みも感じた。

 

((メ・ん・)?何だ?まぁ、いいか…師匠は凄く良い人だし、箒の方も何かあったんだろ。

 それで抱きついて… ジリ・・・)

 

(だから、さっきから何なんだ?こう…胸の奥がジリジリするような?ジクジクするような?

 …はぁ、どうでもいいか。それにしても、箒は師匠と付き合う ジジ・・・

 あー!もう!!何なんだよ!?)

 

 一夏は先程からのよく分からない感覚に苛立ち、手を頭につけて振りかぶる。ダイナミックなヘッドバンギングをかましならが歩いていると、とある教室が目に付く。

 

【相談室】【カウンセリングルーム】

『恋の悩みから些細なことまで、どんなことでも相談してね♥』

 

 相談室の表札の下に紙でカウンセリングルームとあり、扉にはホワイトボードで可愛らしく上記のコメントが書いてあった。

 自身の理解不能な心情に疲れた一夏は普段しないような行動に出てしまう。即ち、入室したのだが・・・

 

「すみませ~ん。お邪魔します。」

 

「あ、は~い…あら?一夏君じゃない」

 

 ダッ()…!シュッ!()()がっ()!?」

 

「あらあら♪出会い頭に逃げ出すなんて…失礼な子ね」

 

「すみません!失礼でした!!だから…この、じゃっ蛇腹剣(ガリアンソード)?外してください!!!」

 

「もうっ、外したら逃げない?」

 

「逃げません!だから外してください!切れそうで怖いんですよ!?」

 

「あらあら、大丈夫よ。ちゃんと刃引きしてあるから♪」

 

「それでもまだ鋭いんですよ!つーか、何処から出したんだコレぇ!?」

 

「うふふ♪」

 

 入室して目に飛び込んできたのは、未だ幼馴染と良い雰囲気でいるであろう師匠の奥さん(リアハ)であった。それ故、先ほどの光景を見たので気まずくなり条件反射で逃げ出したのだが。

 いつの間にか彼女が手にしていた蛇腹剣で胴を巻かれ逃走は失敗に終わった。解放された一夏は席に座らせられ、自分と彼のお茶を用意したリアハは向かい側に座る。

 

「それにしても珍しいわね。どんなお悩みで来たのかしら?」

 

「その前に、さっきの蛇腹剣いったい…何なんですか。

 というか、リアハさんって戦えるんですか」

 

「あら?私は戦うのは苦手と言った覚えがある気がするけど。

 戦えないとは一言も言ってないわよ?あと、蛇腹剣はFAの装備のうちよ。

 本当は娘の方が上手く扱えるんだけどね」

 

「そうなんですか…えっ?娘さんの方が上手い?」

 

「そうなのよ。私は大きい部位に当てたり巻きつける程度しかできないけれど、

 麗白(ましろ)はもっと小さい部位-手足とか狙えるし、それから行動不能へ持ち込めるわね」

 

「一体どう言う娘さんなんですか!?というか、ふと頭に()ぎったけど…

 娘への教育は一体どうなってるんだ!?」

 

「うふふ♪」

 

「うふふ♪じゃないですよ!?」

 

「あらあら♪」

 

「あらあら♪って!!」

 

「あらあら♪うふふふ♪」

 

「ぬがぁぁああああ!??!」

 

 リアハの怪答(かいとう)(誤字にあらず)と暖簾に腕押しな雰囲気に一夏は頭を掻きむしり、奇声を上げる。

 一通り騒ぐと力が抜け切ったのか、彼は机の上にぐったりとしていた。

 

「さて、適度に力が抜けたところで。お悩みはなんなのかな一夏君?」

 

「いえ、適度と言うか完全に脱力したのですが…実は、」

 

 リアハの問いに、バカ正直に先程見た光景と自身の痛み?について話す。

 彼女は何時もの優しいが何処か妖しい笑みを浮かべて、相槌を打ちながら聞いていた。

 そして、聴き終わると…何故か、彼の頭を撫で始める。

 

「な、なんですかコレ。恥ずかしいんですけど」

 

「ちょっと何だか嬉しくなっただけよ。一夏君も年相応に感じるようになったんだなぁ、って」

 

「いや、それよりも…師匠-旦那さんと箒が、」

 

「それは大丈夫だと思うわ。だって沢山の娘たちを私と一緒に育ててきたあの人だもの。

 箒ちゃんの事は心配いらないわ。だから、私はあなたの方をね?」

 

