IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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約一か月ぶりとなりましたが、ようやく完成です。
特別編-コラボ企画(後編)です。
お相手はお引き続き-
【インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~ 】

『たちゅや』氏

-と、成っております。

普通なら出会わないオリジナル主人公たちの邂逅をお楽しみください。

では、どうぞ御ゆるりと。


IS×FAxxss2:楽しんでくれたかな?

 

――IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す特別編――

 

――IS×FA × ブンドド コラボ企画――

 

――限りなく近く遠い二人――

 

――【後編】――

 

 増加装甲(ブラストシールド)を失いつつも勝利したバーゼラルド‐龍也はようやく一息つけるとピットに降り立つ。

 

「ふぅ、まだ解放されな…ん?」

 

 彼は自分に充てられたピットに戻ると深いため息を()く。

 激しい戦いであったためしょうがないだろう。

 だが、ため息を吐いて下がった頭を上げるとそこには空中ディスプレイが浮かんでおり、

 それを見た彼は急に駆け出した。

 誰も居なくなったピットで所在なさげに浮かぶ空中ディスプレイにはこう書いてある。

 

 

「やぁ、試合ご苦労様。楽しんでくれたかな?」

 

「実は他にもサプライズがあってね」

 

「君の大事な人をゲストとして呼んであるんだ」

 

「場所は食堂-カフェテリアだから、君も来ると良い」

 

 全身全霊で駆けてカフェテリアへと急ぐ龍也。あの書置きを意味深に読めばしょうがないだろう。

 なにせ、どうとっても人質を捕られてる様な文面だったからだ。

 だが、それも…()()()()()()()()だが。

 

 「刀奈!」

 

「あら、龍也。何を急いでるの?」

 

「ふふっ、この人が刀奈ちゃんの旦那さんなのね」

 

「ちょっ!お姉さま!?!まだ私と龍也はそんなんじゃ…いずれはそうなりたいけど

 

 朗らかにティータイムを楽しむ恋人-更識楯無・本名:刀奈とそれを楽しそうに見る

小柄な女性を目撃した彼は気が抜けバランスを崩す。

 そうなれば、盛大にズッコケるのは仕方のない事であった。

 

「龍也…埃をたたせないで。折角の紅茶が台無しじゃない」

 

「いや、お前なぁ…お前なぁ~……はぁ~~~、俺にも一杯くれ」

 

 自分の深読み過ぎで自爆したのを刀奈はそれと知らず責めるが、

彼は自分の自爆だとちゃんと分かっていたので何とか気持ちを切り替えて彼女の横に着席する。

 着席と同時に傷跡だらけのメイドから紅茶が差し出されるが、隣にいる刀奈は顔を(しか)めながら

彼へと顔を近づけた。

 

「どうした、刀奈?」

 

「(スンスン)ねぇ、試合の後ちゃんとシャワー浴びた?」

 

「いや、急いでこっちに来たから着替えてそのまま…」

 

「今すぐシャワーを浴びてきなさい!お茶会の雰囲気をぶち壊しじゃない!!」

 

「いや、もう別にいいだろ」

 

「汗臭く爽やかにって…高校球児じゃないんだから!

 貴方の匂い嫌いじゃないけど、TPOを考えて!!」

 

「いや、替えの服が」

 

「どうぞ、替えのシャツと下着で御座います」

 

「あ、どうも…」

 

 激戦で普通の汗も冷や汗も掻きまくった龍也は、やはり汗臭かったらしい。

 それを刀奈から注意されるが、今までの疲れで此処まで来たのだから遠慮したいのである。

 けれども、替えの服まで用意されて渋々と近場のシャワー室へ足を運んだのであった。

 そして、綺麗にサッパリと身を整えて戻ってくると…

 

 (変なのが居るっ!?)

