すべては夢オチ   作:添牙いろは

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夢オチだから四葉は見たい

「ねぇ……瀧君、今日はちょっと、大人しくない?」

 そんなことないと思うけど……どうして?

「だって、ここは私たち二人だけの世界なんだよ? せっかくお互い裸なんだし、もっとワーっとはっちゃけても!」

 充分すぎるほどはっちゃけてるだろ……

「ほらー、やっぱり元気ない! もしかして、起きてるときに気になることでもあった?」

 特にないぞ。至って平凡だ。

「起きたら忘れるとはいえ、ここで吐き出しておいても……アレ? 何の音? コレって、え、え――」

 あぁ……三葉、スマン。いつもは俺の方が先に起きてるから知らなかったけど……目が覚めた方は、こうやって消えていくんだな。

 さて……どこに隠れてるんだ、四葉のヤツ。

「ウンウン、ちゃんと私の指示通りにやってくれたみたいねー」

 うをっ、いつからそんな近くに!? てか、そんな小岩覗けばバレバレなのに、何で気づかなかったんだ、俺たち……

「私の方が寝るの早いから、いつもお姉ちゃんたちを待ち構えてたんよ。それに、そこ芝生がふかふかで横になりやすいからって毎回同じところでシすぎ」

 と、いうことは……

「お姉ちゃんが喘いでるところも、瀧君が腰振ってるところもずっと全部丸見えやった、ってことー」

 うっ、うわぁぁぁぁぁ!! 次から場所変えるしかねぇぇぇぇぇぇ!!!

「どうやってお姉ちゃんに提案すんのよ。いまさら手遅れやから、これからも私の前でパコパコしてなさい」

 さすがに……知ってしまったら無理だろ……

「ホントもー手遅れだってのにー……。それよりもさ、いま夢の外は朝六時なんでしょ?」

 あ、あぁ……休みも構わずその時間に目覚ましをセットし続けたからな……いつ入れ替わりが起きてもいいように。お陰で毎日寝不足気味だ。

「やったら瀧君も早く寝て、私に先と……あ、やっぱええわ。その最中にお姉ちゃんと出くわしても嫌やし」

 三葉に見られて嫌なことするつもりなのかよ!

「そりゃそうよ。てかぶっちゃけ、瀧君やって起きた後まで記憶残してるよーならこんなことせんし」

 う……ぅ……で、俺をどうしようっていうんだ……?

「えーとね、まー、単刀直入にゆって、チンチン見たい」

 それならもう見てるだろ。

「やなくてね、ほら、今は下向きでしょ?」

 そーだな。

「で、お姉ちゃんと抱き合ってる間は、上向きやったやん」

 そゆことゆーなよ!

「って思い出しただけで上向いてくるの? がんばれ❤ がんばれ❤」

 と言われても……さすがにマジマジと観察されたら緊張するし。

「あ、また下がっちゃった。そうやって変身するとこが見たかったのに」

 変身って……つまり、勃起させて欲しい、と?

「人体の神秘、って感じやん♪ で、どうすれば立つん?」

 刺激があれば反応はすると思うが……

「つまり、蹴飛ばせって?」

 そんな乱暴なことすんなよ! もっとこ……優しく、だな?

「うーわ、小学生相手にナニ考えてんの。ドン引きー……」

 自分でヤるわ! 誰も四葉ちゃんにシてくれなんて言ってねーだろ。

「どちらにせよ、触るのはナシね。チンチンの力だけで変わってく様子が見たいんやから」

 さすがに人前だし、この状況じゃ無理だな……

「ねぇ、エロいことせんと立たんの?」

 何のために立たせるのか、知っているのならそこから察してくれ。

「うーわ、下衆っ! 男子ってやっぱ下衆いわー」

 生理現象だから仕方ないだろ。というか、むしろ他にどうやったら立つと思ったんだ?

「えっ!? いや、ほら、そのー……女のコのことを好きー、って感動したら?」

 女のコのこと好きだと思ったら、やっぱそっちに頭が傾くしなぁ。

「……やっぱ、男子って下衆い」

 ホント勘弁してくれ……

「まあええわ。自分の義兄になるかもしれない人が特別下衆いなんて思いたくもないし」

 逆に、エロくなくて立ちそうなことって何だよ。

「例えば……うーん……ハグとかキスとか?」

 その辺はエロくないのか?

「やって、映画のラストを締めるシーンやよ? それを変な目で見るとか……うわー……瀧君サイアクー」

 あーあー、わかったわかった。エロくないエロくない。じゃあ、四葉ちゃんのこと抱きしめればいいのか?

「軽くゆってくれるね。っつーか、くっついたらチンチン見えない」

 ってことは……キスの方か。

「まあ、そうなるね」

 いいのか? 俺となんかで。

「瀧君やって、なんやかんやでチューしたそうやったやん?」

 そんなことあるワケないだろ。むしろ、こないだの話から引っ張るってことは、四葉ちゃんの方が……

「バ……バカなこと言わんで! お漏らしのこと、お姉ちゃんにバラすよ!?」

 わっ、悪かったから、それは勘弁してくれ!