「は、はぁ…」

 

 一夏はどこか誤魔化された様な気がしてならないが、取り敢えず自分の番になったので大人しく聞く。

 しかし、その答えは答えになっていなかった。

 

「ここで私が答えちゃってもいいけど…コレは自分で気づくべきモノなのよねぇ」

 

「え、ここまで来てまさかの放置ですか」

 

「それはあんまりだから…そうだ、名付けをしてみましょう」

 

「名付け?」

 

「モヤモヤしてるのは、それが明確な名前を持っていないから。その正体-名前が付けば

 きっと相対しやすくなるわ」

 

「名付けねぇ…」

 

「私が例えを言ってゆくから復唱してみて。

 その中でしっくりとくるモノが一夏君の心が感じたモノだと思うわ」

 

「わかりました」

 

 リアハは解決策として、感じたモノへの名付けをしてみると提案した。自身の心は答えをもう持っているはず、ならばそれをどう表現すればいいか分かればハッキリする筈だと彼女は言ったのだ。

 彼女は「ユウさんへの~」「箒ちゃんへの~」「一夏君の~」と例題を上げ、その後ろに色んな感情を表す単語を付けていく。それを一夏が復唱してゆく事、数往復…

 

「ユウさんと箒ちゃんへの~『嫉妬』」

 

「師匠と箒への『嫉妬』…ん?んんぬぬぬ??」

 

「あら?当たりかしら?」

 

「いや、ちょっと微妙というか掠っているというか。なんか、こぅ…そこまで激しくないと言うかそこまで重いものでないというか…う~~ぬ」

 

「じゃあ、これならどうかし?ユウさんと箒ちゃんへの~『や・き・も・ち』♪」

 

「師匠と箒への『やきもち』…ん?おお!って…はぁあ!??」

 

「あらあら、大正解(^^♪」

 

「いや、ちょっと…『やきもち』って、ぇええ!?」

 

「何をそんなに驚いているのかしら?」

 

「いやだってさぁ…今考えれば師匠が、悩んでついには泣き出した箒を慰めていただけであって。それだけで俺があの二人に『やきもち』を覚えたって…有り得ないだろ?」

 

 そう、十千屋と箒に感じていた理解不能な感情の名前は『やきもち』。彼はあの二人にやきもちを焼いていたのであった。

 だが、その名前が分かると今度は逆に何故やきもちを焼かなくてはいけないのか彼は理解できない。新旧あるがどちらも自分に馴染み深い存在であるし、十千屋の方は入学当初から色々とお世話になっている。

 それなのに『やきもち』を焼くなど有り得ないと思ったのであった。

 

「あら、そんなの訳でもないわよ?幼い子が一番仲の良い友達が別の子と遊んでいて、

 そこからの疎外感で『やきもち』を覚える事もあるわ」

 

「俺、幼い子…幼稚園児並なのか orz」

 

「別に例えだから落ち込まなくてもいいわよ。

 でも、一夏君は『ユウさんに』か『箒ちゃんに』かはたまた『両方』か。『like(只の好意)』か『love()』か他の何かからきているのかは、君自身で考えなきゃダメよ?私が手伝えるのはここまで。

 どうしても煮詰まったらまたおいでなさい。このベテランお母さんが相手して、あ・げ・る♥」

 

「は、はぁ…」

 

「さてと、こちらのお話はだいたい完了したから、入ってきていいわよぉー」

 

「えっ?ん、なぁ!?」

 

「よう ( ̄Д ̄)ノ」

 

「あ、んぅ…お、お邪魔します」

 

 リアハの解説に生返事で返す一夏であったが、次の瞬間、突如目が見開かれる。

 彼女が入室の許可を出したら、つい先ほどまで諸原因となっていた十千屋と箒が入ってきたからだ。

 まさかの人物たちに動きが完全に止まる彼であったが、次の瞬間…はっ、となる。

 

「ま、まさか。もしかして、全部聞かれていたり?」

 

「俺はリアハから連絡受けて大体は報告されてるけどな。箒とそろって生で聞いたのは、

 お前が自分の『やきもち』に気づいて混乱している頃からだな」

 

「(#0言0;;)<ヴェアアアアアアアア!!! ほとんど、じゃねぇかああ!!」

 

「あ、あの…その、なんだ。別に変な事ではないから気にしなくてもよいぞ、一夏」

 

「変じゃなくとも、俺が恥ずかしいんだよ!

