IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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大分…お待たせいたしました。
活動報告にあった通りに仕事が忙しく、気力も沸き上がらなったので・・・

では、どうぞ御ゆるりと。


IS×FA43ss:素子姉様が言っていた…

 い~や~らし~い~ あ~さがきた~ ろぉこ~つな~ あ~さ~だ♪

 全く、朝からラブコメやらラッキースケベは止めてほしい・・・(by.部屋隣りの女子生徒

 

 

 

「う~、トイレトイレ!」

 

 今、来客用トイレ(男子トイレ)を求めて全力疾走気味の俺はIS学園に通うごく一般的な男子生徒だ。

 強いて違うところをあげるとすれば、男なのにISが動かせるってところかナ―

 ――名前は、織斑一夏。

 

 そんな訳で、IS学園本館にある来客用トイレにやって来たのだ。

 つーか、男用トイレが此処しか無いのは本当に不便だぜ。

 と、ふと見ると壁際にとある女子生徒が寄りかかっていた。

 ウホッ!いい男装女子(シャルロット)・・・

 

 そう思っていたら、突然その男装女子(シャルロット)は俺の目の前で(何故か着ている)オレンジ色のツナギのホックを外し始めたんだ・・・!

 

「やらないか、一夏」

 

 そう、据え膳で誘われてホイホイついていかないと男じゃない!!

 

「ふふ・・・そうだよ、一夏。先ずは僕に入れて・・・・―――あ、れ?」

 

 シャルロットはぼーっとする頭で回りを見渡すとそこは学園の男子トイレの中ではなく、学園での彼女の自室である。

 彼女はまだはっきりしない意識のままであったが、まばたきし先程のテクニック的な何かが

分かると深いため息が出るのであった。

 

「夢・・・か、はぁ~~~、だったらせめて一夏が僕とドッキングする所まで見せてよ」

 

 目が覚めれば夢の内容なんて忘れてしまうものであるが、その心地よさから執着を引きずってしまう。

 シャルロットは先月の学年別トーナメント以降は本来の性別に戻ったため、今はもう一夏とは

別の部屋になっている。

 けれど、たびたび先程のような夢-ノーマルのモノからちょとアブノーマル的で薔薇色っぽいモノまで、まぁ・・・色々と見てしまい居ないと分かっているのに隣のベットに一夏の姿を探してしまう。

 

「ん、あれ?」

 

 今日も思わず隣のベットを見てみると、今のルームメイトの姿が見えない。

 と、言うよりも今日は使った形跡がない。

 何処に行ったのだろうと疑問は浮かぶが、それよりも・・・

 

「まぁ、いいや。夢の続きを・・・」

 

 もしかしたら、今すぐまた寝付けば夢の続きを見れるかも知れないと布団に潜り込んだ。

 そして、また微睡みに落ちていく最中でふと思うことがある。

 

(三・四日くらい前は、夕焼けの教室で甘酸っぱい感じだったかな?・・・

 う~、度々(たびたび)そういう系を見るって、もしかして僕は欲求不満なの・・・?)

 

「なに思ってんだろ僕・・・恥ずかしいや///」

 

 彼女はちょっとした羞恥を感じながら再び寝付こうとする。

 因みに・・・そのせいで遅刻しそうになったのは言うまでもない。

 

 

 その頃・・・

 

 織斑一夏、今年で一六歳、青春真っ盛りなお年頃であるが・・・常々、史上最大のピンチに見舞われる。

 変哲もない小鳥がさえずり、朝日が柔らかく照らしてくれる時間、眠気が抜けきらない

微睡みの時だ。

 

(あ~、温たっけぇ・・・ん?なんか、温かくて、柔くて、いい匂いがするけど・・・

 まぁ・・・いいか)

 

 ぼーっとし布団の温みが心地よいのは誰でも同じで、一夏もそうである。

 だが、布団の中に何か別のモノが紛れ込んでいるのが気になるが、自らの心地よさに身を任せ

ソレを抱き寄せた。

 