 

 自分の恋人と楽しそうにお喋りする女性の横に男が座っていた。

 身長が高めで体格ががっしりしているリクルートスーツ姿の男。それだけなら、まだ良しとしよう。

 だが、頭がロボだ…。しかも見覚えがあり過ぎるロボ頭だ。

 そう、フレームアーキテクトのヘッドパーツを被った男が居る。

 

「あ、龍也。戻ってきたのね。ほら、そんな所で立ってないでこっちに来なさい」

 

「ああ」

 

 彼女に言われるがままに着席する彼であったが、何かを溶かした様な顔で座るのであった。

 暫く朗らかなお茶会が進むが…彼は遂に我慢できなくなる。

 

「いやっもうツッコもうぜ!?このロボ頭、つーかアーキテクト頭は誰だよ!?!」

 

「「「あ、ようやくツッコんだ」」」

 

「グルか!?お前ら全員グルだったのか!?!?」

 

 ツッコミの叫びは、遊ばれている事に気づき上げた絶叫へと変わった。

 その反応に満足したのか女性陣はコロコロ笑い、男は含み笑いをする。

 

「さて、ついさっきぶりだな。十千屋 雄喜という。よろしく」

 

「うふふ、初めまして。私は十千屋=(アーヴァル)=リアハよ」

 

「もう知っているかもしれないが、秋野 龍也だ」

 

「あらためて、更識 楯無…いえ、刀奈でいいわ」

 

 被り物(ロボ頭)によって表情は見えないが不敵に笑っているように思える十千屋、

握った手を口元に当て外見とギャップを感じさせる艶やかな笑みを浮かべるリアハ。

 先程まで敵であった彼に対して気を抜かず姿勢を正して言う龍也、

どこか猫っぽい雰囲気をかもしながら答える刀奈と三者三様の自己紹介であった。

 

「で、《さっきぶり》と言ったな。つまりアンタがさっきの対戦相手って訳か」

 

「そうだな。とても良い戦いだったと思うが、君はどう思う?」

 

「久し振りに背筋が冷える様な戦いだったぜ?

 それよりもアンタ「龍也!お姉さまの旦那様に軽口たたかないで!」おぅ!?」

 

 どう見ても警戒し十千屋に話しかける龍也を刀奈が窘める。

 彼はその反応に怪訝になりながら反論した。

 

「いや、刀奈…こんな訳も分からない状況でのんびり出来るか?」

 

「理由は分かるけどね。お姉さま達に悪意があったらもう既に私たちは無事でいられないわ。

 それに龍也達が戦っているのを見ながらお話をしていたけど、そういう(たぐ)いのものは

 微塵も感じなかったし」

 

「それはそうだけどさ。お前…いったい何でこんな短時間であの女の子に懐いてるんだよ」

 

「いっ…色々と相談にのって貰ったのよ」

 

「そうか?」

 

「(い、言えるわけないじゃない。ハレム(愛の巣)の良好な運営方法なんて…)

 んんっ、それよりも見た目がアレだから強くは言わないけど…一応、お姉さま達は年上よ」

 

「え、マジで?」

 

 自分の恋人が警戒心を解いてる様子と訳を知り、少し身構えを解くがそれよりも二人が年上だという事に驚いた。

 十千屋は被り物のせいで年齢不詳だが、どうみてもリアハは外見年齢が13~14くらいにしか見えない。

 そんな二人をマジマジ見ていると、彼女たちから疑問の返答がきた。

 

「ええ、織斑先生と同じくらいよ」

 

「二十四歳、子持ちの人妻です♪」

 

 ビシリッ…と、リアハの外見と実年齢の余りのギャップに龍也は固まった。

と、同時に外見からそぐわない艶やかさも心のどこかで納得する。

 

「ちなみに俺よりも一つ年上の幼馴染み系姐さん女房だな」

 

「やだっ、ユウさんったら」

 

 十千屋の余談に恥ずかしりながらもツッコミを入れる彼女たちの様子を見て、

彼は『熟年新婚夫婦』という謎の単語が頭に浮かぶ。

 そして、彼の警戒心は無くなった。

 いや、この雰囲気のせいで()()()と表現した方が適切かもしれない。

 別の言葉で例えるなら、『毒気を抜かれた』という状態だろう。

 謎の敗北感に(さいな)まれながら、彼はうつ伏せどこか参ったという風に両手を挙げる。

 

「あーうー…分かりました。えぇ、何か良く分からないが分かりました」

 

「あら、普段通りの喋り方で構いませんよ?そんな厳格なお茶会でもありませんし。

 刀奈ちゃんもそんなに(かしこ)まらなくても平気だから。

 それに、少しヤンチャな方が可愛いでしょ?」

 

「「あ、ハイ…」」

 

 どうやら場の主導権を握っているのはリアハらしい。

 彼女のどこか掴み所のない雰囲気に押され気味な二人であった。

 その様子を見て含み笑いする十千屋に二人は気まずさを感じながら話を戻そうとする。

 

はぁ~…苦手だなこの感じは。で、聞きそびれた感はあるがアンタは何でそんなモン被っているんだ?」

 

