はい、と言うわけで戻ってきました。
村に戻ってきちゃったよ……
「じゃあ一旦私の家で待っててくれる? 村長が帰ってきてるか確認してくるわ」
「べ、別にそんなに急がなくてもいいよ〜?」
「ダメよ、ここにいる以上、一度は村長に挨拶しなくちゃ。一緒に行ってあげるから怖がらないで?」
うう〜……
怖いもあるけど緊張するんだって〜……
エリサさんはもう今更かもしれないけどさ……
あ、今のうちに逃げちゃう……?
それならいいよね!
そうと決まればすぐに……
「村長いたから行くよ!」
エリサさんはやすぎ……
これはもう行くしかないのかな……
「さあ、行くよ! 大丈夫、行っちゃえばなんとかなるから!」
「う、うん……」
もうここまでされちゃったら行くしかないね……
よし! こう言う時は度胸だよ!
「大丈夫、私も一緒だから!」
ずっとそう言ってくれてるエリサさんもいるし、きっと大丈夫だよね!
エリサさんの家から連れられて私は朝素通りしたとっても大きなお家の前にきた。
改めて見ても大きいなぁ……
「さて、ちょっとここで待っててね」
「うん、わかった」
私を置いてエリサさんは家の中に入っていった。
村長とか王様とかお話の中のことだと思ってたけど……
なんか不思議な感じ。
私の元々いた世界じゃ全然知らなかったや。
「お待たせ、村長は奥の部屋にいるっていってたから案内するね」
わぁきちゃった……
よし、がんばろっ!
意気込んで中に入るけどとにかく中が広い。
こんな広いところに何人で住んでるんだろ……
「ここは村長だけで住んでいるの。他にはお手伝いさんがいるけど毎日通ってるから住んではいないわ」
「そうなんだ……なんかちょっと寂しそう……」
「そうね、だから私たちみたいな子供がたまに遊びに行くとすごく嬉しそうよ」
あ、最初に言ってた小さい女の子には優しいってそう言うことか!
あれ、でもでも、それじゃあ女の子限定な理由は……?
うん、きっと気にしたら負けだと思う!
きっとそうだ!
「さ、ここが村長がいる部屋だよ」
「うん……」
ここまできたらもっと緊張してきた……
お腹痛くなっちゃいそう……
そんな私のことは気にせずエリサさんはドアをノックする。
「村長、連れてきました」
「おお、きたか。入りなさい」
低くてかっこいいけど優しそうな声。
それがドア越しに聞いた村長の印象だった。
「し、失礼しまちゅ!」
「し、しまちゅ……ふふふ……」
……噛んじゃったあああ!!!
うう、絶対変な子だって思われた……
エリサさんもめちゃくちゃ笑ってるし……
「……失礼します」
もう一度しっかり言い直して私は扉を開ける。
「は、はじめまして! セレイル・レッダローズと言います! こんな私を置いてくださって本当にありがとうございます!」
よし、最初少しダメだったけど噛まずに言えた!
「なんだ、さっきのは可愛かったのだが……まあ仕方あるまい」
……さっきのって噛んだやつじゃないよね?
絶対違うよね!?
「私はユルア・シュルグという。こんな場所によくきた……と言いたいところだが、なぜエリサの報告があったような場所にいたのか教えてもらってもいいか」
見た目はまだ若そう……?
それでもおじいちゃんみたいな感じはするけど……
私があそこにいた理由……かぁ。
「私の話は到底信じられない話ですがそれでいいですか」
「信じるかどうかは私が決める。まず話してみろ」
「私、この世界の人じゃないんです」
「……なんだと、転生者ということか」
そしてきっとエリサさんを睨みつける。
「ち、違います! 私は何もしていません!」
「あの、転生者というのは……?」
「ああ、すまない。異世界からこの世界に生まれ変わった者を転生者と呼ぶのだ。セレイルはそれではないのか」
「はい、おそらく。私はフェバル、そう呼ばれている人たちの1人みたいです」
「フェバル……初めて聞くな。それでフェバルというのはなんなのだ」
「私もなっちゃったばっかりなのでわからないんですけど、いろんな星を旅するみたいです」
能力のことは話さなくていいよね。
だって私、能力ないみたいだし……
「なるほど、それで運悪くあそこに落ちてしまった、というわけか」
「はい、まさにその通りです……」
うん、あれは怖かった。
別のところに行かないといけない時にはあんな風にならないといいなぁ……
「なるほど、事情は理解した。この村に滞在するといい」
「ありがとうございます!」
「何、構わんよ。小さな女の子の頼みだ」
あれ、なんか今聞いちゃいけないことを聞いた気がする。
「それはそうと、少し撫でてみてもいいかな?」
あ、え、えっとこれは……?
お世話になるんだしさせてあげたほうがいいのかな……?
「村長! 私達ならまだしもセレイルちゃんにそういうことはしないでください!」
「お、エリサ、嫉妬か?」
「単純に被害者拡大を防ぐだけです! それに今までそういう文化がなかったのかもしれないんですからあまり変なことしないでください」
「変って軽い挨拶じゃないか」
頭撫でるのって挨拶なの……?
「とにかく! 絶対にやめてくださいね!」
「ふむ、なら仕方がない」
ちょっと安心。
流石にこの歳になって撫でられるのは少し恥ずかしいし。
「代わりと言ってはなんだが、明日のエリサのお使いに一緒に参加してくれ」
「村長待ってください、それは!」
「向こうのことも知っておいたほうがいいだろう?」
「それはそうですが……」
「あの、私、お手伝いします! どこに行くんですか?」
「あの壁の向こう、この国モーズの首都グズミアさ」