「ん・・・ぁ・・・」

 

(温かい、柔らかくてスベスベだぁ…抱き枕に丁度いい・・・・って、ちょっと待てぇえ!」

 

 抱き寄せたソレの感触を満喫していると確実に別の誰かの声がして、一夏は一気に意識が覚醒する。

 雷に打たれたような予感をビビッと脳天に感じ、抱き寄せていたソレを離すと同時に掛け布団を放り出した。

 ソコにあったのは・・・・

 

 「ら、ラウラぁあ!?」

 

「…ん、朝か。Guten Morgen(おはよう),我が嫁」

 

「な‥ふ、ふ・・・ふふふっ!?」

 

「フッフッフッー?なに、ラマーズ呼吸法か?」

 

 「ふ、服を着ろぉおーー!!」

 

「いや、着ているが?」

 

 ラウラがソコに居た。

 先月から、詳しく言えば学年別トーナメント後から積極的に一夏にスキンシップを取るようになった彼女が居たのだ。

 食事中の同席は当たり前で、入浴や着替えの最中にまで現れる積極ぶり?である。が、それは

まず置いておこう。

 今の問題はソコではない。問題は、着ていても意味のない服を着ているからだ。

 まず、第一印象:白。第二印象:黒のフリル。第三印象:スケスケ。

 即ち、これらから導き出せる答えというのは・・・扇情を誘う目的の下着類-ベビードールであり、彼女の透き通る様な肌とその頂きが透けてほのかに見えるのだ。

 これは端をレースで飾り、胸元の紐と肩紐で留めるタイプとなっており上品だがすぐに脱がしやすいデザインとなっている。それに生地が薄いために曇りガラスの如く色々と薄く見えてしまっていた。

 四つん這いであったため下着がギリギリ見えていて履いていないという事はなさそうだが、

小さいタイプなのか彼女の小振りな臀部がほとんど見えてしまっている。

 所謂、紐パンでありベビードールと対になっていそうでもあり今は見えない前側もヤバそうであった。

 

「それっ!?着ているうちに入らないってんだよ!あと、何でココに!?」

 

「そうか?オススメだったんだがな。

 あと、こういう起こし方が将来結ばれる者同士の定番だと聞いたぞ」

 

「お前に間違えた知識を吹き込んでいるのは一体誰なんだ・・・」

 

「しかし、効果はてきめんのようだな」

 

「はぁ?」

 

「目は覚めただろう?」

 

「当たり前だろう・・・ドコのドッキリだよ」

 

 一夏がため息をついたり、諦めてラウラの事を再度見ていたら改めて彼女の美人さや

ちょっとした恥じらいで心が揺れたが、彼に彼女の積極性を抑制する名案が浮かんだ。

 なるべく彼女の裸体に近い姿を視界に入れないようにソレを実行する。

 

「ラウラ」

 

「なんだ?」

 

「俺は奥ゆかしい女性が好きなんだ」

 

 ラウラはその言葉を聞いて少し驚いた様子で考え込んだ。一夏はその様子に内心自画自賛するがそれは呆気なく(やぶ)れることになる。

 彼女は確りとした意思を込めた瞳をしながらこう言ったのだ。

 

「そうか、それが嫁の好みか…だが、私は私だ」

 

「え?」

 

「そ、それに…()()()()()()と、嫁が言ったではないか」

 

「え、あ~…うん」

 

 どこか自信満々で言い、どこか照れながら自身(一夏)が何かで言った覚えがある言葉を理由にされて

彼は言葉に詰まる。

 その言葉通りに好きにしているのは良いのだが、し過ぎではないかとも思う。好意を隠さずに全力全開(フルオープン)というのは対応しづらいのだ。

 そして、またジロジロと見てしまったのでラウラが反応してしまう。

 

「隠させたくせに、割りとご執着のようだな?」

 

「ばぁっ、バカ!違うっ、そうじゃねぇ!」

 

「で、では・・・見たいのだな?朝から結構大胆だな。あ、あのな・・・コレ(ベビードール)も脱いだ方が良いのか?