「ふむ、まぁ…見てもらった方が早いか」

 

 聞きそびれていた龍也の疑問に十千屋は答える。

 少し考えるそぶりを見せたが、被り物(ロボ頭)を外し傍にいたメイドに受け渡した。

 そして、彼の素顔をみると龍也と刀奈は息をのむ。

 当たり前だろう。彼の顔の右半分が見るに堪えない傷跡まみれだったのだから。

 右全体に及ぶ火傷と裂傷の痕、極めつけは右目が機械に置き換わられている。

 人としての人相とは思えない、それほどの傷痕だったのだ。

 

「アンタ…()()はいったい」

 

「まぁ、若気の至りと言うか…戦闘してちょっとな」

 

 引き気味な二人に彼は何処か寂し気な苦笑をしつつ、原因を語り出す。

 彼らにとって大事件である()()()()()…その端で起こった戦闘が原因であった。

 白騎士(ISの祖)初期FA(ただの強化外骨格)で挑んだ時の名残り(傷痕)である。

 もう少し詳しく言えばその前後も含まれるが、まぁ些細なことであろう。

 

「そうか…アンタ、いやアンタ()は」

 

「おっと、言わんでも分かるだろう?」

 

 龍也は驚きながら十千屋の語りを聞き、それが終わると十千屋とリアハを真っすぐ見つめ何かを言おうとする。

 龍也たちからしても白騎士事件は世界のターニングポイントと言える大事件であった。

 それ故に調べる機会もあり、そんな楽屋裏の様な戦闘があったとしても知っている筈なのだ。

 だが、()()()()()()()()()()()()()()

 もしかすると調べきれてないかも知れないが、I()S()()()()F()A()()()()()()()()()()()()()

コレはどうしようもない事実だ。

 その事と自分たちを此処に呼んだ()()、それを加味すれば自ずと答えが出てくる。

 が、彼はそれを押し止め「全て分かってる」と言わんばかりに口角を上げた。

 

「そう、俺とリアは君たちから見れば…」

 

「「別の歴史を辿る平行世界」」

 

 彼の台詞に被せる様に龍也も同音同意の台詞を言った。

 それに十千屋は驚くが、してやったりと笑う龍也に彼も笑みを浮かべる。

 本当に何かの気まぐれ。だが、出会ってしまった幸運なら楽しんで良いだろうと龍也は気を抜くことにした。

 

 そこからは本当の意味で穏やかなお茶会が始まった。

 

「で、いい加減聞きそびれていたんだけどな。なんでそんな被り物を被っているんだよ」

 

「ああ、被り物自体のデザインは自分がオモチャとしてのFAの営業担当でもある為だが、

 一番の目的はコレの方が()()()に出来るからだな」

 

「ギャグ?」

 

「傷痕を隠すために包帯や、目出し帽みたいな物も考えてやってみたんだがな…

 どう見ても()()()()()()()()()()感が拭えなくてな」

 

「それでアーキテクトヘッドって訳か?」

 

「そう、これなら冗談で済まされるからな。

 営業担当と言っても外部露出はイベントや告知の為のブログしかやってないし、

 本当の仕事と言えるのは開発と設計だしなぁ」

 

「…意外と深い理由があったんだな」

 

 ようやく、気になっていた事を聞いたり…

 

「そうだ、自分の好きなFAは轟雷だが…龍也はどうなんだ?」

 

「そんなのお互いの専用機を見れば分かるだろ?俺はバーゼラルドだよ。

 正確に言えばその系譜になるのか?あの主役機って感じのカッコよさがな。

 そういうアンタはどういう理由だ?」

 

「轟雷の()()()()(ぜん)としたデザインだな。無骨さがロボットであり兵器でもあるって感じが良い。さらに言えば量産機と言うのにロマンを感じる。

 あぁ、ムセるっていう雰囲気も好きなのもあるなぁ」

 

 互いの趣味を語り合ったりなどをしていると…

 

 

「うにゃぁあぁあああああ!??!」

 

「なんだ!?」「どうしたんだ!?」

 

 同じ様に仲良く話していた女性陣から絹を裂く様な、でも珍妙な悲鳴があがった。

 反射的に男性陣がそちらへ向くと、振るえて指しながら顔を真っ赤にして固まる刀奈、

アラアラとちょっと困った様子で彼女を見るリアハがいる。

 どうやら本当にピンチと言うより、ギャグ的な何かと察する事ができ緊張感はあっという間に霧散した。

 