「……ああ、いや、ゴメン。私も熱くなりすぎたわ」

 こっちこそ……ウン。

「だいいち、夢でゆったこと、瀧君は起きたら忘れるんやもんね」

 まあ、そーだな。

「そんなら、ゆっちゃうか」

 何を。

「私、瀧君とキスしてみたい」

 ……はっきり来たな。

「それも、舌と舌でグニグニするヤツ」

 お……俺と、か……?

「……ウン。あ、でも、好きとかそんなんやないよ!? お姉ちゃんと瀧君取り合うつもりもないし」

 なら、何で……

「それは……わからん!」

 と、胸を張って言われても……

「ただ……あーもー、どーせやから全部言っちゃうか!」

 ゆっとけゆっとけ、俺の方は起きたら忘れるし。

「木陰でチラチラ覗きながら……カッコイイ彼氏やな、って思ってたんよ、ずっと」

 そ、そういうことを面と向かって言われると、流石に照れるな。

「私かて恥ずかしいわ」

 …………。

「でも、ゆっちゃう。せやから、オトナのチューとかしても、別段気持ち悪くはないよ。むしろ、瀧君やから大丈夫、というか」

 それでも、好きってことはないんだよな……?

「正直、そういう感覚がよくわからんのよ。ただ、こうやって裸のトコをペタペタ触ってみたい気はするかな。これって、性欲ってヤツ? あ、でもさすがにチンチンは無理」

 むしろそこは触らずにいてやってくれ……

「と、いうことで……チューしながらチンチン観察させてもらうから、瀧君は膝立ちになってくれる?」

 こ、こうか……?

「そんで、目は閉じといてね。私は開けとるけど」

 お、おぅ……

「じゃ、いくで」

 …………

「ん、ん……ん、んふぅ……」

 ンっ、ン、ン……

「むふ……ふ……ん、ん……ん♪」

 っぷは。もう充分だろ!?

「あ、立つのは見なくても判るんだ」

 自分の身体のことだからな……で、これで満足か?

「……うん❤」

 お、おい……まだ何かありそうな顔しやがって……

「あるっちゃーあるけど……えいっ♪」

 おいっ、膝が……イテ……ってコラ!

「ゴメン。関節キメるつもりはなかったんやけど」

 で……俺を押し倒してどーするつもりだ?

「別に。ただ、こーしてくっついてみたい、ってだけ」

 ……そーか。ただ、それ以上のことは考えんなよ。

「それ以上のことってナニ? もー、瀧君てばえっちー❤」

 何なら、試してみるか?

「うわ、瀧君てば小学生相手にヤバイヤバイ。でも、今の私なら本当に……って、アレ?」

 フ、夢の中は寝ている間の姿に固定されるんだ。脱ごうにも脱げまい。

「ってことは、お姉ちゃん……昨日の夜から素っ裸で寝てた、ってこと……?」

 まぁ、そうなるな。

「うーん……さすがに私には裸で寝る勇気はないかも……風邪引きそうやし」

 ということで、このくらいで満足しておけってことだ。

「ま、ええで。その代わり……さっきのキス、もう一度シてくれる?」

 それはいいけど……うーん……そう何度も求められると、子供相手とはいえ、あまり健全ではない気がしてくるな……

 

       ***

 

 ん、あぁ……この天井は……糸守か。どうやらまた入れ替わってしまったらしい。そういや四葉のヤツ、今度夢の中でナニかやらかす、って言ってたけど……俺は一体ナニをされたんだ? まあ、夢の中ならどーとでもなるんだろうけど。

「お、おはよう……瀧君」

 ふすまを開けるなり、いきなり断定か。もし違ってたらどうするつもりだよ。

「それは……大丈夫。さっきまで、夢で瀧君と逢ってたから」

 で……そこで俺とナニをシてたんだ?

「いっ、言えるわけないやろ!? やからこそ、夢の中でお願いしたんやから!」

 そ、そうか……なら、俺も訊かないようにしておこう……ってどうした? そんなにベタベタと。三葉の身体で何か気になることがあるのか?

「うんにゃ。中身は瀧君やってわかっとるけど……身体はお姉ちゃんなんやね」

 まー……そうだな。

「……つまらんっ!」

 まあ、面白いもんでもないだろ。

「やっぱ、瀧君の身体に入った瀧君でないとつまらんわ! ということで……もう少し早起きは続けてくれる?」

 マジでか……。てか、不用意に早く起こすと、三葉からもクレーム来そうなんだが。

「お願い! もう一回だけ試したいことがあるんよ!」

 ったく……それを済ませたら、また起床時刻は元に戻すからな。

「んふ、ありがと♪ あ、それと……」

 なんだ?

「コレ、本気でお願いするんだけど……私が寝てるときは、無理矢理起こしたりしないでね。勝手に布団を剥がすとかマジ厳禁」

 ? まあ、いいけど。起こす機会なんてそうそうあるとも思えないし。

 


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