 あと、箒っ!師匠との仲を変な想像してすみません!!」

 

「あ、あぁ…別に気にするな。私でも先ほどの一夏のアレの立場だったら恥ずかしいし、

 一夏の見たソレもそう見えてもおかしくもないだろう。

 しかし、私が十千屋さんに抱いているのは親…いや、一夏にこの表現はいかんか。

 保護者に抱く念と一緒だ。そこだけは、誤解してほしくはない」

 

「あぁ、分かったよ。あと、変な気持を抱いてゴメンな…」

 

「い…いやっ、一夏が私にやきもちを焼いてくれるのは私自身も(やぶさか)かではない、

 と言うかなんというか…」

 

「へ?」

 

「い、いや…その…」

 

パンパンッ はい、積もると言うか()()()話はそこまでだ。

 箒自身もお前に確認したい事があって、お前を探していたんだからな」

 

 一夏の事になると急に臆病になる箒が返答に困っていると、そこからの進展が難しいと知っている十千屋は自分達がここに来た要件を済まそうとする。

 が、未だ踏ん切りがつかない彼は十千屋に聞いてみた。

 

「そうなのか?でも…師匠、俺は一体」

 

「一夏、それは追々考えていけばいい事だ」

 

「でもさ!こう言う気持ちってのはイケナイ事なんだろ!?」

 

「ん~…そこは判断し難い所かな?それで傷つく人がいれば悪いことだし。

 逆にそれだけその人を気にしている、と言う良さげな面ある」

 

「つまり、どう言う事だよ」

 

 十千屋の答えは煮え切らず、一夏はさらに聞き出そうとする。そんな彼に十千屋はこう言い出した。

 

「結果や割り切りの問題点だ」

 

 …と、人と言うのは良くも悪くも色々と割り切って行動するモノだと彼は言う。悪い事があればそこから割り切って行動するし、良い事があっても同様だ。

 この文からは一夏が理解できないため、さらに答える。悪い事があれば、次は失敗しないように何時までも囚われない様に割り切り、良い事があっても何時までも浮かれているのは良くない事だから割り切る。

 例えば、試合に勝ったからといって何時までも浮かれていたら次の試合で負けてしまうかもしれない。だから、気持ちを切り替えて臨むのだと。

 

「人は過去の結果を取り戻せない。それ故に、悪い事はドコに原因があるか突き止め、

 それを繰り返さないために行動し、良い事はより素晴らしくする為に行動する。

 その節々の為に色んな事を割り切っていくわけだ…すまん、うまく説明できない。

 とにかく、今回は誰も傷つくような事は無かった。

 あとはお前の気持ちの整理と割り切りだけだ」

 

「う~~~ん(ーー;) 何となく分かるような、分からないような」

 

「答えの無い人生の命題みたいなもんだから、ユルユル考えていけばいい。

 そろそろ、こっちの要件はいいか?」

 

「あ、うん。すみません、何か長々と聞いて」

 

 一夏の返事に十千屋は大丈夫だと返し、代わりに今度は箒が話だした。

 

「い、一夏…!少しばかり前になるが、私としっした約束を…お、覚え…覚えているか!?」

 

「お、おう…何をそんなに(ども)っていると言うか、錯乱気味なのかは知らなけど、

 あの行き成り言ってきた約束だよな?覚えているぞ」

 

「そ、そうなのか!?」

 

「でもさ、あんなふうに言わなくても付き合ってやるって―――買い物ぐらい

 

「(ず~~~ん… _○/|_ )」

 

「おぅわ!どうしたんだ!箒!?」

 

「(分かっていた、分かっていたし…予想していたが、やはりかっ!?)」

 

 違う、そうじゃないッ…と内心思いながら箒は力なく床へと四肢を着ける。

 本当の約束は『私が(学年別個人トーナメントで)優勝したら、付き合ってもらう』という文面だ。

 普通の人なら分かるだろうが、コレは乙女の宣戦布告(交際宣言)である。だが、やはりこの朴念仁の(一夏)には通じていなかった。

 何故、この男はこうも自分に向けられる恋愛感情には鈍いのだろうか?それを承知で箒は確認してみたが、文面を()()()付き合うの意では無く()()()()付き合うという意味で捉えていた事に絶望した。

 激しく落ち込む箒に一夏は慌てるが、ここで逃げ出すのは何時ものパターン…しかし、今回の彼女は違う!

 

「(そうだ、事前に十千屋さんと話して分かっていた事ではないか!