 それとも、嫁自身の手で脱がすか?」

 

「だぁ!待てぇい!!ついでにお前に吹き込んだのは誰なんだぁあ!!」

 

 ここまで来る間にラウラにシーツを巻かせて見た目を緩和させていたが、一夏の視線でサービス心を刺激されたらしい。

 それでシーツを落とし、さらにベビードールを脱ごうとしたので彼は取り押さえるために彼女に掴みかかった。

 だが、あっさりと反撃され逆にマウントを取られてしまう。ついでに彼女に巻かれていたシーツも落ちた。

 

「ふむ、お前は組み技の訓練をした方が良さそうだな」

 

「ぐっ・・・軍隊仕込みの体術ってヤツか」

 

「訓練なら私がつけてやろう。ねっ寝技の訓練も私が引き受けてやる///」

 

 一夏はアッサリと組み敷かれた自分に落胆するが、ラウラが顔を赤くしながら言った言葉の意味を数拍空けてから理解し自身も顔を赤くした。

 ただの()()()寝技(サブミッション)なら赤面にならないだろう・・・つまり、そういう事である。

 

ブッ アホぉ!女がそういう事を言うな!!」

 

「な、なるほど・・・嫁は自身の口から言いたいタイプなのだな!?」

 

(ちげ)ぇええ!っていうか、お前は先月俺にあんな事したくせに反省なしかよ!?」

 

「あんな事・・・どんな事だ?」

 

「い、いや、だから・・・その……き、キス…だよ。初めてだったんだぞ…

 

「そうか」

 

 一夏はますます赤面し話の流れで遂には(すぼ)み込んでしまった。意外と古風と言うか純情な彼は

自身のファーストキスを奪ったのが目の前の相手(ラウラ)だと意識して沈黙する。

 そんな彼にシレっと返事したラウラにカッとなるが、声を荒らげて言う前にあちらも赤面し

乙女の顔でこう言った為また沈黙してしまう。

 

「わ、私も…初めてだったぞ。うむ、初めて同士で・・・嬉しくは、あるな」

 

「・・・・・」

「・・・・・」

 

 二人の間に気まずい様な、甘酸っぱい様な微妙な沈黙が下りる。互いに意識してどうすればよいか分からなくなっている空気だ。

 このまま硬直しているのも気まずいのが続くと思った一夏は、とりあえず動こうと思い立ち上がろうとした瞬間に再びラウラにベットへ押さえ込まれてしまった。

 彼は細腕とは思えない力と技のキレと現実逃避気味に思ったが、すぐ彼女によって現実に引き戻される。

 

「お前は…どうして、私の心をかき乱し沸き立たせるのか?ふふっ、素子姉様の言った通りだな。

 この格好も何だかんだ言っても気に入ってくれると」

 

「い、いや…お前は何を言っているだ?全然、分からん……」

 

「嫁よ、『奥ゆかしい女性が好き』と言ったな?」

 

「お、おう…?」

 

ウチ(十千屋家)には、こんな言葉があると素子姉様が言っていた…

 『昼は淑女、夜から朝方にかけては娼婦』と」

 

 いや、その言葉はオカシイと一夏は思ったが、乙女からだんだん別の顔になってきているラウラがそう言うと体勢を前後入れ替え、ベッタリ体を密着し確りと一夏を拘束する。

 流石の一夏も何かしらの危機感を覚え抜け出そうとするが…全くと言っていい程ビクともしない。

 

「サービスだ。今日一日スッキリ過ごせるようにご…ご奉仕してやる///

 ちゃんと素子姉様が自主監修した性教育ビデオ(○メ撮りビデオ)を見させてもらい練習してきたから

 大丈夫なはずだ」

 

