フェバル〜少女の行き先〜   作:月白弥音

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3.騙したんですか!?

「……では……か!」

 

「でも……し……!」

 

「……に……ば…………がい、ない……」

 

……あれ……?

誰かの話し声……?

私、確か森で……

これってお布団……?

なんで……?

 

自分の体じゃないように重たい体をなんとか起き上がらせようとして私は寝かされていたところから落ちる。

いたた……

全身打った……

 

「大丈夫!?」

 

「っ!」

 

誰かが私がいる部屋のドアを勢いよく開けて声をかけてくれた。

いきなりすぎてかなりびっくりしたけど……

 

「は、はい、大丈夫、です……えっとここは……?」

 

「ああ、ごめん! ここは私の家だよ。あ、そういえば自己紹介してなかったね、私の名前はエリサ・シュトラ。よろしくね」

 

「は、はい! よろしくお願いします! 私、セレイル・レッダローズです!」

 

なんか凄く大人っぽい人だなぁ……私よりだいぶお姉さんな気がするよ。

 

「ちなみに、私13歳だから」

 

「私の一個上!?」

 

うそだよね!?

こんなに大人っぽいし、こんなに胸も大きい、のに……私の、一個上……

 

「ま、まあセレイルちゃんはこれからきっと……ね?」

 

「そ、そうだよね! 私も一年くらい経てばエリサさんくらいになるよね」

 

「い、一年じゃきつくないかなぁ……」

 

ごめんなさい、勢いで言っただけなのでそんなに残念そうな目で見ないでください。

 

「ところであなたこの辺じゃ見ない顔だけどどこから来たの?」

 

「え、え〜っと……」

 

やばい、どうしよ!?

まさか違う世界から来たなんて言うわけにもいかないし……でもこの辺のこと全く知らないし……

う、う〜ん……

 

「もしかして記憶喪失とか?」

 

「そ、そう! そうみたいなの!」

 

「でもさっき自分の名前ちゃんと言ってたよね……?」

 

「え、あっ……」

 

ダメだぁ……ここは素直に言うしかないかなぁ……

 

「まあ、言いたくないなら言わなくてもいいわ。誰だって言いたくないこともあるしね」

 

ごめんなさい、言いたくないわけじゃないんだけど……きっと言っても信じてもらえないから。

 

「そんな素性がわからないやつをこの村に置いておいて大丈夫か?」

 

でっか!

背たかっ!

あとすごく顔怖い……

なんかすごく睨まれてる気がするんだけど……わ、私、何か悪いことしたっけ!?

 

「きっと大丈夫だよ、お父さん。この子からそういう悪意感じないし、何かしようとしてもここなら何もできないでしょ。だからとりあえず睨むのやめてあげて? セレイルちゃんすごく怯えてるよ?」

 

「そ、それはすまん……まあ、確かに何もできないな。それにあそこに行くなら中のやつらより信用できるか」

 

「うんうん! というわけで仲直り! あ、紹介するね、私のお父さんの……」

 

「アレクだ。さっきはすまなかったな。娘共々仲良く頼む」

 

「あ、はい! セレイル・レッダドーズです。こちらこそよろしくお願いします!」

 

「どうせ泊まるところのあてもないのだろう? うちに泊まるといい。幸いこの部屋は空き部屋で滅多に使っていないから使ってくれて構わない」

 

確かに私、これから泊まるところとか全く考えてなかった……

泊めてくれるならとっても嬉しいけどいいのかな……

 

「うちに泊まってよ、セレイルちゃん。お父さん、見た目はちょっと怖いけど結構優しいよ」

 

「見た目のことはほっとけ、今更どうにもならん。ああ、うちの迷惑とか考えてるなら気にしなくていいぞ。突然客が泊まりに来ることも多いし、ここに何かやることがあって来たんだろう? それが終わるまでの間くらいいてくれて構わんよ」

 

やることがあるというかただの偶然というかなんだけど……

きっと私の星を出て来たときと同じように突然連れていかれちゃう気がするからそれまでの間お世話になろうかな。

 

「それじゃあすみません、お願いします」

 

「すまないなんてことないよ〜! わたし、前から妹欲しいと思ってたから嬉しい! ねね、私のことお姉ちゃんって呼んで?」

 

「え、え〜っと……エリサお姉、ちゃん……?」

 

「はうぅぅぅぅぅ!」

 

エリサさんが床にゴロゴロし始めた!?

私、何かしたっけ!?

あれ、なんかさっきもこんなこと考えた気がする!

 

「ああ、あれはある意味病気みたいなもんだ。ほっとけば治る」

 

「病気なら病院行かないとダメじゃないですか!」

 

こんなゴロゴロしてるじゃかなり重症なんじゃないの!?

急いで連れて行かないと!

 

「病院? ああ、魔妖院のことか。久しぶりにそう呼んでるやつ見たな。もう随分と前に病院なんて言葉は消えたぞ」

 

「そ、そうなんですか」

 

「それに病気って言っても別に本当の病気じゃねえぞ? エリサは単純にセレイルみたいな小さくて可愛い女の子が好きなだけだ」

 

「か、かわっ! そ、そんなことないですよ! っていうか騙したんですか!」

 

「悪い悪い、騙すつもりはなかったんだ。あまりにもお前がピュアすぎたというかなんというかで……まあしばらくすれば戻るから気にしないでくれ」

 

「わ、わかりました……」

 

結局エリサさん……エリサお姉ちゃんが元に戻ったのは日が落ち始めてから。

もう、村の中案内してくれるって言ってたのに……

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