 ならばっ、この後に私がとるべき行動は!!)」

 

「ほ、箒…?もう、大丈夫なのか」

 

「あぁ、大丈夫だ。一夏は付き合ってくれるんだよな?」

 

「お、おおっ!男に二言はないぜ!」

 

「ならば、付き合ってもらうか…買い物デートに

 

「へっ?えぇえ!?」

 

 そう、()()()()という言葉を言質にして…デートに()()()()という意味で押し通したのだ!

 無論、只の買い物の付き添いのつもりであった一夏は混乱し反論するが、

 

「いやっ!?デートって…なんなんだよソレ!」

 

「わ、私は元々そういうつもりで言ったのだ。

 そちらが勝手に買い物だと思い込んでいたのではないか!」

 

「そ、それでもさ。デートってその…なんだかよ、」

 

「一夏」

 

「なんだよ…」

 

男に二言はないのだよな?」

 

「……あぁっもう!分かった!分かったよ!!」

 

「(( ノ゚Д゚) よぉおし!十千屋さん、上手くいったぞ!!)」

 

 彼の反論は、彼自身が言った矜持の為に不成立となった。自身の勘違いと矜持(プライド)の隙を突く狡猾なやり口は、無論彼女の性格からして出来るものではない。

 その背後には十千屋の存在があった。こうなった経緯は少し前、箒が泣き止んで事情を話した頃まで遡る。

 

「…んで、自分がした約束がたぶん発端となって変な噂が立ち、どうしたらいいか悩んでいたと」

 

「だって、私が一念発起した告白がこんな形になるなんて。

 しかも、失敗しても私が損するだけだったのに…このままでは一夏が

 他の誰かと付き合い始めてしまうっ!」

 

「落ち着け、本人の了承が無いこんな話なんぞデマに決まってるだろうが。

 まぁ、付き合う切っ掛けになるかもしれんが

 

「それでは駄目なのだ!!」

 

「う~む…なら、逆に攻めてハッキリさせてしまう。と、いうのはどうだ?」

 

「え、それはなんなんですか…」

 

「あぁ、多分アイツは思い違いしてるだろうからな。こうやって…」

 

 十千屋の作戦は、いっそのこと約束を確定してしまおう。との事であった。

 無論、噂の事も話さなくてはならないが、噂の元となった約束を確定してしまえばデマだと分かるし言い寄ってきた他の女子にも言い訳ができる。

 この作戦のキモは以下の通りだ。

 一夏は女性との約束内容を正しく理解してるはずがないと踏んだのである。付き合うを交際ではなく、何処かに遊びに行くとか買い物だとかに思いこんでいるはずだ。

 箒はそこはやんわりと否定したかったが、指摘されると反論の余地がなかった。ともかく、そう思い込んでいるのであれば()()()くらいならばその思い込みに押し付ける事が出来るはずだ。

 いくら箒の思っている男女交際は彼にとっては重過ぎるし火急であろう。

 だから、ソコからランクを下げデートにした方が上手くいくと算段をつけた。

 彼が思い込んでいる付き合うを確定させ、ソレがデートであった内容を明かせば引っ込みがつかなく成るはず。そこを押し通せばこの約束は確定される…以上がこのやり取りの種明かしである。

 余談だが、一夏が反論しても丸め込めるレベルであったのは言うまでもない。

 

 まぁ、一番の難所は箒が今までと同じように、イザという時に逃げ出さずに伝える事が出来るかどうかであったが何とかなったようだ。

 流石に一夏がこのままでは誰かと付き合ってしまうのいうのは心底嫌であったみたいである。

 

 その後、デートの約束は学年別トーナメントが終わってからと決まった。

 箒はスッキリした顔でお辞儀して帰り、一夏は腹を括って帰っていったのであった。

 そんな彼女らを十千屋とリアハは見送ったのだが、

 

「ユウさん、試合の形式変更は納得できるのですけど…噂は何処から出たと思います?」

 

「まぁ…形無し会長だろうなぁ。あの娘は面白可笑しく引っ掻き回すの好きみたいだし、

 生徒たちへのカンフル剤として流したんじゃないか、と思う」

 

「迅ちゃんと藍ちゃんに探って貰おうかしら?もし、そうだったら…

 クスクスクス、お仕置き決定ね…たっちゃん♥」

 

「(こりゃ、止められないな)」

 

 何処か、輝きのない瞳で笑う愛妻(リアハ)に遠い目をして悟る(十千屋)なのであった。

 

 

 