 自身の最大級の危機に一夏の脳内でハザードランプと警報音が光って鳴り響く。助けを呼ぼうとしても、自分のあご下にラウラの大事な部分が今にも付きそうな位置にあり、顔を動かせば触れてしまう。特に顔を上げた時など目も開けられない状態になるだろう。因みに…やはりソコも半スケであった。

 そして…何故か急に脳裏に青空が浮かび、そこに写る素子のビジョンは…

 

『ヤっちゃえ、少年』

 

 何時もの無表情だがドコかドヤ顔であり、そのハンドサインは握りコブシの人差し指と中指の

間から親指を出すという…卑猥な意味を持つものであった。

 

 「(だ、誰か助けてくれぇええ!!!)」

 

 織斑一夏、今…史上最大の()()の危機に瀕していた。

 

 

 さて、また別方面に場面転換をする。次は学生寮の裏手だ。ここはポッカリと空いた広場のようになっており、簡単な集会等に使われる場である。

 ここで毎朝、訓練するものが居る。それは、自らの実家から取り寄せた真剣を奮って鍛錬している箒だ。

 以前やらかして十千屋と千冬による三者面談以降は隔日くらいで剣道部に出るようにはなったが、それとは別の腕前を落とさないように真剣を振るっている。

 よく言う剣道と()()は別物だと言うアレだ。

そして、日本刀に近い武装を持つコトブキカンパニー制作の打鉄-換装装備(パッケージ)月甲(げっこう)禍津(まがつ)を扱うようになってから剣術に力を入れだしたのである。

 

(やはり、剣術の方が実践的であると感じるな。ここに来て、篠ノ之流の全てを教え受ける事が

 出来なかったのは痛いな)

 

 朝の日差しの中、その日差しを刀が反射する様を見て彼女はそう思い耽る。相次ぐ事件のせいでより実践的な剣術を求めるようになったのはおかしな事ではない。

 しかし、自らの剣の師匠は実の父親なのだが今は要人保護プログラムのせいで簡単に会う事が

出来ない。

 剣術とはただ聞伝えたり、文献を読み解くだけでは身につかない。やはりそこは師弟の血肉が

通う修行が必要なのである。要人保護プログラムが開始されたのは彼女が十にも満たないころの話だ。そんな幼子の時に免許皆伝などありえず、箒は中途半端の状態で今に至る。

 その為、今は教え込まれた事を忘れないように鍛錬し続けるしかないが、彼女は流派と言う実戦のノウハウを欲していた。

 

(しかし、もう七月なのだな・・・七月――七月か、はぁ・・・一夏め、忘れてはいないだろうな。

 朴念仁でドコか抜けているからなアイツは、いや・・・変に細かい所があるし、だが・・・いや・・・

 でもな・・・ぬぅ・・・)

 

 最近は朝の日差しが強くなるのを早く感じ、加えてじわりとした熱気が早く満ちてゆくのを感じ初夏の訪れを覚えるようになった。

 初夏―つまり、七月は箒にとって特別な月である。そして、その特別に対して幼馴染の一夏にとある期待をしているのだが…あの朴念仁にそこまで期待していいかどうか迷うのであった。

 途中で雑念が入ってしまったが彼女は自分で課した訓練メニューを終えると、

未だ寝ているであろう同居人に配慮し部室棟のシャワールームを使う事にする。

 

「あら、今日も早いわね。おはよう」

 

「おはようございます」

 

 すると、部室棟を管理している教員が朝練を行う生徒たちのために今日もこんな時間から施設を開放してくれていた。

 この教員の名前は『榊原 菜月(さかきばら なつき)』生徒に優しく品行方正、容姿も悪くはないが――

 

「ね、ねぇ…篠ノ之さんって、十千屋さんと仲が良かったわよね?時間があるならチョッと

 彼の事を教えてくれないかしら?」

 

「は、はぁ・・・」

 