「リア…お前、何やったんだ」

 

「ええと、こちら側のかんちゃん()かなちゃん(刀奈)が仲良くしてるか、

 刀奈ちゃんは気になったみたいなの」

 

「あぁ、俺の所(龍也サイド)でも(こじ)れてたからな。そっち(十千屋サイド)もか?」

 

「平行世界という事でお察しだな。ちょっと最近まで仲違いしてた。

 けど、ちょっと派手な姉妹喧嘩して解決済みだが」

 

「ええ、その話題が出て『もう大丈夫』よ、って証拠の写真を見せたのだけど…

 刺激が強すぎたみたい」

 

 事の詳細を聞いていると、別世界の自分たちが気になった刀奈はリアハに聞いてみた所…

何か刺激が強すぎる物を見せられたらしい。

 その物-スマートフォンに映った写真をリアハが彼らに見せると、

十千屋は「あー…」と苦笑しながら納得し、龍也は何か吹き出るモノを抑えるため鼻を片手で覆う。

 それもその筈、その写真には十千屋サイドの簪と刀奈が映っていた…此処までは良い。

 だが、簪が椅子に座り片膝を立たせた挑発的なポーズで、その身は女王様…ボンテージルックである。

 その膝元では、刀奈が目隠しをされ大事な部分を隠さない逆ボンテージルック…

しかも手を後ろに回され締め上げられていた。

 もっと危ないのは、そうやって床に座らせられている刀奈は(おとがい)を反らし舌を伸ばす、

その先は()の股の間に()たされている棒へと向けられている。

 そして、()(刀奈)の首輪に繋がれているリード()を握り頬を紅潮させ嗜虐的に嗤い、

一方の姉は被虐的に肌を紅潮させていた。

 

 どうみてもポルノ(R-18的な)写真であった。…どうもありがとうございました。

 何故ならこうなっているかはまた別の機会にでも…

 

 「はっ!?龍也っ!見ないでえぇえーーっ!!!」

 

 (グギィイ!)ぐえぇえ!?!」

 

「ねっ?仲良しさんでしょう」

 

 「どんな仲良しさんですかぁああ!?!」

 

 正気を取り戻した刀奈は自分の恋人が件の写真をマジマジと見ている事に気づき、無理やり顔を逸らした。

 龍也の首がコキャリ(折られ)そうになっているが、それすらも気にせずに会話を続けるリアハに彼女は

絶叫気味にツッコむ。

 

「あ、他にも刀奈ちゃん的には複雑だろうけど、私にユウさん、かんちゃんで、

 かなちゃんの上下前後全穴責めしている仲良し写真も…」

 

「いやぁぁああ!?お姉さま、止めてぇえぇえ!!

 別世界の自分のハ〇撮り写真を見せられるのってどんな羞恥プレイよぉおお!?!?」

 

「…アンタの奥さんって色んな意味で凄いんだな」

 

「褒め言葉として受け取っておく。リアは好きになった女の子に対してはちょっと…

 揶揄(からか)って泣かせたり鳴かせたりするのが好きだからな」

 

「『なく』が普通のと十八禁的な意味のと両方聞こえた気がしたんだが」

 

「その感覚で間違いない」

 

「マジかよ…」

 

 やいのやいのと騒ぐ女性陣を他所に寝違えた様に首が一定方向から曲らな龍也と、

どうしようもないと諦めて苦笑する十千屋はこの場を放っておくしか出来なかった。

 

 その後も、止めればいいものを向こう(十千屋)側の更識姉妹の事を聞き出す刀奈。

 そのたびに人妻は悪意にも似た善意で事細かに答え、彼女の精神(SAN値)を削ってゆく。

 ある意味で信じたくない意地で彼女は聞いているのだろう。

 なお人妻(リアハ)には悪意など無い…。

 

「あはは、嘘よ…別世界と言え、私がマゾヒズムに目覚める訳が無いわ。

 いえ、そこは千歩以上譲って…譲って在りだとしましょう。

 龍也に拝み倒されたり、激しく求められたら可能性が無いわけじゃないし。

 けど、何で私の天使()がサディストに成ってるのよぉぉおお!!!

 アレじゃ『簪ちゃん』じゃ無くて『かん()しちゃん』じゃないぃぃいい!!」

 

 お~いおいおいと泣き崩れかけそうになっている刀奈。

 どうやら、別世界の自分と妹の変貌ぶりにかなり()たらしい。

 

「私はノーマル!龍也もノーマル!簪ちゃんもノーマル!なんだから!!