 ――後日、生徒会室――

 

 

 

「どうしたのです、バスタオルなんて持って?」

 

「虚ちゃん、ちょっとね」

 

 バスタオルを持って入って来た楯無に不思議に思った虚であったが、彼女がソレを丸め円状にしてイスに敷いた事によってある事を察するのであった。

 

「生徒会長、痔ですか?」

 

「違うわよ!十千屋さんと主にリアハさんにヤられたのよ!!ハッ、しまった!? Σ(゚д゚lll)」

 

 そう、結局噂の出処は楯無であった。それがリアハに知られ…お仕置きプレイとなったらしい。このうっかりの彼女の激白に虚は少し考え言った。

 

「…お嬢様。流石にお腹の中身ぶちまけてのスカト□プレイはドン引きなのですが…」

 

「確かに手足を拘束されてオ●リを突き出して、そこに何か入れられたけど!

 …流石にトイレで出したわよ!!」

 

「では、訴えますか?排泄肛をズタズタにされたって。あと、大人の階段も登りました?」

 

「大丈夫だから!何で持っていたか知らないけど弛緩剤入りローションで広がったから!!

 あと、まだヴァージンよ!!!前は…

 

「え?前は…て、もしや・・・・おめでとうございます。

 今夜、お赤飯でも炊いてそちらに行きましょうか?」

 

「ええ!そうですよ!!後ろは盗られちゃったわよ!!!あと、ソレは要らないわ!」

 

 お仕置き内容は主にオシ●を掘られたらしい…。ああ、なる恐ろしや・・・

 だが、彼女の羞恥プレイは終わらない。沸騰しかかる楯無であるが、誰かが生徒会室に来るのを察知し体裁を整える。未だに顔は羞恥で赤いが。

 

「失礼するでござる。いつものと会長殿宛てに母君からでござるよ~」

 

 来訪者は藍であった。彼女に気づくと楯無は瞬時に近づきいつもの()の隠撮が入った封筒を手早く懐へとしまい、瞬時に定位置に戻る。

 母君-リアハからの荷物は虚が預かり中を確認すると、そこからは後ろを鍛える(調教する)ジョークグッズ(大人のオ●チャ)と調教指南書が入っていた。

 

「ななななぁ・・・(;//Д//)!」

 

「σ(-ω-*)フムフム…成る程。お嬢様」

 

「なによぉ!」

 

「お嬢様がよろしければ、僭越ながら私が(調教の)お手伝いをしましょうか?」

 

「み…みぃっ」

 

「…み?」

 

 「みんなが私のウシロを狙うぅうう!!▂▅▇█▓▒░(TωT)░▒▓█▇▅▂」

 

 従者の手伝い(調教)発言に何時かの様に泣きながら逃げ出す楯無。その様子を見ながら虚は、

 懐からメモを取り出し書く。

 

「お嬢様は今、後ろを調教中…っと」

 

「お主もスキモノでござるなぁ~」

 

 メモには『お嬢様可愛がりメモVol.3』とあり、その様子を藍は生暖かい目で見る。

 一方で逃げ出した楯無は…

 

「(つд⊂)(スンスンスン…)」

 

「あ~、よしよしよし…(昨日の今日でコレかよ。抱きついてる相手分かってんのかな、

 この娘)」

 

「 (;@_@/| 対面座位…いや、それよりもこのままでは第四夫人の座が危うい…!?」

 

 十千屋の学園での本拠地である船の部屋で、これまたいつかの通りに慰めてもらっている。その様子を見てしまった素子は勝手に危機感を募らすのであった。




と、いう訳で…一夏の恋愛脳を小学1年生から4~5年生位まで、いや…もっと低いかも?
まぁ、ともかく内面の成長が今回の話でした。
こじらせると駄目ですが、異性への執着心が無いと恋愛は難しいでしょう。
コレで自分への好意に対する執着や懇意が出てくればいいなぁ…と、思っています。

あと、たっちゃんは(色んな意味で)入れたかったんだ。
オチとしてもエロすとしても…そのせいで、文章が長くなったとしても!!

最後にワンフェスは企業の方は上手く回れ、欲しいものはゲットできました。
でも、個人の方は難しいですね。企業ブースを先に回るとガイドブックで目星を付けていた所は
だいたい終わってました。
しかも、実物を見ると「やっぱり、いいかな?」と思い買わないことも多かったです。
まぁ、楽しかったから良かったです!

では、今回は此処まででございます。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。
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