 素晴らしく、男運がない。と、言うのも同性からも反応の良くない相手を毎回好きになり、

そのたびに痛い目を見て1人でやけ酒をあおっている。最近は実家が何度もお見合いを勧めてくるのが悩みの種であった。

 まぁ、正確には男の好みが大分アレなのかもしれない。最近の悩みの種であるお見合いの時の

感想はどれも同じで、

 

『良い人なんだけど、ねぇ? 燃えないなぁ・・・』

 

 上記の事から分かるように榊原教員は、平穏を求めな、安定を求めない。トラブルで遊び、

世紀末をはしゃぐようなおしゃまガール(…今年で二十代最後だからガールは無いか)…まぁ、そういう事なのだ。

 故に、変な男にばかり引っかかる。その事には本人も薄々気づいてはいるが、燃えない相手ではどうしても心が弾まないし、草臥れる様な結婚はしたくない…とウダウダしている時に十千屋が

現れたのだ。

 容姿などは置いといて、経済力、包容力、おおよその人格、そして腕っ節全てに置いてパーフェクト。しかも、本人がトラブルを引き寄せるのか自らブチ抜くのか退屈はしなさそう。

最後に、彼の国本は条件はあるが重婚OKで既婚者だから断られる事も少なそうと彼女の要望を

ほぼ叶えられるのである。

 その為、今は教師と生徒と言う関係を一方的に放り出して狙いをつけている。

行き遅れになりたくない女の必死の抵抗でもあった。

 

(と、言われても…私自身も十千屋さんの事を詳しくは知らないのだが、)

 

「では、コチラに就職してみますか?」

 

「うあぁっ!?」「きゃあっ!?」

 

「どうも、朝早くから失礼します」

 

 にじり寄られている箒としている榊原に急に声が掛けられ、彼女らは驚いて後退(あとずさ)った。声の主はシルヴィアであり、汗ばんでくるこの季節に何時ものメイド服を身に纏い飄々としている。

 前に十千屋へ装備品を送り届けた後、度々IS学園に来るようになり十千屋ファミリーの一員として認知されていたため居るのは構わない。だが、今いきなりこの場に居るのは場違いなような気がしてならなかった。

 

「さて、榊原様。旦那様に御近付きなりたいなら、コチラに使えてみてはどうでしょうか?」

 

「え、えぇーと…」

 

「代表的な職種は旦那様直属のメイドですね。一般的な家事炊事掃除の他に、有事の際は私設部隊として同行いたします」

 

「…その話を詳しく」

 

「……さて、私はシャワールームに行くか」

 

 箒はこの際、突如現れたシルヴィアは置いておき当初の目的を果たすべくこの場を去った。居ても自身には全く関係ない事なので。

 さて、榊原の方はシルヴィアの勧誘にすっかり心を動かされつつあった。十千屋直属のメイドとなると給料は今の国家公務員(IS学園教師)よりも安くなるが、住み込みで働く関係で家賃関係は安く上がる。

しかも、手取りの給料は平均よりも多く特別手当や福利厚生も確りとしているのである。

 彼の実家は孤島であるが、移動手段の貸出は容易にできゲムマ本島にも行きやすいとあった。

しかし、一番の魅力は彼へのアプローチOKと言うことであろう。

 たとえ振られても振っても、彼の人脈を使えばコレはまた二癖も三癖もある男性―FAエース

パイロットを紹介して貰えるという夢のような条件であった。

 それ故に…榊原は暫くの間は大いに悩む事となる。

 因みに、後日箒が急に出てきた時の事をシルヴィアに聞くと

「必要な時に御側に控えているのがメイドとしての嗜みで御座いますので」だ、そうだ。

 

 

 さて、箒はシャワーを浴びた後は一夏の部屋へ足を運んだ。理由は朝から好きな人を一緒に

居たい乙女心と言うヤツである。

 彼の部屋の前で何度も髪型を確認したり、深呼吸をしたり、容姿の確認など乙女チック全開であるが…次の瞬間、180°変わる事になった。

 ノックと二度の呼びかけに返事のなさにムッとして、ドアノブに手を掛けたが鍵の感触のなさに不用心だと思いつつ部屋へ入る。

 

「入るぞ、一夏。早く起きて支度をせねば―――」

 

「よ…よし。下着の上から嫁のモノを確認。……ゴクッ ぬ、脱がすぞ?」

 

「ら、ラウラ!そいつは流石にマズ…げぇっ!?」

 

 箒は室内の様子に自らの全てが一旦停止したような錯覚を覚える。

一体何をシている?