 でも、龍也や簪ちゃんがあんな蔑んだ目で見てきたらドキドキしちゃうかも…

 はっ!?だからノーマルなの!決して私はアブノーマル(変態)じゃなぁあいい!!」

 

「なぁ、龍也…刀奈の彼氏なんだろ?慰めてやれよ」

 

「いや、あんな状態は初めてだから…どう声を掛けてやればいいのか分かんねぇよ」

 

「「あ」」

 

 この、ご覧のあり様にどう対応すべきか足踏みしている男性陣を他所にリアハが刀奈へ近づく。

 しかし、男たちは直観してしまった…コレが止めになるだろうと。

 

「刀奈ちゃん…」

 

「お姉さま、私はどうしたらいいの?全く関係が無い事なのに…

 何故か『次はお前だ』っていう予兆が脳裏から離れないの」

 

「大丈夫、大丈夫ですよ」

 

「お姉さま…」

 

「正道でも邪道でも、愛欲に堕とされ溶け逝くのはとても気持ちいい事なの」

 

 「お姉ぇさぁまぁぁぁああああ!?!」

 

 あぁ、哀れなり刀奈よ…既に(病み)へ堕ち切った彼女には何もない。

 ただ彼女の出来る事は、同じ闇へ手招く事だけなのだ…。

 

「なぁ、お前の嫁だろ、早くなんとかしろよ」

 

「本当に申し訳ない。確かに…彼女(リアハ)がああ成ったのは俺の責任だ。

 だが、俺は謝らない。何故なら俺は彼女の過去()現在()未来()、全てを愛しているからだ」

 

「やだっもう!ユウさんったら!!」

 

 決め所では無いのにキリっとして言い放つ十千屋()に、それに照れてイヤン♡イヤン♡と

身を(よじ)リアハ()

 龍也は真顔のまま冷や汗を掻きながらこう思う。

 

(それはひょっとして、ギャグで言っているのか?

 それはともかく、駄目だこの夫婦…早くなんとかしないと…)

 

 このカオス過ぎる場の惨状に、彼は如何する事も出来なかった。

 

「皆様方、お時間で御座います」

 

「あら、もうそんな時間?」

 

「楽しい時間はあっという間に過ぎるものさ」

 

(あぁ…やっと解放される)

 

アハハハ・・・

 

 メイドがエプロンのポケットから懐中時計を出し、彼らに閉会の時間を告げる。

 それと同時に彼ら以外は白けてゆき、存在そのものが薄まってゆくような光景が広がった。

 リアハは後ろから刀奈抱きしめ、愛で撫でていた手を止め、十千屋は仕方ないといった風に話す。

 龍也は終盤のカオス具合から解放される事を心から安堵し、刀奈は遠い目をしたまま薄ら笑いをしたままであった。

 

「さて、この愉快な供宴はお仕舞。楽しんで頂けたなら幸いだ」

 

「そうだな、終盤はアレだが確かに楽しませて貰った」

 

「うふふ、もしも『また』がありましたら会いましょう」

 

「ア、ハイ。オ姉サマガタ・・・」

 

 完全にただの白い空間と化した場で、二手に別れ最後の挨拶となった。

 十千屋はリアハの腰に手を回し、彼女は彼に寄りかかり、メイドはすぐ傍で会釈をしている。

 龍也も刀奈とピッタリくっ付く様に立ち、互いに指を絡めながら彼らを見送った。

 

「最後に伝える事が在る。龍也と刀奈さんが目覚めたら…俺たちが選んだお土産が届く様に成っている」

 

「龍也君へはユウさんが、刀奈ちゃんへは私が選んだものが届くわ」

 

「「え」」

 

「じゃあな。そちらでも頑張れよ」

 

「お元気で。龍也君、刀奈ちゃん」

 

 「「ちょっと、待ったぁあ!!」」

 

 互いの姿が殆ど消えかけた時に十千屋達は気になる事を言い放ち、それに対し龍也と刀奈は

同音同意のツッコミを入れた所で意識が無くなる。

 そして、意識が戻った時には…自分の部屋で目が覚めた時であった。

 

「うぅん。あ、リア…おはよう」

 

「おはようございます、ユウさん」

 

 十千屋は微睡から目覚めると、既に先に起きていたのか胸元から此方を覗くリアハ()と挨拶を交わす。

 彼女も返答し、軽いキスをしてから寝床から降りて行った。

 

 此処はすでに十千屋達の世界だ。

 眠りから目覚めるとあの二人に会っていた記憶が夢の様に思えるが、

それは決して夢ではないと確信できる。

 あれは何かの気まぐれ、そして奇跡であった。これだけで十分だ。

 

「ふぅ、そういえば二人へのお土産って何を用意してたんだ?

