「まずはこの世界、箱庭について。箱庭は修羅神仏や幻獣、悪魔に精霊などが存在している世界で、“
「箱庭の都市は七つの層に分かれていまして上層には名のある修羅神仏が割拠する完全な人外魔境となります。あ、十六夜さんすぐに向かいたいって目は止めてください「バトルなら僕が受け付けるよ、『ギフトゲーム』でね」ってカゲロウさん!? 貴方はなに言っちゃってるんですか!!?」
「平気平気。………超絶ご都合主義な人型チートドラゴンに比べれば十六夜君が強力なギフトを持っていても大丈夫だから」ズーーーーーン
(((((何があったんだ(あったのですか)(あったの)(あったんや)!?))))))
あの人のギフト、元より
「こほん。僕の過去バナは後々話すよ。このまま落ち込んでいても意味がないしね。箱庭について質問はあるかな?」
気を取り直して尋ねる。これに対応したのは飛鳥さんだ。
「箱庭の都市は七つの層に分けられていると言ったわね。それはどのように分けられているの?」
「箱庭の都市の層は数字と外壁、外壁にある門によって分けられています。数字が若ければ若いほど都市の中枢に近くなり、同時に強者がいる割合が大きくなります」
「稀に超が付くほどの変態とエンカウントする事もあるけどね。重度のロリコンや足フェチとか」
「「うわ……」」
「?」
僕が言った事を理解したのか、十六夜君と耀さんは顔を引き攣らせるが飛鳥さんは首を傾げる程度だった。もしかしたら彼女がいた世界は僕達より過去の時間かもしれないね。
「簡単に言えば五歳から十歳あたりまでの子供しか興味がない人と足が好きな人の事だよ」
「確かに変態ね」
「さ、さあ続きを再開しましょう!」
((((知り合いに変態がいるのか(いるのね)(いるんだ)……))))
「次はギフトとギフトゲーム。“
「ああ」「そうね」「…うん」
「その力を使って、または力や賞品・チップを賭けて競い合うのがギフトゲーム。箱庭ではギフトを使った犯罪や窃盗・強盗は見つけ次第処罰するけど、ギフトゲームのルールによっては殺すのもありなんだよ」
「そのようなギフトゲームを行う“
「ギフトゲーム関連はここまでだけど、質問はあるかな?」
「ん」
耀さんが手を揚げる。僕はどうぞと言って質問をさせてもらった。
「……チップは何でもありなの?」
「基本的には金品の類が多いのですが、時には土地・利権・名誉・人間……そしてギフトを賭けあう事も可能です。但し、負けた場合ギフトは失われますのであしからず」
「勝てば新たなギフトを手に入れるからギフトを賭けるハイリスクハイリターンな勝負ってところだね」
「分かった」
「カゲロウ。個人的な質問いいか?」
「ん? 何、十六夜君」
十六夜君は訊ねた僕を見つつ、黒ウサギさんを見ていた。その目には一つの確信か何かが込められているようだ。
「“コミュニティ”って言葉が出た時、黒ウサギは僅かに目を逸らしてた。コミュニティってのは重要なものなのか、カゲロウ」
「そうだね。コミュニティはそのメンバーにとっては誇り・帰るべき場所・宝など掛け替えのない大切なもの。僕が祖父ちゃんが所属していたコミュニティの旗と遺品を大切にしているようにね」
「って事は、だ。黒ウサギのコミュニティは危機に陥っていると推測しても良いんだな?」
黒ウサギは十六夜君の言葉に何も言えず、ただ顔を頷かせているだけだった。ただ、人の顔をよく見ていた僕には泣きたいって感情を抑えているものだと確信できる。
おそらく彼女のコミュニティは魔王に名も仲間も旗も奪われたんだ。
「…黒ウサギ。貴女のコミュニティは魔王に」
「…………はい」
「やっぱり……」
「成程な。その魔王ってやつに好き勝手されて今の状態じゃどうしようもない。だから俺達を呼んだって訳か」
黒ウサギは肯定の意味で再度頷く。黙っているのは感情を抑えている証拠だ。
「魔王って何かしら? 黒ウサギと貴方の態度で外道って事だけは分かるけど…」
「魔王はこの世界で特権階級を振り回す神様等の総称だよ。目を付けたコミュニティに断る事ができないギフトゲームを仕掛け、コミュニティが負けた場合にはコミュニティのコミュニティとして活動する為に必要な全てを奪っていく。それこそ玩具で遊ぶように、ね」
「正に外道としか言いようがないわね」
「…酷い」
『なんやそれ! 魔王ってのは遊び感覚で残虐な行為をしまくるのか!!』
飛鳥さんが顔を顰め、耀さんは表情に変化はないが言葉に怒りが込められていた。彼女が抱えている三毛猫も憤慨しているようだ。
「皆さんを呼んだのは私達のコミュニティを救ってほしかったからなんです!
不意に黒ウサギが顔をあげる。その目には涙が溜まっていた。
「私達は仲間が帰る場所を守りつつ、コミュニティを再建し……何時の日か、コミュニティの名と旗印を取り戻して掲げたいのです! ですから、皆さんの力が必要なんです!!」
彼女はそう言って深く頭を下げて懇願する。嘘偽りのない純粋なものだった。
「いいな、それ」
「――――――………は?」
「あれ? それって協力するって解釈でいいの?」
「当たり前だろ。お前は俺をどう見てんだ?」
「バトルジャンキーな快楽主義者」
「即答かよ。ま、外れてないがな」
「え? え?」
「黒ウサギは一旦落ち付いて。それで、飛鳥さんと耀さんは?」
「いいわよ。さっきの話しを聞いたら魔王の鼻を圧し折ってやりたいわ」
「私はこの世界に友達を作りに来ただけだもの。けど、カゲロウの話しを聞いて目標ができた。私も協力する」
「もちろん僕も手伝うよ。トリックスターの長として、『カゲロウ・クローサー』としてね」
「皆さん……ッ! ありがとうございます」
ポロポロと涙を流し、お礼を言う黒ウサギ。
僕は彼女の前に出て三人と一匹に告げた。
「さてと、言い忘れたものを言わせてもらうね。ようこそ! 箱庭の世界へ! カゲロウ・クローサーと黒ウサギは君達を大いに歓迎するよ!! 人を超えた者達が参加できる神魔の遊戯、ギフトゲームは外界にあるどのゲームよりも遥かに楽しませるもの。どうぞ、心行くまでお楽しみください」
次はジンとガルド、蛇神登場の予定。
ピエールは次回からちゃんと登場します。