裸同然のラウラが一夏に覆いかぶさり、彼の下着を盗ろうとしている?

まて、ソレ(一夏)はワタシノダ・・・

 彼女は驚きと怒りを通り越し、冷静な判断で・・・ラウラに襲いかかった。十千屋とリアハの

教育の成果であろうか。以前なら真っ先に一夏へ攻撃であったが、今は()の排除を優先するようになった。

 それは、一夏への独占欲やヤキモチ等が無くなった訳でなく、単に後から問い詰めればいいと

順番替えしただけの事である。それに、彼に問い詰める時に涙目で訴えたほうが効くとわかったので。

 

「逝ね」

 

「フッ」

 

「ムグゥ!?」

 

 無音の高速歩行術―瞬歩でラウラへ詰め寄り、ハリセンではなくゴム刀で横薙ぎの居合を放つ。横なのは縦だと一夏に当たる可能性が有るからだ。

 ラウラは横薙ぎで迫り来る刀身を上体し起こし後ろへ座るような動きで遠ざかり、

最後は部分展開したISの慣性停止結界(AIC)によって阻まれる。

 

「くっ、貴様…」

 

「やれやれ、折角のふ…夫婦の逢瀬を邪魔するとは」

 

「一夏はお前のモノじゃない!それよりも、その穢わらしい尻を一夏から退けろ!!」

 

「ぬ?」

 

 ラウラは箒の邪魔に落胆するが、箒は激高して反論し指摘する。彼女は座るようにして箒の攻撃を避けた。つまり…

 

「(息するな、見るな、感じるなぁあ!!でも、ラウラのケツって結構柔ら…

 考えるなぁぁああ!!!)」

 

…ぽん おおっ、コレが亭主関白の嫁()尻に敷くと言うヤツか!」

 

 「「絶対に違う!」」

 

 まぁ、そういう事だ。女性の大事な部分を顔に押し付けられた一夏は必死にその現実から目を

背ける。が、ラウラの的外れな知識を披露すると二人は同時にツッコミを入れた。

 これによって集中力が切れ隙が出来たので箒は瞬時に片手にハリセンを持ち、ゴム刀とハリセンでの挟撃を行った。しかし、ラウラはその場から猫の様に跳躍しベット…一夏の上から飛び降りる。

 部屋の出入り口側に着地した彼女と一夏の間を塞ぐように箒は身構え、彼に安否を訪ねた。

 

「一夏っ!(貞操は)無事か!?」

 

「た、助かったぜ箒。ああ、(体は)無事だ」

 

「…ふぅ、興が削がれたな。嫁よ、私は先に行くぞ」

 

 何か意味が食い違っている安否確認をしている二人を尻目に、ラウラは満足したのか気が逸れたのかクルリと背を見せて部屋の出入り口に向かった。

 彼女の気紛れにポカンと呆気に取られる二人だったが、一夏の方が何か気が付いたのかある物を投げつける。当たっても痛くなくパサッと音を立てて落ちたソレをラウラは拾い上げた。

 

「ん、ワイシャツ?」

 

「アホぉ!その格好のまま外に出るつもりか!?せめて、コイツを着とけっ」

 

 一夏が投げつけたのは、彼が寝る前に放置していたワイシャツであった。ラウラはそれを

拾い上げると、少し思順してから羽織る。

 袖を通し、ボタンを留め、袖の余り具合を見て、また彼女は迷言を発する。

 

「なるほど、嫁は今度はコレを着て来いと。彼シャツと言うヤツだな?嫁は前を留める派か?