 互いに同性相手への品しか用意していなかったから、リアが何を詰めていたのか俺は知らないな」

 

「そう言うユウさんは何を詰めたんですか?」

 

「あぁ、俺はだな…」

 

 十千屋が龍也に用意したお土産は、以下の通りだ。

 

 ・YSX-24RD/GA ゼルフィカール/GA

 ・FA:G(フレームアームズ:ガール) フレズヴェルク

 ・FA:G イノセンティア

 ・FA:G フレズヴェルク Bikini Armor Ver.

 ・上記を刀奈風にするためのガレージキット『髪型、胸パーツ、小物詰め』

 ・コトブキカンパニーニッパーを始めとする、プラモデル作りが捗りそうな備品詰め

 ・FA:G画集

 

 基本、龍也が好きになってくれそうなプラモデル関係(コトブキオリジナル系)ばかりであった。

 FA:Gの種類が多いのは刀奈と似ているフレズヴェルクを色んな意味で楽しんで欲しいからである。

 ちょっとした下心?としては、FA:Gが向こう(龍也)の世界でも流行らないかな、

と実物と画集を入れたのはあるが…。

 

「以上だな。リアは?」

 

「私は刀奈ちゃんに龍也君用の実用品…と言った所かしら?」

 

 リアハが刀奈に用意したのは、以下の通りである…。

 

 ・(文字頭に【エッチな】と付く)服・コスプレ・下着、多数

 ・妊活用(淫紋)ナノマシン

 ・避妊用ナノマシン

 ・上記二つの予備&設計図

 ・(十千屋世界の)刀奈のグラビア写真集

 ・()活用品&玩具

 

 …何も言うまい。察しろ。

 ちなみに自作グラビア写真は項目の一つ目の服を着た(十千屋世界の)刀奈がセクシーアピールしている写真だらけだ。

 オマケに巻末袋とじには…それらの服で今度はセクシー(R-18)ポーズをしてる。(無修正)

 全て、恥ずかしそうな表情で写っており…その手のモノたちは滾る一品と成っていた。

 

「名付けて『()春大応援グッズ』かしら♪」

 

 彼女が輝かんばかりの笑顔でそう説明するのに対して、彼はアルカイックスマイルを浮かべるしかなかった。

 今頃、あちら(龍也)の刀奈は絶叫しているだろうが…彼女も龍也も色んな意味で頑張れとしか言えない十千屋であった。




はい-と、言う訳でコラボ企画:後編【お茶会編】で御座いました。
今回もゲストである『秋野龍也』君の産みの親であるたちゅや氏には彼らの行動の指導や添削などを担当していただき、どうもありがとうございました。

これで今回のコラボ企画を終了とさせて頂きます。
()()()()ので御座いますが。( ̄ー ̄)
実は、今回のコラボ企画に際してこの作品を相互関係にしようと、たちゅや氏に思案させて頂きました。
コラボ話の流れを此方で作って、そこからコラボ先‐たちゅや氏のキャラクターである龍也に掘り下げて貰おうという案です。

何故そうしたかというと、此方でたちゅや氏のキャラクター達を動かしてイメージ等を崩さない為に、出来るだけ表面上の動きだけにしたかった事。
やはり、龍也たちはたちゅや氏に描いてもらいたい事。
折角のコラボ企画なので相互作用を持つ作品にしたかった事などが挙げられます。
その為、たちゅや氏には今回のコラボ話での龍也視点を書いて貰えないかとお願いしました。
あちらがキャラクターの一人称視点だというのも理由に入ります。

これからもたちゅや氏にはご足労おかけいたしますが、どうかよろしくお願いいたします。

そして、こちらの(病み)属性夫婦がハッ茶け過ぎた事を…改めてたちゅや氏にお詫び申し上げます。( ̄▽ ̄;)

さて、長々と裏話的な話をしてしまいましたが、次回からは通常の話に戻ります。
夏休み編との事でオリジナルルートに成ってしまいますが、宜しければお付き合いください。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。

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