お風呂……ってここ?
前に行ったことがある温泉みたい……
『自分ばっかり』
っ!
また……
胸がドキドキする……
きゅって締め付けられるように苦しくて痛くて。
いつの間にか私はその場でしゃがみこんでしまった。
ごめんなさい……
「大丈夫ですか?」
セアンヌさんが声をかけてくれる。
優しいなぁ、セアンヌさん……
なんて思っていたらぎゅっと抱きしめられた。
「何かお辛いことがあったのですね。ここにいれば安心ですから、大丈夫ですから……」
抱きしめてくれながら頭を撫でてくれる。
お母さんみたい……
お母さんも私が不安な時いつもこうやってぎゅってして頭をなでなでしてくれたや……
「ありがとうございます、セアンヌさん……」
「いいえ、とんでもございません。私は当然のことをしただけですよ。さあ当主様とお嬢様が待っておられます。入浴を済ませてしまいましょう」
失礼します、そう言われながらなれたように私の服を一枚一枚脱がしてもらって裸になる。
お風呂はすごく広かった。
前にお母さんと一緒に入った温泉よりももっとずっと大きくて。
「すごい……」
「お褒めいただきありがとうございます。まずお背中をお流ししますね」
体も髪も全部綺麗に洗ってもらってなんだかわからないけど髪にいいって言われた薬? オイル? も塗ってもらって。
用意してもらったお洋服に着替えて……
う〜……すごくヒラヒラしてて可愛いけど私じゃあんまり似合ってない気がしてちょっと恥ずかしいよ……
「お嬢様、お待たせいたしました」
「ありがとうございます、セアンヌ。私の小さい頃の服でしたがサイズはぴったりのようですね」
「あ、ありがとうございます……でもちょっと落ち着かない感じがします……」
こんなに可愛い、というかお姫様みたいな服初めて着たし……
「すみません、明日、洋服を買いに出かけましょうか」
「お嬢様、大丈夫なのですか?」
「……ええ、そういえば大丈夫なようです。なぜでしょうか」
んー? なんの話だろ……?
「とりあえず食事ですね。お腹も空いているでしょうから詳しい話は食事をしながらにしましょう。お母様にも改めて紹介しないといけませんし」
「わ、わかりましたっ!」
この前もおんなじようなことしたのに……
前は噛んじゃったから気をつけないと……
『一人だけ逃げおって』
村長さん……
胸が痛い。
心が痛い。
「セレイル? どうしました?」
ミリアさんが声をかけてくれてる。
我慢するので精一杯で答えられない。
「ごめんなさい……」
「突然どうしたんですか?」
「私、みんなを見殺しにしたの。私だけ生き残ったの。私だけ助かって普通にいきてて……」
「……そうだったんですね」
ごめんなさい
謝っても許してもらえないけど……
でもごめんなさいしかいえない……
「大丈夫ですよ。あなたはちゃんといきていいんです」
ごめんなさいを言わせないように胸にぎゅってされた。
ミリアさん、実はすごく大きいんだ……
強くぎゅってされてるのに全然苦しくはなかった。
「せっかくそこから生きてこれたならその人たちの分までちゃんと生きなきゃダメです」
「お嬢様……」
「私だけそんなこと……」
「いいんですよ……って言ってもすぐにはわかりませんよね……ですからそう思えるまでここにいてください」
「もういいの、仲良しでもすぐに離れ離れになっちゃうならもう悲しいのは嫌なの……」
ミリアさんもセアンヌさんも何も答えてくれない。
でも二人とも私のことをぎゅって抱きしめてくれた。
ミリアさんたちは私がすっかり泣き止むのを待ってくれて食堂に連れて行ってくれた。
「遅くなって申し訳ありません」
「構いませんよ。大体の事情は察しましたから。それでその子が……」
「はい、セアンヌが保護した女の子、セレイル・レッダローズです」
「は、はじめまして! セレイル・レッダローズと言います」
「はじめまして。私はミリアの母のテレリアよ。落ち着くまでうちで生活するといいわ。前からミリアに妹がいればと思っていたの」
「ちょ、ちょっとお母様!」
「半分は冗談よ」
あ、でも半分本気なんだ。
お姉ちゃんかぁ……私も一人っ子だったし憧れはあるよね。
でもミリアさんはお姉ちゃんというよりはお友達みたいな感じがする。
「でも本当の家族だと思ってくれてもいいわよ。私はそのつもりであなたと接するから」
「は、はい、ありがとうございます……」
なんかそういう風に言われるのはちょっと気恥ずかしいな。
「セレイルちゃんのことも気になるけどミリアの魔法学校の試験も気になるわ。大丈夫だと思ってはいるのだけど」
え、魔法?
「はい、セアンヌにも手伝ってもらいながら勉強しています」
「あの、魔法って……?」
「魔法を知らないの? ここは剣と魔法の町というくらい有名なのに」
そういえばエーナさんも魔法がなんとかって言ってたっけ。
それにエリサさんも……
エリサさんのことを思い出すだけでまた胸が苦しくなる。
あの時私に守ってあげられるだけの力があればよかったのに……
「魔法って私でも使えるんですか?」
「そうねぇ……魔力があれば使えると思うけど……」
「魔力……?」
あれだよね、魔法を使うために体の中に蓄えとくやつ。
前に見たアニメでそれを取り込む専用の器官があるとか言ってたけど……
「まだあなたくらいじゃ詳しいことは知らないかもしれないわね。魔力っていうのは空気の7割を占めている魔素っていう物質を取り込んで作るのよ」
やっぱり前に見たのと似てるんだ!
「セレイルも魔法に興味があるんですか?」
「使えるなら使えるようになりたいなって」
魔法で攻撃とかできるなら私も……
自分だけじゃなくてみんなを……
「そうだわ、ミリア。明日セレイルちゃんのお洋服を買いに行くんだったわよね。そのついでに魔力測定をしてもらってきなさい」
「ですが年齢的には……」
「まずはあるかどうかからよ。あとは私がなんとかするわ」
「わかりました」
なんだかよくわかんないけど私にも魔力があることを信じて明日行ってみよう。