 あと、下着は付けない方が良いか?ぬ、それだと肌ワイと言うヤツに…」

 

 「「出て行くなら、とっとと行けぇえ!!」」

 

「そうか。では、また後でな」

 

 終始ラウラに振り回されっぱなしの二人は相当な精神的疲労と大声により肩で息をする。

 息が整うと、箒が顔を赤らめてコチラを向いた。

 それに嫌な予感がする一夏は意を決して聞いてみる。

 

「あ、あの箒さん?一体、何用で…」

 

「そ、そのだな…一夏。お前はあーいう格好が好きなのか?わ、私もした方が良いのか?」

 

 彼は一体何を言っているか分からなかったが、理解すると目の前で紅潮し恥じらっている幼馴染が先程のラウラの姿をしている妄想が思い描かれた。

 初日に彼女のほぼ全裸に近い姿を見ているために容易に想像できる。箒のプロモーションは同性も羨むレベルで、特にその美巨乳は異性だけではなく同性も引きつけて()まない。

 その為、彼は一気に赤面し一般的にはイケナイ妄想なので誤魔化しに入った。

 

「違うっ、違う!俺の趣味じゃねぇって!そう、あれは素子先輩の…

 そう!元を辿れば師匠の趣味だよ!!」

 

「そ、そうなのか?」

 

「そうそう!それに無理にやる必要なんて無いってんだ。箒は箒で魅力的なんだからさ!!」

 

 「み、魅力的…私が…‥」

 

 彼女が黙ったのでヤらかしたかと思った一夏であったが、怒っている様でないので一先ず胸を

撫で下ろす。だが、今度は箒との間で気まずい沈黙が流れる。

 どちらもどうしようと思順していたが、また一夏を呼びに来た他メンバーの介入で解除されたのであった。

 その後は遅刻しそうになったり、一夏が相変わらずフラグ立てや強化を行っていたりしての

何時も通りの日常が過ぎ…放課後になる。

 

 場面は生徒会室、最近はわりかし真面目に業務をするような楯無と満足気にそれを補佐する

虚であったが、出入り口から音がしたのでそちらに視線を向けた。

 廊下から駆け足の音がし、扉には封書が挟まっていた。生徒会室内の二人は首を傾げるが、虚が何か言われる前にソレを取りに行き楯無に差し出す。

 持ってみても、透かして見ても何か仕掛けられてる様子もない変哲もない封書であったが、

見た目が違和感バリバリである。

 封書の素材は固めの和紙で出来ているが、手紙を包み折り入れただけのモノ。

そして、正面には見事な毛筆で…

 

「ねぇ、虚ちゃん。コレってどう見ても…」

 

「ええ、()()()()ですね・・・」

 

 そう、『果たし状』と書いてあった。つまり、時代劇でお馴染みのアレである。

 どうやら、楯無にとって避けられない戦いが待っているようだ。




今回はどうでしたか?暫くは『臨海学校編』の前日談である日常シーンが続くと思います。
まぁ、コイツらが大人しくしている筈もないのですがね!
臨海学校に行くまでドタバタとさせるつもりです。
そして、次回は更識姉妹のケジメ(果し合い)を書こうと思います。
買った原作はまだソコまで読み込んで・・・と言うか、4巻序盤で止まったままなのですが、他のフラグも合わせてここら辺でさせなくては成らないのが現状です。
もしかしたら、原作ファンからすればおかしくなるかもしれませんが…ご承知お願いいたします。

最後に、リアルで忙しくて力尽きていて申し訳ございません。
この駄作を楽しみにして頂ける喜びと感謝は言葉に尽くせません。
どれだけ遅くなっても、原作最新巻までは行きたいと思っているので、どうかよろしくお願いします。


では、今回は此処まででございます。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。
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